11月30日放送「第2ロスジェネ?」

鈴木:こんばんは、鈴木謙介です。番組を始めたころ、大学の就職が売り手市場だなんて言われていて、「楽だった」とか「内定拘束を受けた」なんて景気のいい話も聞かれました。ところがその状況が今年に入ってから反転。内定取り消しなどが報じられ、「このままでは再び就職氷河期が訪れるのではないか」なんて言われるようになってきたんですね。という訳でですね、今日の文化系トークラジオlifeでは、この1時半から朝まで就職状況をテーマに話していこうと思っているんですけど、今年の春、既に団塊世代の大量退職で穴が開いていてそれが埋まるよっていうことで、就職が良かったのもそろそろダメになっていくんじゃないかなんて言われていたんですよね、実は今年の春くらいには。で、昨年ほど簡単に内定も出ていなかったんで、景気の問題だけが就職の状況を左右しているのかどうかっていうのもちょっと分からないんですけども、ともあれ二転三転する就職状況の中で学生たちは不安に駆られているだろうし、あるいは全体社会の格差の問題であるとか雇用の問題であるとかどうするの?っていうようなところで大きな関心を呼んでいるのも事実だと思います。という訳でですね、文化系トークラジオLife、今日はですね、「第2ロスジェネ?〜新就職氷河期の生き方」と題しまして、今どきの就職について語っていこうと思っています。メールもね、今夜はどんどん募集したいなと思っているんですけど、今夜もメールはですね、皆さんのご意見をうかがいたいと思っています。メールではですね、「今どきの就職についてあなたの体験や実感、思うこと」を募集しようと思ってます。「内定取り消されました」とかですね、「まぁマスコミが言われているほど大変じゃなかった」とか、あるいは「これから就職なんですけど先行きが不安です」とか、どんなことでも結構です。特にこれから就職とか就活を控えている高校生、大学生からのメールもお待ちしています。メールアドレスはいつもの通り、「life@tbs.co.jp」まで。皆さんの、「今どきの就職に関するあなたの体験や実感、思うこと」を募集したいと思っております。という訳でですね、今日も番組中にメールを読まれた方にはホームページを書いてくれている人気漫画家のあさのいにおさんのイラストをあしらったものか、もしくは番組ロゴ入りのlife特製バッジがプレゼントされます。バッジがほしい方、メールの方には送り先の住所と、どちらのバッジがご希望かもお忘れなくお書き添えください。メールの方もう一回、「life@tbs.co.jp」です。という訳でですね、今日は文化系トークラジオlifeが1時半から朝の4時まで生放送であかさかTBSラジオのスタジオからお届けしていきます。テーマは「第2ロスジェネ?〜新就職氷河期の生き方」ということで、一曲目に選んだのはこの曲です。最近出張とかが多くてですね、東京駅で「新幹線遅れる〜!」なんて言いながら走っている時にこの曲がipodから流れてきて、「ああ、次回のlifeにピッタリだな」ということで選びました。では聴いてください。筋肉少女帯で@「戦え!何を!?人生を!」。

曲開け

鈴木:文化系トークラジオlife、今日は赤坂TBSのスタジオから、「第2ロスジェネ?〜新就職氷河期の生き方」と題して、朝の4時まで生放送でお届けしております。今日はですね、サブパーソナリティの皆様といつもお届けしているんですけど、ゲストの先生もいらっしゃっています。という訳で今夜のゲストをご紹介しましょう。法政大学キャリアデザイン学部准教授の梅崎修さんです。こんばんは。

梅崎:こんばんは。

鈴木:梅崎さん。普通に僕は今ご紹介したんですけども、「キャリアデザイン学部准教授」と聞くとですね、まぁ今日のテーマにぴったりの感じはするんですけども、この「キャリアデザイン学部准教授」というのはどういう感じのことを教えている学部なんですか?

梅崎:なかなか説明するのは長くなりそうなんですが(笑)、基本的には学生たち、社会に出ている人たちのキャリア選択を研究しているということなんですけど、私自身は労働経済学をやっています。

鈴木:なるほど。「第2ロスジェネ?」、まぁ「?」が付いているんですけど、「新就職氷河期の生き方」と聞いて印象はどうでしょう?

