IF30・比べてみよう。

:Classical名無しさん[sage]:08/09/13 18:33 ID:U7M.QI0k
「ふー、極楽極楽」
 手足を一杯に伸ばして肩までお湯につかると、温かいお湯が凝り固まった体をほぐしてくれる。一緒に浸かる面子が水着相撲のやつらだというのがどうにも締まらねえけど、たまには銭湯もいいもんだ。
 
「おい、菅。あれ播磨たちじゃねえか?」
「ん? おー本当だな」
 視線の先には三人の男。播磨に花井に東郷。ひどく暑苦しい面子だ。そしてどいつも屈強な体をしている。
 厚い胸板。割れた腹筋。丸太のような上腕筋。
 そして視線を下に降ろしていくと……。
(コブラだ! コブラがいる! 何故こんなとこにコブラが!? 砂漠化は日本にまで進行していたのか!)
 なんだか男としての強烈な敗北感。
(くそ、せっかくいい気分だったのに何で惨めな気持ちにならなきゃいけねえんだ。)
 しかしまだ慌てるような時間じゃない。自分より下を見つけて心の安定を図るべきだ。
158 :Classical名無しさん[sage]:08/09/13 18:34 ID:U7M.QI0k
「俺、播磨……さんの背中を流しに行ってくる」
「甲斐甲斐しいな」
「頑張ってくるダス」
 男の常識その1。アレの大きさは体の大きさにも関係する。
 その点、吉田山は髪の毛を抜かせば相当小さい。女子にも負ける。
 更には人間も相当小さい。ならば……。
 吉田山が湯船から上がり、局部が露になる。
(なんだと! 長さこそ俺と変わらないが、ふ、太い!)

「菅君、何を歯噛してるダス?」 
「い、いや何でもねえよ」
 ま、まだまだ慌てるような時間じゃない。
 男の常識その2。デブはアレが小さい。
 これは経験にも裏打ちされた確かな話だ。
 西本が湯船からあがるその時をじっと待つ。
「頭洗ってくるダス」
 ザパァと大きく湯を波立たせ、西本が立ち上がる。
(さあこい! 俺にお前のモノをみせてみろ。……な、なんだと)
 西本の腹の下で自己主張するそれはその巨体にふさわしいものだった。
 しかも……。
(ズルムケじゃねえか)
159 :Classical名無しさん[sage]:08/09/13 18:35 ID:U7M.QI0k


「菅はなんであんなに凹んでんだ?」
「知らんダス」
「そうか。おい、菅、早く着替えろよ。もう変えるぞ」
 菅は更衣室の長椅子に座り深くうつむいていた。
(男は顔じゃねえ、もちろんアレでもねえ。 やっぱりハートだろ、ハートだろ)
 そう自分を鼓舞するがなかなか顔を立ち直れない。
「菅君どうしたの? 大丈夫?」
 その声に反応して、少し顔を上げる。
(なんだ奈良か。こいつもいたのか)
 奈良の腰にはタオルが巻かれている。
(ああ分かっている。どうせこういう奴が一番すごいモノを持っているというオチだろ。いっそトドメをさしてくれ!)
 
 ピラ

「!? なにすんのさ菅君!」
「……奈良」
「なんだよ!」
「うまい棒おごってやる」
「え? なに、なんなの? なんでそんな優しい目してんの?」
「何本でもいいぞ」
「ちょっと! その目やめてよ! なんか心が痛いよ」
 後ろで奈良がまだ何か叫んでいるが、早く着替えないとあいつらが待っている。
 やっぱりたまには銭湯もいいもんだな。
2010年11月24日(水) 22:05:58 Modified by ID:/AHkjZedow




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