当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

 2016年6月9日放映のアメトーーク、テーマは「やっぱり結婚したい芸人」である。

 結婚不適合者である男芸人たちの、結婚生活についての妄想を嘲笑う回である。その妄想をひとしきり見せられた後に、彼らが結婚不適合者である理由(それはとりもなおさず、彼らが女性や結婚そのものに対して抱いているひねくれた感情や価値観である)が彼ら自身の口から語られ、全部を台無しにして終わる。

 前半の「妄想」の部分は、結婚不適合者の男性が抱いている理想的すぎる女性観や結婚観をまざまざと見せつけられることになるため、そのズレがボケになり、痛々しくておもしろい。ストレートにツッコミを入れるなら、「こんな結婚生活はあり得ないよ」とか、「結婚不適合者のくせに結婚したい願望が強すぎてこわい」とか、「理想がこんな高すぎるから結婚できないんだよ」とかになるんだろう。筆者には少し痛々しすぎて見るのが辛い部分もあったが、好みの問題だろう。彼らは笑いをとるために自分のモテを犠牲にして痛々しさを盛っている場合もあるだろうから、笑ってあげるべきである。

 そして後半で、彼らが世の女性や結婚そのものに対して抱いている憤懣がポロポロと出てくる。これは世の女性や結婚自体が内包しているおかしなところを指摘するツッコミであるとともに、前半であれだけ結婚したいと言っていた彼らが実際には結婚からほど遠いところにいる(=自分から結婚に近づく努力を一切していなさそう)なことを暴露しているという意味では、前半の妄想との際立ったズレを生み出すボケでもある。そのボケにツッコむのは、MCや、横にいた遠藤の役割である。

 総評としては、典型的なケナシ回としておもしろかった。特に前半の「理想」が後半の愚痴で台無しになるという番組全体を通した構成・オチがあったのが良かった。欲を言えば、この構成をもっと分かりやすい形にしてほしかったところである。
 アメトーークは、その回のテーマに沿って、その中で更に細分化された単発のトークテーマを順番に並べただけ、という構成の回が結構あり、今回のように全体を通した「ストーリー」がないのではないかと思われる場合が多い。今回も、前半の「妄想」と後半の「愚痴」をただただ単純に並べたら、偶然前半がフリになって後半がオチの役割を果たし、全体を通した構成のように見えた、という感は正直否めなかった。この「番組全体を通した構成」を意識して作り出してほしいということである。

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