「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

『……まあそんなにおちこむなよ。
 オレだっておどろいてるんだ。ここまできさまをコケにできるなんてな』
                                                               【ベジット 鳥山明原作 ドラゴンボール「其之五百五 挑発するベジット」より】

ついに楚良と融合(フュージョン)、
三崎亮として復活し、R:Xthフォームへのファイナル・ジョブエクステンドを遂げたハセヲ!
一方でその本性を現したAIDA(トライエッジ)はカールの意識を乗っ取り、ついにハセヲとの直接対決に踏み切る。
果たして、光と闇の果てしないバトルに決着はつくのか? 
互いの凄まじい後光(オーラ)がぶつかり合うルミナ・クロスのアリーナで、地球の命運を賭けた最後の超決戦の火蓋が切って落とされた!








「っおりゃあ―――――――――――――――っ!!!!」
「ギッ!?」








ハセヲの拳は一合の光の閃光となった。
煌きと轟音を伴い、カールの左肩に蠢く“宇宙人”の躰を薙ぐ。
カールの身体には極力ダメージを与えず、ハセヲは的確かつ迅速に、彼女の左肩に寄生したAIDA(トライエッジ)のみを攻撃しているのだ。
繰り出される拳の速度は神速の領域。
カイトとの戦いで天狼が見せた拳撃とは次元そのものが違っていた。
拳、剣、銃と流れる様に手を変え品を変え、ハセヲの乱打は終わりを知らぬかのようにAIDAを蹂躙する。
しかし、その拳、その刃、その銃弾に殺意は込められていない。
在るのは慈悲、慈愛の心のみ。
ハセヲはAIDAと戦っているのではない――――――――仁村潤香という少女の精神(こころ)と戦っていた。


「どーした、もっと本気でやってくれよ。
 何なら特別サービスで脚だけで戦ってやろうか? あ?」
「ヌゥ……!」
「オイオイ。やけに無口になっちまったじゃねーか」


辛くもハセヲの乱打から逃れたカール、いや、トライエッジ。
既に意識は完全にAIDAに支配され、
浸食率100%に到達したB-stフォームも彼女の元型(アーキタイプ)を留めぬ程、凶悪且つ醜悪なフォルムへと禍々しく進化してしまっている。
ブッダの悟りを妨げようとした仏典の悪魔(マーラ)も、今の彼女を見れば一目散に逃げ出すコトは違わず。
ドレスは血濡れたかの如く真紅に染まり、全身各所から突き出した鋭い突起は外殻を思わせる鎧。
躰、口、影からはブクブクと絶え間なく黒泡(バブル)が吹き出し、
ネットの異次元の中に溶けては消え、溶けては消えを繰り返していた。


「さっきまでベラベラ喋ってた奴とは思えねーな。今のテメーは」
「……」


そして、憑神(アバター)を武器化した巫器(アバター)、憑神鎌(スケィスゼロ)。
彼女のドレス同様に紅く染まった巨大な鎌は殺意の刃。
アレが恐らく、彼女の“意志がカタチを成したモノ”なのだろう。
言わば憑神のもう一つの可能性。
憑神(ツキガミ)たる憑神の、武器としての“力”の形代か。


「碑文の力が強化されんのも考えもんだな。
 ……テメー、その匂いなんとかなんねーのかよ」
「ナニ……?」


くせーんだよ、と。
ハセヲは顔の前で手を動かす動作(モーション)を見せ、挑発する。
ハセヲの言っていることは挑発ではあるものの、真実でもある。
カールからは死を帯びた匂いしかしなかった。
錆びた鉄と、石油と、生理中の女の秘部から流れる血を混ぜたような、特異な匂い。


「(カールの匂いが、一切しねぇからな……)」


嗅覚と味覚に特化したパイのタルヴォスと朔望のゴレ、ニ枚の碑文がハセヲに警戒信号を送っているのだ。
あの敵は、恐ろしいものであると。
冥(くら)い冥(くら)い、何処か別の次元。
異界からやってきた邪悪の権化であると、そう言っている。
カールの心の隙間に入り込み、甘い幻を見せ、その精神(こころ)を犯し続ける悪辣者。
故にハセヲは敢然と立ち向かう。
今のハセヲには、“コレしか”出来ないからだ。
このR:Xthフォームは楚良とハセヲの融合によって生まれた戦士、三崎亮そのものであることに間違いはない。
AIDAを倒す為だけに生まれ変わった光の戦士、ケルトの英雄王・光の神ルーの力を継ぐ“太陽の子”。
されど、そんな大層な肩書きがあったところで何が出来るのか――――――――――――――――――救済(ぐさい)?
なら誰を救えばいいのか。
……決まっている。
7年も前からハセヲを慕い、待っていた少女を、だ。


