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ソニックフロンティア

 ソニックのオープンワールドゲームです。それなりに評判が良さそうだったので手を出してみました。

 実は、ソニックを本格的にプレイするのは初めてです。私のこれまでの経験としては、子どもの頃に2Dソニックの何かの作品を、ゲームショップの試遊台でやったことがあるのみでした。その時「私には合わない」という印象を抱いてしまったので、以来ずっと敬遠していました。なぜ「合わない」と思ったかといえば、私が貧乏性だからです。私は、基本的に目に入ったアイテムを全て手に入れながら進んでいきたいのです。しかしソニックの売りはスピード感であり、スピードを出すと落ちているリングの取りこぼしが大量に生じるのです。実はリングというのはシリーズ全体を通してそこまで重要なアイテムではないのですが(マリオシリーズのコインよりも価値は低いと思います)、それでも私は全て拾いたいのです。かといってソニックをゆっくり動かすことはままなりません。結果的に、私はソニックをやるとストレスの方が大きくなってしまうのです。

 本作でもそういう意味でのストレスが生じることはある程度覚悟していましたが、オープンワールドになったことでかなり軽減していました。オープンワールドで目に見えるアイテムを全て拾っているとキリがないということを私が学んでいたので、かなりの部分を無視しながら進めてもさほど心理的な抵抗が生じなかったことが大きいです。

 ここまでは私の個人的な話ですが、本作をもうちょっと客観的に見ると、オープンワールドとソニックというのは、主にビジュアル面であんまり食い合わせが良くなかったと思います。本作のオープンワールドは、狭めの島が5つある(別の島への移動はロードを挟みます)構成になっていますが、島それ自体は自然の風景が広がるオープンワールドになっています。他方でその島の中には、極彩色でカラフルなソニック的ギミック(レールやらバネやらリフトやら)が点在しており、それを使って移動するという仕組みになっているのです。この「自然とカラフルな人工物」という不思議な取り合わせが、微妙に没入感を削いでくる感は否めません。どうせなら、手つかずの自然でソニック的なパルクールアクションをしたかったと考えるのは贅沢でしょうか。ちなみにオープンワールド内のギミックにはカメラや進行方向が固定されるものも多々あり、あんまり自由な探索はできません。その点も、イライラを増す部分だと思います。
 戦闘要素もありますが、ソニックはあくまで「移動」が楽しいアクションゲームであり、ザコやボスとの戦闘もソニック的な移動アクション(逃げる敵を追いかけるだとか、巨大な敵を登っていくだとか)に重点を置いたものが多いです。しかし、移動の途中で落下したり敵にやられたりするとかなり前まで戻されることも多く、そのせいで結構やる気を削がれました。なぜなら、通常のアクションゲームにおけるボス戦と異なり、やり直しの場合にやらされることが「移動」でしかないからです。当然好みはあるかと思いますが、私は「移動」を何度もやるのは好みません。
 思い返してみれば、通常の移動においても、しくじって落下したりした場合にスタート地点まで走って戻らなければならない局面が多々ありました。これは、オープンワールドにしたことで生じた弊害だと思います。ソニックシリーズにおける高速移動が楽しいのは、リプレイの快適性に下支えされているからだと思います。要は、レースゲームと同じ楽しみ方なのです。しくじった時のリプレイが面倒くさくなるオープンワールドとの食い合わせは、やっぱり良くはないんだと思います。ちなみに従来のソニックと同じような一本道のパルクールステージ(2Dのものも3Dのものもあります)も何個も用意されています。こちらは、従来のソニックと同じような楽しみ方ができるようになっています。

 悪い点ばっかり書きましたが、ソニックを動かす楽しさは存分に味わえるので、貧乏性ゆえにソニックを敬遠していた人はやってみていいと思います。

 ちなみにストーリは一応ありますが、シリーズのキャラクター(テイルスとか、エッグマンとか)が何の説明もなしに登場するので、全く知識がないと理解が追い付かないと思います。そのうえ舞台設定に関してもあんまりちゃんとした説明はないので、私は早々に興味を失ってしまいました。ストーリーはあってないようなものだと考えた方がいいでしょう。
 

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