2009/1/17日放送「2009年のチェ・ゲバラ」

(ゲバラ演説)

鈴木:こんばんは鈴木謙介です。文化系トークラジオlife特別編「2009年のチェ・ゲバラ」ということで、映画「チェ 28歳の革命」、そして「チェ 39歳別れの手紙」の公開に合わせて2009年の今、革命家チェ・ゲバラがどんな意味を持ちうるのか、これからの一時間考えていきたいと思います。
僕、鈴木謙介は本業は一応社会学者という仕事をしていて、TBSラジオでは毎月一回日曜の深夜に放送されている「文化系トークラジオLife」という番組でパーソナリティを務めています。ライフという番組ではサブカルチャーや社会問題、それから人生についてなど、あれやこれやと話しているんですけど、今日はゲバラの特番ということでゲストをお迎えしています。紹介させてください。北海道大学准教授の橋本努さんです。こんばんは。

橋本:こんばんは、どうぞよろしくお願いします。

鈴木:よろしくお願いします。橋本さんは世界の貧困の問題から日本の若者の問題まで幅広く著作などで切り込んでおられる方なんですけれども、この番組では去年の三月開催した公開トークイベントというのがありまして、そのタイトルが「サブカル・ニッポンの新自由主義」というタイトルだったんですけど、こちらでも対談した方です。今日は映画の紹介に加えてゲバラという存在、そして革命そのものについて橋本さんと一緒に話を広げていきたいと思っています。
今日扱う映画「チェ 28歳の革命」は先週末から公開中なんですけども、それに続く続編の「チェ 39歳別れの手紙」は今月31日から全国で公開されます。監督は「トラフィック」でアカデミー賞を受賞、そして「オーシャンズ」シリーズの大ヒットでも知られるスティーヴン・ソダーバーグ。そして主演は日本でも人気の個性派、ベニチオ・デル・トロ。「トラフィック」にも出ていましたよね。この二人のインタビューや、特別ゲストのコメントもありますので楽しみにしていただきたいなと思います。
という訳でですね、早速、実は「チェ 28歳の革命」を公開初日に有楽町の日劇でご覧になったお客さんに直接感想を聞いてきていますので、そちらからお聞きください。

観客:いやすごく面白かったです。監督も良い監督なんで、ドキュメンタリータッチで魅せながらもやっぱり随所に飽きさせないような戦闘場面の辺りの演出の巧さも見れるんで、トータル的にすごく楽しめる・・・・っていうか続きが早く観たいな、っていう映画ですね。

観客:良かったと思うよ。かなりそこら辺が忠実に再現されている、って感じはしました。

観客:23歳です。私の好きなタイプの映画では無かったです。基本的にずっと同じテンポで続いてたので・・・。

観客:いや、あの非常に面白かったです。(自分と)同じ世代くらいの時にこれだけの大きいことをしたっていうのがすごくビックリするというかですね、信じられないんですけど。今は25歳です。

観客:戦闘シーンもまた見応えありましたし、議会の話の流れもよく分かったので、本当に勉強したいなと思う映画でした。

観客:ちょっと難しかった・・・。リアルだけどね。アクション映画に慣れていた僕にはちょっと・・・。

観客:もっと勉強してから観れば良かったなぁと思いました。これから色々考えるきっかけにはすごくなったと思います。

鈴木:はい、ということで、初回を観たお客さんたちの感想を聞いていただきました。もう初回に来ていらっしゃるお客さんということで、相当期待して来ている方々だと思うんですけど、「面白かった」という人がいる一方で「単調だった」とか「よく分からなかった」とかという意見があって、答えていただいた方は20代から40代、あるいはそれ以上の方まで結構幅広く答えてもらったんですけど、まぁ色んな意見が出てきたんですけど。橋本さん、ご覧になっての感想をちょっとうかがいたいんですけど。

橋本:最初「グランマ号」というヨットに乗ってキューバに向かうところから始まるんですよね。そのシーンからもう息を呑んで観てましたね。で、この続編というのがこれから公開される映画としてありまして、それは「39歳別れの手紙」ということなんですけども、そちらは最後、ボリビア戦でチェ・ゲバラが死ぬところまで描いているんですが、最後ですよね、39歳で死ぬというシーンというのが非常に迫るものがありました。

鈴木:そうですよね、実際映画の中では、今公開中の「チェ 28歳の革命」っていうのはいわゆるキューバ革命というね、一番彼の有名なところを描いている一方で、まぁちょっと感想にもあったんですけども、アクションと言うか戦闘シーンなんかも、ちょっと派手さがあるという訳ではない分、すごくリアルに銃声とか、人が倒れていく様っていうのが見れて、ある種リアルな革命の、あるいはゲリラ戦の姿っていうのが見えたっていう感じが僕はしましたけれども。一方確かに予備知識が無いとついていけない部分があるっていうのはね、なかなか確かにそうだと思うんですよ。という訳で「ちょっと勉強してから観れば良かった」というお客さんもいたみたいなので、その辺りのことを少しずつ話をしながら番組を進めて行きたいと思っています。
で、ですね、まず簡単に解説をしておくと、現在公開中の「チェ 28歳の革命」は、1959年にキューバ革命っていうのが起こるんですけども、このキューバ革命でのゲバラの戦いが描かれていて、そして、パート2に当たります「チェ 39歳別れの手紙」では、1966年に南米のボリビアという国で武装闘争に敗れて銃殺されるまでが描かれている映画なんですね。で、作家の村上龍さんは、この映画に描かれたチェ・ゲバラについて、「人類の希望そのものだ。私はその姿を決して忘れることはないだろう」と。そして、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは、「ゲバラのいない時代は不幸だが、ゲバラを必要とする現代はもっと不幸な時代だ」とコメントしています。またですね、アメリカのオバマ次期大統領のヒューストンの選挙事務所にはなんとゲバラの旗が飾られていたと言う話もあって、それからアルゼンチンの英雄マラドーナは右肩にゲバラのタトゥーを入れていますし、それとアメリカのバンドでもう解散しましたけどRage Against The Machineっていうバンドなんかはライヴ中必ず後ろにゲバラの旗を掲げることでも有名でしたよね。意外なところではですね、橋本さん。なんと国民新党の亀井静さんがゲバラの大ファンで、事務所に肖像が飾られているそうなんですよ。まぁまぁ世界的に根強い人気のゲバラなんですけど、まぁ僕もそうなんですけど、若い人たちにとっては「Tシャツのモチーフ」というか、実は 僕も今日ゲバラ帽子というのを被ってきていてですね、まぁそういうファッションと言うかサブカルチャー的なイメージしかないかもしれません。
という訳でですね、このチェ・ゲバラという革命家が一体どういう人物だったのか、橋本先生の方から簡単に説明していただきたいんですけど。

橋本:チェ・ゲバラっていうのは反抗的な人間のシンボルですよね。憧れみたいなところもあります。1928年にアルゼンチンで生まれていますから、もし今生きていれば80歳くらいになっているっていうことですよね。で、アルゼンチンの大学では医学部を卒業しています。23歳の時にオートバイで南米を縦断する旅に出て、約一年間、貧困や差別に苦しむ人々に出会って、大きな影響を受けているんですね。それでその時に、自分は革命家になりたいという野心を抱く訳です。で、この旅の様子っていうのは数年前に公開された映画で「モーターサイクルダイアリーズ」っていうのがありましたけれども、これでご覧になった方も多いかもしれませんね。で、その後にグアテマラという国に移りまして、メキシコに行く。そこで歴史的に決定的なな出会いをするんですね。これはキューバの革命家のフィデル・カストロ。このフィデルと一緒に1956年にですね、82人の同志と共にですね、グランマ号というヨットに乗ってキューバに上陸します。

鈴木:ちょうどこの映画のオープニングのところですね。

橋本:そうですよね。その中で一人だけアルゼンチン出身のゲバラが乗り込んでいて、あとの81人はみんなキューバ人なんですけど、それでキューバに上陸する訳なんですが、すぐもう政府軍にやられてしまうんですよね。

鈴木:それはなんで?

