当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

 2016年6月23日放映のアメトーークを見た。テーマは「実はやってます 観光大使芸人」だった。各地方の自治体の観光大使をやっている芸人たちを集めて、トークさせる企画である。

 笑いを追究するとすれば、何かをバカにしてケナシ回にしないといけないが、この回でバカにする対象として真っ先に思いつくのは「地方」そのものやその垢抜けなさである(2016年3月24日放映の「ローカル番組やってます芸人」で筆者が考えたことと似たような発想である)。あるいは、観光大使に関わっているのが行政とその中の人(すなわち、役所と役人)であるため、そういう人たちが考えるPRイベントやPRグッズのセンスの悪さを嘲笑するという方向性も考えられる。

 今回のオンエアは、全体的には上記の「ケナシ」の方向を向いていたが、不徹底で散漫だった印象である。とはいっても、彼らが観光大使になっている地方への「ホメ」が頻繁に挟まっていたわけでもない。それなのに散漫だった印象を受けたのは、おそらく雛壇の面子が多すぎで、観光大使になっている自治体もバラけていたからだろう。まず岡山(とその行政)をバカにして、次に奈良(とその行政)をバカにする…といったような流れが一つずつ積み上げられていっただけで、ただのスカスカなモグラ叩きだったのである。地方や行政をバカにするのであれば、対象をもっと狭く絞ってそこに対する悪口をどんどんあげていった方が、やりやすいし盛り上がるというものである。
 これに加えてMCの横にいた品川も、ひな壇をバカにする側ではなくて「観光大使を何もやっていない好感度の低い人」と別の方向からバカにされる役割を担っていたため、更にテーマが散ってしまっていた。番組の最後には申し訳程度に熱湯風呂まで足されており、作り手の今回の企画に対する自信のなさがうかがえてしまったところである。熱湯風呂は、地方や行政をバカにすることで生まれる笑いとはまた全然方向性の違う笑いなので、入れ込んだところで更に笑いが散るだけである。だからこそ、「撮れ高」を気にしたスタッフ側がとりあえず付け足してみた印象が拭えなかったのである。

 ただまあ、地方や行政のセンスの悪さを主題にするとなると、こういった「散漫さ」を払拭してみたところで、見ている方が引いてしまって笑いが起きない可能性は否定できない。あくまで筆者個人の感想であるが、この種の垢抜けなさは、(最近の例だったら滋賀の石田三成CMぐらいの)突き抜け感がないと、イタさだけが先行して心もとない気持ちにさせられるだけのような気がしている。

 だから、テーマからして難しかったと言わざるを得ない、というのが筆者の印象である。

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