「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

「よぅ。何してんだ、こんなトコで」
「……別に」
「さっきの試合、何があった?」
「……俺にも分かんねぇ」


試合が終わってカールに「決勝まで来い」と宣言をされた後
誰とも言葉を交わさずに別れた俺は、1人でグリーマ・レーヴ大聖堂に佇んでいた。
何つーか……考え事する時はいつもココでしてる気がする。
志乃がオーヴァンにPKされたり三爪痕にデータドレインされたりとロクな思い出ねぇのにな。
……それなのに何でコイツも、クーンも一緒に居んのか。


「クーンが大聖堂まで来るなんて、珍しいじゃねーか」
「あはは。ぶっちゃけるとな、お前を尾けてきたんだ」
「ストーキングか」
「失敬な。俺なりにハセヲが気になったからさ」


相変わらずお節介好きな奴め。
カナードを設立したのも他のPCをヘルプするため、って聞いたけど
コイツは初心者とか上級者お構いなしに他人の世話焼くのが好きなんだろう。
……だからシラバスやガスパーからも好かれてるんだろうけど。


「あの試合、憑神を使ってるわけでもないのに明らかにお前はおかしかった……
 大いなる力には大いなる責任が伴う……じゃなかったのか?」
「……俺だってそう思ってた。
 けど、アイツはそんなんじゃない……自力で抑えるなんて、できっこねぇ……!」
「アイツ?」
「……俺だ。
 もう1人の俺が、このPCを、ハセヲを動かしてた」
「え、えーっと? 
 話がよく見えてこないんだが……できれば俺にも分かるように最初から説明してくれないか。
 ハセヲの分かってる範囲で構わないからさ」


説明……どこまで理解してもらえるか分かんねぇけど、1人で抱え込むよりはマシか。
さぁて。どう説明したもんか……。
























――――ってワケなんだが」
「試合中に、もう1人のお前がねぇ……。かと言って憑神じゃないともなると……うーん」
「(相談する相手間違ったかな……こーいうのはパイか八咫が適任だろーし……)」
「でもそうでもなきゃ、お前が“ちゅばっ”やら“ばみゅん!”なんて言うはずないし^^;」
「言うな。思い出したくもねぇ」


よりによって1000万人近い人間が見てる時にあんな……最悪過ぎだ。
勝ったからいいものの、どう考えても試合中にあんな奇声あげるのは恥ずい。
新手のロールと勘違いされるのを願うっきゃねぇな……
あぁでも、ニコ動とかようつべとかツイッターにもうアップされてんだろうな、さっきの試合の動画……クソ、欅にでも頼んで片っ端から削除してもらうか?


「で? ハセヲはどうしたいんだ、もう1人の自分を」
「どうって……人の身体を乗っ取る様なな奴、許せるワケねーだろ!」
「確かにな。でもお前の話を聞く限り、そいつはお前を助けるために戦ったんだろ?
 褒められるような戦い方じゃなかった、けど……何か熱いモノも感じたんだよなぁ俺は」
「……他人事だと思いやがって!」
「でもな、俺はお前が二重人格だろうが三重人格だろうが一向に構わない。
 “24人のビリー・ミリガン”って知ってるか? さすがに24も人格あったら手に負えないけどなw」
「……俺は、どうすりゃいい?」
「もう1人のお前……楚良だっけか? 認めてやればいいじゃないか、楚良を」
「ざけんな、俺は俺だ! 楚良なんかじゃねぇ!」


他人事だと思って気楽に言ってくれんぜ……!
冗談じゃねぇ、得体の知れない野郎の存在を俺の一部として受け入れろってか?
望みたいに朔を自分の実在の姉ちゃんとして認知してるようならまだいい、けど俺の場合は違う……あんな奴、認められるかよ!


「誰でも他人を受け入れるのは怖いんもんだ」
「……クーンもか?」
「当然さ。前にメールで高校の頃に付き合ってた頃の彼女の話、したコトあるだろ?
 俺はその頃からこのゲームやってて、女性プレイヤーの相談とか仲介もやっててさ。
 けどやっぱゲームとリアルじゃ全然違うんだよなぁ〜。
『どう言えば付き合ってくれるのかな』とか『どんなコトやれば喜んでくれるのかな』とか
 色々悩みまくったんだぞ、これでも」
「OK貰った後に意識不明になって、散々心配かけたんだよな」
「ま、まぁな……」


7年前の事件で意識不明になって未帰還者になった奴の1人、それがクーン。
クーンが当時付き合ってた彼女ってのは「手を握ったらぽっきり折れてしまいそうな」感じの子だったらしいけど
根性あるじゃねぇか……その子も、俺が志乃を助けようとしたみたいに……クーンを助けようと頑張ったんだろうか。


「世の中、結局は相手を受け入れるか受け入れないかで変わってくるのさ。
 何でもいい。宗教でも思想でも概念でも、とにかく何でも。
 結局、相手の人格や考え方を否定する奴は怖いんだよ。
 だから民族紛争とか宗教戦争が起きる。
 個人的な諍いでも夫婦喧嘩とかも理屈は同じ。
 今まで自分が積み上げてきたものをソイツの考えに染められるのが怖くて、或いは自分と噛み合わないのが許せなくて、な」
「俺達がAIDAを否定したみたいにか?」
「今回の俺達はアウラ側に就いた。
 けど、オーヴァンや榊みたいにAIDA側に就いた奴だって居ただろ?
 理由はどうあれ、曲げられない信念がある以上は……分かるだろ、ハセヲ?」
「……あぁ。前の俺がそうだった」


