南京大虐殺に関する論争の解説と検証

はじめに


 ここで紹介する資料は、国会図書館に収蔵されている『揚子江沿岸占領要塞兵備整理写真帖』(中支那方面軍司令部 自昭和12年12月 至昭和13年7月、以下「写真帖」とする)という資料である。ここに掲載されている幕府山関連の航空写真をweb『南京事件資料集』へ掲載したのはおそらく2019年2月頃と思われるが、その時はまだネットでの公開はされていなかった。その後、2021年5月6日よりネット公開されるようになった。

 本『写真帖』の編纂の目的は「現在支那軍の要塞編成、施設の概要並要塞兵備整理実施要領の一部を写真として永久に保存する」(4コマ)となっている。主な内容は、南京、鎮江、江陰の各砲台について、航空写真及び主要な砲台や砲、付属施設の写真・解説である。

▼『揚子江沿岸占領要塞兵備整理写真帖』書影



 興味深いのは、南京地域の写真の中に幕府山砲台に関する写真があることだ。航空写真では、幕府山砲台のみならず付近の兵舎・住居等も写っており、南京事件研究で長年議論となっていた幕府山捕虜収容所の位置特定の参考にすることが出来る。

▼『揚子江沿岸占領要塞兵備整理写真帖』 (三)幕府山砲台附近(16・17コマ)



 本稿では、『写真帖』16・17コマに掲載されている航空写真(上掲)を、参謀本部陸地測量総局『下関』(中華民国二十二年航空撮影測量 二十三年四月製版 二十四年一月印刷)(以下、地図とする)へ重ね合わせた上で、捕虜収容所として使用された可能性のある地域をピックアップして検討したいと思う。


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