「論じ合おう、とか抜かしてた野郎が黙りこくってんじゃねーぞ。コラ」
「様子ヲ、見サセテモラッテイルダケサ。
 ……君ノ口(くち)ブリヲ聞イテイルト、マルデ私ヲ斃スコトナド、造作モ無イト言イタゲダナ」
「斃す? 
 ……違うな、てめーを殺すつもりだ。この世から跡形も無く、チリ1つ残さずに」
「デハ……ヤッテミタマエ!!」



















“Le cercueil de Coppelia(コッペリアの柩)”!!!



















カール(トライエッジ)の絶叫と共に。
空間をブチ抜き、宙天より顕現する巨大な柩(ひつぎ)を、ハセヲは双眸に捉えた。
武舞台は大きく揺れ動き、その鳴動は観客席にも伝わりグラグラと床を揺らす。


「こりゃまた……でけぇ柩だな」


無論、こんな技は《The World》の仕様には無い。
どう見てもイリーガルなチート技。
アリーナにて散々イカサマめいた技を見て来たプレイヤー達だったが、ここまで大規模で派手なものは初めてだろう。
旻(そら)が割れ、ドス黒く装飾された棺桶が降ってくれば、フツーは誰でも差異はあれど驚くものだ。


「何を始めよーってんだ……?」


柩から噴き出す黒煙と黒泡(バブル)はやがて群を成し、ハセヲとカールの並び立つステージを闇に包んだ。
ノワール(黒)。
ドーム状に拡散した煙と泡で、視界はめっぽう悪い。
だがソレは飽くまで観客席からの視点である。
可視。
ハセヲには全て視えていた。
クーンの憑神、“増殖”のメイガスの碑文の力―――視覚肥大により、ハセヲの視力はあらゆる次元に精通する眼を持つに到っている。
加えて、ハセヲ自身の後光(オーラ)。
AIDAという闇を祓う為に生まれ出でた太陽の子に、こんな小細工が効くはずもなく。
あっという間に闇は払拭され、ハセヲの身体から迸る金色の後光(オーラ)によって綻ばされてゆく。
光射す世界に、汝ら暗黒、住まう場所無し。


「目晦ましのつもりかよ?」
「違ウナ……」


しかしAIDAの目的は闇で視界を遮るコトではなかったらしい。
依然として巨大な棺桶、コッペリアの柩はカールの横に鎮座し、
ガタガタと生物のように、その大きな体躯を震わせている。


「殲滅セヨ!!」
「あ……?」


直後、柩の蓋が開いたかと思うと。
柩の中から、異形のモノ達が飛び出してくる。
それは、無数の黒い手だった。


「っと……懐かしいじゃねーか!」


文字通り、手が群となってハセヲに向かって飛び出してきたのだ。
黒く染まり、黒泡(バブル)と共に舞う手、手、手。
ハセヲもコレには見覚えがあった。
以前、モーリー・バロウ城砦内で三爪痕(アナザーカイト)と戦った際、アトリが必死になって開けようとしていたコインロッカー。
あのコインロッカーからも今の様に無数の黒い手が飛び出し、アトリのPC(躰)を貫き、イニスの碑文を奪ったのだった。
後からパイに聞かされたが、あのコインロッカーはAIDAが生み出した心象風景の一つだったらしい。
なるほど。
では、あの柩もコインロッカーの“親戚”のようなものか。
異界よりこちらに召喚され、ハセヲに宿る碑文の匂いに惹かれて手を伸ばして、欲し、喰らおうとしているのか。
孕んだ悪意を隠すこともなく、
魔手はハセヲの身体と碑文を犯し尽くさんと攻撃を仕掛けてくる。
Xthフォームなら、完全に捌き切ることは難しかっただろう。
この数だ、かつてのハセヲでも容易ではない。
しかし、今のハセヲなら。
楚良と完全融合したハセヲ(三崎亮)なら――――――――――――――あまりに容易(たやす)い。


「クーン――――技を借りるぜ!」





















“新緑の閃光”!!!
