橋本:これはもう、カストロが「自分たちがこれから行くぞ」と宣言して行く訳です。

鈴木:あ。もうわざわざ「キューバに帰るぞ」と。

橋本:そう言ってるんですよね。それで実際に数日後にですね、82人いたゲリラ兵が12人まで減ってしまうと。12人ですからねぇ。もうこれは負けたって事を本当は自覚しなければならないところをですね、カストロはもう非常に楽観的で、「これで自分たちは勝てるぞ」と言うんですね。でもって、それで当時の政府軍に対して、・・・政府軍は四万人くらいいるんですけど、これに対抗していく。

鈴木:12人vs四万人って・・・一体どうやって勝ったんですか?

橋本:これはもう歴史上の奇跡ですよね。これは映画の中でも描かれているんですけど、最初は農民の基盤を作っていくんですね。絶対に農民のものを奪わないと。何か農作物をもらう時は・・・もしそこに誰もいないときにはですね、お金を置いていくんですよ。政府の正規軍はそれをやらないんですね。全部略奪する。農民に対しても酷い事をするんですね。ところがゲリラ兵達はそういった事はしない。農民たちを尊敬する。それによって支持基盤を拡大していくんですよね。最終的には勢力を拡大して、ハバナを制圧します。これが1959年の1月1日ですからちょうど今から50年前ですよね。これがキューバ革命。で、実際その後ゲバラは革命政府の要職に就く訳ですけども、その後色々キューバのために尽くします。ところがソ連に対して色んな批判をしてしまった結果としてですね、もうキューバにいられなくなってしまうんですね。で、コンゴに行くんですね。これはアフリカの中部にある国ですが、コンゴでもう一度
ゲリラとして戦う。しかしこれは失敗して、この戦いは失敗だったと言って、もう一度キューバに戻って。で、最後になるのがそのボリビア戦。ボリビアっていうのは南米のちょうど真ん中ら辺にある国ですよね。

鈴木:結構大きい国ですよね、面積が。

橋本:大きいですね。で。そこで最期約一年間の戦いをして、最後は銃殺されるという結果になるんですけど。

鈴木:その銃殺されるまでの人生というのが今公開中の「28歳の革命」の後に今月末に公開される「チェ 39歳別れの手紙」っていうパート2の映画の実はストーリーになっているんですよね。

橋本:そうですね。ジョン・レノン曰くですね、「世界で一番カッコイイ男はチェ・ゲバラだ」と。それから当時哲学者のサルトルもですね、「20世紀で最も完璧な人間だ」と絶賛した男がチェ・ゲバラなんですね。

鈴木:ほー、なるほど。ま、共産主義革命をキューバで成し遂げたっていうことで有名なゲバラなんですけど、そんなゲバラなんですがこの映画で印象的だったんですけれども、僕はやっぱりパッと見て・・・まぁ、「思ったより」っていう感想もあった事からも分かるんですけど、必ずしもこうヒーロー的というか、「八面六臂の大活躍をして12人の仲間でキューバ政府を倒したんだ」、というようなそういう感じではないんですよね。だから、このゲバラの活動っていうのをこういう撮り方をして、あるいはこういう映画になったのはどういう事だったんだろうっていう事でですね、実はゲバラを演じた主演のベニチオ・デル・トロに直接インタビューをすることができまして。そのインタビューの模様をお聞きいただきたいと思います。

デル・トロ:私はゲバラのことを知るために七年間リサーチし、たくさんの人に会いました。彼の人生の様々な場面に立ち会った人たち、彼の弟や子供の時の知り合い、古い友人達、そしてキューバ革命の同志やボリビアのゲリラ戦を生き抜いた人。皆、チェのことを深く愛していて、今でも彼に対して強い尊敬の念を持っていました。そんな彼らが口を揃えて私に強調したのは、「チェは超人、スーパーマンでは無かった。一人の生身の人間なんだ」という事です。今回の映画で私はその事を強く意識しながらゲバラを演じました。ただ、チェが私たちと違うのは、自分の信じるものへの身の捧げ方。そして、目的に対する姿勢だと思います。

鈴木:はい、ということで、チェ・ゲバラを演じた主演のベニチオ・デル・トロのインタビューをお聞きいただいたんですけども、あのー、僕ねー、ハリウッドスターですよ、言っても。デルトロに会えるっていうのでかなり緊張してインタビューに臨んだんですけども、やっぱりね、凄くこうナチュラルな方で、本当に気さくにインタビューに答えてくださって、映画を観てるとやっぱりもの凄く戦闘的なシーンから、自分をきちんと律する真面目な人っていう印象があったんですけれども、もちろんすごく真摯に真面目に演じたゲバラの姿をこうやって語ってくださったんですけれども、同時に飾らない感じっていうのがもしかしたらそのゲバラの人柄っていうのを演じるのに非常に良かったんじゃないかな、という風に思いました。で、実際ね、ソダーバーグと一緒にやった「トラフィック」の後からリサーチに七年、実はデルトロは費やして、でしかも体重25キロ落として役作りをしたらしいんですよ。だからカンヌでの主演男優賞っていうのも納得って感じがするんですけど、橋本さんはデルトロの演技をご覧になってどうでした?

橋本:いやとにかくカッコイイです。元々ゲバラが映画俳優並みにカッコイイ男ですからね。しかも医者で、ゲリラ戦を指揮するコマンダーで、外交でも活躍する官僚エリートですよね。更にキューバの経済計画を立てる役割も果たしている。更に文筆業も。これだけ多面的な人間をよく描いていると思いましたね。特にゲリラ戦っていうことなんですけど、ゲバラは「ゲリラ戦争」っていう本の中で、「ゲリラ戦士たるものこうでなければならない」っていう事を言っているんですね。それは「躊躇なく死ぬ覚悟が必要である」と。で、しかし同時にですね、「命を不必要に危険に晒す事が無いように、最新の注意を持って行動しなければならない」んだと。結果が思わしくなくてもですね、「現状置かれている状況を楽観的な態度で貫かなければならない」っていうんですね。で、「より良い結果につながる要素を見つけ出していかなければならない」と。そういった究極の状況でも楽観的でいられるっていうその態度ですね。これを良く描いているんじゃないかと思ったんですよね。

