当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

 2016年5月5日放映のアメトーーク、テーマは「チョット弾けますギター芸人2016」である。ギターが弾ける芸人を集めて、ギターを弾いてもらいつつ、ギターにまつわるトークをする内容である。

 ホメ回かケナシ回かという筆者の二分法を適用すると、立派なケナシ回だった。作りようによっては、ギターやギタリストの凄さについて語るホメ回にもできるが、そうはなっていなかった。今回「ケナシ」の対象になっていたのは、「芸人のくせにギターを弾いている」という一点に尽きる。彼らは「芸人」という肩書を持っているので、ギターを弾きながらカッコつけた動作をすると、それがおもしろく見えてしまうのである。これは純粋にフラみたいな見た目のせいでではなく、「芸人」という肩書のなせる業である。
 くっきーやRGみたいなフラ持ちのみならず、後藤や狩野みたいな男前がやってもおもしろいのが、その証左である。逆に、ミュージシャンでもRGぐらいの見てくれの人はたくさんいるが、彼らがギターを弾きながらかっこつけてもそこまでおもしろくはない。「芸人の分際でギターを弾きながらカッコつけている」ということそれ自体がズレであり、笑いを生むのである。ここには厳然と芸人という職業に対する差別があるが、それが仕事なので笑ってやるべきである。

 逆に言うと、本当にカッコよくなってしまうと笑えない。「笑っていいよ」という雰囲気を作るのは、プロとしての芸人の仕事に他ならない。例えば、今回最後にひな壇の面子全員でやっていたセッションでは、どぶろっくとテツandトモのネタに使われている音楽を弾いていたが、この2組の「もしかしてだけど」と「なんでだろう」のネタ自体が前に出てきてしまい、ギターを弾いてカッコつけている芸人たちが後ろに隠れてしまった。それに加えてLUNA SEAの真矢という本職のミュージシャンが出てきたため、マジでカッコいい感じに仕上がってしまい、芸人たちのギターを弾いている様子を笑いにくい空気が出来上がってしまったのである(真矢がうまいからカッコよかったというような話ではなく、「本職のミュージシャンが演奏に加わっている」という事実それ自体が、彼らのやっている音楽を笑いにくい空気を作り上げてしまっていたのである)。カッコいいと思われる演出をしたかったのだったら成功と言えるが、毎度のことながら最初から最後まで笑いで通してほしいというのが筆者の感想である。

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