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シュールとスカシ 「ツッコまない」という選択肢
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シュールとスカシ 「ツッコまない」という選択肢 
「シュール」の意味は色々あるでしょうが、筆者は「ボケが分かりにくいにもかかわらず、それに対応するフリもツッコミも弱いあるいは無い」状態であると考えています。
ボケはズレがあることが受け手に認識・理解されなければ成立しません。そのための補助手段がフリやツッコミです。なおフリやツッコミがなくてもボケだということが容易に分かるボケもあります。それは、よく見る、定型性のあるボケです。眼鏡を自分の頭の上に乗っけておきながら「メガネどこ〜？」と聞いて回るというようなものです。こういったボケを「ベタ」と形容します。
こういった分かりやすいベタなボケでもなく、かといってフリによってズレの存在が際立たされているわけでもないのに、ツッコミが強く為されていないまま放置されている状況をシュールと定義します。ツッコミの強さには、量的な強さと質的な強さがあります。量的な強さとは、複数のボケがされている場合に、これをいくつ拾っているかという点から決まります。質的な強さは、語調や語気などの強さから決まります。
この定義は巷における「シュール」の定義とはずれる部分もあるかもしれませんが、本書ではその齟齬も厭わずこのような意味で定義します。実際のところ、この定義は日常的な語彙としての「シュール」にほとんど合致すると筆者は考えています。
例
Ａのボケに対するＢのツッコミとして、以下の３パターンを考えます。
Ａが生ぜしめているズレは大小２つあります。「読める」と言っておきながらスラスラ読めていないのが小さいズレです。そもそも役立ちそうもない技能だというのが大きなズレです。
�，蓮�強いツッコミです。大小２つのズレを両方とも逐語的に拾っているという意味で量的に強く、エクスクラメーションマークがついて語気強く追及しているという意味で質的にも強いです。
�△麓紊ぅ張奪灰澆任后Ｂ腓�なズレにしか触れていません。加えて小さな声で言っているだけです。
��はツッコミがなく、ボケがボケっぱなしのまま放置されている状態です。
この中では、�↓�がシュールに分類されます。もっともどのくらい弱ければシュールになるかの判断はかっちりとできるものではないので、��程度の弱さではシュールにならないという判断もありえないではないです。別の見方をすれば、シュールにも程度があるということで、ツッコミが弱い、ボケ自体が難解である等の理由でボケがより分かりにくければにくいほど、シュールの程度も強いということになります。
さて、シュールは分かりにくいボケをツッコミで補わないまま放置するものです。デメリットこそあれ、メリットはないのではないかとお思いの方もいるでしょうが、シュールにははっきりとメリットがあります。
シュールのメリットは、基準状態をいじることで炙り出すことができます。「分かりにくいボケにはツッコミがされるのが普通である」というのを基準状態だと考えれば、「分かりにくいボケなのにツッコミよって補わないまま放置している」というズレをシュールは提供していることになります。ボケ自体が提供しているズレに加えて、このメタなズレをも楽しむのがシュールの醍醐味ということになります。
ただし当然ボケが分かりにくくなるというのはデメリットであります。ゆえにシュールと非シュールは完全に一長一短であり、どちらが優れているということはありません。基本的には、受け手の好みの問題でしょう。
ただし、以下の二点が指摘できます。
第一に、ともすれば受け手がボケを理解できないという状態に陥りがちやすいシュールについては、お笑いに多く触れており、ズレの存在や内容を見抜く力が高い人により好まれる傾向にあると言えます。お笑いに多く触れている人は、普通にツッコミが為されるような笑いについては食傷気味であることも多く、この点もシュールを好む傾向に拍車をかけます。
