在日コリアンFAQ(β) - 「在特会」への反論その2
Q どうして『特別永住資格』が特権なの?

A 特別永住資格は在日などの限られた外国人(特別永住者の中にはごく一部の在日台湾人が含まれますが、そのほとんどが在日韓国人・朝鮮人で占められています)にだけに認められた永住資格だからです。『特別永住資格』によって在日は無条件で日本に滞在することが認められ、なおかつその子供も韓国籍・朝鮮籍のまま何代にも渡って日本に居住することができるのです。当然、滞在期限がないため他の外国人のように滞在延長許可申請も必要ありませんし、また再入国許可も他の外国人が3年間であるのに対して、特別永住者は4年間(最大で5年間まで延長可能)と優遇されています。さらに他の外国人は日本での就業に規制がありますが、在日は国籍条項で規制されていない職種に関しては自由に就業することができます。これは明らかに他の外国人に対する差別的特権付与であり、法の下の平等に反するものといわざるを得ません。
(10分でわかる在日特権Q&A 目次 より)

特別永住の対象者は、日本の敗戦からサンフランシスコ条約の発効のときまで、引き続き日本に居住していた旧植民地(朝鮮、台湾)出身者、ということなので、韓国朝鮮人と台湾人に限られています。ちなみに、1940年の朝鮮の人口は約2300万人、台湾は572万人であり、日本までの距離を考えれば、日本国内の朝鮮人と台湾人の数に大きな差がある理由も説明がつきます。

そもそも、特別永住者は、日本の敗戦以前は日本国籍を持ち、在留資格も在留期間も就業への制限もない状態で日本国内に住んでいました。居住の実態になんの変わりもなく、国の都合で国籍が異動した人々に対して、従前よりも不利な状態を強いるのは、人道上の見地から大きな問題があります。その意味で、ここで在特会が指摘してる再入国許可の期間の特例など、他の永住者や在留資格者よりも有利な取り扱いがなされているのも、当然だと言えるでしょう。

また、外国人すべてに「滞在期限(正しくは在留期間)」があるのではなく、特別永住以外の一般永住者もまた在留期間の定めがない状態で、日本に居住しています。特別永住者のみに在留期間がないという記述は、事実として間違いです。

さらに、特別永住者だけでなく、「永住者」、「定住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」の4つの在留資格もまた、就労に制限がないため、特別永住者のみが就業に制限を受けないかのような記述も誤りです。

在留資格によって、外国人の処遇に差があることを差別というのであれば、日本の入管行政自体が差別の産物であるということになってしまいます。たとえば、他の在留資格から見れば、「永住者」、「定住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」などの資格も特権となります。また、在留資格によって外国人の処遇を区別しているのは日本だけでなく、世界中の国が差別的行政を行っているということになるのでしょうか。すべての外国人の在留資格が平面的に同等でなければならないというのは幼稚な論法であり(そもそも数多くある在留資格のうち、どの資格が平等のベースラインになるのかがまったく不明)、そのような入管行政は、現実にはそぐわないものだといえます。

あるいはもっと根本的な疑問を突きつければ、在留資格はあくまでも「資格」であって、「権利」や「特権」ではありません。したがって、「法の下の平等」という憲法14条の問題にすること自体が誤りといえます。しかも、特別永住資格が特権であるとの主張は、在特会の代表である桜井氏が常日頃主張している在日全員強制送還論と甚だしく矛盾しています。なぜなら、彼は在日全員送還が可能である根拠を、在日が有する特別永住資格が日本に在留する「権利」ではなく、あくまでも「資格」であるという点に求めてきたからです。同じ「特別永住資格」をあるときは単なる「資格」と言い(日本人から見れば資格であるという主張)、あるときは「特権」と言ってみせる(他の外国人から見れば特権であるという主張)のは、ダブルスタンダードであり、都合の良いときに都合の良い方の理屈を使っているに過ぎません。

外国人が日本に居住し、代を重ねるに従って、日本社会により定着の度を深めることを考えれば、一世よりも二世三世の在留資格が不安定になることのほうが、実態と乖離しています。特別永住ができる以前は、二世以降の在留権が不安定だったのを、特別永住で子々孫々まで安定した在留を認めたのは、理にかなった変化だといえるでしょう。

逆に、外国人が日本でどれだけ代を重ねても、帰化をしなければ日本国籍を取得できないという、敷居の高さこそ問題でしょう。