当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

作評トップ

ウォッチドッグス レギオン

※動画も作ってみました。
https://www.youtube.com/watch?v=omEpFPatIcg&featur...

 UBIがお送りするウォッチドッグスシリーズの実質ナンバリング最新作(3作目)だそうです。1と2はやったことがありません。
 FARCRYが好きで、アサクリの最新作もやっていたので、このシリーズにも手を出してみました。
 
 本作の特徴を箇条書きにしておきます。前述のとおり1と2はやっていないので、あくまで本作のみの感想です。
・ロード時間が全体的に長め。
・近未来のロンドンを舞台とするオープンワールドアクションゲームである。
・ロンドンは独裁国家の都市みたいな抑圧的な監視社会となっており、主人公は街の自由を取り戻すために「デッドセック」という義賊の一員となって、公権力と戦う。
・ゆえに無茶をしすぎると公権力から追い回されることになる。このへんは、GTAに似ている。
・車やボートも街中のものを奪い放題である。このへんもGTAっぽい。
1や2にはGTAのような固定の主人公がいたようであるが、本作にはいない。街中にいる全ての人を(採用ミッションという短めのミッションをクリアすれば)味方にできる。味方にした人にはいつでも交代できる。街にいる人は全員に個性があり、個人個人で職業や使える武器や能力が違う。当然容姿も全く違う。またどのキャラを操作していてもミッション中のムービー等はきちんとそのキャラが出ているものが再生される。映像や台詞を何百何千というパターンで作っていると思われる。大変だっただろう。
・GTAにはない本作の独自要素が、ハッキングアクションである。色々な電子機器に外部からアクセスして動かしたり止めたり罠を仕掛けたりできる。また本作の舞台となるロンドンではドローンが発達しているという設定であるため、ドローンもハッキングすれば操作し放題である。武器を搭載したドローンや人を乗せて飛べる大型のドローンもあり、偵察から攻撃や潜入までいろいろなことに使える。これらを駆使してオープンワールドに点在している敵の拠点に潜入し、人質を救出したりデータを盗んだり兵器を壊したりといったミッションごとの目的を遂げるのが中心のゲームになる。
・とはいえプレイの自由度は高い(というかアクションの難易度が低い)ので、装備が整ってくる中盤以降になれば、敵の拠点に何も考えずに正面から乗り込んで大立ち回りをしてもなんとかなる。ゆえに、あんまりハッキングアクションを意識しなくてもゲームクリアはできてしまう。自由度が高いと見るか、本作の独自性を出せておらず劣化版GTAになってしまっていると見るかは人それぞれであろう。
・武器も種類は結構豊富にあるが、全キャラ共通で使える武器(後述のテックポイントで解放するもの)は実はそんなに多くはない。キャラごと、職業ごとに固有の武器がかなりある。それがGTAほどの自由度を出せていない一因である。結局色々と中途半端なのである。キャラを変えればいいのはそのとおりであるが、先述の敵拠点への潜入時にはキャラの交代ができず、常に単身で攻略をする必要があるので、あまり意味がない。また、この仕様のゆえにチームでの共闘感のようなものもあまり感じることができない。加えてキャラを変えるたびに結構長めのロード時間が挟まるので、あまり交代をする気が起きない。
・そしてやることは徹頭徹尾敵拠点への潜入でしかないので、飽きは早い。どんなミッションであろうと、常に敵拠点への潜入でしかない。同じ拠点に複数回潜入させられることも何度もある。「やっていることがずっと変わらない」というのは洋オープンワールドゲームに共通の特徴ではあるが。
・ハッキングアクションのひとつとして回線をつなげるためのパズル的なミニゲームを結構やらされる。ゲーム性が本作のアクションと全く異なるので、嫌な人は嫌であろう。何よりあんまり楽しくはない。
・オープンワールドは作り込まれてはいるが、前述の敵の拠点を除けば、入れる建物は多くはない。服屋で服を購入することはできるが、中に入れるわけではなく、店に入らずに出入口の前で買う仕様である。ミッション等ではシームレスにつながっていない(=移動にロードを挟む)エリアも頻繁に登場する。
・先述のとおり、全キャラクター共通で使える武器や能力があり、これはミッションのクリア報酬としてもらったり街中で拾ったりして入手できるテックポイントなるものを消費して徐々に解放していく仕様である。
・このテックポイント以外の成長や強化要素は特にない。この要素は前述のとおり全キャラ共通なので、キャラの性能差は最後まで埋まったり開いたりすることはなく、固定である。だから、最初から強いキャラを使うのが攻略上は一番楽である。ゆえに弱いキャラへの愛着はなかなか湧きにくい気がする(ポリコレは全開なのでほとんどどんな職業にも男女双方の性別が平等に登場する一方、容姿は個性的かつ現実的なので、見た目で愛着が湧くということもなかなかないと思われる)。開発側は「色々なキャラを変わりばんこに使いながらのゲームプレイ」を想定していたのかもしれないが、頻繁な交代はしたくなくなるゲームに仕上がってしまっているのである。
・デッドセックは前述のとおり公権力と戦う義賊なので、この一員になるには相当な動機と覚悟が必要かと思われるが、どんな奴も採用ミッション一本で仲間になってしまう。GTAみたいな作風であれば「バカっぽさ」として許容できた面かと思われるが、本作のシリアスな作風にはあんまり噛み合っていないと思う。
・ストーリーの出来は、普通である。1や2を知らないと理解できないということはないが、やっていた方が理解が深まるのだろうか。1も2もやっていない私には分からない。
・初期は強制終了等のバグも多かったようである。私も初日にプレイしたときは3回アプリケーションエラーによる強制終了に見舞われた。アップデートを重ねてだんだんマシになっているようであり、しばらくその3回以外の強制終了は起きていなかったが、トロフィー獲得のためにパーセルフォックスの配達ミッションを繰り返しやっていたところ、連続でクリアした配達ミッションの回数が3〜5回に達するたびに何度も強制終了が起きた。

