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完全にネタバレをします。ミステリーなので、本稿を読むのは作品の読了後をお勧めします。
どんでん返しの作品だという評判を仕入れたので読んでみました。
主人公かつ語り手の椎名という大学生が、初対面の河崎という青年から本屋強盗を提案されるところから物語は始まります。
その後本作は現在と2年前を交互に描きながら、この河崎という男が何者で、過去にどういうことがあって、この本屋強盗がどういう目的で行われているのかがだんだん分かっていくという作りになっています。河崎を始め揚げ足取りみたいなしゃべり方をする人が多いので、一番大事な結末部分も誤魔化されるのではないかという不安に若干襲われるのですが、前述のどんでん返しと、それなりに納得のできる結末がちゃんと用意されています。
ただミステリーで一番大事な人死にの事件が終盤まで起きないので、読み進めるための原動力に乏しいと思いました。登場人物たちの会話はよく言えば軽妙洒脱であり、2年前パートの方に現在パートに活きてくる伏線が細かく執拗に張り巡らされてはいますが、ほとんどは「伏線のための伏線」に過ぎず、それ自体として見ればさほどおもしろいものではありません。現在パートで伏線が回収された時に「おっ、これ2年前パートでも同じことを言ってたな」という小規模な感動が起きるだけで終わりです。軽妙洒脱な会話だけで誤魔化されるものではありません。
まあ作者・伊坂幸太郎先生の他の作品は読んだことがないので断言はできませんが、作家性は十全に出ていると思います。
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どんでん返しの作品だという評判を仕入れたので読んでみました。
主人公かつ語り手の椎名という大学生が、初対面の河崎という青年から本屋強盗を提案されるところから物語は始まります。
その後本作は現在と2年前を交互に描きながら、この河崎という男が何者で、過去にどういうことがあって、この本屋強盗がどういう目的で行われているのかがだんだん分かっていくという作りになっています。河崎を始め揚げ足取りみたいなしゃべり方をする人が多いので、一番大事な結末部分も誤魔化されるのではないかという不安に若干襲われるのですが、前述のどんでん返しと、それなりに納得のできる結末がちゃんと用意されています。
ただミステリーで一番大事な人死にの事件が終盤まで起きないので、読み進めるための原動力に乏しいと思いました。登場人物たちの会話はよく言えば軽妙洒脱であり、2年前パートの方に現在パートに活きてくる伏線が細かく執拗に張り巡らされてはいますが、ほとんどは「伏線のための伏線」に過ぎず、それ自体として見ればさほどおもしろいものではありません。現在パートで伏線が回収された時に「おっ、これ2年前パートでも同じことを言ってたな」という小規模な感動が起きるだけで終わりです。軽妙洒脱な会話だけで誤魔化されるものではありません。
まあ作者・伊坂幸太郎先生の他の作品は読んだことがないので断言はできませんが、作家性は十全に出ていると思います。
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