当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

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(6)いじり

 「いじり」とは、ツッコミです。ある人が主に外観(言動ではない)によって作出しているズレの存在を指摘して、受け手にそのズレの存在を教授し、これによって笑いを喚起するという技術です。いじる対象であるズレは、天然ボケであることが多いです。
 スーツで結婚式に来た人が、革靴ではなく黒いスニーカーをはいていたとしましょう。あるいは寝癖が治りきっていないというような場合でもよいです。これらはいずれも「フォーマルな式なのに身なりが整いきっていない」というズレです。それも言動ではない、外観によるズレであるため、天然ボケである場合が多いでしょう(当然ながら、わざとやっている場合もあります)。天然ボケである以上、受け手はこのようなズレが作出されていることを予想していない場合が多いでしょう。ゆえに、ツッコミによって受け手にその存在を教える必要性が高いのです。このツッコミが、いじりです。ここでは「なんでスニーカーやねん」「髪ボッサボサやで」などといじるのが適切でしょうか。
 まあ、これ以上説明することは特にありません。いじりはツッコミではありますが、ツッコミにたとえを用いればボケ的な要素も生じてきます。この例で寝癖にたとえツッコミを入れるとすれば、「ひじきみたいになっとるで」「ワイアール星人か!」といった感じになりましょうか。また、いじられる対象は、いじられるべきズレを複数抱えている場合が多いです(いわゆる「いじられキャラ」)。この場合、いじりは複数のズレに対して連続的に為されることになります。
 天然ボケである以上、前項で説明した通り、いじられる側が笑われることを許容しない可能性は高くなります。いじる側もこの点は気をつけた方がいいでしょう。

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