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ダンガンロンパシリーズの製作陣が送る完全新作推理アドベンチャーです。タイトルに「プラス」と入っているのはSwitch版に若干の新要素を足してPS版としたからのようです。この新要素は本当に若干でしかないので、無印との違いをあまり意識しなくてもいいと思います。
ゲームは全6章構成になっており、ダンガンロンパのように各章で殺人事件が起きるので、それを解決していく内容になっています。そしてこれもシリーズ恒例ですが、全ての殺人事件はもっと大きな事件の「枝葉」の部分であり、最終的に一番の闇への対峙と収束していくストーリーになっています。アクの強いキャラクターが大量に登場し、そのデザインもダンガンロンパシリーズと同じく小松崎類先生が手掛けているので、雰囲気はもろにダンガンロンパです。
良くないのは、ゲーム性についてもダンガンロンパを受け継いでしまったことでしょう。本作の真相解明パートは「謎迷宮」という名のダンジョンを攻略するシステムになっていますが、攻略中にダンガンロンパの学級裁判でもやらされたような特に新規性もなく面白味も稀薄なミニゲームの数々を強制的にやらされます。種類だけは結構数がありますが、全部がさしておもしろくないです。そのうえ謎迷宮のボリュームを水増しするためなのかこちらがとっくに通り過ぎた初歩的な段階の推理について議論をさせられることも多く、テンポが悪いです。ただ歩くだけの時間が長いことや、全体的な演出のくどさ(同じようなものを何回も見せられるうえに、スキップしてもロードが長いです)もテンポの悪さを助長しています。ここは、はっきりと直した方がいいところでしょう。
とはいえ本シリーズで一番大事なのはゲーム性ではなくストーリーです。
まず最序盤の引き込みは、賛否両論あるのも分かりますが、私は肯定的に捉えています。本作の最初のチャプターに当たる第0章では、「なぜか」記憶喪失の主人公の前に、ダンガンロンパシリーズの超高校級の高校生よろしく人間離れした異能と一癖も二癖もありそうな性格を兼ね備えたキャラの濃い探偵が5人、シャレオツな演出と共に登場します。しかしこの5人は主人公との顔合わせを終えたかと思えば、すぐさま全員殺されてしまいます。そして本作は、「流石にあんなに主要キャラっぽい演出で登場した人たちを最初からジェノサイドするわけないだろう」というメタ推理も捨てきれないプレイヤーに対して、この5人の殺人事件が本章の解決対象事件であるという現実を容赦なく突き付けてきます。私は、「ミステリーは1行目から死体(それも、できるだけたくさんの死体)を出して早めに読者を引き込め」と思っている派なので、このインパクトの強いやり方は褒め称えたいと思っています。ただこのキャラの濃い探偵たちが本編で全然出番がないことを嘆く声も、理解できます。このあたりのバランスは、シナリオライター達にとっての永遠の課題でしょう。
ただ対照的に終盤のまとめ方については、手放しで褒められない内容だったと思います。前述の通り、本作は最終的に舞台設定についての種々の謎も巻き込んだ大きな闇の解明に収束していくストーリーになっています。そして、作品全体を通して設定されたこの大流は、かなり読み応えのあるものになってはいます(特に終盤の大きなネタバラシの嵐は結構衝撃的です)。しかし、本段落の冒頭で述べた通り、ツッコミどころや改善点も多かったのも事実です。以下に箇条書きにしておきます。
・結局ナンバー1が死神ちゃんと契約をせざるを得なかった理由の説明が乏しい。作中で死神ちゃんが自分でツッコミを入れている通り、ナンバー1単身でも解決できた事件のような疑念は拭えない。謎迷宮は死神ちゃんの能力なのだが、これを踏破しても特に状況が好転しないことが多いので、それも死神ちゃんの必要性の稀薄さに拍車をかけている。しかも死神ちゃんは本作一番の闇と特に関係のなさそうな独立の存在であり、そのせいで終盤の疎外感が強くなっている。死神ちゃんとカナイ地区及びホムンクルスとの関係性はもっと突き詰めて考えた方が良かったと思うし、そこで考えた設定を「ナンバー1が死神ちゃんと契約をせざるを得なかった理由」に反映させることができれば最高だったと思う。
・仲間の探偵がラスボスとの戦いに一切出てこない。どうせならみんなの力を結集してくれた方が感動的な話になったと思う。少なくとも私はそういうアヴェンジャーズ的な展開が好きである。
・作中では過去に「世界規模の大量誘拐事件」や「空白の一週間事件」といったような闇深い事件が数々起きているが、終盤まで非常に存在感が薄い。終盤にいきなり事件の詳細を説明をされても、その後にその背景が分かった時の衝撃が少ない。もっと序盤から存在を匂わせておいた方がいいと思う。「過去に起きた事件を現在に関わらせる」というのはおもしろいストーリー作りにおける定石である。
