「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

『言ったでしょ。ゼフィはおりこうさん。』
                                                                   【ゼフィ  浜崎達也原作「.hack//黄昏の腕輪伝説」 login_13 より】



「ハセヲ……。
 きみを独り占めにできる快感が、こんなにも凄いものだなんて……自分でもビックリしてる。
 これから死ぬまで一緒だって思うだけで、全身に稲妻が落ちたような刺激が走るよ……。
 ハセヲ……。
 大好き……超好き、凄い好き! 死んでも好き! 殺したいくらい好き!!
 言葉には言い表せないくらい……好き……でも、楚良はもっと好き……!」


遠くでカールが、アルトネリコのオリカみたいなコト言ってやがる。
……つーか。
原文まんまじゃねーか。
パクリはヤメロ……もうそんなツッコミ入れる力すら俺には残っちゃいない。
スケィスはカールにデータドレインされて元の石像の姿に戻っちまった。
俺もXthフォームから1stフォームへ……。
あの時、大聖堂でトライエッジにデータドレインされた時と同じ……。
さっきからずっと身体を動かそうとしてんだが……コントローラーを握ってる感触ももう、殆どなくなってきやがった。
……ヤベェな。


「ん〜? 楚良はまぁだ出て来ないのかな?」


抜け殻同然になったハセヲ(俺)のPCを蹴り転がし、カールが愉快そうに哂う。
AIDAとの完全融合……舐めてたぜ……。
化け物に身ィ委ねるってだけで……あんなとんでもねぇ力、出せんだな……すげ。


「(結局……全部、無駄だったのかよ……!)」


……俺がカールに対してとった行動は総てが悪手。
憑神と異邦神、2つの力を完全に使いこなすカールに対して俺は為す術も無く。
Xthフォームになってたし、スケィスも3rdフォームに進化してて
前回大聖堂で戦った時同様、優位に立てるとか思ったのが……そもそもの間違いだった……。
まさかカールがAIDAに感染してたなんて思ってなかったしな……。
試合開始してからイキナリ左腕を斬り落とされたのもマズかった。
想定外の出来事や突発的なアクシデントに弱いのが俺の悪いところ。
……カイトの言ってた「常識を疑え」ってのは、このコトだったのか?


「あぁ、そうか。
 憑神を仕留めただけじゃ……ダメなんだ。
 やっぱり……あたしが食べてあげないと……ダメ。
 そうだよね……ハセヲ……?」




















************
















「八咫様! ハセヲの強制ログアウトをっ!! 八咫様っ!!!」
「まだだ。
 ……まだ“彼”が目覚めていない。女神も現れていない……試合は続行させる」
「……ふざけないでっ!」


知識の蛇。
ハセヲとカールの試合を見守る八咫とパイ。
ここで初めて両者の意見がすれ違った。
八咫は試合続行を望み、パイは試合の終了を望む。
パイは八咫らのRA計画(アヴァロン帰還計画)を知らされていない、故に。


「指を咥えて、ただ黙って見ていろと言うの!?」


今までパイは八咫に賛同、彼の行動理念に間違いはないと思ってきた。
だが今日、パイは初めて八咫の言葉に異を唱える。
八咫としては想定内の、パイとしては想定外の反逆劇―――――――――――――――


「このままでは彼女に殺されてしまう!
 スケィスも石像に戻った今、あんな状態でデータドレインされればあの子の心身は確実にボロボロになる!
 オーヴァンの起こした再誕の比じゃない! 貴方、それで本当に良いの!?」
「責任は全て私がとる」
「責任!? 
 命が、ハセヲの命が懸かってるのに!?
 八咫様、今の貴方は天城丈太郎と何ら変わらない……いいえ、むしろ天城そのものだわ!」
「……」


あの冷静なパイがここまで声を荒げて取り乱している。
どうやらハセヲに強く惹かれすぎたようだ。
地球の引力に魂を引かれるのと同じ、決して口には出さなかったが


「もう誰も……私の前から……居なくならせはしないっ!」


彼女もまたハセヲを強く想っていたのだろう。
仲間だとか、異性だとか関係なく、ただ純粋に――――――――――
亡き義兄の面影を、あの少年に見たのだろうか。




「タルヴォス……!!!」
『■■■―――――――――!!!』




顕現する《第七相 復讐する者 タルヴォス》。
臨戦態勢となってパイの傍に傅く。
標的は無論、僧形の妖扇士(ダンスマカブル)であった。


「居なくならせはしない……絶対に」


憑神空間を展開していないのはパイの最後の譲歩。
2体以上の憑神が同一の憑神空間に存在すると暴走の危険性が高くなってしまう……
パイのタルヴォスも八咫のフィドヘルも暴走経験がある以上、避けて通れない配慮だった。