梅崎:うーん。まぁ「?」が重要なんじゃないかっていうか、まぁ基本的には分からないですよね。来年、再来年のことなんで予測で語ることになるとは思うんですけども、どういう風になっていくのかとか、まぁ予測も交えて語りたいと思っています。

鈴木:はい。よろしくお願いします。ちなみに関係ないんですけど、今日スタジオがですね、なんか箸が転がってもおかしそうな若者がいっぱいいるんですけど・・・。これは一体(笑)。

梅崎:すいません、うちの三年生が七名程来ていますので。

鈴木:なるほどなるほど。もう先ほど裏ではものすごく良いリアクションを見せてくれたんで今日もね、先生が良い事言う度にきっと拍手とかしてくれるんじゃないかと思っていますんで・・・

梅崎:拍手するように(笑)。

学生:(拍手)

鈴木:酷い(笑)。拍手だ(笑)。まぁまぁよろしくお願いします。えー続きましてはR25で編集・ライターを担当されております、斎藤哲也さんです、こんばんは。

斎藤:こんばんは、よろしくお願いします。

鈴木:斎藤さん、そんな感じで学生がいっぱいいるだけでわれわれ若干圧迫されている今日のlifeですけれども。

斎藤:僕も拍手欲しいです。

学生:(拍手)

斎藤:ありがとうございます。

鈴木:ちょっと待てちょっと待て(笑)。

斎藤:まだ何にも良い事言ってないんですけど(笑)。

鈴木:ホントね、リアクション多め多めで行きましょう。というのとは関係無しにですね、今日のテーマ。まぁ「第2ロスジェネ?」って「?」を付けちゃいましたけども、まぁ付けちゃいましたというか世間では色々言われている。で、「第2ロスジェネ」ってアエラが付けた名前だと思うんですけど・・・付けたというかまぁこないだ記事で出した名前だと思うんですけど、どうですか、今日どんな感じで話していこうと思ってます?

斎藤:えっとね、僕見たら結構、第1ロスジェネのかなり悪い時に卒業したってことが今日来る時に分かりまして。

鈴木:何年ですか?卒業は。

斎藤:96年です。

鈴木:いわゆる「超氷河期」と言われだすくらいですね。

斎藤:そうですね。その時の経験を今日は踏まえて語ってみようかな、と思います。よろしくお願いします。

鈴木:よろしくお願いします。そして最後がですね、日経BP編集の柳瀬博一さんです、こんばんは。

柳瀬:こんばんは〜。

鈴木:なんでそんなにボソッと来るんですか今日は(笑)。

柳瀬:いや、夜年波で。年末も来て。疲れております。

鈴木:そうですね、気がついたら08年も11月末ということなんですけど、それとは関係なくですね、って関係ない話ばっかりですね、あの、柳瀬さんといえばこの番組では「とりあえず働け」という至言がもうなんか定着した感も。というか僕らがずっと言い続けているうちにそれがなんか合言葉になってしまった感もあるわけですが、今日「第2ロスジェネ?」、要するにまぁ若者、特に大卒の就職状況が大きく変わってきているっていうような話が中心になるんですけど、どうでしょう、長い社会人経験のある柳瀬さんとしては。

柳瀬:ええっとですね、「第2ロスジェネ」という言葉、今回の企画で不勉強ながら初めて知ったんですけど、

斎藤:それは不勉強です。

柳瀬:(笑)。

鈴木:おおっといきなり来たか?

柳瀬:あの、マスコミが作った言葉ですよね?

