里親さん応援の為のお助け資料室 - 児童福祉法改正に伴う親権〜5
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里親は、委託された子どもに対する法的権利(親権等)は全くありませんが、損害賠償などの法的責任だけは負わされているのが現状です。
現実には、都道府県では里親の損害賠償責任保険に加入していますので、保険で補償することになります。しかし、例えば、委託された子どもが原因で火災が起きた場合は、重大な過失が無ければ、「失火ノ責任ニ関スル法律」により損害賠償を免れることが出来ますが、近隣への道義的責任感から里親が個人的に賠償した場合は、保険から補償することはできません。

親権(監護権)の付与により、「代理監督義務者」から「法定監督義務者」になっても、児童の不法行為に対する損害賠償責任は変わりないと思われます。

・今後の里親の親権の方向性

○親権を返上する

里親は私人であるため、法人の代表としての施設長の親権代行と同じ責任、義務を課するのは適切でない、という意見もあります。この場合、親権は知事(児童相談所長)が代行し、その監督指導の下に、子どもを養育することなど考えられます。

○里親の親権(監護権)に関する有権回答、通達を出してもらう

児童福祉法が改正されても、携帯の契約、預貯金通帳の作成など、日常生活の様々な問題は解決しません。このような日常生活における軽微な法律行為は、里親の監護権に含むとの、厚生労働省の有権解釈をしてもらう必要があります。現に、バスポートの取得については、外務省の通達により、里親家庭の子どもも、里親の承認で取得することが出来る様になっています。

○さらなる親権の拡大を目指す

アメリカなどでは、里親に親権を付与しています。パーマネンシー(永続的信頼関係)の観点から、養子縁組を行い、なおかつ養育費を支払っています。

日本では、養子縁組をした時点で、養育の全責任が養親に課せられ、養育費の支援や里親へのさまざまな支援も打ち切られます。非血縁の子どもを育てる大変さは、養子縁組家庭も、養育里親も変わりがないにもかかわらず、里親以上に支援がなく孤立しているのが養子縁組家庭です。

日本でも、長期養育になる子どもについては、里親に親権を付与し、準養子縁組家庭の扱いをする考え方もあります。里親に親権を付与しつつ、養育に必要な経費を支給する流れといえます。里親に完全な親権を付与する場合は、里親の資格制定やランク付けを行い、条件を満たす里親と子どもの組み合わせに限定して、親権を付与するなどの方策も考えられます。

いま、養護施設で育つ子どものうち、1割が結果として子ども時代の全てを施設で過ごし、家庭生活を知らないままに、実社会に巣立っていきます。家庭のイメージを持たずに家庭を作る。人は知らないものを作ることはできませんので、その困難さは、推して知るべしです。

「子どもの家庭で育つ権利」「子どもの親権に守られた法的行為の保証」を実現する観点から、里親の親権を考えていく必要があります。

いろいろと整理してきましたが、里親への親権の付与について、これら親権の整理と議論はされてきたのでしょうか。

里親制度に関わる様々な法的問題を、弁護士を含めた検討会で整理し、どのように法的な解決を図っていくのか。厚生労働省や関係省庁の有権解釈や通達による解決を求めるのか、法的解決がつかない場合は、どのような法改正、立法が必要なのか。いろんな事例を検討しながら考えていく必要があります。


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