―――何の真似だね。パイ」
「八咫様……いいえ、火野拓海。
 調査員兼監視役として貴方の行為を見逃すことは出来ない……!
 もう一度言います、ハセヲを強制ログアウトさせなさい! 試合を今すぐに中止して!」
「それは出来ない。
 今回のRA計画は上層部の許可に基づいたもの……
 ハセヲの中の“彼”が完全に目覚めること、それが計画開始の合図……“理想郷(アヴァロン)”への扉を開くための……」
「アヴァロン……!?」


パイは怒気を込めながらも。
瞬時に八咫の言い放った言葉を1つずつ汲み取って理解してゆく。
ハセヲの中の“彼”、RA計画、理想郷(アヴァロン)への扉……
もしや義兄、番匠屋淳の残したパソコンのHDD内にあったアレのことだろうか。
いや、RA計画は女神ことアウラを《The World》へと呼び戻し、再び恩恵と繁栄を与えてもらうためのものだったはず……
ならば八咫の言うRA計画とは何だ? 
彼は、いや、彼らは何をしようとしている……!?


「必要なことなのだ。《The World》のため、女神のため、そしてハセヲ自身のためにも」
「……!?」
















*****************************
















死ぬ瞬間って走馬灯が走るっつーけど……ありゃ嘘だな。
意識は途切れ途切れだってのに、一向に走る気配すらねぇでやんの。
カールの声以外は……なぁんにも聴こえねぇな。
アイツの憑神……紅いスケィスの展開した憑神空間に隔絶されたせいか。
いや、もう紅くねぇか。
カールがスケィスの全身覆ってた渋柿色の布、全部剥いじまったんだし……。
AIDAに侵食された憑神とは結構戦ってきたけど……アレは次元そのものが違う。
と言うよりも憑神であるのかどうかすら怪しい。
憑神空間展開して俺のスケィスをデータドレイン出来たってことは憑神なんだろうが……妙な矛盾に苛まれて困る。
生きるか死ぬかって時だってのに……。
そういや楚良の奴、カールがいくら呼びかけても出て来なかったな……何してやがんだよ……。
てめえのおかげで今にも死ぬぞ、俺。
ちくしょう……智香との約束、守れなかったな……。
心残りはまだまだ山ほどあるし、やりたいこともいっぱいあったんだけどな……。
ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう……。



『い、一体、何が起こっているのでしょう!?
 ハセヲ選手、カール選手の放った怪光線を浴びた途端に、紅魔宮参加時の1stフォームに戻り、動かなくなってしまいました……!
 も、もしやリアルで何かあったのでしょうか?
 錬装士のフォームレベルを強制的に下げるスキルなど私も初めて見ましたが……あ、あの怪光線は一体っ!?
 し、しかしカール選手の先程の怪光線は、紅魔宮トーナメントで元宮皇のエンデュランス選手が
 使用していたモノと酷似していたような……更に一瞬だけ視えたあの2体の巨大モンスター……
 あ、あれは竜賢宮PKトーナメントで、榊氏が指摘していたハセヲ選手のチート疑惑と思われる映像に映っていたモンスターとソックリでした……!
 カ、カール選手もあのモンスターを使用可能だった、ということなのかァ――――――――――――――――――――――――――ッ!?』
『……』
『大火様、今の状況をどう思われますか!? 大火様っ!?』
『……雨だ』
『はっ?』
『雨がよ……降って来やがったんだよ……』



自身の天狗の仮面に零れ落ちる水滴。
弟子の敗北を目の当たりにしながらも、伝説の宮皇は、この異常事態に気付いていた。
ルートタウンに降る雨。
それは、観客席から試合を観覧していたプレイヤー達も同じコトで、


「シ、シラバスゥ〜! 雨が、雨が降ってきたよぉ〜!?」
「ルミナ・クロスに……アリーナに雨だと……?」
「クーンさん、一体これは……うわ、ホ、ホントに冷たい……!?」
「そ、それよりもハセヲさんを早くっ!  
 こっ、こっ、このままじゃ、カールさんに殺されますっ、殺されちゃいますっ! 急いで助けないと!!!」


観客席からハセヲの身を案じていたアトリが、今にも試合に乱入せんと取り乱す。
一方で傍らのクーンは、


「ダメだ!
 憑神が4体も同一空間に存在したら……それこそ何が起こるか分からない!
 第一、真っ向勝負であのスケィスに挑むのは危険すぎる……失敗したらアトリちゃんだって……アトリちゃん……?」
「聴こえる……“歌”が……誰かが歌ってる……?」
「(歌!? こ、こんな時に何言ってんだ、この子……!)」


憑神暴走の危険性を説く中で、アトリは確かに捉えていた。
イニスの碑文使いであるが故の、聴覚肥大によるものではない。
もっと、精神(こころ)の奥まで届くような。
奥処(おくが)に響く、歌を。


