当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

×
作評トップ

ルビンの壺が割れた

 完全にネタバレをします。ネタバレされると台無しになるタイプの作品なので、本稿を読むのは作品の読了後をお勧めします。


















 文庫で170頁ほどの短い小説です。物語は、水谷一馬と未帆子のフェイスブック上におけるメッセージのやり取りという形で進んでいきます。読めるのは、2人が書いたメッセージだけです。2人は、30年弱前の大学時代に付き合っており、結婚まで約していたようですが、式の2日前に未帆子が姿を消し、それ以来疎遠になっていたというところまでは序盤で分かります。
 読み進めていくと、2人ともそれなりに衝撃的な過去を抱えていたことが分かります。この「過去」自体がかなりの内容なので、短さも相俟って週刊誌のゲスい記事を読むときのような野次馬根性で最後まで読み進めることはできます。
 とはいえ逆に言うと週刊誌のゲスい記事程度のおもしろさ(横領・浮気・近親相姦・性風俗店での勤務経験などなど)しかないということでしかありません。この過去について伏線はほとんど張られていないので、伏線が回収されるおもしろさも特にありません。未帆子が式の直前に姿を消した理由が分かるくらいですが、直接的な原因であろう水谷の殺人については、詳細が描写されていないのであまりスッキリはしません。また2人の過去が原因で現在何か新たな事件が起きているということもありません(一般的なミステリであれば、現在の事件を探っていく中でこういった衝撃的な過去が明らかになっていくものだと思われます)。ミステリから伏線と解決すべき現在の事件を差っ引いて関係者の過去だけを残したような作品です。
 まあ、前述の通りゴシップ的に楽しむことはできるのでそれでいいと言えばいいのではないでしょうか。

作評トップ

管理人/副管理人のみ編集できます

広告募集中