「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

『物語を……物語を始めましょう……。
 出鱈目(デタラメ)を入れて語りを遮りながら、ゆっくりと一つ一つ……。
 風変りな出来事を打ち出して、歪んだ国の物語を育みましょう……!』                                      【アナザーブラッド 「機神飛翔デモンベイン」 より】



『み、皆さん……ご覧いただけているでしょうかっ!?
 突如としてルミナ・クロスに降り始めた雨、変更されたBGM、そして光と暴風に包まれたアリーナッ!
 既に決着のついたカイト選手、なつめ選手、天狼選手、揺光選手が見守る中ッ、
 未だ決着のつかぬハセヲ選手VSカール選手の舞台に眩い光が疾っております!!!
 カール選手がハセヲ選手にトドメを刺そうと、
 にじり寄った瞬間だったでしょうか……い、一体、この光の正体は何なんだァ―――――――――――――ッ!?』



不夜城に雨が降る。
そして雨と共に吹き荒れる暴風(サイクロン)。
管理者側のミスではない。
これは彼女が現れた証。
嘗て2014年、勇者を模したPCを手に入れた少年が彼女と出会った晩と同じ様に。
雨と共にBGMは変わり、唄となってプレイヤー達に染みていく。
福音の訪れ。祝福と歓喜の唄。新たな王の誕生、救世主の帰還を祝う唄。
エマ・ウィーラントとハロルド・ヒューイックが“本当に創りたかったモノ”。


「くッ……。
 あと少し……あと少しって時にィ……!!!」


カールの憤怒は今や限界に達する寸前。
ハセヲのスケィスにデータドレインを穿つことに成功、ハセヲをXthフォームから1stフォームに初期化することが出来たと言うのに。
やっと楚良を手に入れることが出来ると思ったのに。再誕を行えると思ったのに。
その為に外道の知識を得て、AIDAにすら身を委ねたというのに。
どうして。どうして。どうして。
どうして、ここまで来て邪魔が入るのか!


「(この光……ハセヲを守ってる……!?)」 


舞台中央に横たわっていたハセヲ。
Xthフォームから1stフォームに戻ってしまい弱体化、
カールに蹴り飛ばされ、糸の切れた人形の様に崩れ落ち、ピクリとも動いてはいなかった。
恐らくデータドレインの影響でリアルのプレイヤーにも何らかの障害が発生したのだ。
だがカールにとってはそれが好都合。ゆっくりと楚良の再誕を行える。
手に入らないなら……喰うまで。
喰って、彼を自分の中にしまい込めばいい。
彼の心は彼のものだと飽くまで彼が主張するなら、それを否定すればいいだけのこと。
ハセヲは死ぬかもしれない。
けれど、きっと楚良は自分の中で生き続ける。
カール(仁村潤香)はそう判断した。
だからここまで来た。
ハセヲこそが探していた楚良だと識り、彼が楚良であることを拒んだ時から決めていたから。
自分が楚良を取り戻すしかないと。もう一度、夢の続きを視る為に。
AIDAに魂を売り渡し、獣の姿になってまで欲した少年。渋柿色の布に身を包んだ双剣士。最愛のヒト。
仁村潤香が待ち続けていた男性(ヒト)。
唯一、仁村潤香が信じることの出来る異性。