鈴木:そうですよね。僕も映画を観た中で、デルトロの演技もそうなんですけど、やっぱり画の・・・画というか、引いてる画が多くて、結構遠くから見てる画が多いんですけども、遠くから見ても何人もヒゲで軍服の人がいる中で、「この人がゲバラだ」ってすぐに分かる存在感っていうのを出していて、これはやっぱり俳優の力なんだな、っていうのは凄く思いましたよね。まぁデルトロにとってもそうしたゲバラを演じるっていうのは念願だったということで、先ほど紹介したジブリの鈴木プロデューサーのコメントにもあったんですけど、やっぱり「ゲバラを必要とする現代」っていうのをどう考えるかっていうことがやっぱりあると思うんですよね。なので、映画について少しご紹介をしたんですけども、この後はお知らせを挟んで、2009年の今、チェ・ゲバラの映画が公開されるっていうのは一体どういう意味があることなのか、ということを考えていきたいと思います。

CM開け

観客:29歳です。チェ・ゲバラって名前は知ってたんですけど、こんなに凄い人がいたのかっていうのでちょっとびっくりして。ああいう人が今いたら・・・今は凄く暗いことばっかりあるので、凄いなんか・・・世界が変わるんじゃないのかなぁ、とか思いました。

観客:19歳です。ゲバラの凄い信念みたいなものがずっと最期まで・・・革命が成功してからも突き通されてて。生き方がカッコイイなと思いました。

観客:僕は革命家とか思想家っていうのに少し興味があるから、毛沢東とかそういうのとは少し違った感じで見てます。カリスマなんだけど、やってることはもの凄く着実な戦略でやっているっていう。

観客:時代がこうより戻してきた訳なんで、またこういう人を一つ理解するっていうのが次のステップになっていくんじゃないでしょうかね。

鈴木:「文化系トークラジオ特別編 2009年のチェ・ゲバラ」。僕鈴木謙介と、北海道大学准教授の橋本努さんでお送りしています。今聞いていただいたのは、公開初日の日劇で録ってきたインタビューなんですけど、さて、このパートではですね、2009年の今、チェ・ゲバラという人がどういう意味を持つのかっていうことを考えていこうと思っているんですが、今聞いていただいた観客の方の感想の中にも、10代から中高年の方まで幅広く答えていただいた中で、「今ゲバラがいたら」っていうお話が結構ありました。特に最後の方なんかは「時代がより戻している」っていう話がありましてですね、この「より戻し」ってどういうことなのかなって思ったんですけど、橋本先生はどう思いました?

橋本:当時、キューバ革命の時はアメリカ帝国主義に対抗するという革命の精神ですよね。で、現代を考えてみるとこのグローバリズムだとか、ネオリベラリズムだとかですね、アメリカニズムだとか、そういった言葉で表されていますけれども、資本主義がもう一度クラッシュすると。で、これは100年に一回の危機ではないかという金融危機に今見舞われている訳ですね。それで「派遣切り」という言葉が一つの流行語にまでなっていると。そういった現実に対してもう一度ですね、このゲバラが革命・・・つまり資本主義に対抗しようとした精神っていうのはもう一度見直すべきところはあるんじゃないか、と思うんですね。

鈴木:そうですよね。だからちょうど第二次世界大戦後、冷戦の時代に入ってくる頃っていうのは、まさにそういう共産主義革命が途上国を中心に起こってくるっていう時代で、だからこそアメリカの介入もあって・・・っていう話はおそらく映画の中でも描かれていたかと思うんですが、しかし、その2009年の今より戻しているっていう時に、日本ではどうなんですか?

橋本:日本で今若者の失業率というのは7パーセントから8パーセントで、これはヨーロッパに比べると、ヨーロッパは若者の失業率は20パーセントと非常に高いんですね。ですから福祉国家の政策をとった場合にはですね、失業率で日本はあえいでいた可能性がありますよね。ただ問題はですね、若者の今の非正規の雇用率というのが20歳から24歳で43パーセントと非常に高くなってますよね。で、もう正社員になることはできないのではないか、という絶望感が広がっている。この絶望感に対して僕たちはどういうことが言えるのか。例えば韓国でではですね、88万ウォン世代っていう言葉が・・・

鈴木:「88万ウォン世代」?

橋本:そうですね。この「88万ウォン」っていうのは、韓国の額で・・・日本円にして約6万円くらいのお金なんですが、一ヶ月働いた賃金、20代の非正規雇用の若者たちが一ヶ月働いた平均が6万円だっていう事なんですね。で、韓国の最低賃金というのが3770ウォンですから、これは日本円に直すと今だと大体262円なんですけど・・・

鈴木:少なっ。

橋本:少ないですよね。これで一ヶ月働くと5,5万円。ですから韓国の若者で非正規雇用で働いている人たちはほぼ最低賃金で働いているっていうことになりますよね。で、そういった中で政権に対する批判が若者の中から広がっているということですね。

鈴木:そうですよね。今ヨーロッパと韓国とそれから日本の話を紹介していただいたんですけど、どこの国でも20代から30代まで含めて、今はもう本当に失業率というか非正規雇用の割合っていうのが上がっていて、で、それの大きな原因って言うのがやっぱり特に90年代以降目立ってきたその金融を中心とするアメリカ型の資本主義だったんじゃないのかっていう批判が非常に強くなっている。で、その中でその60年代・・・50年代から60年代にかけて、まさにその資本主義の社会に抵抗し、貧しいものを生み出さないための革命を起こすんだと、言って立ち上がったゲバラのような人っていうのが魅力的を放っているというのは良く分かるんですが・・・

橋本:ですよね。去年日本で蟹工船が流行りましたよね。小林多喜二が1929年に書いた小説ですけれども。で、このクライマックスというのが衝撃的で、船に軍隊が来るんですね。で、労働者たちはそれで自分たちがこの悪い経営者たちから救われたんじゃないか、救いに来てくれたんじゃないのか、と思ったら、この軍隊は自分たちを捕まえに来たんだというんですね。それで国家は結局自分たちに何もしてくれない。そこに絶望感を覚えた。資本主義の経営者も悪徳なんだけれども、国家も何も救ってくれないじゃないかと。どちらも救ってくれないと。こういう絶望感の中で、もしゲバラだったらですね、この蟹工船に革命軍として乗り込んで、救ってくれたんじゃないのかっていうこういう希望があるんですよね。

鈴木:そういうある種の直接行動っていう意味では、まぁ年越派遣村が年末から年始に掛けて非常に話題になりまして、やっぱりあれも別にやり方がどうこうっていう事ではなくて、あの報道されている中で、やっぱり見ていて、直接行動っていうのがやっぱり非常にこうみんなの目に止まったところだと思うんですね。で、まさに今橋本さんがおっしゃったような、資本主義の世の中で経営者も利益をたくさん抱えていて、企業の収益は最高収益で内部留保も多くて、しかも役員報酬だって減ってないじゃないかという批判がある一方で、そうやって職が無いとかあるいは住む場所を追い出されてしまうとか、っていうような横暴に対して、直接行動をして国に対して何かを訴えなければいけないんだと、いうような人々が、あれ(派遣村)はかなり自主的に集まって来たらしいんですけども、話を聞いた限りでは。そういうようなことが起こってくるような機運っていうのはあると思うんですよね。

