当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

 2016年6月30日放映のアメトーーク、テーマは「エゴサーチ芸人」である。

 その名の通り、エゴサーチを習慣的にやっている芸人集めて話を聞くという内容である。前列にはNON STYLE井上・ウーマンラッシュアワー村本・品川とナルシストの嫌われ者が揃っていたので、彼らのナルシストっぷりと、それを嫌っているネット住民との喧嘩っぷりを笑うのであればいい回になると思われた。

 ところが、実際に見たうえでの感想は「それほどでもなかった」というのが正直なところである。
 多分、そんなに悪口が出てこなかったからである。
 番組は、主にエゴサーチ芸人たちのエゴサーチにまつわるエピソードを積み重ねていく形で進んでいったが、彼らも当然自分を褒めている言説を探したくてエゴサーチをしているのである。だから、「こんな褒め言葉を発見した」とか「こんな風に褒められていると嬉しい」みたいな箸にも棒にもかからない話がオンエアの大部分を占めていた。芸人たちが褒められている様子を見せられても、笑いは起きない。彼らの「こんな風に褒められたい」という願望も、行き過ぎていればズレになって笑いを生み出しうるが、井上・村本・品川といったナルシストキャラの芸人がその手の発言をすると、ズレすぎで引いてしまう場合の方が多いのではないだろうか。エゴサーチ芸人のエピソードの相互の関連も薄く、完全に、「単発のおもしろエピソード(←実際にはそんなにおもしろくない)を一つずつ紹介していくだけ」という調子が悪い時のアメトーークだった。

 じゃあネットの悪口を紹介する内容に特化すればいいのかというと、今回のオンエアを見た限りではそうも思えなかった。番組ではたまにネット(主にツイッター)のリアル悪口もポツポツと出てくるのだが、さすがに生の悪意に満ち満ちたネット上の発言であるため、「●●はクソ」みたいなストレートな敵意が剥き出しで、なかなかに笑えなかった。そういうストレートな悪口もネット上では「ストレートすぎておもしろい」という場合があるのだが、今回のオンエアでは悪口を言われている本人がそれを見ることになるため、本人に見せる悪口としては鋭利過ぎるのである。あの手の悪口は、本人が見ていないことを前提に陰口的にやるのであればおもしろいのだが、本人が見ているとなるとズレの程度としては大きすぎで、傍で見ている視聴者を引かせてしまうのである。
 悪口を見せるのだとしたら、それ単体でおもしろいハイセンスやつを拾っていかないといけない。エゴサーチ芸人の口からは過去のエピソードとして何個か出てきていたが、リアルタイムでそういうものを拾えた映像が撮れた方が確実におもしろい。そこをもう少し発掘してみてもが良かったのではないか。

 番組の後半に村本が「家族オカシイ芸人」のオンエアを見ながらエゴサーチする様子がオンエアされていたが、自分を褒める発言を見つけて喜ぶ様子が少し嘘くさかった。番組のために少し大げさに喜ぶ演技をしていたのだとしたら、もっと練習した方がいい。あれが素だとしても、どっちにしろ嘘くさいのは変わらないので、やっぱり「嘘くさく見えないように喜ぶ演技」を練習した方がいい。

管理人/副管理人のみ編集できます