そして、お笑いのプロというのは通常お笑いに多く触れている人であります。ゆえにプロはシュールな芸を好む傾向にありますが、だからといって自分の好みばかりを優先して、お笑いに多く触れているわけではない一般人相手のコンテンツにおいて、シュールを前面に押し出すことのないよう注意する必要があります。
またシュールを行うにしても、お笑いに多く触れているわけではない人が受け手に多いという場合は、何らかの形でその理解を助ける措置を施しておく必要があるでしょう。フリとツッコミという補助手段は、弱いものに止まっていればそれはシュールであるため、程度を弱めた形で入れておくことは可能です。
第二に、シュールのメリットである「分かりにくいボケなのにツッコミよって補わないまま放置している」というズレは、ワンパターンなズレです。シュールもボケ自体のズレによる差別化は可能ですが、メリットとして強調されるべきもうひとつのズレがワンパターンである以上、ボケのズレを工夫しないと、飽きやすいという傾向があるといえます。
ただし、ボケのズレを工夫しないと飽きやすくなるのは、きちんとツッコミを入れる非シュールでも同じです。シュールにしろ非シュールにしろ、ボケのパターンを豊富に用意するべきだということでしょう。あるいはツッコミのやり方や強弱を変えるという方法でも差別化は可能です。
シュールにしろ非シュールにしろ同じなのになぜ敢えて飽きやすいということを強調したかといえば、シュールにおいては、「シュール」という一風変わった作風に甘んじて、同じようなパターンが繰り返されるきらいがあり、この点に釘を刺したかったからです。
ちなみに、よくシュールと併置される「スカシ」は、シュールの一形態であると筆者は考えています。スカシとは、ツッコミと目される人物がいるにもかかわらず、分かりにくいボケをツッコミがないあるいは弱いまま放置するという形態のシュールです。この用語法も従来の意味の「スカシ」とは異なる可能性がありますが、本書ではこのような意味で定義します。当然スカシ以外のシュールも観念でき、それはツッコミと目される人物がいない状態で、分かりにくいボケが放置されている状態です。
両者の違いは、ツッコミと目される人物がいるかどうかです。先の例は、Ｂがツッコミ役として観念されていたため、シュールの中でもスカシに当たるものです。ではこの例からＢの存在を消し去ってＡの独白にしてみましょう。
どうでしょうか。Ｂはいようがいまいがシュールであることに変わりはないのですが、先程の例よりシュールになった（シュールの程度が増した）と感じる人が多いのではないでしょうか。
スカシというのは、原義からすればツッコミがツッコミをせずにボケをすかすということであるため、ツッコミがいるにもかかわらずツッコミが為されないということで、これは本書のシュールの定義そのものです。
スカシにおいては、ツッコミと目される人物が通常は先行する別のボケにおいてはちゃんとツッコんでいるため、これがフリの役割を果たし、ツッコまれなかったボケにおいて「ツッコむべきボケでツッコミが為されていない」というズレを知覚するのが容易になります。このようなフリはない場合もありますが、その場合でも、ツッコミと目される人物が存在はしている以上、全く存在しない場合よりは「ツッコむべきボケでツッコミが為されていない」というズレを知覚するのは容易になります。そのために分かりやすさが増して、シュールの程度は減退するのです。これに比して、スカシ以外のシュールにおいては、ツッコミ役らしき人物がそもそもいないため、「ツッコミがされていない」というズレを理解するのがより困難になり、シュールさがより増すことになるわけです。
さて、筆者もシュールな笑いが好きなので、ここでシュールに興味を持った読者のためにシュールな笑いをいくつか紹介しておきます。シュールは何度も述べた通り分かりにくいものであるため、これを好むのは残念ながら少数派です。筆者と好みを共通にする人がこれ以降の紹介によって少しでも増えてくれれば幸甚の至りではありますが、けしてメジャーな分野に陥ってほしくはないというのがシュール好きのひねくれた特性でもある気がします。
漫画としては、結構例がありますが、とりあえず吉田戦車先生の「伝染るんです」と和田ラヂヲ先生を推しておきます。ラヂヲ先生の作品はなんでもよいですが、「和田ラヂヲのここにいます」「和田ラヂヲの嫁に来ないか？」「ラブラドール・和田ラヂヲ」などが穏当なところです。逆に戦車先生は作品によって善し悪しが激しいので、「伝染るんです」をまずは繙くべきです。