橋本:そうですよね。若者の中にも最近こうドラマや映画で流行っているものは、何かこう絶望感に対して立ち向かうようなヒーローっていうのは生まれているんですよね。例えば昨年流行った映画で、阪本順治監督の「闇の子供たち」っていうのがありまして、タイの人身売買だとか臓器売買といったものを告発するジャーナリズムやボランティア達が活躍します。それからTBSのドラマでもですね、「ブラッディマンディ」というドラマ。

鈴木:観ました観ました。

橋本:これはですね、世界をもう一度リセットしたいとウイルステロを計画する宗教集団に対して若者たちが、天才ハッカーが立ち向かうと。これも要するに世界を滅亡させたいとする勢力、闇の勢力に対してもう一度何か正義のヒーローが立ち上がるっていうテーマですよね。2006年のデスノートという映画もありましたけれども、この主人公もですね、選ばれた人間が犯罪者を葬り去っていくと。どうも、あのドラマの中ではですね、こういった正義のヒーローっていうのをもう一度求めるような雰囲気があるんじゃないかと思うんですよね。チェ・ゲバラってまさにそういうヒーローとして当時活躍したんじゃないかと思いますね。

鈴木:あの、僕はやっぱり映画を観て凄く印象的だったんですけど、やっぱりこう・・・元々ゲバラっていう人は医者だったから、まぁそのゲリラ軍の医者として入ったんですよね。仲間にね。なのに段々人気を得てカリスマになってキューバに上陸してからはカストロ兄弟と別のチームに別れてそれぞれのチームをカストロとゲバラで引っ張っていくっていうね。そこまでのリーダーに自然と登りつめていくというかね、認められていく訳じゃないですか。

橋本:実力が認められていくんですね。

鈴木:だからある種の、最初から理想を持って引っ張っていくぞっていうよりは、そういう資質を持ってるっていうところが映画として伝わっていくと、あ、こんな人がいたんだっていう風に若い世代には新鮮に伝わるんじゃないかな、っていうのは僕もちょっと思いましたよね。

橋本:ゲバラもですね、カストロと会う前っていうのは非常に揺れているんですよ。そこでカストロと出会って、で、グランマ号というヨットに乗って。で、82人のうち一人なんですよね、外国人が。つまり他の81人ってみんなキューバ人じゃないですか。

鈴木:そうか。唯一のアルゼンチンの人間として・・・。

橋本:唯一の外国人として乗り込んでいく訳ですよね。これは運命ですよね。この二人。医者のゲバラと弁護士のカストロ。この二人がいなければ成功しなかったと思いますね。で、しかも成功した後が問題で、大体クーデターっていうのは確率はある程度はあるんですよ。で、そこでアメリカが軍隊を傀儡で作って攻めてくると。そこで大体負けてしまうっていうのがこれまでの南米・中米の歴史だったんですよね。実際にそのピックス湾事件っていうのが起こって、アメリカのCIAがですね、反革命分子をなんと1500人も送り込んでくるんですよね。これをゲバラは撃退することに成功しているんですよね。

鈴木:そうですよね。それこそ映画の中でもキューバ革命に成功して、みんなが盛り上がっている時に「これで家に帰れるのか。革命は終わったんだろ」っていうのに対して、「戦争は終わったが革命はこれからだ」って言う訳ですよね。だからあの感じ・・・まさにアメリカっていうものに対してどうやって小さな貧しい国が抵抗していくかっていう事が非常に大きな課題だった時代がまさに50年代から60年代には非常にはリアルな認識としてあった。だからそこで起こっている革命っていうのも、いわゆる共産主義革命だって事にはなってるんですけど、実はあれって最初から社会主義国にするんだっていう革命じゃなくて、単に貧しい人を救いたい、搾取されている人を救いたいっていうそういう革命で。本当はアメリカと仲良くしても良かったんだけど、アメリカと決裂してしまったというか非常に敵対心をむき出しにされてしまったのでじゃあちょっとソ連と仲良くするしかないかって言って社会主義国になるんですよね。

橋本:そうですよね。で、そのソ連とはやっぱり仲良くしたくないんですよ。っていうのはソ連はお金を貸す時に「利子を取る」って言うんですよね。これじゃ資本主義のところからお金借りても同じじゃないかという訳ですよね。で、キューバは砂糖を輸出すると。で、機械を他の国から買う。これはもう対等な貿易ではないから、そういうのは止めるんだと。むしろキューバと同じくらい低開発の国と互恵的な取引をしたいと。それによって国を作っていきたいんだというのが真意ですね。ですからアメリカにも対抗するけれども、ソ連にも対抗したということですよね。あの、実はカストロもね、最初はマルクス主義者じゃないんですよね。キューバ革命を成功させてから約二年位してから、「自分はマルクス・レーニン主義者であって、一生そうだ」っていう事を言うんだけど、その二年間っていうのはですね、割と揺れている。むしろ基本的には農地改革をして人々を解放したいっていう、そういう欲求に駆られて革命をしているんですね。で、そこまでは良いんですよ。ところがこれやっぱりソ連と仲良くしないとですね、本当に生産性が上がらないっていう現実があるんですね。

鈴木:そうですよね。キューバ革命に至るまでの道っていうのは非常にこうなんて言うか勇気をもらう、パート1の「チェ 28歳の革命」のそのハイライトなんですけども、その後もやっぱり世界の貧困っていうのはもちろん闘わなければいけないものとして残り続ける。だからゲバラはその後も戦いに行く訳ですが、ちょうど先ほど観客の声の中で出ていた「時代がより戻しているんだ」っていう話があったんですけども、そのより戻しっていうことでいうと、まさにその世界の貧困の問題って今アメリカのある種の都合みたいなところで搾取されたりあるいは自立する事ができなかったりっていうような問題。まさに今のその低開発国の問題としてずっと論じられているところだと思うんですけど。

橋本:そうですよね。日本でも「派遣切り」っていう言葉が最近流行っていて、やっぱり何が問題かっていうと、自尊心を傷つけてしまうことだと思うんですよね。いきなり「ここで雇用を打ち切る」ってね。で、その自尊心を傷つけられるっていうのが大問題で、ゲバラが23歳の時にチリのペトロウエっていう所を旅するんですね。そこで老女に、お婆さんに出会うんですけど、お婆さんは自分と同じように喘息を持っている。ところが喘息を持っているお婆さんが一人家庭にいるだけで、もう疎まれてしまうんですよね。もう厄介者扱いされてしまって、食事もまともに与えられないしですね、衛生状態も酷いんですよね。で、貧しさって何かっていうと、そこで病気をした時に家族からも承認されなくなって、父親も母親もですね、同じ家族じゃないような振舞い方をしてしまっているんですね。これ、今の派遣切りっていう現状を考えるとね、どうなんだっていうね。この承認の場というのがね、確保されていかない社会になっていくっていう。これは当時の状況と基本的に似てるんじゃないかと思うんですよね。

