楚昭南

原作
本名:楚昭南(そ・しょうなん)
身分:清朝武官
武器:游龍剣
師匠:晦明禅師
登場作品:七剣下天山

 『七剣下天山』の前作『塞外奇侠伝』より登場。もとは天山派の弟子であったが、のちに清朝に帰順し同門の弟子たちに凶刃を向ける奸雄。腕は確かだが狡猾で卑怯、いかなる手を用いても勝とうとする。

 『七剣下天山』の記述によれば、初めて天山を下りた後、南疆のロプ族の英雄タンヌーの幕下となり、タンヌーの娘ハマーヤ(飛紅巾)を愛すが清に寝返り、ハマーヤが愛したヤブールを唆してタンヌーを殺した。

 『七剣下天山』登場時には呉三桂の腹心であったが、呉の命でダライラマと密約を結んだ帰り、清朝に寝返り五台山で多鐸(ドド)を救って劉郁芳・傅青主と戦い谷底に落ちるが無事帰還。今上(康煕)帝に呉三桂の叛意を告げる。
 
 その後、康煕帝の配下となり、詔勅により山西雲岡に於いて呉三桂がチベットに遣わした張天蒙等から仏舎利を奪わんとするも、凌未風等に阻止されたうえに游龍剣を奪われて逃走する。
 後、納蘭相府に侵入した易蘭珠を捉えようとして、冒浣蓮・桂仲明に邪魔され取り逃がし、翌晩、張華昭を呼び出しに来た冒浣蓮・桂仲明を禁衛軍等を率いて捉えようとするが邸外に逃げられ、追うも孟武威に邪魔されて敗走するといいところがない。
 易蘭珠が多鐸(ドド)を暗殺して天牢に入れられると、凌未風・飛紅巾が彼女を救出しに来たのを阻止するが、易蘭珠を処刑するために護送中、飛紅巾に奪取される。その後、詔勅によって回疆攻めに従軍、途中出会った卓一航の弟子辛龍子を騙して凌未風が劉郁芳に預けた游龍剣を取り戻し、更に辛龍子を毒殺しようと謀るのであった。この際、逃走した辛龍子は凌未風の碧霊丹によって救われることとなった。
 
 彼は傅青主等を狼煙台に追いつめ包囲するが、救出に来た凌未風等に攻められて敗走。この時武瓊瑤に白眉針を打たれる。

 その後、主帥の英親王アジゲに騎兵数百を預けられ、コルチンを攻めようとしたが、途中ムスターグアタで石天成等に遭遇し捉えようとするが、雪崩に遭い手勢の殆どを失う。更に偶然駆けつけた凌未風等と死闘の末、終に凌未風を捕らえて、その右親指を切断する。
 凌未風を捕らえた後、チベットを攻めていた十四貝子允禵の下に派遣され、凌未風を同道させ、亡師晦明禅師の遺した秘伝書を渡す様に迫るが拒否されて殺意を覚えるのであった。
 傅青主等が凌未風の救出に攻め込むも、敗走させ、凌未風の処刑を決断するが、ダライラマ(ツォンダワンチェン)と共に侵入した韓志邦が身代わりとなって逃げられたため、韓志邦を殺す。凌未風の逃走を知らない傅青主等が再度攻め込むと、迷宮に逃げ込んだが終に易蘭珠に追い詰められ、自刃し果てた。

 晦明禅師は遷化前に、楚昭南を「天山七剣」に数えたが、道を踏み外したため同門としての責を負う様にと凌未風へ告げていた。

 又、『七剣下天山』の最終章によれば、嘗て楊雲驄・飛紅巾・辛龍子・凌未風と共に「天山五剣」と称されたという。

映画版

通称:楚昭南(チュウ・チャオナン)
出自:高麗出身の奴隷
武器:攻撃を司る由龍剣
師匠:晦明禅師
登場作品:七剣下天山

 攻撃を司る剣を手にした彼は、何も恐れることのない自信家に見える。しかしそんな彼にも人には言えぬ暗い過去がある。それは高麗出身の奴隷であったということだ。

 彼はその屈辱の過去を捨て去るために強さを究めた。人は、何か一つに自信を持てば変わることができる。強くなった彼は、過去を忘れ、傲慢とも言えるほどの自信を持つ剣士になった。
 だが彼は天山を下り、緑珠という女奴隷を助けたことで変わっていくことになる。かつての自分と同じ野良犬の目を持つこの女を見て、彼はどうしようもない苛立ちを覚える。
――立ちあがれ、奴隷であることなぞ捨てろ、強くなれ、おれもかつてそうした!
 互いの半身を見るような二人が、一つの魂となるまで時間はかからなかった。
 
 楚昭南の腕の中で自分の誇りと強さを取り戻した緑珠は、風火連城の呪縛を断ち切る決意を固める。彼女は楚昭南に風火連城の隠し金のありかを打ち明けた。
 それさえ奪えば、あの男を滅ぼすことができる!
 あとになって思えば、無謀な賭けだった。だが、燃え上がる二人の心にはこの世界でできぬことなどないと思えた。二人は隠し金を探索に行き罠に墜ちた。

 虜囚の屈辱を受け、かつてのように手足を縛られた楚昭南は怒りに燃えた。仲間に救出された彼は双眸に炎を宿し、風火連城に迫る。助太刀を拒んだ彼はただ一人の力でもって宿敵を斃した。
 だが、戦いのあとに彼は緑珠の死を知る。自分と出会わなければ彼女はもっと長生きできただろうか。その問いが無駄であることを彼はわかっていた。奴隷のまま生きるより、己の意志を貫いて死ぬほうが尊い。おれたちは、誇りある人生を共有できた。それでいいではないか!
 そう思っていても、愛した女の遺灰を撒く彼は平静ではいられなかった。

 しかし、戦士に休息はない。彼は頼もしい仲間とともに彼は再び戦う決意を固める。さらなる敵を求め馬首をめぐらす彼の瞳に、逡巡の色は見えなかった。

2005年11月30日(水) 00:33:07 Modified by kizurizm

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Uploaded by kizurizm 2005年10月21日(金) 18:07:57



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