戦車先生の作品は弱いツッコミが為されている場合も多く、シュールにあまり触れていない人にも通ずる爆発力がありますが、最近の作品では普通にツッコミが為されるようになってしまっているため、先生の良さが見事にスポイルされています。ファンとしてもこのようなことを言うのは心苦しいのですが、先生のシュールが好きだからこそ、「伝染るんです」への回帰を期待して、敢えて厳しいことを述べておきます。ラヂヲ先生の作品は戦車先生のほどの爆発力はないですが、ツッコミは一切なされていないことも多く、シュールさという点では一貫・安定しています。
動画であれば、「ダウンタウンのごっつええ感じ」がいいでしょう。ＤＶＤが出ています。この番組のコントは、松本さんの突拍子もないボケに対して、共演者が戸惑ったままツッコミが為されずにどんどん進んでいくというシュールなパターンが非常に多いです（浜田さんが共演者としている場合は、ツッコミが為されるパターンも散見されます）。キャシィ塚本という料理研究家のコントはその典型例でしょう。この番組は、現在でも復活してほしい番組としてよく名前が挙げられるものですが、シュールな内容である以上そこまで万人受けするものではありません（筆者もまだ頑是ない時分に見たときは何がおもしろいのか分かりませんでした）。ここまでよく名前が挙がるのは、シュールな笑いが好きな少数派の欲求をこれほど高度なレベルで満たす番組が、「ごっつ」以降は現れていないからだと考えられます。万人受けするような非シュールの笑いを提供する番組は、過去にも現在にも存在するため、わざわざ過去の番組を復活させなくても、現在の番組を見ることで代替できます。ところが「ごっつ」については、これにとって代わるような番組が現れなかったのでしょう。
※最後にひとつ。これはまだ筆者の印象論の域を出ませんが、アメリカのコメディは、日本のものとは異なり、ツッコミが為されないのが普通であるような気がします。漫才という文化がなかったからではないかという仮説がひとつありますが、この印象の真偽を含め、詳細ははっきりしていません。
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ボケはズレがあることが受け手に認識・理解されなければ成立しません。そのための補助手段がフリやツッコミです。なおフリやツッコミがなくてもボケだということが容易に分かるボケもあります。それは、よく見る、定型性のあるボケです。眼鏡を自分の頭の上に乗っけておきながら「メガネどこ〜？」と聞いて回るというようなものです。こういったボケを「ベタ」と形容します。
こういった分かりやすいベタなボケでもなく、かといってフリによってズレの存在が際立たされているわけでもないのに、ツッコミが強く為されていないまま放置されている状況をシュールと定義します。ツッコミの強さには、量的な強さと質的な強さがあります。量的な強さとは、複数のボケがされている場合に、これをいくつ拾っているかという点から決まります。質的な強さは、語調や語気などの強さから決まります。
この定義は巷における「シュール」の定義とはずれる部分もあるかもしれませんが、本書ではその齟齬も厭わずこのような意味で定義します。実際のところ、この定義は日常的な語彙としての「シュール」にほとんど合致すると筆者は考えています。
例
Ａのボケに対するＢのツッコミとして、以下の３パターンを考えます。
Ａが生ぜしめているズレは大小２つあります。「読める」と言っておきながらスラスラ読めていないのが小さいズレです。そもそも役立ちそうもない技能だというのが大きなズレです。
�，蓮�強いツッコミです。大小２つのズレを両方とも逐語的に拾っているという意味で量的に強く、エクスクラメーションマークがついて語気強く追及しているという意味で質的にも強いです。
�△麓紊ぅ張奪灰澆任后Ｂ腓�なズレにしか触れていません。加えて小さな声で言っているだけです。
��はツッコミがなく、ボケがボケっぱなしのまま放置されている状態です。
