当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

 2016年4月28日放映のアメトーーク、テーマは「最新芸人タバコ事情」である。

 タバコをテーマにする場合、喫煙を賛美する方向性と卑下する方向性の2通りの番組作りがあり得る。笑いをとる場合は、当然後者の方向性をとって「世の中から嫌われており」「自ら健康を害していて」「禁煙にも何度も失敗している」喫煙者を自ら虐していかなければならない。
 今回の放映は、タバコに対して風当たりの強いこのご時世のせいなのか、きっちりと後者の方向性をとりきっていた。喫煙芸人たちは数々の自虐エピソードを語り、それを禁煙に成功しているMCの雨上がり決死隊がバカにしてツッコむことで、笑いが生まれる。
 そして今回のオンエアは、この禁煙者と喫煙者の対立という構造による笑いだけでなく、喫煙者の中での内部分裂からも笑いが生まれる構造になっていた。この点は、非常にポイントが高い。
 どういうことか。ひな壇に座っていた芸人たちは、全員最近世に出てきた「アイコス」という電子タバコの使用者だった。他方MCの横には、昔ながらのタバコをずっと吸っている千鳥の大悟がいた。普通この席に座るのは、ひな壇の面々と対照的な特徴を持った芸人(すなわち生まれてこの方タバコを吸ったことのない芸人や、タバコの嫌いな芸人)なのだが、今回その役割を担っていたのは大悟とMCの間にいた川田アナであった。本来ひな壇にいてもおかしくなかった大悟を、この席に座らせたというのがミソである。ひな壇の面々は、アイコスという煙や臭いの少ない最新電子タバコを吸っていることで大悟より優位に立とうとする。大悟は当然それに反発して喧嘩する。この同属嫌悪によるいわば「醜い争い」が、また笑いを生むのである。それは、吸わない人と吸う人とという対立軸とはまた種類の違う喧嘩なので、視聴者の飽きを防止することができるのである。

 前半の内容が少しアイコスの紹介に偏り過ぎていたため、アイコスの販促回ではないかと疑われてしまったのが唯一の難点だったが、基本的にはおもしろい回だったと言っていいだろう。

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