当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

 2016年7月16日放映のアメトーークを見た。テーマは、「高校野球大大大大好き芸人」である。
 去年も同じような時期(2015年7月18日)に同じテーマで番組をやっており、基本的には毎年同じ時期に「全国高等学校野球選手権大会」と「熱闘甲子園」というテレビ朝日の番組を告知宣伝する回をやらざるを得ないのだろう。そのような制約があることを踏まえたうえで、どこまでおもしろい番組作りができるかが勝負である。

 まあ、基本的にはドラマティックな試合や珍プレー好プレーが要領よく編集されていたので、見てはいられた。ただ、笑いに関しては大部分を狩野の天然とザキヤマに頼っており、絶対量も少なかったので、アメトーークで取り上げるべきテーマなのかは疑問である。蛍原もしきりに「アメトーークでは扱いきれない」という趣旨の発言をして、「奇跡体験!アンビリバボー」におけるたけしのモノマネをザキヤマにフっていた。蛍原のこの発言は単にモノマネのフリでしかなかったが、若干マジに聞こえたので苦笑いしかできなかった。

 「全国高等学校野球選手権大会」のエンターテインメントとしての楽しさについては、基本的には好きな人が見てくれればそれでいいと思っているので、あまり云々したくはない。ただ、多分今回のアメトーークで紹介されていたのは、今まで100年近くやっている甲子園全体の歴史の中から特におもしろい箇所だけ抽出したものである。今回のオンエアを見て実際に甲子園を見てみようと思った人は、今回で紹介された映像の背後に「そこまでおもしろくはない箇所」が膨大にあることを忘れてはならない。
 あと、高校生特有の(技術や精神面の)未完成さがドラマティックな逆転とかにつながっている部分もあると思うので、そこは良し悪しだろう。堅実に勝ちきる試合というのは、大抵はつまらないものだが、ドラマ性と堅実さというのは不可避的にトレードオフの関係にある。今回8点差を9回裏だけで追いついた試合が紹介されていたが、そういうものに感動を覚える人がいる一方で、「馬鹿試合」と評して忌み嫌う人も中にはいるだろう。そこは完全に、好みの問題でしかないのである。

 あとは、箇条書きで、筆者が気になっている点だけを記しておく。
・真夏に屋根のない球場でのプレーを今も強いることで、選手たちのパフォーマンスが低下していないか。そのせいで、エンターテインメントとしての楽しさも減退していないか。2022年に中東のカタールでやるサッカーのワールドカップなんか、夏を避けて1月に開催することが真剣に検討されている状況である。まあ、あの暑い時期にあの暑い球場で選手たちが汗を流して真剣なプレーをすることがドラマ性を押し上げている側面はあるので、「演出」として肯定するという開き直り方は一つ筋が通ると思う。
・甲子園出場(あるいは優勝)が自己目的化する現象が起きていないか。箱根駅伝のように燃え尽き症候群みたいなものがあるのではないか。あるいは、厳しい日程で選手を酷使することで選手を壊してしまうというようなことにもつながっているのではないか。これが、日本の野球の選手層全体に悪影響を与えていないか。

 最後に少し関係ない話をするが、野球ってルールが複雑すぎやしないだろうか。筆者がこういうことを言うと、大抵「確かに振り逃げとかインフィールドフライとか、分かりにくいよね」という反応が返ってくるのだが、筆者が言っているのはそういうレベルの話ではなくて、もっと手前の低レベルの話である。野球は、サッカーやバスケみたいな単純明快なスポーツと比べて、点が入るまでの過程が多すぎではないだろうか。ヒットを打てば1点で、ホームランを打てば4点でもいいのではないだろうか。この過程の多さに筆者は困惑してしまって、どこを重点的に見ればいいのかがよく分からなくなってしまうのである。

 まあ、これも好き嫌いである。野球が絡むとどうしても悪口を言いたくなってしまうが、性である。

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