鈴木:僕もそれはやっぱり感じるところで、今やっぱり日本の中で雇用の問題って凄く話題になっていて、ちょうど先ほども橋本先生からお話があったと思うんですけども、やっぱり世界中でそうやって若い人たちが苦しんでいる状況があると。で、「何とかしなきゃいけないんだ」っていう機運が高まっているっていうのはまさにそうだと思うんです。で、そこにその何と言うんだろうな、一つのシンボルとしてやっぱりゲバラって機能するような気がしていて、時代の状況がもちろん昔と全部一緒じゃないけれども、やっぱりそうやってある種の、今だとアメリカ中心の金融資本主義って言うんですか、に対する反感っていうのが非常に高まっていて、やっぱりあのやり方に合わせて色々改革をしていったのはダメだったんだ、って言う人もいるし、もうそういう大きな問題の事は良く分からないけれども、とにかく目の前で職を切られる、それから家を追い出される、そしてまぁ地域社会も家族も崩壊していて、家に帰っても承認をしてくれる場所が無いっていうような現状がある。そういう話を最近僕も聞いたんですけど、っていうような現実目の前にした時に、やっぱりそのさっき言ったゲバラの貧しい人たち、虐げられている人たち、そしてそれを虐げているある種の大きな現実みたいなものがあって、それを変えていくためには立ち上らないとダメなんだっていうね、その「○○主義」に合わせて、それに合わせて国を作ろうって言うんじゃなくてね、この目の前の現実を大きいところと闘って、変えなきゃダメなんだっていう・・・。

橋本:そうですよね。やっぱりその自分のプライドを掛けているところがありますよね。やっぱり貧しさっていうのは社会の中でプライドを保つことができないっていうのが根本的にあってね、それは例えばゲバラがメキシコで経験することなんですね。自分はもう本当にズボンも買わないんですね。まぁ買えるお金が無いんですよ。だから友達に「ズボン貸してくれない?」なんて言うんですよね。まぁ別にそれは「ズボン貸して」って言いながら「貰う」って事なんだけれども・・・

鈴木:(笑)。まぁ借りパクする訳ですよね。

橋本:そうです。それ位貧しさに耐えているんですよね。で、ある時例えば病院で助手をするというアルバイトをするんですよね。

鈴木:医者ですからね。

橋本:ええ、医者ですからね。ところがね、その病院っていうのがゲバラによると、患者から搾取をしている病院なんだと。だから自分はもうこのアルバイトを続けていけないよっていう、それ位ピュアな心を持っているんですよね。やっぱり搾取しているっていう現実があったら自分はその仕事はできないんだ、革命をするんだっていう、この気概というかプライドっていうのがゲバラを突き動かしているんだと思うんですよね。

鈴木:そうですよね、なんかだからその部分が一つの今の時代の空気みたいなものにシンボル的に重なっていく部分って僕もやっぱりあるような気がするんです。ただ、一方で確かにその世の中を変えたいとか変革しようって言う機運は高まっているとは思うんですけど、やっぱりそのゲバラっていう人は全面的にそういう訳ではないんだけれども、やっぱり暴力革命論者な訳ですよ。やっぱり人々が武器を持って立ち上がってゲリラ戦を戦って政府を倒さないとダメだ、っていう。要するに、いわゆる民主主義的に選挙をして大統領を選んで、っていうだけでは何も変えられないんだっていう立場を特に当時の南米はそういう状況なんだっていう事を、その「ゲリラ戦争」っていう本の中でも結構言ったりしている訳ですよね。だから日本でその話を考えていく時にやっぱりその暴力とか武力とかっていう話が出てくると、「革命」とか「運動」っていうものに対してある種の警戒感というか、あるいは日本独自の理由で冷めた見方をしてしまうような気持ちって根強い気がするんです。まぁ僕も結構そういうところあるんですけれども、そのやっぱり「チェ 28歳の革命」そしてパート2、この後公開になる「チェ 39歳別れの手紙」っていう二つの作品を通して観るとですね、その「今こそ!そうだ!やっぱり革命を起こさなきゃダメなんだ!」っていう熱い気持ちを持っている人にとってはちょっと「ん?」っていう、ちょっと冷や水じゃないですけど、「アレ?」ってい思わされちゃうような撮り方っていうのがされている気がするんです。で、そうしたそのソダーバーグ監督の非常に冷静な視点っていうのを僕は凄く興味深いなぁって思ったのでですね、次のパートでは、更にもう一歩踏み込んで、革命が今求められている時代、じゃあその「革命」って一体何なのか、とか、あるいはそこで「暴力」とか「武力」とかっていう言葉が出てくるその現実って言うものに対して僕等は、日本に今住んでいる僕等はどう考えたら良いのか。そういうことに関してちょっと考えていきたいと思います。この後のパートではですね、そのソダーバーグ監督のインタビューも用意しているということなんで、是非是非期待していただきたいなと思います。

CM開け

観客:22歳です。いや、あの、チェさんというのは初めて知ったんですけど、今何かそういう革命とかっていうものが政治とかでも起こしづらいというか、淡々と無難な感じで流れている気がして。で、昔はそういうものに対して「俺たちがやるんだ」っていうのがあって。そういうのが今は無いかな、っていうのは感じますね。

観客:革命を起こすというのは・・・今はなかなか難しい時代に革命を起こす人がいるのかなっていうのも考えながらちょっと当時どのように革命を起こしたのかなっていうのも知りたかったんで、観ました。

観客:やっぱり市民がまだ納得できてないものっていっぱいあると思うんで。そういうものを変えようっていう雰囲気が今少しあるじゃないですか。なんか勉強・・・学ぶところはいっぱいあると思います。

観客:今の若い人なんてのはホント飼い馴らされてさ、平々凡々っていうかね、そういう風な人が多いんじゃないかなって思うし。派遣労働者がさ、武器を取って・・・まぁ武器が無いのかもしれないけども、もっと行動を起こせばいいんだよね。そんな派遣村なんか行ってるんじゃなくてさ。

観客:2009年の革命ですか?起きて欲しいかもしれないですね。日本はでもあんまり変革とか起きちゃいけない国だと思うんですけどね。ただ平和を維持できれば、っていう。まぁそれはそれでいいんじゃないかなとは思いますよ。

鈴木:文化系トークラジオLife特別編、「2009年のチェ・ゲバラ」。僕鈴木謙介と、北海道大学准教授橋本努さんでお送りしています。今聞いていただいたのは、「チェ 28歳の革命」をご覧になった観客の感想ということで録ってきたものなんですけども、まぁ革命的なものを求める声がある一方で、まぁ、無理なんじゃないかとか、あるいは日本ってあんまり変革が起きちゃいけない国なんじゃないかと、いう声もありました。でですね、番組のリスナーからもいくつかそういうメールが来ていてですね、例えばこちらのメールを読んでみましょうか。ラジオネーム「フェルゼン」さん、28歳男性の方。

メール:ゲバラや革命に対して、なんとなくロマンチックな憧れは感じますが、一方で左翼の運動みたいなものに対してはネガティブなイメージもあります。映画の中でも、革命後にニューヨークを訪れたゲバラに対して、亡命キューバ人たちが「人殺し!」と罵声を浴びせるシーンが出てきますし、ゲバラ自身もボリビアでは孤立して結局敗北します。日本でも革命を夢見た若者が内ゲバで殺しあう連合赤軍事件という最悪の結果を招いてしまったはずです。今どき本気でゲバラに心酔してこの映画を観るような人がいたら正直違和感を感じます。