斎藤:そうですね。

柳瀬:で、私もマスコミの端くれにいるんですけども、ここのところの要は若者の定義づけをですね、ちょっとメディアが安易にしすぎるなっていうのは僕ずっと思ってまして、なぜそういうことになるのかっていうのは、後で私自身が実は転社ならぬ転職を実はしたという話はあとでしますけれども、そことも絡んでくるんですが、ヤバいのは若者の前に我々の業界であるっていうのが、そのまま「俺たちがヤバいならお前たちもヤバいはずだ、いやヤバくなれ」という、暗黙の悪意がですね、今メディアの中を覆っているんじゃないかというのを私は自戒を持ってですね、今日はちょっと全てのメディア人を敵に回すかもしれないですけれども、述べていきたいなと、思っております。

鈴木:なるほど、分かりました。まぁ色々とね、言葉の問題、名前の問題、そして実際の就職の問題と、あるいは今後の若者の話とか色々突っ込むところはいっぱいあるとは思うんですけど、まずメール一通後紹介させてください。ラジオネーム「静電気恐怖症」さん。

メール:現在就活中の文型私立大学3年生です。金融危機に始まる突然の不景気の波。9月に放送された「経済成長」の回で飯田泰之さんが言っていた「2010年組がギリ」というお言葉を信じつつ今日もマイナビの合同説明会に足を運んでいます。現時点で就職が決まっているのはキー局のアナウンサーという、僕らと別世界のお姫様王子様だけなので、そんなに気にはならないのですが、これが春を迎え、周りの人間が何社から内内定を貰ったとか、あの会社から内々定を貰ったなどの噂が流れてくる頃が今から不安で自己分析なんぞもやってられません。

鈴木:これ、プロデューサーの黒幕が註を付けてくれていて、その後飯田さんからメールが来まして、「9月時点の見通しよりも経済状況は深刻。ただすでに2010年度の採用計画を決めている企業が多いことと、団塊世代の大量退職があるので、氷河期の最悪期、つまり95年から96年卒、あるいは00年から01年卒ほどは悪くならないだろう、というメールをいただいていて、これはあとで別にご紹介しますけれども、9月に飯田さんが出られたときよりも見通しはちょっと悪くなってきているんじゃないかというようなメールもいただいています。そんな中で、まぁやってられませんという不安のメールいただいているんですけど、梅崎さん。学生たち、特に大学生たちはもう本当に今三年生でこれから四年生になっていく中でもうそろそろ就職セミナーとか始まる時期で、考えなきゃ考えなきゃって時期だと思うんですが、実際問題として、今年になって突然こんな話になった訳ですけれども、どうだったんですか?ぶっちゃけこの数年の就職状況は。

梅崎:2006年から景気が良くなって、それで「良かった」っていう調子はずっと続いてきたと思います。

鈴木:2006、2007・・・

梅崎:そして2008、2009ですね。特に去年は良かったですね。

鈴木:去年。

梅崎:はい。まぁ今年も多分良いと思いますけれども、まだ最終結果はまだ・・・。

鈴木:あ、今年もまだ良いんですか?

梅崎:今年も良いですね。

斎藤:実感としても?

梅崎:実感としても良いですけど、私は大学教員やってますから、実感としては去年のほうがもっと良いというか。

鈴木:そんな感じしますよね。なんか、ずっと上向いていたのが今年になってちょっと翳ってきたかな、っていう感じはちょっとありますよね。どうなんでしょう、じゃあここ2、3年はずっと良かった感じはするんですけれども、これ来年以降は割とまたガタガタガタっと落ち込んでいく感じなんですか?

梅崎:そのガタガタっていう風に・・・たぶん先行きにあんまり明るい見通しは無いじゃないですか、日本全体として。そうすると、今結局切っているというか問題になってきているのは非正規のところですよね。企業側で。

鈴木:企業側が非正規雇用を減らして、正社員の採用枠っていうのを増やしていると。

梅崎:えっと、非正規の大幅削減はニュースとかに出てきている訳じゃないですか。それから、まぁ一般の普通の新規学卒じゃない人の有効求人倍率とかも落ちてきていると。ただ、新規学卒に関してはもうちょっと遅れて響いてくると思うので、どのくらいそこに波及していくかっていう事は、まぁ来年になってみないと分からないっていうところがありますね。

