「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

俺は食事中に誰かと話すことに慣れていない。
学校でもダチと購買のパンを買って一緒に食うけど、自分から会話を提供することはあまりない。
だからいつも聞き手に回る。だって、自分のこと話たって面白くも何ともないだろう?
適当に聞き流してってワケじゃねぇけど、何つーか……俺は自己表現が下手なんだよ。


「どんどん食べてくださいね。育ち盛りなんですから」
「なら千草ももっと食えって」
「あはは……た、食べてますよ?」
「そうか? 普段あんま食べてねぇから……」


ありがたいJKの手料理こと牛丼を咀嚼しつつ、俺の横に座って美味そうに牛丼を頬張る千草。
その千草へチラリと視線を送ってみる……主に千草の顔からやや下……自己主張の乏しい胸へと、だ。


「〜〜〜っ! ど、どこ見てるんですかぁっ><」
「見たって別に減るもんじゃないだろ」
「減ります、減るんですっ!」


千草……やっぱ、ちっさいな……胸。
アトリの時はそれなりだとは思ってたんだが……現実って厳しいよなぁ。
もうちょい脂肪付けた方がいいかも、だな。
パイとか揺光並になれとは言わないから、せめてもうちょいだけサイズアップを……。


「まったく、もーっ!
 ご飯を食べてる最中に人をジロジロ見るのはマナー違反ですよ!」
「俺はお前との約束、守っただけだって」
「約束って……」
「俺は、お前を見てる。……ちゃんとな」


“誰も私を見てくれない!”とか“もっと私を見てほしいんです”とか散々言ってただろーが。
だから、俺は千草を見てる。
千草との約束だから。俺の中で、絶対に破りたくない約束だから。
それを実行したまでだ。よって俺に非は無い。
うん、絶対無い。


「……それ、ずるいです」
「見てほしい、って言ったのは誰だった?」
「う〜。た、確かに私ですけど……で、でも、そういうのって、時と場合を選んでですね……!」
「2人きりなんだし、いいじゃん」
「ダメですっ! それでもダメなんです!
 エッチなのはいけないと思いますっ><」
「!?」


い、今、まほろまてぃっくのまほろさんの声がしたような……げ、幻聴か……!?


「(……と、ともかく、千草を落ち着かせねーと!)」


慌てふためく千草をなだめようと、こじんまりとした華奢な肩に手を伸ばしてみると、


「亮クン? そこは通信機ではありません。
 勝手に触られると、艦隊指揮に支障が出ます」
「!?」


い、今、艦これの大淀の声が聞こえたような……ま、またしても幻聴かっ!?


「とにかくですね。ご飯は美味しく食べなきゃダメです。食べることに集中してください」
「……わーったよ」
「分かればよいのです、マスター」
「セイバー!?」


おいおいおいおいおいっ!
どーなってんだ、まるで千草ってより声優の川澄綾子と会話してるみてーじゃねーか!!!


「はい? ……あの、亮クン大丈夫ですか?
 何だかさっきから挙動がおかしいと言うか……」
「い、いや、何か少し疲れたみたいで……ロ、ログアウトしてメールのチェックでもするかな!」
「しっかりしてくださいっ、ここは現実ですっ><」


……よし、これは年下の女とデートした反動だ。
その反動で俺は疲れてるんだ。
そうだ、そうに違いない。千草に中の人なんて居ない。当たり前じゃないか……ハハハ……。











**************************











「俺、ホントにここの家人か……?」


千草は食事の後片付け、俺は風呂沸かし。……何か違くね?
いつもシャワーで済ませてんだけどな……アイツうち来る度にいつも風呂入りたがるし。
「ハセヲさんの家のお風呂って広いんですねー」とか言って……勘弁してくれ。


「千草、風呂沸いた……って、オイ! どした!?」
「あはは……包丁を拭いてたら、滑らせて切っちゃいました……」
「マジか! ちょい見せろ」


ビビった。
台所に戻ったら千草の奴、手から血ィ流してやがんだから。
普段から俺は救急箱なんて使わねぇし、第一そんなもんがこの家にあるかどうかも怪しい。
ともかく、このまま放っておくワケにもいかねぇな。


「だ、大丈夫です……これくらい、絆創膏でも貼れば……」
「馬鹿、何言ってんだ」


切ったのは……左手の甲あたりか。
そこから血が流れて、左手首に巻いた包帯に赤い染みを作っているのが分かる。
じわじわと浸透して、血に染まる包帯。
コレは……いつも包帯巻いてるよな、コイツ。


「外すぞ」
「えっ……!?」
「こんなに血が染み付いてちゃ、もう使いモンにならねーだろ」


血に染まった包帯に手をかけると、千草はあからさまに嫌そうな顔をする。


「ダ、ダメッ! これだけはダメッ!」
「……怖いのか?」
「……」
「俺にリスカ痕を見られるのが、そんなに嫌か?」


知ってる。
日下千草の左手首には、無数のリスカ痕がある。
コイツは現実を生きるのが嫌になって自分で世界からの離脱を図った、それも何度も。
にも関わらず、何度試して死ねずに傷痕だけが残った。
答えは明白。
心の底から死にたいと思っていなかったから、死ねなかったんだ。
本当はそんな度胸もないクセに、強がって、意地張って。


「外した方がいいって」
「でも……」
「俺は、お前を否定しねぇ」
「でも、でも……恥ずかしいです……。
 亮クンに、ハセヲさんに見られたら……恥ずかしくて、死んじゃいますっ!」
「死ぬかっての。てか、死なせねぇよ」


千草の声は震えていた。
いつもの経験上、こういう時の俺は声を荒げない様に諭す様にしてる。
千草は気づいていなかったかもしれないが、俺は知っている。千草は、いつも左腕を気にしていた。
スーパーで食材を選ぶ時、レジで金を渡す時、料理をする時、食事をする時、俺と話す時、全部だ。
コイツからして見れば左手首の傷は消したくても消せない汚物みてぇなもんかもしれない。
でもな……。
俺にとっちゃ、それでもやっぱ、お前の一部なんだ、その腕は。


「千草」
「……汚いんです」
「構わねぇ」
「……見るたびにイヤになるの」
「それでもいいから」


床に落ちた千草の血がポタリと音を立てる。
俺は腕を掴んだまま直視を続けた。
こんな血に染まった包帯なんか巻く必要はない。早く包丁で切った傷を治療してやりたい。
薬がなければ買いに行けばいいし、包帯が欲しけりゃそれも買ってやる。
だから――――――――――――。


「こんなコトくらいで、お前が泣く必要は無いんだ」


【 TO BE CONTINUED... 】

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