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（８）パロディ
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（８）パロディ 
パロディとは、ウィキペディアの言葉をそのまま借りれば、「他の芸術作品を揶揄や風刺、批判する目的を持って模倣した作品、あるいはその手法」のことです。この定義は、模倣対象を「芸術作品」に限っている点で、また模倣の目的が模倣対象そのものの揶揄・風刺・批判に限られるように読める点で、少し狭きに過ぎるかもしれません。そこで以下のように定義しなおしましょう。パロディとは、「笑いをとるために行われる模倣のうち、受け手に模倣であることが分かるもの」です。
受け手に模倣であることが分からないような模倣は、故意か意図せずにかは知りませんが、模倣であることが隠されているということなので、パクリといいます。盗作です。これは、やってはいけません。パロディをやる場合は、模倣であるということがはっきりと分かるようにやる必要があります（それでも知識の不足等のためにパロディであることが分からない受け手は出現し得ますが、受け手の大部分に分かればよいです）。またパロディの目的は模倣の対象となる作品そのものの揶揄・風刺・批判に限られません。笑いをとる目的さえあれば、本書の定義にいうパロディになります。模倣対象も、芸術作品に限らず広くとっていいでしょう。
笑いの世界では伝説的なパロディである、「ダウンタウンのごっつええ感じ」のコント「世紀末戦隊ゴレンジャイ」は、秘密戦隊ゴレンジャーという特撮作品のパロディですが、特にゴレンジャーを揶揄・風刺するような目的があったとは思えません。単に笑いをとるために模倣がされたものだと思われます。ゴレンジャイを知らない方は、一度ご覧になってください。損はしません。
さて、パロディはなぜおもしろいのでしょうか。四通りほど理由を思いつきました。
�，泙困蓮▲僖蹈妊�がツッコミとしておもしろいということがいえます。ここで行われているツッコミは、模倣対象が作出しているズレを誇張して行うことでそのズレを際立たせ、受け手に模倣対象におけるズレの存在を理解させるというツッコミです。これは、ものまねと似通ったところがあります。たとえば、先に挙げたゴレンジャーでパロディを作るとしたら、ベタな例で恐縮ですが、「変身がやたらと長く、その間敵があやとりをしている」「５人よってたかって敵を袋叩きにする」などといった内容にすることが考えられます。前者は元の作品が作出している「ヒーローの変身中は隙だらけであるにもかかわらず敵は指をくわえてみている」というズレを、後者は「正義の味方なのに数を恃んでいる」というズレを誇張して際立たせるもので、いずれも「ズレの存在を受け手に理解させる」というツッコミの役割を果たしています。これは、まさに模倣対象を揶揄・風刺するという正統派のパロディで、冒頭に挙げたウィキペディアの定義でも説明するものです。またこのツッコミという機能は、ものまねとも共通するものがあります（詳細は後述）。
��第二に、これもものまねと共通する機能ですが、パロディの再現者が模倣対象を模倣すること自体がズレになっているという場合があります。先に挙げた強いフラ持ちの岡村さんや日村さんが、東京ラブストーリーのパロディを再現する場合を考えてみてください。これは、「チビやデブやブサイクのくせにトレンディドラマをやっている」というズレを作出するものです。
�Ｂ荵阿法▲僖蹈妊�は、人のアイディアや作品を悪く言えば「盗用」するものであり、また、先に述べたように、盗用しておきながら盗用元を揶揄したり、岡村さんや日村さんのようなミスマッチな配役で敢えて再現するものであります。「これは、『盗用』としてダメそうなこと、模倣対象の作り手を怒らせそうなことを、敢えてやる」というメタなズレを提供するものです。こういうダメそうなことをやるからこそ、揶揄や風刺といった意味合いが強まるものでもあります。ゆえに、結果として著作権法に触れていたり、盗用元にブチ切れられたりする危険を常に伴っています。このような事態を防ぐためには、アングラで行って盗用元から無視されるようにするか、パロディの質を高くして盗用元に「放置・黙認した方がメリットになる」と思わせるかです。ここは、作り手の力量が問われます。