この中では、�↓�がシュールに分類されます。もっともどのくらい弱ければシュールになるかの判断はかっちりとできるものではないので、��程度の弱さではシュールにならないという判断もありえないではないです。別の見方をすれば、シュールにも程度があるということで、ツッコミが弱い、ボケ自体が難解である等の理由でボケがより分かりにくければにくいほど、シュールの程度も強いということになります。
さて、シュールは分かりにくいボケをツッコミで補わないまま放置するものです。デメリットこそあれ、メリットはないのではないかとお思いの方もいるでしょうが、シュールにははっきりとメリットがあります。
シュールのメリットは、基準状態をいじることで炙り出すことができます。「分かりにくいボケにはツッコミがされるのが普通である」というのを基準状態だと考えれば、「分かりにくいボケなのにツッコミよって補わないまま放置している」というズレをシュールは提供していることになります。ボケ自体が提供しているズレに加えて、このメタなズレをも楽しむのがシュールの醍醐味ということになります。
ただし当然ボケが分かりにくくなるというのはデメリットであります。ゆえにシュールと非シュールは完全に一長一短であり、どちらが優れているということはありません。基本的には、受け手の好みの問題でしょう。
ただし、以下の二点が指摘できます。
第一に、ともすれば受け手がボケを理解できないという状態に陥りがちやすいシュールについては、お笑いに多く触れており、ズレの存在や内容を見抜く力が高い人により好まれる傾向にあると言えます。お笑いに多く触れている人は、普通にツッコミが為されるような笑いについては食傷気味であることも多く、この点もシュールを好む傾向に拍車をかけます。
そして、お笑いのプロというのは通常お笑いに多く触れている人であります。ゆえにプロはシュールな芸を好む傾向にありますが、だからといって自分の好みばかりを優先して、お笑いに多く触れているわけではない一般人相手のコンテンツにおいて、シュールを前面に押し出すことのないよう注意する必要があります。
またシュールを行うにしても、お笑いに多く触れているわけではない人が受け手に多いという場合は、何らかの形でその理解を助ける措置を施しておく必要があるでしょう。フリとツッコミという補助手段は、弱いものに止まっていればそれはシュールであるため、程度を弱めた形で入れておくことは可能です。
第二に、シュールのメリットである「分かりにくいボケなのにツッコミよって補わないまま放置している」というズレは、ワンパターンなズレです。シュールもボケ自体のズレによる差別化は可能ですが、メリットとして強調されるべきもうひとつのズレがワンパターンである以上、ボケのズレを工夫しないと、飽きやすいという傾向があるといえます。
ただし、ボケのズレを工夫しないと飽きやすくなるのは、きちんとツッコミを入れる非シュールでも同じです。シュールにしろ非シュールにしろ、ボケのパターンを豊富に用意するべきだということでしょう。あるいはツッコミのやり方や強弱を変えるという方法でも差別化は可能です。
シュールにしろ非シュールにしろ同じなのになぜ敢えて飽きやすいということを強調したかといえば、シュールにおいては、「シュール」という一風変わった作風に甘んじて、同じようなパターンが繰り返されるきらいがあり、この点に釘を刺したかったからです。
ちなみに、よくシュールと併置される「スカシ」は、シュールの一形態であると筆者は考えています。スカシとは、ツッコミと目される人物がいるにもかかわらず、分かりにくいボケをツッコミがないあるいは弱いまま放置するという形態のシュールです。この用語法も従来の意味の「スカシ」とは異なる可能性がありますが、本書ではこのような意味で定義します。当然スカシ以外のシュールも観念でき、それはツッコミと目される人物がいない状態で、分かりにくいボケが放置されている状態です。
両者の違いは、ツッコミと目される人物がいるかどうかです。先の例は、Ｂがツッコミ役として観念されていたため、シュールの中でもスカシに当たるものです。ではこの例からＢの存在を消し去ってＡの独白にしてみましょう。
どうでしょうか。Ｂはいようがいまいがシュールであることに変わりはないのですが、先程の例よりシュールになった（シュールの程度が増した）と感じる人が多いのではないでしょうか。
