「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

『臆病者は死ぬまで何度も死ぬ。だが勇者はただ一度の他、死の味を知らない』                                【シェイクスピア原作 『ジュリアス・シーザー』より】



「君がこの世界に望むものって……何?」
「……どういうことだ」
「どんなにレベルを上げても……どんなにレアなアイテムや武器を手に入れても……
 これがゲームである以上いつかは飽きるかもしれないし、サービス事態が停止してしまうかもしれない。
 なのに、これ程までに君がこの世界(ゲーム)に固執する理由は……何?」


互いにいつ攻撃を受けてもおかしくないギリギリのラインで。
静かに間合いを取りながらカイトは天狼に問う。
少年時代、仲間達と共に世界を駆けたあの頃。
もう自分にはあの頃の様な情熱はない。
他の仲間達も次々と引退してそれぞれの道を歩んでいる。
中には7年前からずっとプレイを続けている者も数名いるが……
カイトは勇者としてとか、そんなコトよりも前に、1人のプレイヤーとして碧聖宮まで登りつめた男に問いたかったのだ。
この世界に何を望むのかを。
かつて女神から腕輪を託された者として、今の世界(The World R:2)の住人に問いたいのだ。


「……勇者らしからぬ言葉だな」
「みんなは僕をそう呼ぶけど……そんな称号は何の価値もない。
 勇者ってのはさ、世界が大変な時だけ必要な存在であって……世界が平和だと、居てもしょうがないんだよ」
「しかし、貴様を目標にして高みを目指すプレイヤーが居るのも事実だろう?
 まさか勇者としての重圧に耐え切れない、などと言うつもりじゃないだろうな」
「そこまで腐ってないさ。 
 でもね、時々思うんだ……もうこの世界に僕は……いや、ドットハッカーズは必要ないんじゃないか、って。
 そろそろバトンを渡す時が来たんじゃないか、って……ね」
「フン……。
 そのバトンとやらを渡す相手は、俺ではないのだろう?」


かつて紅衣の騎士団に属していた重槍使いの言葉。


『俺達は、次の誰かにバトンを渡すことができればそれでいい』


その言葉の通り7年前、バトンはカイト達に渡された。
そして今(2017年)、新たにバトンを託せるだけの人物をカイトは探している。
いや……もう見つけていた。
自分よりも、この世界に必要で、この世界に愛された少年を。


「渡したければ誰にでも好きに渡すがいい、俺にはどうでもいいことだ。
 だがその前に、今は俺との試合に集中してもらおうか……こんな機会は二度とはない」
「……そう」
「それと先程の問いだが……特に理由はありはせん。
 強いて言うなら、ここに来れば強い奴らが居る……そんなところだ」
「……いいね、それ。
 久々に……もっと燃えてきた」



カイトの周囲に狐火の如くボウッと浮かぶ無数の蒼炎。
防御のために出したのではない、抑えきれない程のカイトの闘気が蒼炎となって溢れているのだ。
勇者としてではなくプレイヤーのカイトとして問うた結果、天狼は良い答えを出してくれた。
その彼に敬意を払い、押さえていた力が徐々に解放され始めている。
彼が《The World R:2》にログインしたのは昨夜が初めて……これから、これからだったのだ。
勇者(彼)が強くなるのは―――――――――――
















蒼炎舞!





















狐火達がクルクルと高速で回転を始め、闘気に変換されて燃え上がる。
これは炎の精霊神ウルカヌスの加護持つ者への祝福の炎。
炎の精霊神だけではない。
水の精霊神メロー、木の精霊神クラケ、土の精霊神ヤースキン、雷の精霊神ランセオル、闇の精霊神ライネック、明星の女神アヌ、
そして光の女神アウローラ(アウラ)。
八人の精霊神がカイトに無限の力を与えてくれる。
彼が勇者サヤの影持つ者であり続ける限り。
世界が彼を必要とする限り。


「さぁ。始めようか」
「……ああ」
















**************
















「初心者狩りは最も恥ずべき行為の一つだぞ。覚えておくといい」
「うるせぇっ! 
 PKがCC社公認になった以上、何しようが俺の勝手だろうがッ!!!
 初心者ビビらせて愉しんで狩って、何が悪いってんだ、あぁっ!?」
「……それが貴様の恐怖か? 脆いな」
「なッ……かはっ!?」


何が起きたのか、サッパリ分からなかった。
以前からネットゲームに興味があり、
日本の商社に赴任が決まったついでに暇つぶしも兼ね、
1200万人がプレイするという話題の《The World R:2》に登録、キャラエディットも完了し
いざログイン、ルートタウン【マク・アヌ】をブラついていると
親切なプレイヤーから一緒に冒険に誘われ、共にカオスゲートをくぐると―――――――――彼は豹変し、自分に剣を突きつけてきた。
抵抗しようにも回復アイテムも所持していなければ、レベルも1のまま。
現実ではテコンドーの有段者である民も、この時ばかりはPK(プレイヤーキラー)と呼ばれる行為に恐怖する。
だが……。
いつまで経ってもPKの剣が民に―――――――彼の操作する天狼に届くことはなかった。
ゆっくりと目蓋を開けてみると、今にも振り下ろさんとされていたPKの剣を、
2本の指だけで摘み取って不適に哂う女が立っているではないか。
出で立ちからして天狼と同じ拳術士(グラップラー)にして獣人。
そして何よりも―――――恐ろしく強い!


