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大逆転裁判シリーズ


 2を終えました。このほど。

 弁護士になって逆転裁判シリーズをプレイすると現実の裁判制度との違いが「粗」として目についてしまうというのは述べたことがありますが、大逆転裁判シリーズで舞台になっているのは19世紀の日本とイギリスであるため、「当時の法廷なら現代日本の法廷とは違うだろうからこんなもんなのだろう」とまだ自分を納得させることができます。だから19世紀を舞台にしたのかどうかは知りませんが、そもそも、弁護士みたいな少数派の顧客の意見なんか無視していればよろしいでしょう。

 で、大逆転裁判の1に関しては続編ありきの終わり方だったことが批判の的になっていました。客はその作品だけで完結するもんだと考えてそれを買っているわけでしょうから、続編を買わないと(=追加で出費をしないと)完結を見ることができないというのは、詐欺にも類する部分があるからです。まあでも、2の大団円っぷりを目の当たりにしたら大体は許せそうな空気に自分の中でなりました。

 お話自体は、元祖の逆転裁判を髣髴とさせる、非常に複雑で前後に何重にも絡み合った作りです。話が進んでいくにつれて第1話から最終話までの事件が全て連関していることが段々と明らかになっていくストーリーには非常に引き込まれるものがあります。「おもしろいストーリーを作るときは、過去の事件を現代に絡ませる」という鉄則を忠実に守っているということでしょう。まあでも、散々逆転裁判シリーズをやってきた筆者はこの脚本の運びにも多少食傷気味だというのが正直なところです。

 とはいえ、おもしろいからいいんじゃないですか? シリーズのファンは手を出して損はないと思いますよ。1をリアルタイムでやった身としては2をやる時点で1の事件の内容をほとんど忘れてしまっていましたが、それほど苦にはなりません。

※追記
 筆者はあまりストーリーの粗探しをしながらゲームをやる方ではないので、特に目立った粗は見つけられませんでした。でも、あれだけ色々と複雑に絡み合っているストーリーなので、年表でも作りながら細かく分析すると粗は出てくるのやも知れません。そういうのは、お暇な人がやればよろしいかと思います。
 ただ筆者が一つだけ気になったのは、3話です。3話では、被告人の科学者ベンジャミン・ドビンボーが、自ら練り上げた瞬間移動の理論をもとにそれを実現する装置の作製を機械技師のイーノック・ドレッバーに依頼したことが事件の発端になっているわけですが、劇中の設定としては、ドビンボーの瞬間移動理論は科学的に実現不可能なもので、ドレッバーが実際に作った機械も単に瞬間移動をしたような手品を見せる装置に過ぎなかったということになっています。ここは、非常に腑に落ちません。作中では「ドレッバーは機械を作っただけ」という説明がされますが、ドビンボーが自分の理論の内容を説明しないとそれを実現する機械も作りようがないと思うのです。そして、本当に不可能な理論であれば説明をする段階で、それを実現するための機械の仕様を考えていく段階でドビンボーはそれに気が付くと思うのです。自分の理論の不完全性に気が付かない科学者というのはよくありそうですが、この「理論」の内容が劇中では全く説明されないので、ドビンボーのこの勘違いがどれくらいあり得るものなのかが掴めません。そもそも、瞬間移動を実現するような最先端の実験装置の製作を機械技師に丸投げしているというのが信じられないところです。作る段階でもっと自分で口出しをする必要があるでしょうし、本当は単なる手品の道具だということに気が付かないままドビンボーがそれを稼働させているのも不思議です。ドビンボーが自分の理論や装置の欠陥に気が付かないアホに見えて、非常にフワフワした感覚を覚えます。ここはもうちょっと、説明をしてほしいところでした。

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