ハンスリームの歴史

大海賊の本拠地


1000年以上の昔、ビルガノという大海賊がいました。
若い頃の戦いで片目を失っており、「片目のビルガノがやって来た」と言えば、沿岸諸都市の子どもは皆泣き止み、大人は家財道具を抱えて内陸へ逃げたと言われます。

ビルガノには3人の息子がいました。
長兄のトルクは父譲りの勇気と決断力を持っていましたが、ある時嵐に逢い、海に呑まれました。
次兄のアスタニエスは少々短気なところがありましたが、兄に負けない武勇を誇っていました。しかし彼は他の海賊との戦いで命を落としてしまいます。

2人の息子を相次いで失ったビルガノは、目に見えて老け込んでいったと言われます。その頃から、彼は陸に安定した領地を求めるようになりました。そして彼の選んだのが、当時は小さな漁村であったこのハンスリームの地です。この地が天然の要害であることに目を付けたビルガノは、配下の中でも知恵者として名を知られていた「三賢」に命じ、ここを立派な街に育てようとしました。

二代目・ヒュロス


街作りの傍ら、ビルガノは自分の跡取りとして、末弟のヒュロスを指名しました。彼は兄ふたりと違い、勇敢というよりも心優しく穏和で、優柔不断なところもあり、誰が見ても海賊に向く気性ではありませんでした。そのため、将来を心配する配下も多かったようです。

しかしそのような者たちも、一人残らずヒュロスに心からの忠誠を誓うことになります。襲名の儀式の前の晩、彼は己の片目をえぐり取っていました。そして、ビルガノと同じ風貌となって皆の前に現われたのです。その決意の固さに、多くの者は涙を流しながら命を捧げることを誓ったと言われます。

二代目となったヒュロスはまず、小数の配下を連れて「人魚の島」へと旅立ちました。人魚の伝説はこの地に古くから伝わるもので、南の海のどこかに美しい人魚たちの棲む島があり、その生き血を口にした者は永遠の命を得られる、というものです。漁民達からそのような話を聞いていた彼は、父・ビルガノのために人魚の生き血を持ち帰ろうとしました。

しかし、ひと月が過ぎ、1年が過ぎ、2年経っても、ヒュロスは帰って来ませんでした。


三代目・バットとビルガノの死


その頃のビルガノは、老衰と激しい落胆のため、ひとりで立つことも出来なかったと言われます。そんな中、ビルガノは新たな後継者として長兄トルクの子・バットを指名しました。すでに彼の血縁者はバット以外になく、これは、ヒュロスはもう戻らないと諦めたということでもありました。

バットはその時まだ14歳。粗暴で我侭な少年であったと言われます。三代目となったバットは、配下の多くが自分に心服していないことを感じていました。その焦りのためか、彼は襲名の儀式を終えた晩に、たった1隻だけで海へ出ます。小人数で大きな成果を見せつけたかったためとも、多くの配下が同行を拒否したためだとも言われます。

そのまま数か月してもバットは戻らず、ビルガノは失意の中死亡しました。 20年ほど後、遠くの街で勇者が大海賊ビルガノの子孫を討ち取ったという話が、ハンスリームに伝わって来ました。しかし、それを聞いて悲しむ者はほとんど居なかったということです。



三賢による街造り


当時のハンスリームは、海は頻繁に荒れ、耕地は少なく、山林には恐ろしい魔物が跋扈するという、決して住みやすいとは言えない土地でした。

このようなさまざまな障害を克服し、今のハンスリームを造ったのが、ビルガノの配下であった三人の智者たちでした。実質的な街の始祖である彼らは、街の人たちから「ハンスリームの三賢」と呼ばれています。

ひとりは、杖のひと振りで空から星を降らせたという大魔導師 ラナ・ルー。
もうひとりは、生涯で信ずる神を10度変えたと言われる神官 ブラナイ。
最後のひとりは、流浪の吟遊詩人にして名(?)策士 アリダジャンス。


三賢の指揮によって海賊たちは森を切り拓き、魔物と戦い、道や建物を造っていきました。慣れない仕事ばかりでしたが皆懸命に働き、その甲斐あって、10年ほど後には街周辺から魔物の姿が消え、今の街並みの原形ができあがりました。

そんな中、海賊のある者は農夫になり、またある者は漁師になり、商人になりました。こうして小都市ハンスリームが穏やかな歴史を刻み始めたとき、三賢はそれぞれ人々の前から姿を消していきました。その後の彼らがどうしたのかを知る者は、誰もいません。


2つの脅威


要害の地にあり、先人の努力によって作られた平和な街・ハンスリームは、2度の大きな脅威に襲われています。

一度目は400年ほど前、山の向こうから異民族の侵入を受けた時です。

この時、街にはロー・キャルカッツという旅の剣士が逗留していました。彼は傭兵の募集に応じると瞬く間に戦功を挙げ、ハンスリーム軍の最高指揮官となりました。キャルカッツ将軍は特に夜の奇襲戦に強く、難攻不落の要塞に籠って、ついに異民族を撃退しました。

二度目の危機はまさに今です。10年ほど前から、海の彼方の「カ」国が街にやってきています。

彼らの目的は交易であり、侵略ではないとされています。実際に彼らは非常に友好的であり、交易によってハンスリームも大きな利益を得ています。しかし、炎の力で海を走る船を持つなど、彼らの技術力は驚異です。今に大船団が攻めてくるぞ、と、カを敵視する人たちがいます。もっとも、現在のハンスリーム市民の多くはカ人に対して好意的ですが。
2005年08月14日(日) 14:59:34 Modified by lunatic_dog




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