「フン、PKと言えどあの程度か。おい、大丈夫だったか?」
「……」
「以前はあんな不貞の輩は居なかったんだがな。
 去年からシステムが変更になって、PKがCC社公認になった影響で……最近はあんな奴らが増えているのさ」
「……」


女の一撃で戦闘不能となったPK……見事とと他言いようがなかった。
民もテコンドー以外に様々な格闘技に精通しているが、あれほど美しい流れの拳を見るのは初めての体験。
武道家としての本能が、
女への恐怖よりも好奇心を押し上げてゆくのが自分でも判る……!


「最近は私のようにヘルプする者も少ない……PKからの報復を恐れてね」
「……なぜ、おれを、たすけた?」
「おっと、やっと喋ってくれたか。
 その片言の日本語からすると、あんた外国の人かな?」
「かんこく、じんだ。おれは……てんろう、という……」
「てんろう……天狼か。
 良い名だな。私は凰花、人狼族(ワーウルフ)だ。よろしく!」















すぐさまルートタウンに引き返し、天狼はひとまず安堵する。
ログイン早々にPKに遭遇するとは運が悪い……やはり日本人は嫌いだ。
沈むことのない夕日を抱く黄昏の街中で、天狼ともう1人……凰花と名乗る女は、橋に佇む。
最初は凰花が天狼に合わせて橋に辿り着いたカタチだったが、
やがて天狼の方から口を開き――――――――問うた。


「もういちど、きかせてくれ。なぜ、おれを、たすけた?」
「ふむ……そうだな。
 私自身がPKという行為を嫌っていることもあるが……
 何より、お前が私と同じ獣人で、なおかつ拳術士だったせいだろう」
「それ、だけのりゆうで、たすけたのか?」
「初心者が嬲り者にされる、というのも気分のいいものじゃない。
 たまたまタウンに戻ろうと思ってポートに向っていたら、お前がPKに襲われていた。
 ……だから助けた、それだけさ」


なるほど、一理ある。
天狼は完全な獣人タイプで“狼”と名乗っているが、実際にはアフガンハウンドをモデルに作成されたPCだ。
一方の凰花は半獣人と言った風体で、頭部にケモノ耳、
足部に3本づつ爪があると言うこと以外は、人族の女性にほぼ近い外観をしている。
彼女が天狼をあの場でPKからヘルプしたのは、いわば同属のよしみのようなものらしい。


「……わーうるふ、とは、なんだ? 
 おまえは、ぐらっぷらーでは、ないのか?」
「元、拳術士だ。
 前のバージョンでは拳闘士と呼ばれていた。
 人狼族(ワーウルフ)というのは高レベルの拳闘士が、ある転職アイテムでなれるレア職業のことさ」
「……きいた、ことがない」
「それはそうだ。今の《The World》には存在しない職業(クラス)だからな」
「ちーと、なのか」
「……CC社にはちょっと借りがあってな。
 去年の火災事故でも、私は“凰花”のデータを失わずに済んで今も使ってる……それだけだよ。
 このPC自体は2011年からずっと使用していて……私の分身のようなものだ。
 神拳、壊し屋の凰花と言えば、そこそこ有名だったんだぞ?」


2011年……5年も前から、彼女はこのゲームをプレイしているのか。
確かにそれだけの歳月があれば、高みに登りつめる事も……可能。
天狼の目指さんとしていた至高の強さの体現者が、まさに今、目の前に居る。
もしかしたら彼女に師事すれば、自分も彼女のようになれるのではないか?
追い求める強さを、ネットでも手に入れられるのでは……。


「おうか」
「ん、どうした」
「おれを、おまえの、でしに、してくれないか?」
「……弟子、か」


一瞬、凰花は顎に手をやって考え込むそぶりをみせるものの、すぐに顔を上げた。
顔は笑っている。
先程の戦いでPKに見せた表情とはやや異なるが、
高みを極めつくした兵(つわもの)の顔で、天狼に向けてこう言うのだ。


「それは出来ない」
「なぜ、だ……?」
「ふふ、決まっている。私も、そしてお前も、誇り高き“狼”。
 狼ならば群れず、常に孤高であれ! 
 ……狼は一匹だけで誇りを守り抜くもの、違うか?」
「……!」
「だが、苦楽を共にする“仲間”であれば話は別。
 お前さえよければ私のメンバーアドレスを教えてやろう。
 パーティに誘いたい時は誘ってくれ。
 しかし私はそのうち《The World》を離れなければならん……リアルで就活が待っているんでな。
 ……私なき後は天狼、お前が私の意志を継げ。そして満足できるだけの強さを手に入れた時、名乗るがいい。
 かつて私が呼ばれたように……《神拳》と」
「……わかった。よろしく、たのむ」
「その前にもう少しだけ日本語の勉強が必要だな。
 私が教えてやろう。以前、小さい子の家庭教師のバイトをしていたことがあってね……
 まぁその子は4歳にしてIQ180の天才だったんだが……これがまた、イロイロと大変でな(苦笑)」


天狼が碧聖宮・宮皇に君臨する、約1年前の出来事――――――――――。                                              【 TO BE CONTINUED... 】

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