「スケィスゼロっ! 
 この光の膜をフッ飛ばせ!! 出来るな!?」
■■■■――――――――――――――!!!!』


躊躇する暇は無い。
この暴風吹き荒れる状況で、あの光の膜の中で何が起きているか分からない以上、確認する方法はただ1つ。
膜をブチ破り中に居るであろうハセヲを倒す。
そうしなければこれまでの苦労がすべて水泡に帰すこととなる。
しかしながらカールは理解(わか)っていた。
これは“あの時”に似ていると。
彼女が初めて、アウラという少女に出会った時とソックリの状況だということを。
急に苦しみ出した楚良を覆う様にして光の靄が現れたかと思うと少女の形をとって顕現した、あの時と同じだと。
厭な予感がする。
もしアウラが助け舟を出したのだとしたら、どうして自分の邪魔をするのか。
仮にも自分は母親だと言うのに。
腹を痛めて産んだワケではない、だがアウラは自分を母として慕っていた。
ならば、どうして邪魔を? 
これは必要なこと。求めるものがすぐ目の前にあるのに、どうして行く手を遮る?
……もう理由なんてどうでもいい。
何であろうと今のスケィスに破壊出来ないモノは無い。
闇の子宮から生み落とした異端児……それがカールのスケィスゼロ。
ヒトとコピー因子、本来ならば決して相容れぬ二つがまぐわい生まれた蛭子の仔。
母の命は絶対遵守。
それが例え父親に刃を向ける行為であってもスケィスゼロは従う。
第一相の碑文のコピー、即ち楚良の疑似物。
カールは知らぬうちに既に産み落としていたのだ――――――――――――――――――――――楚良との子供を。


「何だ……何が起きている……!?」
「誕(う)まれるんだ。これから」
「お、おい……!」


天狼との戦闘を終えたカイト。
もう戦う必要は無いと言うのに、暴風に負けじと蒼炎の後光(オーラ)を大きく展開する。
カイトには予感が在った。
これから始まる“本当の戦い”を最後まで見届ける為の覚悟が、自分には或るのか。
天狼との戦いで余力は残っていないと思っていたが、今は不思議と身体の奥底から力が湧いてくるのだ。
この雨と風をアリーナに齎した少女か、或いは共に道を歩むと決めた伴侶たる少女か……或いはその両方の仕業か。
出会いは神の仕業、別れは人の仕業。
過去と現在(いま)が出会う時。
彼と彼女が過去を清算する時が来た。
カイトは傍観者でいようとは思わない。
理想郷への途(みち)を開く為でもあるが、この戦いを最後まで見守りたいという気持ちが勝ったのだろう。
とてつもなく危険な状況だと言うのに妙な期待感で思わずワクワクする……カイトは哂っていた。
彼は立ち会っている。
神の子が誕(う)まれる瞬間に。


「揃う……。2つのキー・オブ・ザ・トワイライトが……」


時を同じくして、ただならぬ気配を察知していた者は、他にも居た。


「クーンさん……コレって……」
「な、何かのイベントが試合中に始まっちゃったのかぁ〜?」
「分からない……俺のメイガスでも“何も”視えない……!」
「唄が……どんどん大きくなっていきます……!」


シラバス、ガスパー、クーン、アトリ。
観客席から戦いを見守る4人。彼らも風雨に負けじと試合を見続けていた。
4人のうち男性陣らは状況を正確に把握出来てはいなかったが、アトリにだけは“何か”が聞こえているらしい。
イニスの碑文で聴覚肥大を起こし、他者が聞けぬ者も聞けるアトリには確かに聞こえていた。
生命(いのち)の唄。
祝福の唄が。
パラつく雨と打ちつける暴風の中でもハッキリと聞こえる……少女の唄声が。
同時に、真夏だと言うのにリアルで逆立つ全身の産毛。
これは恐怖ではない。
本能的な歓喜である。
日下千草はコントローラーを持つ右手が小刻みに震えるのを必死に抑えながら、唄声に聞き入っていた。


「……マ、マズイぞっ!! 
 カールのヤツ、スケィスであの光の膜をブチ抜く気だッ!!!」
「なっ、中にハセヲさんが居るんですよ!? いくらカールさんでもそんなコトするはずが……」
「いいや、『する』ッ! 
 覚悟を決めた時の女ほど厄介なモノは無いんだ……俺の経験から言って、アレは相当イッちまってる時の眼だッ!!!」