この段落はあまり関係ない話なので興味ない方は読み飛ばしてください。パロディは、グレーなことを敢えてやるという点におもしろさがあります。パロディはどんな場合に著作権を侵害するかというのは古くから議論のあるところですが、グレーであることがパロディのレゾンデートルである以上、完全にホワイトにされてしまうと、パロディのおもしろさが損なわれてしまうという下ネタと同じような構造があります。線引きをするにしても、ホワイトな部分がどんな場合かきちんと読み取れるような詳細な基準を作ってしまうと、現在グレーなのにホワイトにされた部分についてやはり同じ現象が生じて、おもしろさが損なわれてしまいます。だから、法や判例がパロディの適法性という問題に踏み込むにしても、適法と違法を画する基準はできるだけホワワーンとしたものに止めておくのがよいと思っています。あとは毎度のことながらパロる方とパロられる方の空気の読み合いです。
�ず埜紊法▲僖蹈妊�は副次的に行われているに過ぎず、もっぱら他の手段によって作出されたズレで笑いをとっていくという手法も当然あります。パロディでは模倣対象のタイトルや登場人物名をもじったタイトルがとられることが多いですが、同じことをやるにしても既存の作品からうまくもじったタイトルが付けられるなら、その方が得だろうという程度のマインドです。別にこのダジャレは既存の作品からとらなくても作ることができるため、ここでは本当にパロディというよりはただのダジャレ・言葉遊びという性格が強いです。
例えば、めちゃイケには「恋のから騒ぎ」という番組のパロディ企画、「恋のかま騒ぎ」というコーナーがあります。このコーナーは、今までに挙げたパロディの機能のうち、�´△呂修譴曚標�出すことができません（パロディである以上��は�´△茲蠅呂△蠅泙后法�その内容は、模倣元であるから騒ぎを揶揄したり、敢えてミスキャストで再現して馬鹿にしたりといったものではなく、芸人が女装して暴露話をしあうというものでして、メインで提供されるズレは暴露された話の内容によるものです。から騒ぎのパロディという体をとっているのは、単に、「かま騒ぎ」といううまいダジャレがないよりはある方がいいだろう、という程度のことだと考えられます。ダジャレであれば、うまい例が思いつきませんが、例えば格言やことわざをもじるといったことも考えられるので、「かま騒ぎ」というタイトルを付けてパロディの体をしていることにあまり積極的な意味はありません。あるとすれば、「パロディのくせに模倣元とかけ離れたことをやっている」というズレの提供でしょうが、これも、副次的なものに過ぎないでしょう。
ただまあ、ここからひとつ教訓が得られます。タイトルだけうまいものを考えてもダメだということです。きちんとした笑いをとるには、パロディとして�´△里茲Δ糞’修鮖�たせるか、他の手段でちゃんとしたズレを提供するか、いずれかをしないといけないということです。パロディのようなタイトルがうまい作品について、その中身に�´△澆燭い陛儀薪�なパロディの機能があまり見られなかったとしても、きちんと別の手段でズレが提供されているわけで、タイトルさえうまいものを考えれば、中身はどうでもいいという勘違いに陥ってはいけません。それは、「出落ち」というものです。特にタイトルありきで中身を考えるとこういうことに陥りやすいので、まず中身を考えてからタイトルを考えた方がよいです。この順序でものを考えると、タイトルはあまりうまいものが付けられないかもしれませんが、中身が伴わない場合よりは遥かにマシでしょう。実際めちゃイケの企画は、パロディのようなタイトルをしたものが多いですが、「かま騒ぎ」ほどうまいものはあまりないような気がします。