鈴木:そうですね。まぁ有効求人倍率で大体見ることが多いんですけれども、学生の就職率そのものは求人倍率の上がり下がりから2,3年遅れてデータが出てくるので・・というかデータ上は更に2、3年遅れて下がりますから、実際のところかなり厳しいな、っていう風に学生が目の色を変えだすのはもうちょい数年先になるかもしれないと。どうなんでしょうね、柳瀬さん、というような感じで、先行きは明るくないんだけれども、っていうところで学生の就職状況がどうなるの、こうなるのっていうところはあるんですけども、僕は今日は二つ関心があって、ひとつは学生たちの就職の中で、ずっと言われている問題のひとつに離職率の高さっていうのがあって、就職したはいいけど、3年とかで辞められてしまうと。という状況が続いていると、まぁ第二新卒のような形で再就職活動が始まったりとか、あるいはそこからフリーターになったりとかっていう人もいる訳で、ここ数年の良さみたいなものをどのくらい見積もったらいいんだろうっていうのが良く分からないところもあるんですね。

柳瀬:いやぁ、そうですよね。

鈴木:全体の経済の景気動向っていうところがその辺りのことを左右して来るんだと思うんですけど、柳瀬さんの目から見て日本の経済状況というのは全体として、じゃあ学生がスルっと最初の就職試験、そして採用っていう門をくぐればそれでオッケー、安泰っていうことなのか、それともやっぱちょっと転職も込みで考えといた方が良いよってみたいな話なのか、その辺が僕は少し気になっているんですけど。

柳瀬:まずこの10年くらいですごく大きな言葉として「転職」っていうことのイメージが変わった部分がありますよね。僕らが入ったころっていうのは80年代後半で普通の大きな会社に入ると我々のようなマスコミ以外はほとんど転職ってなかった・・・

鈴木:一生勤める、と。

柳瀬:そんな感じですよね。すなわち転職っていうのは割とネガティブな印象だった。それが93〜94年の、要するにバブル崩壊からのいわゆる最初の就職氷河期、それをまぁアエラ辺りがロスジェネと称したわけですけれども、その辺りから転職をしないと就職が、次の仕事が確保できないっていう、雇用状況の変化があった時から、その後に来たのが、アメリカの金融体制が日本に後押ししてできた株式マーケットの広がりですよね、ベンチャーマーケットの広がり。それと同時にまぁほとんどこれは連関してきた訳ですけれども、ITマーケットの広がりということで、雇用の流動性が高いマーケットが二本出てきたわけです。すなわちベンチャーとITですね。ベンチャーとITで共通するのは、若い人がやる、つまり当たり外れが大きい。で、金融というのはもうひとつ、金融というのは実は専門性が高い割に仕事のユニットは実は似通っているんですね。だから、ゴールドマンサックスからUBSに動くっていうことができるんですけれども、例えば自動車会社ですら、それが簡単にできるかといえば、営業とかデザインといった部分はともかくとして、技術者って案外難しいんですね。その会社のユニットの造り方っていうのが違いますから。で、アメリカでも例えば3Mを始め、今でも製造業として成立している会社っていうのは離職率低いんですよね。元々が。そういった会社は今でも、それこそウォールインバケット、推奨銘柄になってたりする訳で、この辺りっていうのはちょっと勘違いをされちゃった部分があるだろうなぁっていうのはありますね。だからそこである種のそういう動きに対して「転職の勧め」的なメディア的な後押しとか一部の評論家の後押しっていうのはあって、全部を否定する訳ではないけれども、これは具体的に会社でトップを張ってきた多くのメジャーな経営者達の共通する意見は、「三年以内にすぐ離職する奴は仕事としてどこにいっても使い物にならない。うちは取りたくない。」というのをハッキリと言います。これはどういう人が言うかというと、今の割と大手のベンチャーの人たちが実は言うんです。これはみんな勘違いしているんですね。

鈴木:最も流動性が高いと言われているであろうベンチャーのところほど、離職率が高い人はちょっとパス、みたいな。

柳瀬:はい。名前は挙げられませんが、僕にそれをハッキリ言ったのは、日本で誰もが知っているITベンチャーのトップと、世界最強のITメーカーの日本のトップがそう言っています。

