当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

 2016年5月12日放映のアメトーーク、テーマは「家族オカシイ芸人」だった。

 自分の変な家族のオカシイところを面白おかしく話す内容である。典型的なケナシ回であり、プライベートを切り売りして笑いをとりにくる芸人たちの姿勢には一種の悲愴感さえ漂う。自分のプライベートではなく、「家族」という他人のプライベートなのである。
 無論、プライベートを出さずに笑いをとれるのであればそれが一番いい。自分のプライベートを売り切った芸人が次に手を付けるのが家族のプライベートであり、そこも売り尽くすともう在庫がなくなる。自分と全く関係のない他人のプライベートを売りに出すと、普通は怒られるし、場合によっては犯罪にもなってしまう。それでなくとも、自分や家族を笑いものにするというのは、とても業の深くて苦しい作業なのである。彼らはカメラの前ではそのあたりを隠して気丈に冗談めいて振る舞っているので、見る方には笑ってあげてほしいが、こういうことをせずに笑いをとれるのが一番なのは確かなのである。

 さて内容であるが、まずひな壇の面子が8人というのは多すぎである。そのせいで、各芸人のおもしろさがやたらと分散してしまった印象が強い。今回筆者が本当に変な人だと感じたのは、息子を未だに風俗に誘う秋山の父、男をとっかえひっかえして官能小説的なものまで書いている品川の母、家族を捨てて単身バリに渡り、そこに何年も住みついて帰ってこないパンサー菅の父だけである。あとの家族は、個々のおもしろいエピソードは出てくるが、「親戚のイタいおっさん・おばさん」の域を出ていなかった。法事に出席すれば、絶対に一人はいるレベルの人である。
 それなら、もっと対象を絞って、上記の3人だけに密着した方が良かったのではなかろうか。バリにいる菅の父親にはカメラが密着した映像が出てきていたが、秋山父や品川母にも同じような取材を行ってほしかったところである。直接スタジオに出てきてもらっても良かっただろう。確かに変な素人は読めない動きをするので怖い部分もあるのだが、あれだけ実力派が揃っているのだからなんとか成立させることができるはずである。

管理人/副管理人のみ編集できます