先に挙げたゴレンジャイも�い紡阿垢詢磴任后�ダジャレとしてそこまでうまいタイトルになっているわけではないということからも、中身の重要性が分かると思います。ゴレンジャイのズレのメイン部分は、パロディそのものではなく、「ヒーローのくせに全然ちゃんとしていない」というものです。あまり言葉で説明したくないので、未見の方は是非自らご覧になってみてください。
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受け手に模倣であることが分からないような模倣は、故意か意図せずにかは知りませんが、模倣であることが隠されているということなので、パクリといいます。盗作です。これは、やってはいけません。パロディをやる場合は、模倣であるということがはっきりと分かるようにやる必要があります（それでも知識の不足等のためにパロディであることが分からない受け手は出現し得ますが、受け手の大部分に分かればよいです）。またパロディの目的は模倣の対象となる作品そのものの揶揄・風刺・批判に限られません。笑いをとる目的さえあれば、本書の定義にいうパロディになります。模倣対象も、芸術作品に限らず広くとっていいでしょう。
笑いの世界では伝説的なパロディである、「ダウンタウンのごっつええ感じ」のコント「世紀末戦隊ゴレンジャイ」は、秘密戦隊ゴレンジャーという特撮作品のパロディですが、特にゴレンジャーを揶揄・風刺するような目的があったとは思えません。単に笑いをとるために模倣がされたものだと思われます。ゴレンジャイを知らない方は、一度ご覧になってください。損はしません。
さて、パロディはなぜおもしろいのでしょうか。四通りほど理由を思いつきました。
�，泙困蓮▲僖蹈妊�がツッコミとしておもしろいということがいえます。ここで行われているツッコミは、模倣対象が作出しているズレを誇張して行うことでそのズレを際立たせ、受け手に模倣対象におけるズレの存在を理解させるというツッコミです。これは、ものまねと似通ったところがあります。たとえば、先に挙げたゴレンジャーでパロディを作るとしたら、ベタな例で恐縮ですが、「変身がやたらと長く、その間敵があやとりをしている」「５人よってたかって敵を袋叩きにする」などといった内容にすることが考えられます。前者は元の作品が作出している「ヒーローの変身中は隙だらけであるにもかかわらず敵は指をくわえてみている」というズレを、後者は「正義の味方なのに数を恃んでいる」というズレを誇張して際立たせるもので、いずれも「ズレの存在を受け手に理解させる」というツッコミの役割を果たしています。これは、まさに模倣対象を揶揄・風刺するという正統派のパロディで、冒頭に挙げたウィキペディアの定義でも説明するものです。またこのツッコミという機能は、ものまねとも共通するものがあります（詳細は後述）。
��第二に、これもものまねと共通する機能ですが、パロディの再現者が模倣対象を模倣すること自体がズレになっているという場合があります。先に挙げた強いフラ持ちの岡村さんや日村さんが、東京ラブストーリーのパロディを再現する場合を考えてみてください。これは、「チビやデブやブサイクのくせにトレンディドラマをやっている」というズレを作出するものです。
�Ｂ荵阿法▲僖蹈妊�は、人のアイディアや作品を悪く言えば「盗用」するものであり、また、先に述べたように、盗用しておきながら盗用元を揶揄したり、岡村さんや日村さんのようなミスマッチな配役で敢えて再現するものであります。「これは、『盗用』としてダメそうなこと、模倣対象の作り手を怒らせそうなことを、敢えてやる」というメタなズレを提供するものです。こういうダメそうなことをやるからこそ、揶揄や風刺といった意味合いが強まるものでもあります。ゆえに、結果として著作権法に触れていたり、盗用元にブチ切れられたりする危険を常に伴っています。このような事態を防ぐためには、アングラで行って盗用元から無視されるようにするか、パロディの質を高くして盗用元に「放置・黙認した方がメリットになる」と思わせるかです。ここは、作り手の力量が問われます。