斎藤:でもさ、でもさ、離職率自体は高くなってますよね?特に若い人たちが三年で辞めちゃうっていうようなのは。で、それは、ひとつの意見としては、就職の市場が悪くて、そこでなかなか自分のやりたいことができないで、だからうまく会社に自分をフィットさせることができないで辞めるんだっていう話があるわけですよ。でもここ2,3年、それこそ就職状況が良くなって、じゃあ彼等はどうなんのかな?っていうのはちょっと知りたいというか。

柳瀬:そうですよね。で、どうなんでしょう。僕が聞いている限りでは梅崎さん、ここ・・・それこそ就職状況が良くなってからの学生の就職ランキングや、うちに入ってくる学生の話を聞いても、笑っちゃうくらいですね、20年前とランキングの構図が似てきていると。

鈴木:似てきている、というのはどこが上に来るんですか?

柳瀬:具体的に言うと金融機関が来たり商社が来たり。

鈴木:ただ金融機関も結構外資が増えましたよね。

柳瀬:もちろん。そこは大きく変わりましたけれども、例えば商社が上に来たりとか・・・実は商社は未曾有の業績を上げている状態というのがありまして、あまり実はクローズアップされないんですけども、僕らが就職活動をした20年前とランキングの構図が凄く・・・グルっと一回りして似ちゃってる感じですよね。あの辺りは大学の先生としてどのようにご覧になっています?

梅崎:長期の意識調査とかを見てみると、若者たちの長期勤続志望、もしくは希望は高まってきていますよね。ただその、景気が良くなって銀行とかも人取るようになったよ、っていうのは、バブルのときと違うところがあるとするならば、いわゆる「正社員」自体が多様になってきている。だから、今だと地域限定雇用とか職種限定雇用って言っていて、まぁ括りとしては正社員なんだけど、この人たちは・・・企業側の意図ですよ?企業側は終身雇用というか、60歳まで勤めてほしいと思って雇っているのかというと、たぶん違うと思うんですよね。

鈴木:割とバッファに相当するような人員として、正社員とは言っているものの、一生面倒見るわけではないですよ、っていう正社員、要は多様な正社員・・・

梅崎:多様な正社員になっているので。ただ我々が正社員と言ってしまうと、バブルの頃の大企業の正社員っていう風に思っちゃうので、そこはちょっと注意した方が良いですね。

鈴木:要は正規雇用はされたけれども、っていうその数値の問題って言うのがあって・・・。だからその離職の問題とそれから雇用率って言っても、っていう話ですよね。斎藤さんにもう一個うかがいたいのが、メールできているのがですね、えーラジオネーム「火曜サザエ」さん。

メール:大学生の就職状況が良いとか悪いとか。そんなもん大学出てない人間にとっては全く関係ない問題です。ロスジェネとかの前にこういった格差問題のほうが深刻でしょう。生まれた時代や歳じゃなくて、生まれた家庭に左右されてしまうのですから。

鈴木:っていう訳で、格差問題と就職問題っていうのを別に一緒にする必要はないと思うんですけど、ひとつその学歴の問題ですよね。あの、大学生、大学生と今日話をするので先に言っておきたいんですけど、日本の大学進学率って四大と短大合わせて・・・まぁ今学生もいるので先生として質問とか振りたい位の勢いなんですけど、日本の大学・短大の進学率って2006年にようやく5割超えた位ですよね。ちなみに韓国は89パーセントで、韓国は異常に高いんですけど。それでもフランスとかを除けば大体6〜7割っていう大学進学率っていう中で、日本の大学進学率っていうのはまだ低い。もちろんそれは専門学校が多かったからというのはあるんですけども、各種専修学校まで入れると70数パーセントとかっていう状況であると。そのときに高校生の就職と、大学生の就職と、全く仕組みが違ったじゃないですか。っていう状況のなかで、今日「氷河期云々」って話の中にちょっと高校生がどこまで出てくるのかちょっと分からないんですけど、高校生の就職っていうのはどうなんですか?

