【グース氏記述】 『20世紀の戦争』朝日ソノラマP196 「アイルランド共和国軍(IRA)と呼ばれる反乱軍は軍服を着ていなかった為一般市民と区別できず、イギリス軍は男と見ればすべて銃撃した。また装甲車でビルに接近して突入、地下室に隠れていた者すべてを射殺した。 これも軍事的必要原則からゲリラ(便衣兵)については強行的とも思える手段をとっています。戦時国際法でゲリラ(便衣兵)が違法交戦者として扱われた背景には、制服を着用しないゲリラを認めると、交戦国は敵対行為従事者と一般市民の判断ができなくなり、全ての者を敵対行為従事者とみなして攻撃対象にせざる得なくなるなるからです。 当時の国際法では摘発する側に厳格な軍民分離を課したのではなく、私服での敵対行為(便衣兵)を規制しました。つまり軍民の区別をする義務は、相手側にあるのではなく、ゲリラ行為を行う側にあると言えます。便衣兵行為を行った結果として、民間人に犠牲が出た場合、当然ですが国際法上違法な手段をとされる行為を行った側に、より多くの責任が発生する事になります。 (攻撃する側も便衣兵相手なら何をやってもいいという事ではなく、一般的な人道原則や慣習法を守る必要はあります。この点を確認したマルテンス条項については次ページで解説します) |
藤田久一『国際人道法』p17 植民地戦争についても、近代国際法形成期のアメリカ独立戦争や一九世紀はじめの南米諸国のスペインからの独立闘争(一八一〇−一二年)に際しては敵対行為に対する当時の戦争法規の適用が認められた形跡はあるが、一九世紀後半以降のアフリカなどでの植民地闘争においては植民地本国は相手の法的存在さえ認めず、せいぜい内戦とみなし一般に戦争法の適用を拒否する態度を示した。 |
足立純夫『現代戦争法規論』p321 従って国際法、内乱団体が「交戦団体」として承認された場合を除いて、法律上は全く内乱国のみの事件とし、内乱国は自国の法令に従って内乱を抑圧する権利を有するものとし、僅かに内乱国に対する外国の不干渉義務を定めていた。 |