ハセヲは大きく両手を眼前の敵に突き出し、叫んだ。
すると。
その後光(オーラ)は金色から緑色に変化し、収束した気が光の鏃(やじり)となってハセヲの掌から撃ち出された。
弾丸の如く放たれた緑の光条は、即座に黒き魔手の群を貫き、一転して光がステージを包み込む。
ハセヲの拳から太陽が現れたとでも言うのか。


「ナニッ……!?」
「消し飛ばしてやるぜ……柩ごとなっ!」


有言実行。
放たれた光の鏃は、黒い腕の群れの“根元”であった柩をも、呆気なく全壊に至らせる。
本家のクーンもここまで見事にメイガスの力を操れはしない。
R:Xthフォーム=真のキー・オブ・ザ・トワイライトとなることで、ハセヲは到達した。
オーヴァンですら捜すことを諦めた、究極の道……アーセル・レイへの天上の道(途)。
即ち、天の道である。
Aura(女神)と同格であって、また別種の《The Wrord》における調律者―――究極の可能性。
天の道を行き、総てを司る( Walking the road of heaven, rule everything )。
ハセヲの進化は止まらない。
ハセヲの進化は光より疾(はや)い。
しかし、ハセヲは天の道という高みを目の前にして、その道を往くことはなかった。
彼が代わりに到達したのは、人の道。
三崎亮という存在の物語の最終到達点(エンディング)は天の道に非(あら)ず。
涅槃寂静を経、智慧者となったハセヲに、もはや小細工は通用しない。
悟りとは何か、ハセヲは識っている。
これまで《The World》で出会った数多くのプレイヤー達。
共に闘い、泣き、笑い、絆を紡いで来た仲間。
生(タナトス)と死(エロス)、その軛を越えて来た者達。
碑文を持つ者も、碑文を持たない者も、等しくハセヲの仲間であり、理解者だった。
無限の時間の中で有限の刻をハセヲと共にしてくれた者達との邂逅が、真実。
司、昴、ミミル、BT、ベア、クリム、銀漢。7年前から全てが始まった。
楚良(三崎亮)がモルガナの因果律に囚われ、ソラとしてカールという少女と出会ったのも7年前だった。
彼女をPK(殺)したのもソラ。
つまりは三崎亮だという事実は覆らない。
なら、それを受け入れよう。
モルガナに操られていた時の記憶だけが楚良(ソラ)の総てではない。
みんな(司達)との記憶をも否定するのは、それこそイクナイ。
カイト達との冒険の記憶も、忘れてはならないこと。
故に、ハセヲは悟る。
“俺の記憶こそがキー・オブ・ザ・トワイライトなのだ”、と。
胎動の後に生まれ堕ちた下界はAIDAの瘴気に満ち満ちていた。
スケィス(楚良)はその人形(ヒトガタ)を捨て、ハセヲとの癒着に臨み、やがて復活の融合(フュージョン)は完遂する。
誰のシナリオにもなかった、新たな物語のプロローグの始まり。
エマ・ウィーラントも、ハロルド・ヒューイックも、渡会一詩も、水原遥も、番匠屋淳も、天城丈太郎も……
誰も予期していなかった黄昏の碑文という史上最低最悪のネット叙事詩の《続編》の執筆は、今、始まったのだ。
生身の躰は邪魔なんかじゃない。
資質(センス)と知覚(センス)は境界を越える為に必要なものだった。
ハセヲはAura(女神)ではない。
G.U.、偏在を守護するもの(Guardian Ubiquitous)などという大いなる存在に、なるつもりなど毛頭ない。
なら何になればいい? 
強いて言うなら―――G.U.、宇宙の守護者(Guardian of the Universe)とでもしようか。
理由は特にない。
その方が正義の味方っぽくて、“カックイ〜”から。
それだけだ。


「次は……テメーの本体にブチ込んでやろうか?」
「バ、馬鹿ナッ!?」
「勝てねーぜ……テメーは!」


魔手の群ごとコッペリアの柩をも貫き、破壊したハセヲの攻撃。
佇立して間近で、その爆発を見ていたAIDAに戦慄が走る。
それまでの余裕の笑みは消え、明らかな動揺がカールの声を通し、その唇から発せられたのが証。
心なしか憑神鎌(スケィス)を握る両の腕も震えているようだった。
これは恐怖か、それともただの武者震いか。
どちらにせよ、AIDAが自信満々で放った技が呆気無くハセヲに破られたという事実に変わりはない。
ようやくトライエッジも今のこの状況が、自分にとって最悪の流れになっていることに気づいたとしても、もう遅いのだ。
本気になったR:Xthフォーム―――ハセヲは、カールを救済することだけを目的として戦っている。
現象として存在していたはずのAIDA、
それが今、一個のトライエッジとして、未曾有の、数多の理解し得ぬ感情の波に襲われかけていた。
死の恐怖……それを人間に与えるのがトライエッジの役目。
しかし今、それを与えられているのはトライエッジ自身という矛盾。
“ネットに長く居過ぎた”のかもしれない。
人間観察を続けた結果、AIDA自身も気づかないうちにヒトの感情という電気信号を理解し過ぎたのだ。
だから、本来ならば有り得なぬ、感情を沸々と湧き立たせるという失態を犯した。
いや、これはまさかとは思うが、カール……仁村潤香の影響かもしれない。
彼女との共生共存によって摂取した悪意や憎悪の感情が、
思わぬ副産物を生み出した結果だとしたら……これ以上のハセヲとの戦闘は危険!


