寄席

志ん生一代〈上〉 43ページより

延生が最初(サラ)?にあがって、中入り?は孝蔵のために特に小金井蘆洲が出てくれることになっていた。例のずぼらな講釈師である。芸人仲間の交際を嫌った彼は、その後寄席とも釈場?とも縁を切ったような状態で、毎月の独演会以外は宴会などの座敷にしか出なくなっていたのだ。
休憩のことも中入りというが、この休憩の前に出演する中入りは番組の前半を締めくくる大切な出番だった。下手な芸人ではつとまらない。だから真打?のうちでも格の上の者があがるが、蘆洲なら申し分がなかった。彼の看板だけでも客が一杯になる。
そして中入り(休憩)。
次は真打披露?で馬生師匠と蘆洲が口上を述べてくれる。
そのあとはくいつき?といって、普通は二つ目?くらいの落語家で済ませるが、馬生師匠が出ると言ってくれた。
それからトリ?の前はひざがわり?で、音曲や奇術のような色物の芸人があがる。これは寄席の気分を新しくしてトリを引き立てるためだから、あまり受けてもいけないし、だれさせてもいけない。
2006年01月22日(日) 20:47:51 Modified by koichiwb




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