高橋維新のページ

　1999年発売の「シルバー事件」というゲームのリメイクと2005年に携帯用アプリとして配信された「シルバー事件25区」を一つに合わせたゲームです。
　両者とも、お話を読むことがメインのADVです。主人公を動かせる展開はありますが、その比重は高くありません。

　肝腎のシナリオは……かなり好みが分かれると思います。私には全然ハマりませんでした。「近未来の感じがする日本のようなところ」が舞台で、背景や今作特有の専門用語の説明がほとんど為されず、思わせぶりな台詞回しや登場人物が裏切る展開がいっぱいで分からない読者を置いてけぼりにしたまま謎だけが増えてゆく脚本は、テレビ版のEVAに非常に似ていると思いました。そのEVAは「エロ」という釣り要素があったのでまだ楽しめたのですが、今作はそれも稀薄なので、私は読み進めるのが苦痛でした。多分わざとそういう作りにしているので、これ以上は何も言いません。「EVAみたいな思わせぶりでワケの分からない脚本」は十全にできていると思います。好きな人は好きみたいなので、これを読んでいるあなたもやってみればハマるかもしれません。

　今作では「フィルム・ウィンドウ」という演出を採用しています。これは画面内に漫画のコマのようなウィンドウを複数表示して、場面ごとにそれらの表示位置や大きさを変えていく手法です。こうやって言語化してもよく分からないと思いますので、現物に触れてみてください。ゲームでないとできない表現手法なので、ゲームで今作を出した意味はあったと思います。はい。

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