「テメェの都合で弄ばれ、苦しみ続けたプレイヤー達の恨み……思い知りやがれっ!!!」


ひと際大きく、ハセヲの黄金の後光(オーラ)がスパークする。
怒気を孕んだ声と共にハセヲは跳躍、双銃を構え、弾丸の雨を降らせた。
弾丸は尽きることを知らない。
アトリの憑神“惑乱の蜃気楼”イニスの碑文の力で無数の弾丸の幻を作り出し、
その幻をエンデュランスの憑神“誘惑の恋人”マハの力でコーティング、“触(さわ)れる弾丸”とする。
マハの碑文の能力は触覚肥大、他の憑神の固有能力に比べると幾分使い勝手が悪い様に思えるが、“こういう使い方”もあるのだ。
そうして、非現実でありながら現実のものとなった弾丸は、
巧みな誘導を経て、全てがカールの左肩に寄生したトライエッジに集中的に着弾する。


「ギィッ!?」
「全弾命中……しただろ?」


誘導には八咫の憑神・フィドヘルの第六感(シックスセンス)が一役買っている。
カール(トライエッジ)の動きを何百パターンと予測し、ベストなポジションまで誘導、一斉に弾丸をぶつけるというプランだ。
効果はどうか? 
どうやらハセヲの思った以上に効いているようだ。
絶え間なく再生を繰り返し、常にHPが満タン状態だったカールのHPが……減っている!
AIDA(異邦神)といっても、無敵キャラではないことが証明された瞬間だった。


「痛ェか? 
 今のはアイナの恨み……次は志乃の恨みだ。
 ……さっきより万倍痛ェから覚悟しとけ」
「コ、コンナ……コンナコトガッ!? 
 ふぉもーるノ神々ニヨリ創造サレタ、コノ私ガ……コ、コンナ小僧ニッ……!!」


ゴポッ。
カールの口から黒泡(バブル)が零れる。
グラリと、その身体を揺らして。


「マ、マサカ、ココマデ急激ナぱわーあっぷヲ……!?
 ……君ハ、本当ニ、はせをナノカッ!?」


トライエッジの疑問も至極当然。
あまりにも。
つい今しがた、B-stフォームと化したカール相手に苦戦していた少年とはかけ離れた、神懸かり的な強さ。
それはトライエッジにとっては予想外であり、ハセヲにとっては本来あるべき姿だった。


「言っただろうが……俺は太陽の子。
 これが、光の王子ルーとして再誕を遂げた、俺の本当の姿……R:Xthフォーム!!!」
「R:Xthふぉーむ……ダト……!?
 ニ、人間風情ガ、元型(かみ)ノ領域ニ……高ミノ存在ニマデ、達シタト言ウノカッ……!!」
「だから何だ? また長ったらしい解釈垂れてくれんのかよ」
「クッ!」
「ゴチャゴチャと難しい文句を羅列すりゃ、良いってもんじゃねーだろうが。
 だから宗教って嫌なんだ……そーいうのはチラシの裏にでも書いやがれ……好きなだけな!」


直後、トライエッジの視界からハセヲの姿がかき消える。
彼が居ないと気付くのに0.1秒かかるかかからないかのギリギリだっただろうか。
兎に角、消えていた。


「ド、何処ニッ……!?」
「後ろだ」
「!?」
「ウスノロが」
「! ヤッ、ヤメ――――――――――――――――――――――――――――――――

















ザクッ!!!

















AIDA(トライエッジ)は恐怖する。
光の剣を握り締めたハセヲがカールの左肩から“自身”を斬り落とした瞬間――――――――――――――――――――――
AIDA(トライエッジ)は、生まれて初めての恐怖を体感した。
躰から黒泡(バブル)を撒き散らしながら。
耳を劈く声に成らない絶叫と共に、彼女(カール)との接続(リンク)が途切れるのを、ただただ感じるしか他に術はなかった。                   【 TO BE CONTINUED... 】

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