「ね、ねぇ。何だかぁ、いつものアリーナのBGMと、違う気がするぞぉ……?」  
「本当だ……。
 BGMが勝手に変わってる……ど、どうして……!?」


















**************************



















「きみのスケィスは、お人形に戻っちゃったのか……。
 もう誰も邪魔出来ない……これでゆっくり、きみを喰うことが出来るね。
 これで……ずっと一緒だよ」


本気だとしたら全く笑えねぇ冗談を言いながら。
カールと……あいつのスケィスが迫る。
ゴポゴポとカールの身体やスケィスから止め処なく噴出すAIDA。
今はトライエッジじゃなくカールが自分の意志で動いてんのか……
あの野郎、こんな時だけ女に花持たせやがって……!
でも……いつもの喪服みてぇな黒いドレスじゃなく、
AIDAに侵食されてB-stフォームの紅いドレスで着飾ったカールは……こんな時にこーいうコト言うのも何だけどよ。
……すげー綺麗に見えたんだ。


「ハセヲ……きみを、食べたい。
 だから殺すの。好きだから殺すの。
 あたしだけのものにしたいから殺すの。
 この、きみを好きって気持ちを、永遠にあたしの中に留めておきたいから。
 ……だから、お願い。
 あたしのために死んで、ハセヲ。」


































…………。
………。
……。
…。



感覚が、ない。
例えば「色」の概念があるとする。空は晴れてりゃ青、青空だよな。
でも生まれつき眼が不自由で盲目だった場合「空は青い」と言われても、
そもそも青ってのがどんな色か分からなけりゃどんなに説明されても分からないだろう?
概念が想像つかねぇんだから。
光がねぇってコトは、最初から真っ暗なワケだ。
故に、唯一理解できる色は「黒」しかねぇ。……そんなの、哀しいと思わねぇか?
今の俺がそれだ。
どうやらマジでカールのデータドレインを喰らっちまったらしい。
だってそうだろ? お迎えが来やがった。誰かが歌ってる。
遠い場所から、微かに耳に届く“創造詩(メタファリカ)”。
聴覚はまだ微かに生きてるっぽい……。
走馬灯は走らなかったけど、天のお迎えってのはマジだったんだな……
でも冷静にンなコト考えてる俺って何なんだろ……智香との約束、守れなきゃ意味ねーってのに……。





…………。
………。
……。
…。





妙だ。
今……誰かが、怒鳴ってる声が聞こえた。
とおーい、とおーい所で、誰かが。
目の前で玩具を壊されてしまった子供のような叫び声が……聞こえる。














『何だよ、これはぁっ!?
 あとちょっと、あとちょっとって時に、どうして……どうして……!!!』











あぁ、あの声……カールじゃんか。
ったく、黙ってりゃ美人なのに勿体無ぇ。
いっつも本気か冗談かも分かんねぇコトばっか言って本心隠しやがって。
アイツがおかしくなったのってこのトーナメントが始まってからだよな……
それまでは俺と、智香と……3人で馬鹿やってたのに。
他の連中だって、お前のこと嫌ってなかった……
ずっとあのままで居られるって思ってたんだけど……そーもいかなかったな……。
俺にとって、きっとあれが……思い描いていた穏やかな世界……
ギルド作って、イベント参加したり、パーティ組んで遊びに行ったり、バカ騒ぎしたり……
俺の《The World》は……俺の旅は……ここで、終わりか……。
つーか、こんな終わり方……サイテーすぎるだろ……。


「《The World》では、すべてのひとは祝福されているの。“あなた”も……“おばあちゃん”も」


……風?
頬を撫でる風を感じた。
暖かい風。
春の陽気に優しく、静かに吹く……そんな風だった。


「風はどんな人にも吹くわ。
 風は気まぐれ……好きなところに吹き抜けるだけ」


こんな時に誰だよ……仮面ライダードレイクみたいなコト言ってる奴は……。
いつもカブトだかサソードだかゼロノスっぽいコト言ってるカールといい……
どーして俺の周りはこんな奴らばっかなんだか……
って、おいおい。
失ったはずの触覚と聴力が……いつの間にか戻ってる……!? 


「……!」


それに視力も……ぼんやりだが……戻り始めてるじゃねぇか……!


「お前……?」


俺の前に誰かが立っているのが視える……。
“色の概念”が徐々に戻ってくる……。
サフラン色の髪の……白いドレスを着た……素足の女の子……?
……妖精? 
大聖堂の白ドレスの幽霊? 
……それとも女神か。


「お前……誰だ?」


聞かずにはいられなかった。
目の前にぼんやりとだが輪郭を宿す少女。
それが人間じゃない、ってのは何となく勘で分かるんだが……それでも。
そんな俺の問いかけに少女は満面の笑みを浮かべながら、ドレスの端っこを掴んで恭しくお辞儀をし―――――――――――――――


「わたしは『ゼフィ』。
 はじめまして……“おじいちゃん”?」


―――――――――――――――――――――――――――サラリと。
とんでもねーコトを、言いやがったワケだが。                                                                  【 TO BE CONTINUED... 】

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