当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

 2016年3月19日放映のフジテレビ「めちゃ×2イケてるッ!(めちゃイケ)」は、これまでドッキリを仕掛けられた経験がほとんど(あるいは全く)なく、リアクションの「見えない」芸能人にドッキリを仕掛けるという企画だった。ターゲットになったのは、Toshl・バカリズム・哀川翔・見栄晴・市村正親の5人である。
 ドッキリの内容は、いくつかバリエーションがあったが、業界人風の男(うぃーすP)に唐突に背後から脇をくすぐらせる「うぃーすPドッキリ」、リトル清原(清原和博のモノマネ芸人)を登場させてターゲット睨ませる「コワモテドッキリ」、女性の喘ぎ声のような音が出るワゴンを登場させる「お色気ドッキリ」、お化けの手を登場させる「お化けドッキリ」、ケーキを爆破してクリームまみれにさせる「爆破ドッキリ」の5つだった。
 このうち、まずコワモテドッキリは、リトル清原がフラっと現場に登場してターゲットをにらみつけるだけであり、ただのシュールなコントであった。例えば、ヤクザ然とした風体の男たちを複数人登場させてターゲットに絡ませればリアクションを楽しめるドッキリになるが、リトル清原はそのレベルの絡み方をしておらず、ただただ登場して、いくつか動きを見せて、帰るということしかやっていなかった。
 また、お色気ドッキリも、変な音が出るワゴンが登場するだけでリアクションがとりづらく、お化けドッキリも、基本的にはお化けの手がターゲットから遠めの場所に登場するだけで、爆破ドッキリの前提にしかなっていなかった。
 更にその爆破ドッキリも、爆破して「クリームまみれのターゲット」という画ができればオチるため、その後のリアクションは基本的に蛇足の部分でしかない。
 すなわち、純粋にリアクションを楽しめるドッキリが「うぃーすPドッキリ」だけだったのである。
 リアクションを楽しむドッキリは、仕掛人とターゲットをガッツリと絡ませないと成立しない。ターゲットを複数用意し、またドッキリの種類も色々と用意しすぎた結果、一つ一つのドッキリに割ける尺が短くなってしまったのだと考えるが、それでは企画趣旨に謳っている「リアクション」を見ることができない。再考の、余地があろう。
 実際のリアクションだが、Toshlとバカリズムは(自然だが)全体的に弱かった。見栄晴は、呼び出す口実にされた企画が偽物だったということをばらした瞬間にいいリアクションをしていたが、「嘘だ〜」というような内容を大仰に叫ぶという古臭いものであり、特に新鮮味はなかった。市村は、ネタばらしの後の言動がハイテンションで、わざとらしく「おもしろい感じ」を出そうとしているように見えてしまい、痛々しかった。
 つまり、本来の企画趣旨である「リアクションが新鮮そうなターゲットを見つける」という目標は失敗だったと言っていいだろう。ただ、弱いリアクションしかとれなかったのは、前述の通りドッキリが弱いものばかりだったというのも原因の一つである。ターゲットばかりを責めることはできない。

 さて、今回の放送ではドッキリを受けた哀川がマジでキレてしまっており、その様子がオンエアされていた。普通、あそこまでマジギレした場合は全カットをするものだが、哀川本人の了承を得て放送に踏み切ったということである。
 ただ、全然笑えなかったのでやり方は考えた方がいいだろう。「ドッキリをかけたら哀川翔がマジギレした」というのは、トーク中にエピソードとして出てくる分には非常におもしろいので、今後ネタとして扱っていくのはいいのだが、映像そのものを今回の放映で出すのはあまりよろしくないと考える。哀川の映像を使えなくなることで尺が足りなくなるのであれば、他の方法で何とかするしかない。
 加えて、市村正親が結局ケーキの爆破ドッキリを受けていないという点も気になるところである。オンエアでは、ケーキが市村の前に運ばれた後に岡村が爆破のスイッチを入れたのだが、その時は爆発が起きず、岡村からケーキを下げるよう指示された武田真治(市村に対する仕掛人の一人)がケーキを運んでいる最中に爆破が起きて、武田がクリームまみれになっていた。あれは、なんだったのだろうか。
 マジのアクシデントか台本通りなのかは判然としない。仮に台本通りだったとすれば、市村に爆破を仕掛けないのは逃げであるし、武田がひどい目に合うのも過去のめちゃイケで何度となく起きていることなので、新鮮味がない。武田自身も市村に対するドッキリの時のみに唐突に登場しているため、クリームまみれになったことも唐突であってその流れを納得できるだけのフリも足りない。例えば、武田が他のターゲットに対しても仕掛人をやっていたのであれば、最後にひどい目に合うというのは一つの(ベタだが)了解できるオチではある。そういうのが全くないので、唐突感が否めないのである。

 この手のドキュメンタリーコントをやるなら、最初から最後までドキュメンタリーコントじゃないといけないということである。まずはドッキリを仕掛けるというドキュメンタリーをやった後に、唐突にコントを入れるから中途半端でどっちつかずになるのである。
 まあ、全体的に不発の企画だったと言っていいだろう。めちゃイケのファンとしては次に期待する。

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