当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

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ドキドキ文芸部プラス!

 ビジュアルノベルの形式をとったよくある日本製ギャルゲー……の皮をかぶったサイコホラーです。ホラーの方向性は、ゾンビとか、クローズドサークルとか、暗いとか、そういう感じではなくて、説明が難しいですが、『世にも奇妙な物語』風とでも言えばいいでしょうか。ただ私は、『世にも奇妙な物語』を見たことはありません。
 タイトルには「プラス」と入っていますが、元はPC向けにリリースされた本編をリマスター化して若干の追加要素を盛り込んだものだそうです。私がやったのはPS5版です。

 開発したのは「Team Salvato」というアメリカのインディーズレーベルです。アメリカのレーベルながら、日本製ギャルゲーっぽさは存分に出せており、そのジャンルへの愛が伝わってきます。例えば4人のヒロインは、リーダーシップのある快活な部長・幼馴染・引っ込み思案の長髪巨乳・ピンク髪の幼女と、属性のツボを押さえています。といっても私はギャルゲーもエロゲーも1本もやったことがないので、結構適当に書いています。この手のゲームで大事な要素の一つに絵のクオリティがあるかと思いますが、基本的には申し分ありません。ただ、パッケージやCGのクオリティに比べると、会話の最中の立ち絵は少々「外国人のファンが真似した日本風アニメ絵」的な違和感を覚えます。ハイクオリティなパッケージ等々のイラストと比べると、若干の作画崩壊臭が立ち上るわけです。まあ、ギャルゲー要素はこのゲームのフリでしかないので、そこまで気にすることではありません。

 そうなんです。ギャルゲーはフリなのです。急に、ホラーになります。本当に急に来ます。千原ジュニアの表現を借りれば、鋭角に左折してきます。ここまで急だと感じるのは、フリのギャルゲーパートが「もういいよ」と言いたくなるぐらい、「あれ? これ本当はタダのギャルゲーなんじゃないの?」と勘違いしてしまうぐらい、長いからです。裏を返すと「長すぎてダレる」側面もあるわけですが、日常パートが長ければ長いほどホラーになった時の衝撃は大きくなるので、意図した演出だとは思います。『がっこうぐらし!』や『ソナチネ』や『ライフ・イズ・ビューティフル』を思い返してみてください。もっと卑近なところでは水曜日のダウンタウンの「人がいるシリーズ」でもいいと思います。ただ、私は『がっこうぐらし!』と『ソナチネ』は見たことがないので、適当にものを言っているということを忘れないでください。
 とはいえ、フリと本丸とのバランス配分は非常に難しいので、どうしても賛否両論はあるでしょう。

 ホラーの内容は、是非皆様に自分で体験して欲しいので、ここに詳述はしません。どんどん世界がバグっていきます。文字通り、バグっていきます。あの怪作『さよならを教えて』のようです。人間が作り出したAIが暴走して人間をどうにかしようとしてくるという意味では、SFチックな要素も持っています。そして、先程言ったように私はエロゲーを1本もやったことがないので、『さよならを教えて』もやったことはありません。もう忘れたんですか。

※私がギャルゲーやエロゲーをやったことがない理由は、ニーアの性的描写に腹を立てた理由と一緒です。
 エロゲーを抜き目的でやるのは、アダルトビデオを抜き目的で見るのと一緒でしょうから、理解ができます。私が抜き目的でエロゲーをやらないのは、単にアダルトビデオの方が好きだからです。そこは個人個人の性癖で好きな方を選べばいいと思います。
 ただ抜き目的以外でやるゲームにエロの要素が入ってくることについては、私は理解ができません。興奮したらゲームどころじゃなくなってしまうじゃないですか。まず抜かないと続きができなくなるではありませんか。ゲームへの集中力を削ぐだけの要素だと思うんですが、どうなんですか。そういうゲームが好きな人は、ちょいちょい抜きながらやってるんですか。それともずっとお預けの状態がたまらないという変態なんですか。どっちですか。


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