鈴木:・・・というメールをいただいていてですね、このフェルゼンさんは28歳の方らしいのですが、僕は今32歳なので大体同世代という風に考えると、やっぱり感覚としてすごくあるんですよね。自分の親が団塊の世代だっていうのもあるんですけれども。まぁ1972年に日本では連合赤軍事件という事件が起きまして、これはどういう事件かというと、まさにゲバラたちのように武器をとって武力蜂起しなきゃダメなんだと言って山奥に篭って軍事教練をしていた過激派グループっていうのが浅間山荘事件っていうのを起こして捕まると。これは有名な事件なので結構知ってる方もいると思うんですけど、その後で捕まった後で調べてみたら山岳ベースっていう所で実は仲間を次々とリンチをして殺していたという内ゲバが明らかになって、それで日本の60年安保、70年安保と続けて盛り上がっていた学生運動っていうのが一気に冷めてしまうっていうことが起こるんですね。

橋本:やっぱりその弱い者に対してリンチするっていうね、この内ゲバが日本で起きた時にも、ゲバラっていうのはそういう人間では無かったんですよね。むしろ病人を助けると。実際例えばボリビア戦の最期の一ヶ月ですよね、病人が出る訳ですよ。で、この病人をもし見捨てればですね、山に逃げて、もしかしたら(?)できたかもしれないんですよね。

鈴木:自分たちは生き延びられたかもしれない。

橋本:そうですよね。ところがやっぱりこの病人を見捨てることができない。それで良い道をですね、ラバが通れる道を選んでですね、それでその病人を運ぶと。これはもう見つかる事を覚悟で病人を助けるという。そういう優しさを持っているんですね。

鈴木:「チェ 39歳別れの手紙」の中でもそういうシーンが描かれていたので、非常にこう、胸に来るものはやっぱりありましたね。で、ですね、あのやっぱり今日本で革命の機運が・・・っていう話をさっきまでしていたんですけども、その連合赤軍の話が出てきたのでですね、ちょっとご紹介したいんですが、連合赤軍っていうとですね、「ありがとう」などで知られる漫画家の山本直樹さんなんですけど、現在「イブニング」という雑誌で連合赤軍をモデルにした漫画「Red」っていうのを連載されているんですね。なんと山本さんはこのLifeという番組のへヴィーリスナーということで、凄い光栄なんですけど、革命を目指した連合赤軍がなぜあのような悲惨なことになったのかっていうことについて山本直樹さんからコメントをいただいています。という訳で山本さんのコメントをお聞きください。

山本:「閉鎖」されるとそうなってしまうんですよね。集団が閉鎖的に・・・誰もツッコミを入れない状態に・・・「理屈が地面から浮いちゃう」っていう言い方もできると思うんだけども。芝居の台詞なんですけど、「考えすぎないで。考えすぎると人じゃなくて考えになっちゃうから」みたいな台詞があって。だから連合赤軍の人たちってなんだったんだろうなぁって考えると、やっぱり考えすぎ。「考えすぎ」っていうのは、「よく考える」っていうのと真逆のことだと思うんですよね。「考えてない」の方に近いような。だから、「よく考える」っていうのは、自分の考えの速度をコントロールすることじゃないかなぁっと思ってますね。だから考えのスピードと現実がうまくサイクルが乗ってる時は良いんだけど、それと現実がズレ始めると・・・特にこういう革命とかそういうものは失敗しちゃったのかな。だからキューバだと、現実にちょうど考えの速度が合ってたんだけど、ボリビアではそれがズレちゃってダメだったと。そんな風に思いますけどね。一番良いのは、まぁ自分でツッコミを入れるのも良いけど、ちゃんとツッコミを入れる人がそばにいるのが一番理想ですけどね、うん。

鈴木:はい。漫画家の山本直樹さんのコメントでした。今のコメントの中にあった「考えすぎると人じゃなくて考えになっちゃうから」っていうのは多分松尾スズキさんの「女教師は二度抱かれた」っていう芝居の台詞だったと思うんですけども、まぁ「考えすぎ」っていうのは「考えない」に近いんだって言われると、まさに考えすぎて考えすぎて一人で自分の中で煮詰まってしまいがちな僕としては「うぅぅぅん」って思ってしまうところがあるんですけど。

橋本:名言ですよね。

鈴木:その連合赤軍の人たちもやっぱりそういう「考えすぎ」というかね、現実とそれがズレちゃったんじゃないかっていう話がありましたけども。

橋本:そうですね。当時の状況から言うともう退路を絶たれた人間なんですよね。もう山に篭る。で、ゲバラの場合もボリビアで山に篭って逃げ道はもう無いんですよね。キューバとも連絡も断たれてしまうと。そういう時に初めて人間の品格というものが現れると思うんですよね。

鈴木:ほう。

橋本:やっぱり革命を目指す人間だっていう時にですね、ここで内ゲバをしたらそれはもう何も・・・全ておしまいでしょう。で、やはり一つ言える事は、ゲバラを含めてですね、幹部の人たちはみんな日記をつけているんですよね。で、その日記が多分残ると思っているんですよ。いずれ自分たちが死んでもそれが公開されて、で、これが種になって世界の革命家に影響を与えていくだろうと。だから内ゲバができないんですよね。これは凄く大きな違いなんじゃないかと。

鈴木:そうですよね。「チェ 39歳別れの手紙」の中でも、ちょっと内輪モメみたいなシーンが出てくるじゃないですか。でもその中でやっぱりその内輪モメが広がらないように凄い諌めるゲバラの姿っていうのが出てきたりして。どこか「考えすぎ」っていうことに対して、その「理念」が先にあってそれに合ってるか合ってないかっていう風にグルグル回っちゃったのが日本の連合赤軍の・・・

橋本:ただね、チェもね、チェもやっぱり弱いところを見せる訳ですよね。映画でもこう生身の人間として描かれているんですけど、やっぱりこう・・・まぁこれは他の幹部の日記によるとですね、チェ・ゲバラっていうの段々無口、喋らないようになっていくんですよ。それで自分だけ瞑想するようになっていって。で、自分と同じツラさっていうのを分ち合って欲しくないな、と思っているようだった、って残しているんですよね。それだけ自分の中で悲劇性っていうのが高まってくる訳ですよ。やっぱりこれは最期、死を予感しているんだと思うんですよね。

鈴木:うんうんうんうん。そうなんですよね。だからそのある種の覚悟みたいなものがありながら、やっぱりその向こうにどういう理想を持っていたのかっていう気はするんですよね。やっぱりある種の理想があるから、その理想に照らしてもちろんその山本直樹さんのコメントにもあったみたいに、それが現実と少しずつずれていった部分はあったのかもしれないけれども、なんていうか理想だけが先走ってしまっていくなかで、何かが崩壊していくっていうのとはやっぱりちょっと違った覚悟みたいなものは感じますよね。

橋本:そうですよね。こうチェ・ゲバラが死んだ後に残るゲリラ兵士が6人いるんですよね。三人はキューバに戻るんですけども、あとの三人はボリビア人なんですよね。その中のボリビア人二人が生き残って、チリに亡命するんですけども、その二人がですね、またこう革命を仕掛ける訳ですね。自分たちはまた戻ってくるぞ、再び山に戻るんだ、そういうことをキューバの機関紙であるグランマ号っていうね、先ほどチャーリーが言ったアレにこう書いて宣言してもう一度戻ってくるんですよね。まさにグランマ号の再来という形で。二年後にそれが実現していくと。で、こういった形で革命が継承されていくっていうことは、つまり種を蒔いたっていうことで成功したと言えるんじゃないかと思うんですよね。