・第1章から第3章の事件は、正直あまり本筋と関係がない単純殺人事件である。もっと本筋と絡めるために、例えば「世界規模の大量誘拐事件」や「空白の一週間事件」の影響や余波で新たな殺人事件が起きた、みたいなストーリーにできるともっと良くなる。
・第0章はカナイ地区に向かう列車の中で起きた事件であり、第1章以降はずっとカナイ地区にいることになるので、カナイ地区外の統一政府や世界探偵機構の存在感が非常に稀薄である。これらの組織の構成員もほとんど登場しない。そのわりに終盤になるとこいつらががっつりヴィランっぽいムーブをしていたことが明らかになるので、こちらの脳がバグる。もっと構成員を登場させ、もっとちゃんと大きな建物やでかい兵器とかを描写して存在感を出させた方が、プレイヤーの敵愾心も生まれやすくなるし、ネタバラシの際の衝撃度も増したと思う。
・統一政府は軍の人員を確保するためにホムンクルスを作ろうとしていたようであるが、軍というのは(仮想)敵国がいるからこそ必要になるものである。作中の用語集で世界のほぼ全てを統治していると説明されている統一政府にそんな大規模な軍が必要なのであろうか。「実は軍というよりは警察みたいな治安組織である」とか、「実は紛争地域がまだまだたくさんある」みたいな想像はできるが、裏を返すとプレイヤーが自分で想像するしかないということであり、作中の説明は足りない。
・マコトが排除しようとしたヨミーやウエスカは結局ホムンクルスだったのだろうか。多分そうなのだが、そうだとしたらホムンクルスを救いたいマコトがホムンクルスである2人を排除しようとするだろうか。しかもホムンクルスの生殺与奪を握っていたマコトが2人を排除するために超探偵を外から呼ぶなどというハイリスクで回りくどい手段をわざわざとるだろうか。ヤコウは超探偵の能力を利用してウエスカを殺そうとしたわけだが、ほとんどの超探偵は保安部に殺されてしまっている。ウエスカ殺しを達成できたのはたまたま彼の研究室に到達するのに必要な能力を持った超探偵が生き残っていたからであるが、そんな不透明な博奕じみたことをやるだろうか。そもそもマコトとヨミーとヤコウはそれぞれに超探偵に来て欲しい思惑(他方でヨミー率いる保安部は別の思惑でやって来た超探偵の大部分を始末している)があったわけであるが、互いに敵対もしている3人の間に結局どういう流れでどういう内容の報連相があったのだろうか。このあたりは、理屈を付けようと思えば付けられるものもあると思うが、全体的に描写不足でスッキリしない。
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ゲームは全6章構成になっており、ダンガンロンパのように各章で殺人事件が起きるので、それを解決していく内容になっています。そしてこれもシリーズ恒例ですが、全ての殺人事件はもっと大きな事件の「枝葉」の部分であり、最終的に一番の闇への対峙と収束していくストーリーになっています。アクの強いキャラクターが大量に登場し、そのデザインもダンガンロンパシリーズと同じく小松崎類先生が手掛けているので、雰囲気はもろにダンガンロンパです。
良くないのは、ゲーム性についてもダンガンロンパを受け継いでしまったことでしょう。本作の真相解明パートは「謎迷宮」という名のダンジョンを攻略するシステムになっていますが、攻略中にダンガンロンパの学級裁判でもやらされたような特に新規性もなく面白味も稀薄なミニゲームの数々を強制的にやらされます。種類だけは結構数がありますが、全部がさしておもしろくないです。そのうえ謎迷宮のボリュームを水増しするためなのかこちらがとっくに通り過ぎた初歩的な段階の推理について議論をさせられることも多く、テンポが悪いです。ただ歩くだけの時間が長いことや、全体的な演出のくどさ(同じようなものを何回も見せられるうえに、スキップしてもロードが長いです)もテンポの悪さを助長しています。ここは、はっきりと直した方がいいところでしょう。
とはいえ本シリーズで一番大事なのはゲーム性ではなくストーリーです。
まず最序盤の引き込みは、賛否両論あるのも分かりますが、私は肯定的に捉えています。本作の最初のチャプターに当たる第0章では、「なぜか」記憶喪失の主人公の前に、ダンガンロンパシリーズの超高校級の高校生よろしく人間離れした異能と一癖も二癖もありそうな性格を兼ね備えたキャラの濃い探偵が5人、シャレオツな演出と共に登場します。しかしこの5人は主人公との顔合わせを終えたかと思えば、すぐさま全員殺されてしまいます。そして本作は、「流石にあんなに主要キャラっぽい演出で登場した人たちを最初からジェノサイドするわけないだろう」というメタ推理も捨てきれないプレイヤーに対して、この5人の殺人事件が本章の解決対象事件であるという現実を容赦なく突き付けてきます。私は、「ミステリーは1行目から死体(それも、できるだけたくさんの死体)を出して早めに読者を引き込め」と思っている派なので、このインパクトの強いやり方は褒め称えたいと思っています。ただこのキャラの濃い探偵たちが本編で全然出番がないことを嘆く声も、理解できます。このあたりのバランスは、シナリオライター達にとっての永遠の課題でしょう。
