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原作小説は未読。
三浦春馬と吹石一恵の姉弟が、戦時中に飛行機乗りだった実の祖父・宮部久蔵(岡田准一)がどんな人物かを関係者への取材を通して明らかにしていく話。
役名ぐらい把握しておけってか。そうですか。
これだけ書くとすごくつまらなそうですが、おもしろいです。最後まで寝ずに見られました。
この姉と弟が取材を始めると、多くの人が宮部は臆病だというわけです。生きて内地に帰り、妻子に再会するためだけにひたすら戦闘を避けていた腰抜けだという話がたくさん出てくるわけです。
まあでもそれは、「国のために、勝利のために命を投げ出すやつが偉い」という価値観が国を挙げて全国民に内面化させられていたあの時代に、怜悧に冷静に「この戦争に勝ち目はないから無駄死にするより生き残ったほうがいい」と自分の頭で見極め、その価値観に真っ向から反する生き方を孤独に貫くことであって、それはとても強い人じゃないとできないのだ、祖父はそういうことができる(それだけでなくその生き方を周りの他人にも及ぼすことができる)とても強い人間だったのだ、という話。多分、戦争映画ではよくあるテーマ。
筆者の内面化理論からいうとそういうことです。ピンと来ない方は委員会一代記の第6章を読んでみましょう。宮部は、委員会でいうところのΔさんや石毛さんのような強いお人だったのです。
ずっとこの生き方をブレずに貫いていた宮部も、最後は特攻で命を落としてしまいます。戦局が悪化して経験を積んだパイロットがどんどん失われていく中、熟練パイロットとして珍しく生き残っていた宮部は、特攻にいく飛行機乗り達の教官(と特攻時の護衛)という仕事をしていました。しかし、自分の教え子たちが次々と可惜若い命を散らしていく(他方で自分はのうのうと生き長らえている)という状況に我慢ができなくなり、自分の命と引き換えに教え子の命を救うという決断をしたわけです。最後は結局自己犠牲のセンチメンタリズムなんですが、感動的なので陳腐だろうとなんだろうと別にいいです。ただ、宮部が生き抜くというエンディングも見てみたかった気はするわけです。自己犠牲で感動を呼び起こすのは誰でもできるので、宮部生存エンドで感動を呼び起こすのがプロの腕なんじゃないでしょうか。ううむ。あと、自己犠牲のセンチメンタリズムってどういう意味ですか?
CGは、「あっ、ここはCGを使っているな」とはっきり分かる程度のクオリティですが、あまり気になりません。多分ホンと芝居がちゃんとしてるから。
あと
三浦春馬は、司法試験浪人を3、4年やっているという設定ですが、浪人のくせに祖父の宮部のことを一生懸命調べていたら、そのことを司法試験にもう合格している友人達に馬鹿にされるというシーンがあります。あるんですが、司法試験合格者をあんな馬鹿っぽく描いてほしくなかったです。
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三浦春馬と吹石一恵の姉弟が、戦時中に飛行機乗りだった実の祖父・宮部久蔵(岡田准一)がどんな人物かを関係者への取材を通して明らかにしていく話。
役名ぐらい把握しておけってか。そうですか。
これだけ書くとすごくつまらなそうですが、おもしろいです。最後まで寝ずに見られました。
この姉と弟が取材を始めると、多くの人が宮部は臆病だというわけです。生きて内地に帰り、妻子に再会するためだけにひたすら戦闘を避けていた腰抜けだという話がたくさん出てくるわけです。
まあでもそれは、「国のために、勝利のために命を投げ出すやつが偉い」という価値観が国を挙げて全国民に内面化させられていたあの時代に、怜悧に冷静に「この戦争に勝ち目はないから無駄死にするより生き残ったほうがいい」と自分の頭で見極め、その価値観に真っ向から反する生き方を孤独に貫くことであって、それはとても強い人じゃないとできないのだ、祖父はそういうことができる(それだけでなくその生き方を周りの他人にも及ぼすことができる)とても強い人間だったのだ、という話。多分、戦争映画ではよくあるテーマ。
筆者の内面化理論からいうとそういうことです。ピンと来ない方は委員会一代記の第6章を読んでみましょう。宮部は、委員会でいうところのΔさんや石毛さんのような強いお人だったのです。
ずっとこの生き方をブレずに貫いていた宮部も、最後は特攻で命を落としてしまいます。戦局が悪化して経験を積んだパイロットがどんどん失われていく中、熟練パイロットとして珍しく生き残っていた宮部は、特攻にいく飛行機乗り達の教官(と特攻時の護衛)という仕事をしていました。しかし、自分の教え子たちが次々と可惜若い命を散らしていく(他方で自分はのうのうと生き長らえている)という状況に我慢ができなくなり、自分の命と引き換えに教え子の命を救うという決断をしたわけです。最後は結局自己犠牲のセンチメンタリズムなんですが、感動的なので陳腐だろうとなんだろうと別にいいです。ただ、宮部が生き抜くというエンディングも見てみたかった気はするわけです。自己犠牲で感動を呼び起こすのは誰でもできるので、宮部生存エンドで感動を呼び起こすのがプロの腕なんじゃないでしょうか。ううむ。あと、自己犠牲のセンチメンタリズムってどういう意味ですか?
CGは、「あっ、ここはCGを使っているな」とはっきり分かる程度のクオリティですが、あまり気になりません。多分ホンと芝居がちゃんとしてるから。
あと
三浦春馬は、司法試験浪人を3、4年やっているという設定ですが、浪人のくせに祖父の宮部のことを一生懸命調べていたら、そのことを司法試験にもう合格している友人達に馬鹿にされるというシーンがあります。あるんですが、司法試験合格者をあんな馬鹿っぽく描いてほしくなかったです。
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