<総評>
 UBIがたくさん出している「ガワだけはそれなりにちゃんと作られている83点のオープンワールドゲーム」ですね。粗製乱造とまでは言いませんが、決して熱狂はできないレベルの出来です。GTAみたいにゲーム性と作品の雰囲気をひとつの統一的なテーマ(GTAにおけるそれは「バカっぽさ」だと思います)のもとに噛み合わせてくれたら「熱狂」のレベルに達するんでしょうが、色々と惜しく噛み合っていない要素が多々あるので減点が重なってしまうのです。もっと端的に言うと、操作キャラの交代がもっと自由かつスムーズにできたらGTA並みの自由度のあるゲームになったのでしょうが、それができないので中途半端な仕上がりになってしまっているのです。
 ネット上の評判を見る限り、ヴァルハラもこんなもんなんだろうなあ。

<DLC追記>
 追加DLCについては、トロフィー絡みのもののみやりました。
 「ブラッドライン」については、1の主人公のエイデンと2の味方キャラだったレンチを主人公に据えたお話です。やっぱり、固定の主人公がいた方が色々と感情移入しやすいなあと思いました。2人とも、キャラが立ってますからね。

 「レジスタンスモード」は高難度で本編を遊べる追加DLCです。特に、作中で死んだキャラクターが2度と使えなくなる設定が強制的にオンになるのが一番つらいところです。エイデンやレンチといったDLCキャラも、容赦なく死にます。ところがこの2人が攻略に必須レベルで強いので、結局は外部にセーブデータのバックアップをとりながら進めることになります。ただ煩わしいだけでした。

 ちなみにPS5版へのアップデートが無償で可能です。4のセーブデータを5に移行することも可能です(USBでの移行はできないので、オンライン環境必須)。ツシマみたいに、4と5のトロフィーが別扱いでなおかつセーブデータの移行だけでほとんどのトロフィーがひとりでに解除されるのであれば楽に稼ぎができるので、私は本作の仕様がどうなっているかを調べました。ただみんなあんまり興味がないらしく、確実な情報に出会えませんでした。
 なので私は仕様が不確かなままPS5版へのアップデートを行うという賭けに出ましたが、結局「4と5のトロフィーは別扱いのくせに自動解除は(ごく一部の例外を除き)ない」という私が想定していた中で最悪の仕様でした。レジスタンスモードもやり直しになったわけです。
 ただレジスタンスモードについては4割くらい進めたセーブデータのバックアップが残っていたので、それを使ってクリアしました。5のトロフィーを効率よく解除したい人は、各トロフィーの解除の直前まで進めたセーブデータのバックアップをとっておくのが良いです。特にレジスタンスモードだけでも、「あとは最終ミッションをやるだけ」というセーブデータをとっておくと随分楽になります。私は「セーブデータを移行すれば自動解除されるだろ」と高を括り、このセーブデータを「レジスタンスモードをクリアしたデータ」に上書きしてしまっていたのです。
 

作評トップ

管理人/副管理人のみ編集できます