ただ対照的に終盤のまとめ方については、手放しで褒められない内容だったと思います。前述の通り、本作は最終的に舞台設定についての種々の謎も巻き込んだ大きな闇の解明に収束していくストーリーになっています。そして、作品全体を通して設定されたこの大流は、かなり読み応えのあるものになってはいます(特に終盤の大きなネタバラシの嵐は結構衝撃的です)。しかし、本段落の冒頭で述べた通り、ツッコミどころや改善点も多かったのも事実です。以下に箇条書きにしておきます。
・結局ナンバー1が死神ちゃんと契約をせざるを得なかった理由の説明が乏しい。作中で死神ちゃんが自分でツッコミを入れている通り、ナンバー1単身でも解決できた事件のような疑念は拭えない。謎迷宮は死神ちゃんの能力なのだが、これを踏破しても特に状況が好転しないことが多いので、それも死神ちゃんの必要性の稀薄さに拍車をかけている。しかも死神ちゃんは本作一番の闇と特に関係のなさそうな独立の存在であり、そのせいで終盤の疎外感が強くなっている。死神ちゃんとカナイ地区及びホムンクルスとの関係性はもっと突き詰めて考えた方が良かったと思うし、そこで考えた設定を「ナンバー1が死神ちゃんと契約をせざるを得なかった理由」に反映させることができれば最高だったと思う。
・仲間の探偵がラスボスとの戦いに一切出てこない。どうせならみんなの力を結集してくれた方が感動的な話になったと思う。少なくとも私はそういうアヴェンジャーズ的な展開が好きである。
・作中では過去に「世界規模の大量誘拐事件」や「空白の一週間事件」といったような闇深い事件が数々起きているが、終盤まで非常に存在感が薄い。終盤にいきなり事件の詳細を説明をされても、その後にその背景が分かった時の衝撃が少ない。もっと序盤から存在を匂わせておいた方がいいと思う。「過去に起きた事件を現在に関わらせる」というのはおもしろいストーリー作りにおける定石である。
・第1章から第3章の事件は、正直あまり本筋と関係がない単純殺人事件である。もっと本筋と絡めるために、例えば「世界規模の大量誘拐事件」や「空白の一週間事件」の影響や余波で新たな殺人事件が起きた、みたいなストーリーにできるともっと良くなる。
・第0章はカナイ地区に向かう列車の中で起きた事件であり、第1章以降はずっとカナイ地区にいることになるので、カナイ地区外の統一政府や世界探偵機構の存在感が非常に稀薄である。これらの組織の構成員もほとんど登場しない。そのわりに終盤になるとこいつらががっつりヴィランっぽいムーブをしていたことが明らかになるので、こちらの脳がバグる。もっと構成員を登場させ、もっとちゃんと大きな建物やでかい兵器とかを描写して存在感を出させた方が、プレイヤーの敵愾心も生まれやすくなるし、ネタバラシの際の衝撃度も増したと思う。
・統一政府は軍の人員を確保するためにホムンクルスを作ろうとしていたようであるが、軍というのは(仮想)敵国がいるからこそ必要になるものである。作中の用語集で世界のほぼ全てを統治していると説明されている統一政府にそんな大規模な軍が必要なのであろうか。「実は軍というよりは警察みたいな治安組織である」とか、「実は紛争地域がまだまだたくさんある」みたいな想像はできるが、裏を返すとプレイヤーが自分で想像するしかないということであり、作中の説明は足りない。
・マコトが排除しようとしたヨミーやウエスカは結局ホムンクルスだったのだろうか。多分そうなのだが、そうだとしたらホムンクルスを救いたいマコトがホムンクルスである2人を排除しようとするだろうか。しかもホムンクルスの生殺与奪を握っていたマコトが2人を排除するために超探偵を外から呼ぶなどというハイリスクで回りくどい手段をわざわざとるだろうか。ヤコウは超探偵の能力を利用してウエスカを殺そうとしたわけだが、ほとんどの超探偵は保安部に殺されてしまっている。ウエスカ殺しを達成できたのはたまたま彼の研究室に到達するのに必要な能力を持った超探偵が生き残っていたからであるが、そんな不透明な博奕じみたことをやるだろうか。そもそもマコトとヨミーとヤコウはそれぞれに超探偵に来て欲しい思惑(他方でヨミー率いる保安部は別の思惑でやって来た超探偵の大部分を始末している)があったわけであるが、互いに敵対もしている3人の間に結局どういう流れでどういう内容の報連相があったのだろうか。このあたりは、理屈を付けようと思えば付けられるものもあると思うが、全体的に描写不足でスッキリしない。
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