磯浜の名人

珊瑚の竪琴

街外れの磯辺にあるあばら屋に、ひとりの老人が住んでいる。
彼の本当の名前を知る者はいないが、誰もが彼を「名人」と呼ぶ。彼は街一番の釣り名人なのだ。


いつものようにあばら屋を訪れると、
「何の用だ? うわっ、今は入ってくるな! シッシッ!!」
玄関先で、名人はやけに慌てている。おかしい……と思って奥の部屋を見ると、そこには薄衣一枚の若い女性が座っていた。
どうやら、名人もなかなか侮れないようだ……。
「わっ、バ、バカ者! 何を考えてやがる!!」
考えていたことが顔に出てしまったらしい。名人はさらに慌てる。奥の女性はこちらを向いて座り直し、軽く会釈した。そういえば、どこかで見たことがあるような……。


「またお会いしましたね」
彼女はいきなりそう切り出した。……そうだ。先日港で見かけた女性だ。
「お願いです、あなたがお持ちの宝石をお譲りいただけませんか?」
彼女が言っているのは、南の島の子どもから貰った不思議な石のことらしい。
「それを失くしてしまって、私はずっと帰れなかったのです。あなたがお持ちになっていても何の役にも立たないはず。どうかお譲りください」
確かに持っていても使い道が分からない。彼女に渡した。


彼女はそれを受け取ると、磯辺へ向かった。薄衣を脱ぎ捨てて腰まで海に入ると、石を高く掲げる。
……眩しい光が彼女を包んだ。はじめは何が起きたのか分からなかったが、よく見ると、彼女の下半身が魚のそれになっていることに気付いた。
「これで島に帰れます。ありがとうございました……」


「待ってくれ、クリスティ……」
名人は掠れた声で彼女に呼びかけた。
「そんなにオロオロなさらないで下さいな。トルク様、これをお受け取りください」
人魚のクリスティは、海の中から大きな巻き貝の殻を取り出した。
「これを使えばいつでもお話しできますわ。それに、また戻ってまいります。ご心配なさらないで……」


次に、クリスティは珊瑚でできた小さな竪琴を取り出した。
「あなたにはこれを差し上げます。もし私たちの島に立ち寄られることがありましたら、これを奏でてください。今回のお礼に、特別にご案内いたししますわ。あ、そうそう。いらっしゃる時には嘘つきの幽霊船にお気をつけくださいね。
……トルク様もいらっしゃればいいのに」
名人はとんでもないと頭を振った。
「俺はここがわりと気に入っている。それに、万が一他の人魚に気が移るようなことがあったら、お前に血を抜かれてしまうのだろう?」
「うふふ……。そうですわね」
人魚のクリスティは満足そうな笑みを浮かべ、大きく水面で跳ねてから海の中に消えた。


7Gp手に入れた。
10Exp手に入れた。
珊瑚の竪琴を手に入れた!



街外れの磯辺にあるあばら屋に、ひとりの老人が住んでいる。
彼の本当の名前を知る者はいないが、誰もが彼を「名人」と呼ぶ。彼は街一番の釣り名人なのだ。


「何の用だ?」
名人が海から釣り上げるのは、魚だけではないという。
そんな噂を聞いたことを話すと、老人は顔じゅうの深い皺をさらに深くした。笑ったのだろうか。それとも、怒ったのだろうか……?


「冒険者か……。いいだろう、ついて来い」
巨大な竿を担いだ名人について、岩場に向かった。


「ダメだな、今日は……」
なかなかの大物が釣れたが、名人はどうも不満げだ。
「コイツはお前にやる。酒場にでも持っていけば捌いてくれるだろう」


22Gp手に入れた。
1Exp手に入れた。
魚:タチウオを手に入れた!
2005年11月01日(火) 13:46:12 Modified by lunatic_dog




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