志乃を助けようとして、がむしゃらに過ぎて行った八ヶ月間。
志乃のためなら何度でも修羅になると決めたあの日……。
PKKなんてアンモラルな行為を平然とできるようになって、自分の邪魔をする奴は
誰であろうと捻じ伏せていた頃の俺……死の恐怖なんて呼ばれてた頃の俺が丁度当てはまる。
オーヴァンに志乃が惹かれてたことは分かってた、でもそれでも俺に振り向いて欲しかったから……
俺は、アイツを越えたかったんだ……。


「認めたくないから、距離を置こうとする?」
「お前に好きな子が居るとする。でもその子はお前じゃない別の男が好き。
 お前、その別の男と仲良くしたいと思うか? 俺は思わない! あ、その子の情報聞き出すなら話は別だけどな」
「……」
「自分が知らないその子の一面とかソイツが知ってたりするとさ、悔しいとかムカツクって思うだろ?
 だから事前にそーいう思いをしないように、人は距離を置くんだ。
 別に恋愛だけじゃない、友人関係、家族関係、何でもアリさ。
《The World》みたいに1200万人もプレイしてるようなゲームじゃ人間関係なんて複雑化の一途だしな」
「お前の恋愛観はいいから結論言えよ」
「……逃げてちゃ何も始まらないぞ」


別に俺は逃げてるワケじゃ……。
でも、消してしまいたいと思えば思うほど過去の嘘も過ちも鮮やかに映る。
それは俺の過去の嘘と過ち。そして、俺じゃない誰かの過去の嘘と過ち。


「俺は逃げてなんか……!」
「楚良を否定してる時点で逃げてるよ、ハセヲは」
「……」
「迷いながら、悩みながら、悔やみながら決めればいいさ。
 決勝までまだ時間はある。今までだってそうして来たんだろう?」
「分かんねぇ。分かんねぇよ……アイツが何なのか、俺にはサッパリ分かんねぇ!」


俺の身体を、数十秒間とは言え乗っ取った奴だぞ?
AIDAの感染すら跳ね除けた俺の心に簡単に入って、好き勝手に動かした奴なんだぞ?
確かにアイツがいなきゃ俺達は負けてた。
なつめとぴろし3だってカオちん達にもっと暴言を吐かれてたかもしれない。
アイツは、楚良はそれを怒っていた。
無邪気さと残酷さが同居してる様な奴、しかもとびきりに強くて……そんな猛獣みたいな奴が、俺の中に居る。


「人生は戦いだ、ハセヲ。
 俺だって本当ならCC社に入社してバリバリ働いてたかもしれないが
 現状はゲーセンの店長候補だしな……世の中、上手くいくコトなんて滅多にないのが現実だぞ?」
「アニメじゃない、ホントのことさ。ってか」


クーンの言ってるコトだって一理ある。
コイツは俺よりも対人関係の立ち回りが上手い分、現実とゲームを割り切ってる。
俺は……志乃に会うまで、現実でもゲームでも……満たされてなかったから、色々と気づくのが遅かったけど。


「ハセヲ、お前の敵は誰だ? 
 敵だった奴は誰だ? オーヴァンか? 榊か? AIDAか? 三爪痕か? クビアか?」
「俺の、俺の敵は……」


今まで俺が戦ってきた者、俺がこれから戦おうとしている者。
それは、


「俺の敵は……俺自身?」
「碑文使いの反存在だったクビアも所詮は反存在、お前や俺じゃなかっただろ?
 今、お前が戦おうとしてるのは他でもない、お前自身だ。違うか? 
 ハセヲ……『自分』に挑め。人それぞれだろうけどいつかは誰もが通る道だぞ」
「でも、また試合中にアイツが出てきたら……」
「楚良を認められる様になった時……お前は、きっと自分の違う一面に気づくよ。
 他人を認めるってな、すごい勇気のいることだから……例え、その相手が敵でもさ。
 いや、お前の場合は“もう1人の自分”だから話が更に厄介なコトになってるんだけどな……^^;」



楚良を敵視しつつ、認めろってのか? 
俺の一部だと、認めろって?
あんなワケの分からねえ奴を? 
俺の身体で好き勝手しやがった奴を?


「俺は精神科医じゃないから的確なアドバイスはしてやれないけどな。
 ハセヲには、何てゆーのかな……いつものお前でいて欲しいからさ。だから逃げてほしくないんだ、お前自身から」
「クーン……」 


暗闇に手を差し伸べて、ここからはもう戻れない。
気がつけば記憶の中に、閉ざされた“俺”が見えた。硝子の檻に囚われていた、もう1人の俺が。
……俺は、肝心なものを取り戻せていなかった。
「取り戻すんだ、全てを!」とあんなに息巻いたのに取り戻せていなかった。
俺がこの世界に置き去りにしてきたモノ、忘れてしまっていたモノ、記憶のセグメント。


「……ホントお節介だなアンタも。 まぁ今のは……参考程度には、しといてやらあ」
「参考程度かw 
 まぁ、お前にはシラバスとガスパーを何度も助けてもらってるしな。
 今度は俺がお前を助ける番って思っただけさ……なんてな。
 今のはちょっとカッコつけすぎだったかなw」
「……(ったく。アンタがシラバス達に慕われる理由、何となく分かった気ぃするぜ……)」


【 TO BE CONTINUED... 】

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