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禁忌の子

 完全にネタバレをします。ミステリーなので、本稿を読むのは作品の読了後をお勧めします。


















 物語は、救急医の主人公・武田航が自分と瓜二つの死体と病院で邂逅する場面から始まります。死体とはいっても病院に運ばれてきたものなので、厳密に言うと一定の救命措置を施した後で、死亡が確認されたという流れです。
 著者の山口未桜先生は、現役の医師だそうです。救命措置や職場としての院内の描写は、微に入り細を穿っています。私が病院の現場のリアルを知らないのでリアリティがあるのかどうかの判断はできませんが、医療関係者しか使わなさそうな専門用語の略語が飛び交う様子は、かなり現場の雰囲気を出せている感じがします。

 さて、瓜二つの他人という本作の導入を読んだ時点で、読者が疑うのは双子やクローンでしょう。その疑いは、はっきり言えば間違っていません。そういう意味では本作の真相は、想像のつく範囲のものをベースにしています。ただ、そのあたりの事実関係は中盤までには分かることであり、あくまで「ベース」に過ぎません。本作はそのベースに更に味付けとひねりを加えて読者の予想を裏切ってきます。『禁忌の子』というタイトルもダブルミーニングになっており、中盤までに読者が予想する結末を裏切るためのギミックになっています。

 あんまり詳細を説明したくないのは、本作がおもしろかったからです。是非ご一読ください。

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