この段落はあまり関係ない話なので興味ない方は読み飛ばしてください。パロディは、グレーなことを敢えてやるという点におもしろさがあります。パロディはどんな場合に著作権を侵害するかというのは古くから議論のあるところですが、グレーであることがパロディのレゾンデートルである以上、完全にホワイトにされてしまうと、パロディのおもしろさが損なわれてしまうという下ネタと同じような構造があります。線引きをするにしても、ホワイトな部分がどんな場合かきちんと読み取れるような詳細な基準を作ってしまうと、現在グレーなのにホワイトにされた部分についてやはり同じ現象が生じて、おもしろさが損なわれてしまいます。だから、法や判例がパロディの適法性という問題に踏み込むにしても、適法と違法を画する基準はできるだけホワワーンとしたものに止めておくのがよいと思っています。あとは毎度のことながらパロる方とパロられる方の空気の読み合いです。
�ず埜紊法▲僖蹈妊�は副次的に行われているに過ぎず、もっぱら他の手段によって作出されたズレで笑いをとっていくという手法も当然あります。パロディでは模倣対象のタイトルや登場人物名をもじったタイトルがとられることが多いですが、同じことをやるにしても既存の作品からうまくもじったタイトルが付けられるなら、その方が得だろうという程度のマインドです。別にこのダジャレは既存の作品からとらなくても作ることができるため、ここでは本当にパロディというよりはただのダジャレ・言葉遊びという性格が強いです。
例えば、めちゃイケには「恋のから騒ぎ」という番組のパロディ企画、「恋のかま騒ぎ」というコーナーがあります。このコーナーは、今までに挙げたパロディの機能のうち、�´△呂修譴曚標�出すことができません（パロディである以上��は�´△茲蠅呂△蠅泙后法�その内容は、模倣元であるから騒ぎを揶揄したり、敢えてミスキャストで再現して馬鹿にしたりといったものではなく、芸人が女装して暴露話をしあうというものでして、メインで提供されるズレは暴露された話の内容によるものです。から騒ぎのパロディという体をとっているのは、単に、「かま騒ぎ」といううまいダジャレがないよりはある方がいいだろう、という程度のことだと考えられます。ダジャレであれば、うまい例が思いつきませんが、例えば格言やことわざをもじるといったことも考えられるので、「かま騒ぎ」というタイトルを付けてパロディの体をしていることにあまり積極的な意味はありません。あるとすれば、「パロディのくせに模倣元とかけ離れたことをやっている」というズレの提供でしょうが、これも、副次的なものに過ぎないでしょう。
ただまあ、ここからひとつ教訓が得られます。タイトルだけうまいものを考えてもダメだということです。きちんとした笑いをとるには、パロディとして�´△里茲Δ糞’修鮖�たせるか、他の手段でちゃんとしたズレを提供するか、いずれかをしないといけないということです。パロディのようなタイトルがうまい作品について、その中身に�´△澆燭い陛儀薪�なパロディの機能があまり見られなかったとしても、きちんと別の手段でズレが提供されているわけで、タイトルさえうまいものを考えれば、中身はどうでもいいという勘違いに陥ってはいけません。それは、「出落ち」というものです。特にタイトルありきで中身を考えるとこういうことに陥りやすいので、まず中身を考えてからタイトルを考えた方がよいです。この順序でものを考えると、タイトルはあまりうまいものが付けられないかもしれませんが、中身が伴わない場合よりは遥かにマシでしょう。実際めちゃイケの企画は、パロディのようなタイトルをしたものが多いですが、「かま騒ぎ」ほどうまいものはあまりないような気がします。
先に挙げたゴレンジャイも�い紡阿垢詢磴任后�ダジャレとしてそこまでうまいタイトルになっているわけではないということからも、中身の重要性が分かると思います。ゴレンジャイのズレのメイン部分は、パロディそのものではなく、「ヒーローのくせに全然ちゃんとしていない」というものです。あまり言葉で説明したくないので、未見の方は是非自らご覧になってみてください。
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