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ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド

 ようやくやりましたよ。ええ。
 多分誰かがもう言っています。「FARCRYっぽくゼルダを作ったらどうなるか」というゲームです。

 類似点は、枚挙に暇がありません。
・シームレスの広大なオープンワールドが舞台。
・オープンワールドの中に人々が点在していて、その人たちから受注するメインミッションやサブミッションを進める形でゲームが進んでいく。
・メインミッションを片付ける順番にも結構な自由度がある。
・気付かれずに敵に近付けば不意打ちができ、ほぼ一撃で倒せる。
・高いところに登ってマップを解放していく。
・あまりに世界観が膨大なので序盤は戸惑う。
・戦い方にも自由度が結構あり、この点も戸惑いを助長する。
・ただ序盤を乗り越えて戦い方や立ち回り方が分かってくると一気におもしろくなり、終わるまでのめり込んでしまう。
・敵の攻撃力は高く、死にやすい。ただ死んだ場合のデメリットは少ないため、死んでは再挑戦というトライアルアンドエラーを繰り返す「死にゲー」である。
・オープンワールド全体に散らばっている収集要素がある。

 というわけで、いつものゼルダを広大で自由度の高いオープンワールドで作ってみたという感じのゲームです。オープンワールドはかなり作り込まれていて、朝昼夜の概念や天候の概念もあります。リンクは崖も登れるので、行きたいところにはだいたい行けます。ひたすら寄り道をしたくなってメインストーリーが全然進まないのも、ワールドが作り込まれているからこそ、です。ただ、広すぎて移動が面倒くさいですね。馬はあるんですけど、不便です。近くにいないと呼び出せないし、オープンワールドにたくさんある崖を登ることはできません。ファストトラベルもありますけど、この手のゲームの宿命としてロード時間は若干長いですし。それから、雨が降るとスベって崖のぼりがしづらくなるという仕様はイライラするだけなのでやめた方がいいと思います。馬が面倒くさいから基本徒歩移動になるんですけど、雨が降っていると崖が登れなくてもどかしいので。
 あとは、大体いつもどおりのゼルダです。違う点は、上記のとおり敵の攻撃がかなり激しくて死にやすいというところと、長めのダンジョンがなくなったということですかね(これはゼルダ特有の問題ですが)。ハートの器を出してくれるボスはいて、そのボスと戦う前のダンジョン的なものはあるのですが、いつものゼルダのダンジョンよりだいぶ短いです。あとは、「祠」というごく短めのダンジョン(大部分は旧来のゼルダのダンジョンの1部屋〜数部屋分くらいの長さです)がたくさんあります。
 これらの路線転換を受け容れられる人は、序盤さえ乗り越えられれば一気にのめり込めます。筆者もFARCRYは好きなので、のめり込みました。ただいつまでたってもリンクが強くならなくてイライラする感じはどうしてもあります。だって、こっちのハートを一撃で10個以上奪ってくるザコがそこら中にウロウロしているんですよ。いつものゼルダに慣れている身からすると、雑魚の不意打ちで大量の体力を持っていかれる展開の連続にはかなり面食らいます。それを防ぐためにリンクを強化していっても、もっと強い敵が現れてきてキリがないのです。若干徒労感があるうえにせっかくのオープンワールドを安心して散策できないので、敵の火力についてはもう少し調整をして欲しかったところです。回復手段も限られていて草を切ってもハートは出ないので、基本瀕死の状態のまま原野をうろつくことになります。
 あと、やっぱりゼルダらしい長めのダンジョンは欲しいです。頭を使うから難しいというよりどうしてもアクション面で難しくしている感はあるんですよね。矢もたくさん使う割りに手に入りにくくてイライラします。買うと高いし。
 収集要素は膨大でコンプリートを目指すとかなりの時間はかかります(大量の素材集めっていう「龍が如く」的な要素もありますよ。それから神獣との戦闘はそのデザインも相まって「ワンダと巨像」を髣髴とさせます)が、それは暇な人がやるもんだからいいでしょう。そこまで暇でもないのにコンプリートしようとしてイライラしている筆者みたいなのは無視しておけばいいです。

 総合的にはいいゲームですが、若干調整不足のところが結構あるので、次回作以降はそこを直していってください。
 あ、あとどんなに強い武器でも使っているうちに壊れるという仕様は悲しいです。それから持っているアイテムが多すぎて武器や素材を選ぶ際に苦労します。このへんの、色々な武器や素材を集めて段々と強いやつに交換していくっていうハック&スラッシュ要素や、ヒノックスやモルドラジークみたいな巨大な人外をちまちま削って倒すあたりはモンハンっぽいですよね。色々なゲームのいいとこも悪いとこもごった煮で採り入れている感はありますが、ゼルダにはゼルダの確固たるブランドがあるんですから、もっと泰然として欲しいというのが正直なところです。
 たくさん言いたいことが出てきますね。それは、いいゲームの証拠です。
 

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