ハセヲが居るであろう光の膜にカールと、彼女のスケィスが迫る。
クーンとアトリはただ見ていることしか出来ない。
その気になればメイガスとイニスを顕現させてカールを止めることも出来るだろう。
だが一度に3体もの憑神が同一の憑神空間に存在してしまうと暴走の可能性が限りなく高くなってしまう。
このトーナメントを開催したのは八咫、即ち管理者側。
仮にこういう事態が起きても何とか出来るという確証があるからこそ、開催したのではなかったのか。
戦慄が走る。既にハセヲは一度、彼女のデータドレインを喰らい1stフォームに戻ってしまっている。
いくらハセヲが八相の碑文の全てをそのPCに収め、
キー・オブ・ザ・トワイライト化したと言っても連続してデータドレインを喰らって無傷でいられるはずがない。
脳に重い障害が残る可能性もある。
今のカールはまさに憑神を開眼して力を誇示することに何の躊躇いもなかったハセヲそのものだ。
クーンの言う通り、カールのスケィスゼロは光の膜に向けデータドレインの照準を合わせる真っ最中。
重低音が轟き、獣の咆哮にも似た唸り声をあげて。


「あわ、あわわわわっ! な、な、何が起きてるんですかっ!?」
「ア、アタシに聞かれても分かんないよ……!」


なつめとの試合を終えた揺光も事態を把握出来ないでいた。
なつめに至っては揺光より6歳も年上であるのが嘘の様に狼狽、俗に言うパニックに陥っている。
碑文使いではないが故に憑神を垣間見ることは出来ないが、それでも何らかの邪悪な気配が
ハセヲとカールの武舞台に在ることだけは本能で察知している様だった。
ヒトが本質的に畏れる闇の存在があそこには在る。
が、同じくしてソレとは違う別の何かの気配も感じられる。
揺光……倉本智香も良く知る、あの少年の気配。
ハセヲ。
三崎亮の気配。
彼が、カールに倒されてしまったと思われた彼の気配が、あそこにはまだ確かに在る。


「亮……負けないよね……亮が負けるはずないよね……?
 アタシ……結婚前から未亡人になるなんて、絶対ヤダからね……?」


















そして。

















「コレは……」


クーンの危惧した通り。
カールはスケィスゼロにデータドレインを撃たせた。
ハセヲを包む光の膜――――――――――――ドームに向けて。
しかしてその結果、膜は破られた。いたる所にヒビが走りパキパキと卵の殻が破れる様に。
それは雛鳥の誕生の瞬間に似ていた。視界が開け、闇の中から光差す世界への解脱。
――――――――ハセヲはそこに居た。
ただし、物言わぬ躯の姿となって。
カールのデータドレインの影響で1stフォームに退化したままの姿で横たわっていた。
観客達は息を呑む。
アレは本当に倒されてしまったのだろうか。
“死の恐怖”とまで仇名された、あのハセヲが負けてしまったのか。
チートだ何だと言われ続けながらも紅魔宮、碧聖宮、竜賢宮の三階級を制覇した、あのハセヲが。
呆気無さ過ぎる結末に誰もが唖然とする中で、狂喜染みた笑いが響く。
カールの声だった。
ボロ雑巾の如く無様な姿を晒すハセヲを見て、魔女が笑っている。
身体からは際限なくAIDAの黒泡が吹き出し、
左肩に生えたトライエッジが不気味に蠢いて……その様子は観客達にも視えていた。
一連のAIDA騒動でケストレルのボルドーや月の樹の榊がPCを汚染された……という噂はプレイヤーらも知っている。
まさかカールもAIDA感染者? 
ならどうしてCC社はトーナメントを中止にし、彼女のアカウントを剥奪しないのだろう。
あの時の騒動を繰り返してもいいと言うのか。
普段の状況なら、観客のうちの何人かはそう考えたはず。
が、この異常な状況が彼らの思考を妨げた。
アリーナに降るはずのない雨、変更されたBGM、打ちつける風、そして光がかき消えた後の静寂。
凡てが未体験の異常事態だったから。


「はは……。あははは……あはははははははは!!!!」


勝ち誇った笑みを浮かべながらブーツの底をコツコツと慣らし、カールはユラユラとハセヲに近づいていく。
あの光がハセヲに何を齎したかはカールも識らない。
だがトドメだけは刺しておかないと。
ハセヲ本人にデータドレインをブチ込み、喰らい、
楚良を再誕させるという彼女の計画を実現させる瞬間が、今まさにやって来た。
スケィスを再び憑神鎌に戻し、両手に携え、横たわるハセヲの躯……その首に刃を突き付けて。
――――――撥ね跳ばす!





























