IF30・明日のナージャ

俺は書くなら単行本最終巻とZがどんなもんか様子見してから
64 :小ネタ[sage]:08/08/04 21:54 ID:ASYMyM/2
「あちーっス。あーちーいーよーぉー」
 こんにちは八雲です。
 今、暑い暑い言っているのは私の姉である塚本天満。
 扇風機の前で声を出して震わせては宇宙人みたいでしょと聞いてくるのですが、
どう返事して良いのか分かりません。そして飽きればコロコロと転がっています。
 たまに服がめくれてチラるお腹はプニプニとしていて、つんつんと人刺し指で突付きたくなる衝動が出てくる。
「姉さん、お腹が見えちゃうよ」
「いいもーん。八雲しか見てないし、構わないっしょー」
「もう……」
 私達の住む家は風通りが良く、窓を開けて扇風機でもかけていればそんなに暑くないし、
冷房を入れていなから冷えすぎは無いと思う。けど、それでも女の子なんだから
危機感というものを持っていて欲しい。夏風邪はやっかいなモノだもの。
「どうしたの八雲。難しい顔しちゃって」
 誰のためだと思ってるの……。ころんころんと転がってる姉さんは放っておいて、
私はキ○ーピー三分クッキングを見ようとテレビをつける。夕飯の献立が決まっていない奥様方の心強い味方だ。
裏が白紙のチラシにペンを用意して。さぁ姉さんを満足させるレシピいつでも来なさい!
 ――?
 すでに番組は終わり十二時前のニュースが始まっている。
姉さんに構っている間に終わってしまったのだろうか。その姉さんはというと
扇風機で宇宙人の真似をするのに飽きたのか足の指でリモコンを扱いだした。
「もうっ。横着したら駄目よ姉さん」
「こんな姿は烏丸君には見せられないーってね」
 リモコンが姉さんの指を離れ床に落ち、それをさらに足で取ろうとするとチャンネルが変わった。
姉さんの足の指が触れたのだろうか、テレビの画面にはタモリさんがマイクを持って現れたのを映していて、
日本のお昼はコレ!といえる、お茶の間でお馴染みのあの歌が流れていた。
65 :小ネタ[sage]:08/08/04 21:55 ID:ASYMyM/2
「お昼、何にしよっか。……姉さん?」
 さっきリモコンを足で扱って遊んでいた姉さんは、膝を抱えてプルプル震えている。
 風邪をひいたわけでもないし……どうしたのだろうか。このリモコンをマイク代わりにして――
姉さんにマイクを向けてみましょう。
 ねえさん? ねえさーん!
「知らなかったの、あんな大御所さん達に混じるなんて!」
「姉さん……? 明日の……ナージャ?」
「はい……はいあの、すみません」
「明日のナージャのナージャ」
「はぃ」
「はい、お願いできますでしょーか」
「はい、あっ、みなさ……もう許して。八雲、もうリモコンで遊ばないから!」
 姉さん、かなり反省しているようだ。流石にこれ以上つっこむと姉さんが再起不能になってしまう。
 と、画面の中のいいともではコーナーが始まっていて、素人モノマネ選手権が行われていた。
司会をしている慎吾君がちびっこにモノマネをしてくださいと合図をだしていた。
「はい、お願いできますでしょーか」
 駄目、慎吾君!
「もう……ゆる」
 結局、その日の姉さんは借りてきた猫のような引きつった笑顔のまま固まってしまい、
その翌日ではblogで何事も無く平静を装った人みたいな空元気をしていました
「明日の……」
「もうゆる」
「明日の天気は雨みたいだから、洗濯物は出しておいてね」
「八雲、わざとやってない!?」
「やってないやってない」
 怒った姉さんをへらへらとした態度で追い払っては、なんという弱みを握ったものだと心の中でガッツポーズした。
 姉さんを叱る時はこれで行こう。
「姉さん、明日の――」
「もう許してって言ってるでしょ!」
2010年11月24日(水) 21:58:15 Modified by ID:/AHkjZedow




スマートフォン版で見る