スカシというのは、原義からすればツッコミがツッコミをせずにボケをすかすということであるため、ツッコミがいるにもかかわらずツッコミが為されないということで、これは本書のシュールの定義そのものです。
スカシにおいては、ツッコミと目される人物が通常は先行する別のボケにおいてはちゃんとツッコんでいるため、これがフリの役割を果たし、ツッコまれなかったボケにおいて「ツッコむべきボケでツッコミが為されていない」というズレを知覚するのが容易になります。このようなフリはない場合もありますが、その場合でも、ツッコミと目される人物が存在はしている以上、全く存在しない場合よりは「ツッコむべきボケでツッコミが為されていない」というズレを知覚するのは容易になります。そのために分かりやすさが増して、シュールの程度は減退するのです。これに比して、スカシ以外のシュールにおいては、ツッコミ役らしき人物がそもそもいないため、「ツッコミがされていない」というズレを理解するのがより困難になり、シュールさがより増すことになるわけです。
さて、筆者もシュールな笑いが好きなので、ここでシュールに興味を持った読者のためにシュールな笑いをいくつか紹介しておきます。シュールは何度も述べた通り分かりにくいものであるため、これを好むのは残念ながら少数派です。筆者と好みを共通にする人がこれ以降の紹介によって少しでも増えてくれれば幸甚の至りではありますが、けしてメジャーな分野に陥ってほしくはないというのがシュール好きのひねくれた特性でもある気がします。
漫画としては、結構例がありますが、とりあえず吉田戦車先生の「伝染るんです」と和田ラヂヲ先生を推しておきます。ラヂヲ先生の作品はなんでもよいですが、「和田ラヂヲのここにいます」「和田ラヂヲの嫁に来ないか？」「ラブラドール・和田ラヂヲ」などが穏当なところです。逆に戦車先生は作品によって善し悪しが激しいので、「伝染るんです」をまずは繙くべきです。
戦車先生の作品は弱いツッコミが為されている場合も多く、シュールにあまり触れていない人にも通ずる爆発力がありますが、最近の作品では普通にツッコミが為されるようになってしまっているため、先生の良さが見事にスポイルされています。ファンとしてもこのようなことを言うのは心苦しいのですが、先生のシュールが好きだからこそ、「伝染るんです」への回帰を期待して、敢えて厳しいことを述べておきます。ラヂヲ先生の作品は戦車先生のほどの爆発力はないですが、ツッコミは一切なされていないことも多く、シュールさという点では一貫・安定しています。
動画であれば、「ダウンタウンのごっつええ感じ」がいいでしょう。ＤＶＤが出ています。この番組のコントは、松本さんの突拍子もないボケに対して、共演者が戸惑ったままツッコミが為されずにどんどん進んでいくというシュールなパターンが非常に多いです（浜田さんが共演者としている場合は、ツッコミが為されるパターンも散見されます）。キャシィ塚本という料理研究家のコントはその典型例でしょう。この番組は、現在でも復活してほしい番組としてよく名前が挙げられるものですが、シュールな内容である以上そこまで万人受けするものではありません（筆者もまだ頑是ない時分に見たときは何がおもしろいのか分かりませんでした）。ここまでよく名前が挙がるのは、シュールな笑いが好きな少数派の欲求をこれほど高度なレベルで満たす番組が、「ごっつ」以降は現れていないからだと考えられます。万人受けするような非シュールの笑いを提供する番組は、過去にも現在にも存在するため、わざわざ過去の番組を復活させなくても、現在の番組を見ることで代替できます。ところが「ごっつ」については、これにとって代わるような番組が現れなかったのでしょう。
※最後にひとつ。これはまだ筆者の印象論の域を出ませんが、アメリカのコメディは、日本のものとは異なり、ツッコミが為されないのが普通であるような気がします。漫才という文化がなかったからではないかという仮説がひとつありますが、この印象の真偽を含め、詳細ははっきりしていません。
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