当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

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シェンムー

 の流れからやりましたよ。
 過去の失敗によく学んで、「龍が如く」みたいなおもしろいゲームができているのではないかと期待したからです。

 結論から言うと、この期待は無残に打ち砕かれました。良い意味でも悪い意味でも、良いところも悪いところも、前作と前々作のまんまだったのです。過去作で批判された点は「全然」と言っていいほど直っていませんでした。以下、箇条書きにします。

・グラフィックは、さすがにと比べると綺麗になってはいるが、他のグラフィックが売りのゲームには及びもつかない。少し古めかしさを感じる。
・前半はの最後にたどりついた白鹿村という集落、後半は鳥舞という川沿いの街が舞台となるが、鳥舞に移動してしまうと白鹿村には戻れない。2周目はできるが、「龍が如く」でいうところのプレミアムアドベンチャーみたいなフリーロームもない。白鹿村も鳥舞も、探索に「時限」のある舞台なのである。
・白鹿村も鳥舞もオープンワールドというほど広くはない。オープンワールドの中の一つの街ぐらいの広さしかない。
・全体地図を見る方法がない。まあ、舞台がそこまで広くないのでずっとウロウロしていれば大体頭には入るが。
・ゲーム内時間があり、街の外を探索できるのは概ね午前7時(鳥舞は午前8時)から午後9時までである。ゲーム内時間で午後9時になると強制的に拠点に戻される。ゲーム内時間はだいたいリアルタイムの1/15ぐらいなので、午前7時から午後9時までの14時間は、リアルタイムで56分ぐらいである。イベントやミニゲームを経ると結構な時間が消費されるので、体感はこれよりも短い。この仕様のせいで街をあんまり自由にウロウロできない。常に時間に追われている感じになる。
・一定時刻にならないと発生しないイベント等ももちろんある。メインストーリーに関わるものであればその時刻までジャンプさせることは可能であるが、そうでないもの(サブクエスト等)に関してはジャンプができないので、他のことをして時間をつぶすかただ待つかのいずれかを強いられる。「拠点で寝る」などといった他のゲームにはありそうな時間を進める手段は、ない。また他のことをして時間をつぶそうにも、ミニゲーム等をやっている間は時計を確認できないことも多々あり、いちいち途中で切り上げて現在時刻を確認する必要がある。
・デモやムービーは基本的に飛ばせない(QTE失敗後のリトライなど、いくつか例外はある)。そのうえフルボイスであり、登場人物がしゃべる速さもどことなくゆっくりである。主人公が「グルッパ」というガチャガチャを回したり買い物のために店員に話しかけたりするたびにこの飛ばせないフルボイスが入るので、テンポが非常に悪い。
・本作独自の仕様として、時間経過とともにだんだんHPが減っていく。走ると、減り方が激しくなる。HPが一定値以下になると走った時の減り方が更に激しくなり、満足に走れなくなる。街を探索するにも回復アイテムをいくつか持っておく必要があり、非常に煩わしい。自由な探索を大きく妨げる要素のひとつである。
・メニュー画面を開く際はR1ボタンを押す。タッチパッドとオプションボタンにはこのゲームでの出番はない。押しても何も起こらない。単なる慣れの問題だとは思うが、特殊なボタン配置のくせにキーコンフィグはない。
・生薬やら技書やら集め物は色々あるが、何を取得済みかを確認する手段に乏しい。生薬は生えていた現場に行って自分の目で見る以外の手段がない。技書は自分のインベントリを見れば確認はできるが、ソート等はできないうえに買い物の際にその技書を獲得済みかを同時に確認することはできない。いちいちインベントリを開く必要がある。これらを全て集めることで獲得できるトロフィーを狙う際は、細心の注意を払う必要がある。
・ストーリーはまだ完結していない。主人公の涼はでもあんだけ修行をしたのに、今作でもまだ色々な師匠から「未熟」と言われ、色々な敵キャラに伸されることになる。今後もこの展開が続くと、「初期の師匠は大した人ではなかったんじゃないか」という印象を植え付けられてしまう気がする。
・ストーリーの中身にも別に深みはない。ラスボスになるであろう藍帝がなぜ主人公の父を殺したのかという謎はの頃からずっと続いているわけだが、今作で大して進展するわけでもない。新たな謎が増えたりもしない。と同じく、聞き込みとお使いが中心の展開で終盤を除けば大したヤマもない。
・サブクエストも単純なお使いがほとんどで深みも何もあったもんじゃない。

 総じて、リアリティを出す部分を間違っていると思います。
 フィクションにおいてはリアリティが大事なのはその通りです。ただ現実世界には煩わしい要素も多々あるので、本作のようなエンターテインメントでその煩わしい要素まで再現するのはエンターテインメントの本質に悖る所業です。「動いているとだんだん腹が減る」というのも「夜になると拠点に戻らないといけない」というのも、現実世界では確かにそうなのでしょうが、ゲームというエンターテインメントでそこまで再現されても煩瑣なだけなのです。冷蔵庫を開けて牛乳を取り出すという動作までプレイヤーにやらせたゲームもありましたが、そんなことをやらされても楽しくないのです。プレイヤーが現実世界の嫌なところに目をつぶって快なる思いをできるのがエンターテインメントです。一定時間おきにトイレに行かなければならないゲームが楽しいと思いますか? リアリティを出すのであれば、きちんと「楽しい部分」だけを取捨選択しないといけないんですよ。

 作品の批判はともかく、あんまり作り手の批判はしたくないのですが、であんだけ非難された諸点が全然直っていなかったのには呆れかえりました。何も学んでいないんでしょうか。本作は前述のとおり未完なのですが、この出来だと4以降を出せるかどうかがかなり怪しいですよ。また20年足踏みすることになってもいいんですか?
 ネット上の攻略情報もさほど充実していないのは、本作がさほど売れなかったことの証左でしょう。まあもう、どうしようもないんですけどね。そのまんまのシェンムーを届けるために、敢えて賛否両論が巻き起こったの種々の特殊な仕様をそのまんま残したんだと思うことにしましょう。わざとこういう不可解な仕様にしたんだと思わないとやってられません。
 この20年の間にシェンムー以外のゲームはシェンムーを完全に抜き去ってしまいました。シェンムーは、最早過去の遺物になってしまっています。とはいえそのまんまなので、過去のシェンムーが好きだった人は楽しめると思います。
 そうでない人は……、他のゲームをやった方がいいでしょう。

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