鈴木:なんかその信念みたいなものは凄く感じました。実は「チェ 39歳別れの手紙」の中で僕が一番好きな台詞があって、凄く良い事を言うんですね。「私は人間を信じているんだ」っていうことを言うんですけど、まぁそこに至るまでのやりとりが凄く良いんですけど、あの「人間を信じているんだ」っていう言葉っていうのはやっぱ彼の信念を表す非常に良い言葉なんじゃないかなと思って、なんかこれから公開で観ていただく方はその辺を少し気にしながら映画を観て欲しいなと思うんですけど。

橋本:それはあると思うんですよね。多分あの情勢で、一番クーデターっていうね、現実味のある戦術っていうのは、多分石油タンクを破壊するとかね、政府に直接攻めに行くとかですね、なんらかのクーデターを起こせばですね、他の人たち、例えば炭鉱労働者がその時に立ち上がっているんですね。これはチェ・ゲバラに付くべきじゃないかと。で、お金も支援しているし、しかもそこで総会を開いて、チェ・ゲバラをこれから支援しようと、総会を開いた途端に政府軍によって壊滅的な弾圧・鎮圧をされてしまいますよね。そういった、ある意味でもう少し巧くやればですね、革命は成功した可能性はあるんですよ。ただそれをやらなかった、敢えてやらなかったのはなんでかって言うと、やっぱりゲリラ戦っていうのはそれだけでは勝てない問題っていう風にチェ・ゲバラは「ゲリラ戦争」の中でも言っている訳ですよね。やっぱり農民の支持がなければいけない。農民の支持基盤があって初めて下からの革命っていうのは成功するんだと。だから自分たちがこう一気にテロリズムでですね、クーデターしてもですね、当時ボリビア政権っていうのは70回くらいクーデターで倒されてるんですよね。大統領でも任期を満了した人ってほとんどいない訳ですよ。だからこれは、崩すのは意外と簡単だったんじゃないかと思うんですよね。ところが敢えてそれはやらなかった理由っていうのはやはり自分の中でのプライドがある訳ですよ。これは負けてでも、農民から革命をしなければいけないっていうね。

鈴木:ある種の目覚めを期待するというかね。まぁその捨て石になった感じっていうのは一つ見習うべきところになっているのかもしれないんですが、他方でですね、運動に違和感を感じるっていう話を最初にちょっとしたんですけども、ワーキングプアとか派遣切り、雇い止め、それからフリーター労総の問題など、最近は若い人たちの間で新しい運動というかね、社会運動、あるいは政治運動と言って良いような動きっていうのがあると思うんです。で、そういう今の若者の運動の現場では、じゃあゲバラってどういう存在になっているのかというのをですね、自分自身も運動にコミットしながら編集者・ライターとして活動されている園良太さんに聞いてみました。

園:ゲバラの顔がTシャツに使われたり、ポスターになったりしていたのは、僕も高校生の頃、裏原宿ブランドとかが凄く流行っていたからよく覚えていて、90年代、10年前だったらある種のシンボルとして扱われて、まぁ詳しいことは分からなくても、とにかくまぁビジュアルのカッコ良さと、あと何かを変えてくれる存在っていう風にイメージの部分から凄く入っている人はいたと思うんですけれども、今やっぱりその労働問題が凄く盛り上がっているっていうのは、自分が実際に職場で首を切られたとか、友達がそういう目に遭ったとか、あるいは住む場所が無くなったとかっていう具体的な問題から参加している人が多いと思うので、その、観念的にゲバラとか革命家を捉えてそこから入っていくっていうことが減ってるっていうのが多分ありますよね。やっぱり今の運動はもう少し、誰か突出した人物がいるっていうよりも、それぞれが自分のスキルだったりとかを活かす形で協力し合ったりとか、あと特定のそういう人物を作らないっていうやり方にやっぱりなってきていますし、そういう部分での時代の違いみたいなものは多分あるんだと思うんですよね。

鈴木:という訳で、園良太さんのコメントを聞いていただいたんですけれども、まぁ観念的なイメージよりも具体的な問題というか、ある種の理想の追求っていう事よりも、サブカルチャーとしてはともかくそのゲバラの存在感というのは、そういう意味では今の運動の現場の中では大きくないというようなお話だったんですね。で、まぁ山本直樹さんの言ってた、「考えの速度を現実に合わせる」っていうことに近い、もう少し言えば、たいそうな理想を掲げて、それに向かってみんなを鼓舞していくというよりは、今目の前にいる人を少しずつでもいいからできることの範囲でやっていこうという輪が広がっている今っていう、まぁそういう対比なのかなぁと思ったんですけど。・・・っていう風に聞いちゃうとですね、なんとなく、そういった「ゲバラ的なものとは違うんだよね、もう時代が」っていう感じに聞こえちゃうんですけど、橋本さんどうですか?

橋本:やっぱりゲバラってやっぱりこう革命の種を蒔く人だと思うんですよね。それは「上から革命せよ」っていうそういった人間ではなくて、むしろ自分が犠牲になっているんですね。みんなにこうエンパワーメントするような力を持っていますよね。

鈴木:うんうんうんうん。なんか僕が凄くやっぱりそのゲバラの映画を通じてやっぱり僕も園さんと一緒で、そのサブカルチャーとしてのゲバラを最初に見た、聞いたという世代なので、もちろんキューバ革命の話は知っていたけれども、この人が具体的にどういう行動をしてとか、あるいは今回の映画で初めてかなり彼のリアルな実像っていうのを見たようなところがあるんですよね。で、その中で凄くやっぱり強く感じたのは、そのリーダーシップってうことなんですよ。この番組の中で先ほど橋本さんが、やっぱりある種のリーダーシップを持ったというか、その、「この世の中を変えてやるんだ」っていう存在が日本のサブカルチャーの中にも出てきているんじゃないかっていう話をされてましたけども、やっぱり決定的な違いがあるようなきがしたんですね。つまり、その、ある種のリーダーシップを取って「俺が変えてやるんだ」っていうようなんじゃなくて、まさに中心の柱にはなるんだけれども、自分自身が「こうしろああしろ」って命令して引っ張っていくんじゃなくて、自分のいる所がムーヴメント、運動の中心になるようなリーダー、それって指導者とは違うんですね。英語にしたらどっちもleaderだと思うんですけど、だから、何かを指導してこういう風にやれっていう感じではない。ただ、なんていうんだろうな、ゲバラっていう人はもちろん規律に厳しい人だし、そういうルールは厳格に守らせるし・・・