「……勝ったッ!! .hack//G.U. 完!!!」
「ほ〜ぉ。それで……誰が俺の代わりを務めるんだ?」
「!?」



























カールが横たわるハセヲの首を斬り落とそうと、
両腕に力を込めた刹那――――――――――――――ハセヲが動いた。
カッと見開かれた瞳(め)は燃える紅(あか)を写し、ハッキリとした口調で喋ったのだ。
これに驚いたのが他でも無い、カール。
完全に動かなくなったことを確認しトドメを刺そうと
憑神鎌をハセヲの喉元に突き付けたにも関わらず、思わずPCを後ずさりさせて、困惑の表情を見せている。
今しがた見せていた笑顔も笑い声も、乾いていた。
無論、観客達もモニターに釘付けになった。
カールに倒されたはずのハセヲがまだ動けたことも驚いた原因の1つだが、何よりもハセヲのその姿。
つい先程まで1stフォームだったはずが、見る見るうちに別の形態へと変化していく。
白い髪、銀色に輝く左腕、白の入り混じった黒いボディ、真っ赤な瞳(め)。
ゆっくりと床に手をついて起き上がりながら、ハセヲは変神(メタモルフォーゼ)を続ける。


「……まだ、ちょいクラクラするな」


ようやく起き上がった時、そこに立っていたのはハセヲであってハセヲでない存在。
後光(オーラ)は眩く、全ての邪気を祓う聖光にも似ている。
光の化身にして太陽の子。
光の神ルーの権化―――――――――――――――――R:Xthフォーム!


「やれやれだぜ……よーやく戻って来れたな。
 コレがホントの『時を越えて俺、参上』ってヤツだ……だろ?」


時を越えろ。旻(そら)を駆けろ。この地球(ほし)のため。
やっと戻って来れた。
ゼフィの作った風王結界(仮称)がAIDAサーバーと同質のモノなら
ちょうどカールが俺にトドメを刺すギリギリのところで戻って来られる……そう確信していた。
結果、本当にギリギリのタイミングで1stフォーム化した自分のPCに意識を戻すことが出来た。
ギリギリまで頑張って、ギリギリまで踏ん張って。
どうにもこうにも、どうにもならない、そんな時。
R:Xthフォームが欲しい。
……意志(いのり)は届いた。
あの空間同様に、俺のPCはR:Xthフォームへジョブエクステンドすることに成功。
黒く光るボディ、心臓(ハート)に血が通う。
全身に張り巡らされたフォトンストリーム(光子流動経路)にフォトンブラッドが走り、ハセヲの生命活動を助けている為か。
楚良との完全融合により三崎亮に齎された新たな力。
恐れるモノは何も無い。
完全独走……俺が越えてやる。今の俺はAIDAを滅ぼすことにのみ特化した存在。


「よォ」
「馬鹿な……斬り落としたはずの左腕も治って……!?」
「いい加減、カールの声で喋るのは止めろ。……この宇宙人ヤローが」


ビクリ。
即座にカールの左肩に寄生したAIDA……トライエッジが蠢き、反応する。
相も変わらずブクブクと汚らしい黒泡を噴きながら俺を見据え、くねるトライエッジ。
俺の身体に流れる光が自分にとって有害なモンだと理解したんだろう、カールを後ずさらせて後退姿勢をとりやがった。
まさかAIDAが宇宙人だったとは驚きだが……今はカールを正気に戻すのが先だな。
さっさとケリつけさせてもらおうか。
愛を識らない哀しいAIDAに、遥かな眠りの旅を捧げてやろーじゃねーか。
俺が、俺達が。
人間サマを実験動物みたく散々オモチャにしてくれた礼も、まだ済んでなかったからな。
今までテメーらのおかげで苦しんできた奴らの為にも……今日、ここで、AIDAは俺が滅ぼす。
この地球(ほし)は、テメーらなんぞに絶対に渡さねぇ!


「AIDA……テメーはこの俺が直々にブチのめす。
 ……覚悟はいいか? 
 俺は、いや……俺達は出来てる……とっくにな」                                                            【 TO BE CONTINUED... 】

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