斎藤:いやー高校生はねー、本当に・・・特に地方が悲惨で、端的に就職先が無い地方っていうのはあるわけですよ。大卒だとなんだかんだ言っても、一番悪い時でも一倍をちょっと割るくらいはあると。

鈴木:0.99くらいですね。

斎藤:地方によってはそれが常態化している、一を割ることが常態化しているところが腐るほどあるので、で、それは・・・僕こないだたまたまその・・・言葉は悪いんですけど、いわゆる偏差値が低い高校のキャリア指導の先生と話をしたときに、結局そこから先に大学に行ったり専門に行ったりというときの選択に・・・何がその選択を分けるかっていうと、親の経済状況だと。端的にそれが決めるので、そこではそのバイトをしなさいと学生たちに指導をしているんだって。で、月にいくらずつ貯めておけば、卒業する時に自分のその貯めたお金で入学金くらいは払えるから、っていう位の話なので、正社員どうこうになるっていうよりは本当に生き延びるためのキャリア指導をしているというのが高校の実態ですね。

鈴木:僕も別のところで最近ちょっと聞いた話で、高校生の就職っていうのは伝統的にところてん式で、要は大学生の就職みたいに行きたいところを大学生に見つけてもらって自分でエントリーして、っていうんじゃなくて、先生がクチを見つけてきて、「じゃああんたはこの三年間見てきてよく知ってるからここなら合うでしょう」って言って、かなり人の繋がりで入れていた部分があるじゃないですか。で、そうした感じのところてん押し出し式の就職の中でクチばっかり減っていったもんだから、就職指導っていうのが難しくなっていて、結局どういうカラクリで押し出すかって言うと、派遣の雇用なんだけど正社員の雇用に付け替えるって形で「この人は就職しました」という括りにすると。それからフリーターでバイトになった奴っていうのを「進路未決定者」っていう形の扱いにして「まだ決まってないだけです」っていう風にして、フリーターになったとは絶対に言わない・・・し、言えないっていう状況があって、それはもちろん学校の先生方の苦労もあるし、そんな数字のどうこうっていうところだけを取り上げて言うわけじゃないけれども、やっぱりかつてのやり方ではなかなかうまく先生たちも雇用のクチを見つけられないし、実際問題減っているっていう状況の中で、どこに送り出していけばいいのかも分からないっていう状況がやっぱりあって、ちょっと今日の話をするときに、この地方と都心部とか都会、それから高卒と大卒、あるいは院卒まで含めての問題、それから今日ちょっとメールには無かったかもしれないけど文系と理系の問題っていうのも多分あって、その後のキャリアパスっていうのを考えると、やぱり理系のほうが文系で就職した人よりも数千万円生涯賃金が低いとかっていう話もあるわけで、ちょっとその辺の多様な学生たちの状況っていうのを前提にしながら、単に「若者」とか、「大学生の就職」っていう風に一括りにせずに、まぁ「ここはこういうことになってて」っていう風にできれば切り分けながらしゃべっていかないと「俺には関係ないよ」って人がちょっと増えちゃうんじゃないのかと思っていたので、その辺のことはちょっと意識しながら話を進めていきたいなと思っています。というわけでですね、一曲挟んでまたメールをご紹介していきながら、その「第2ロスジェネ?」の「?」の辺りをちょっと突っ込んでいきたいんですけど、曲を選んでいただいたのは梅崎さんですね。選んでいただいた曲がこの曲なんですけれども、選んだ理由と曲のコールをお願いしたいんですけど。

梅崎:はい。さっき斎藤さんが、卒業したときに96年卒業ですよね?で、私は94年卒業で、ちょっとバブルの匂いをかすかに嗅いでいるんですが、それで、嗅いでるけど全く利益というか楽しいことは無く過ごしたんですが、91年が入学で、91年が一番大卒の有効求人倍率が高かった時代で、その一年生の時に掛かっていた曲が「就職戦線異状なし」という映画の主題歌で、槙原敬之さんですね、「どんなときも」です。
2008年12月04日(木) 00:44:54 Modified by ID:T95tMSIpZw




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