橋本:守らないと食事抜きっていうね。

鈴木:ね。パート1のそのラストシーンでも、凄い良いラストシーンで僕は一番大好きなんですけども、やっぱり厳格に凄いルールを守らせるっていう。

橋本:盗んだ車は返せっていうやつですよね。

鈴木:ね。あの、ああいう感じって、昔の江戸だったら義賊というかね、鼠小僧的なものとして凄く賞賛されたと思うんですけど、今やっぱり世の中が複雑だから、色んな事を分かって、「こうすればこうなるよ」って言えないとなかなか人を引っ張っていけない。そうしないと何かこう、何となく盛り上がってるんだけれども中心がよく分からないみたいな、運動になってしまうじゃないですか。だから今一番求められているのって、そういう何かこう頭の良い奴が分かっててこうしろああしろって言うんでもなければ、何となくみんながみんなとして盛り上がってるから、その雰囲気だけでやっていこうぜっていうのでもない、何か柱になるような人っていうのがきっといるんだろうな、と思って。

橋本:やっぱりこう、近くに人格的な影響力だと思うんですよね。で、そのゲバラはEl hombre nuevo、「新しい人間」っていう言葉をよく使うんですよね。

鈴木:El hombre nuevo

橋本:El hombre nuevo.新しい人間になるんだと。要するにこれは革命的な人間ということなんだけれども、革命的な人間になれってこれは子供に対してなんですね、そういった言葉を遺しているんですね。じゃあ「革命的人間」ってどういう人間なのかっていうと、「武器を持って」っていうよりもむしろですね、遠くで貧しい人たちが苦しんでいると、そういったものに共感する力を持ちなさい。これが革命的人間の資質なんだ、って言うんですよね。そういった共感する力を持っていく、で、しかもですね、もう一つ有名な言葉ですけども、「ある日の真実が永遠の真実ではないんだ」と。で、まぁここで成功したことをですね、それで全て良しということは有り得ないのであって、常に真実っていうのは問われているのだっていうね、これで持ってエネルギッシュな人生を歩んでいく。それが革命的な人間の資質なんだっていうことなんですけども、それはやっぱり我々はこう資本主義社会で生きていると、やっぱりお金が入るところに行こうかな、って思うわけです。お金の原理で動いてしまうところありますよね?で、そういったものを全て否定して、なおかつ自分の潜在能力を出し切るような人間っていうのをですね、理想としている。で、これがやっぱりこの魅力的な、なんていうのかな、人々をエンパワーする力があるんだと思うんですよね。

鈴木:僕もなんかその感じっていうのを受け止めることができたらやっぱりその・・・「今ゲバラのような革命を起こそう」とかっていうことではなくて、ある種の人間としてのゲバラが何を考え何を感じ何を行なって、そしてどこでその、まぁ例えば失敗したのか、あるいは、何を遺したのか、自分は死んでも何を遺したのか。そういうことが伝われば良いんじゃないのか、そういう気がしたんです。ただ、その辺りの事っていうのを、どのくらい監督のスティーヴン・ソダーバーグは意識していたのか、ちょっとやっぱり気になるところがあって、僕、あの、実はソダーバーグにもインタビューできたんですよ。本当に凄く緊張したんですよ。もう本当に大変丁寧な方で、結構失礼な事も聞いているんですよね。つまりどういう事かって言うと、まさにこの番組の中でも何度か言ってきた、ちょっとやっぱりそういう盛り上がるような気持ちになる映画ではないと思うんだけれども、それはやっぱりある種の、盛り上がって今「とにかく革命だー」とかってやっている人たちに対して、ある種アイロニカルな、皮肉な目線を投げ掛けるつもりで撮られたのかどうかっていうのが凄く気になったので、この映画を撮られた意図っていうのはどういうことだったのか、若者たちに対してどういうメッセージを本当は伝えたかったのかっていうのを聞いてきたので、そのソダーバーグのちょっとコメントを最後に聞いていただこうかと思います。どうぞ。

ソダーバーグ:重要なのは、何かに反対するだけでは足りないいうことです。その代わりにこうしたい、という代替案が必要だと思います。そしてその代替案は思いつきなどではなく、じっくり考え抜いたもの、これならなんとか機能するだろうという現実的なものでなければいけません。反対のための反対、では何かを成し遂げることはないのです。今の世の中には、何かに対して声を上げ、そしてその声を他人に簡単に聞かせることが出来る手段があります。しかしその言い分がまともに取り上げられるだけの価値があるものなのか、そこを意識する必要があります。若い人たちは何かに対して「ノー」と言う衝動が強い一方、「イエス」と言う気持ちはあまりありません。若い人たちのエネルギーが無駄に終わらず、生産的になるよう、よく考えて欲しいと思っています。

鈴木:文化系トークラジオLife特別編、「2009年のチェ・ゲバラ」、一時間に渡ってお届けして参りましたが、エンディングです。今、スティーヴン・ソダーバーグ監督のインタビューを聞いたんですけど、橋本さん、非常に何かこうインテリジェンス溢れる、そして希望をもらえるような良いコメントでしたね。

橋本:これ、若い人たちは今何に対しても「ノー」と言って、何かに「イエス」と言う気持ちが足りないんだ、っていうメッセージでしたよね。これ、ゲバラだったら、Cuba see , Yankee noってね、Cuba yes, Yankee noという、そういうメッセージが、あのキャッチフレーズを作ったくらいなんですけども、今そのcuba seeっていうのはね、これは社会主義が良いんだっていう話じゃないですよね。やっぱりこう革命をした人間っていうのは、まぁ精神的にも肉体的にも強くなっていると。そういった人間になると。しかもかと言ってその理想を追い求めてもですね、それは実現しないかもしれない、まぁゲバラは最終的に39歳でボリビアで死んでしまう訳ですけども、その痛々しさというか、その辛さというのを私たちは受け止めていくっていう、それが大切なんじゃないのかっていうことですね。

鈴木:あの、ぼくもやっぱり映画を観て、凄くやっぱ長い映画だし、凄く深く考えて観るような作りになっているので、やっぱり派手なガンアクションとか、戦争とか革命とか、血湧き肉踊るみたいなことを期待して、且つ若い人にそうやって拳を上げて欲しいっていうだけの映画では無いなっていうのは、観ていただいた方には凄く分かると思ったんです。で、今日の番組を通じてね、割とチェ・ゲバラと、そして今の日本の話を色々紹介しながらお届けしてきたんですけども、今日紹介したこの映画、「チェ 28歳の革命」は現在全国で公開中です。そしてパート2にあたります、「チェ 38歳別れの手紙」は、今月の31日からこれも全国で公開になります。今日の放送に加えましてですね、実はこれから収録する予定の番外編というのがあるんですけども、このLifeの番外編というのを後日インターネットで配信します。今日はね、実はもう番組にたくさんリスナーからメールを寄せていただいたんですけども、そちらの方ももっと紹介したいですし、番外編だけのゲストを交えてお送りするという風な予定になっておりますので、詳しくはこの「文化系トークラジオLife」の番組サイト、tbsradio.jp/lifeの方をご覧下さい。そしてですね、告知なんですけども、文化系トークラジオLife、次回の通常放送は今月の25日、日曜日の深夜一時半からになります。そして2月の15日、来月2月の15日には、公開トークイベントもあります。こちらも番組ウェブサイトの方をご覧いただければな、と思います。えー改めまして橋本努さん、本日はどうもありがとうございました。

橋本:ありがとうございました。

鈴木:一時間に渡ってお届けして参りました文化系トークラジオlife特別編「2009年のチェ・ゲバラ」、お相手は鈴木謙介でした。
2009年01月19日(月) 13:21:33 Modified by ID:T95tMSIpZw




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