2016年8月14日に放映された「1位芸人が集結！ネタフェス2016夏笑い」を見た。
基本的には普通のネタ番組だったが、M-1の朝日放送が作っている番組なので、M-1の告知が随所に散りばめられており、過去のM-1に出た芸人、これからのM-1に出そうな芸人にも枠が与えられていた。
「普通のネタ番組」というのは、褒め言葉ではない。フジテレビでやっているENGEIグランドスラムのように、芸人たちが自分で考えたネタを垂れ流しているだけで、番組側がそれ以上のことをやっている形跡が見られない、ということである。問題点はENGEIグランドスラムに共通しているので、筆者が過去に書いた記事を参照していただきたい。
すなわち、司会の東野と剛力にも特にいる意味がない。冒頭剛力が番組の趣旨を説明した後で東野が「剛力さんの仕事はこれで終わりです」と言ってしまうあたりがこの番組の本質をよく現している。
こういう言っちゃまずそうなことをサラッと言ってしまうブラックさが東野の魅力の一つなのだが、だからこそ芸能界の世渡りがあまりうまくないんだなあと感じるところである。その結果として、今田に比べると日当たりの悪い道をこれまでずっと歩いてきたような気がするのである。
東野の話はこれぐらいにして、各ネタの寸評に移る。
1.トレンディエンジェル
ただの足し算の漫才。もっと練れる。
2.NON STYLE
ウンコが後に生きてきた。
これは、これでいいんだろう。
3.どぶろっく
いつものどぶろっく。下ネタだから、地上波のゴールデンではできないレベルで突き抜けないとおもしろくない。あらびき団で突き抜けたどぶろっくをずっと見てきた東野はどう思っただろうか。ただどぶろっくのネタの最中は司会席が一回も映らなかったので、もしかしたら別撮りだったかもしれない。
4.ロバート
「シャーク関口ギターソロ教室」という見たことがあるネタ。
やっぱり山本のツッコミがヘタクソでうるさい。マジでツッコんでいるような迫真性がないうえに、声の調子や大きさもずっと一本調子なのである。秋山のキャラクターが強烈だからそれでもなんとかなっているが、ツッコミをなんとかしたらもっと伸びる気がする。
5.ナイツ
これも見たことあるやつ。
まあこれはこれで。
6.永野
はい。
7.ハリウッドザコシショウ
優勝したR-1でやっていたメチャクチャなモノマネのネタである。それについてはR-1の記事の方を参照されたい。
あらびき団で箸にも棒にもかからないネタを何個も何個も東野に見せていた彼が、地上波のゴールデンで東野と再びあいまみえるという構図に感慨深いものを覚えたが、冷静に考えるとそんなにいいもんでもないだろう。
8.タイムマシーン3号
2015年のM-1のファイナリスト。前述のM-1枠での出演かと思われる。
ボケの関が落語家よろしくソバを食べるパントマイムをやっていくネタである。関がこのパントマイムを異様にうまくできるということがこのネタの中核になっており、これがフリの役割を果たしているが、ツッコミの山本が「うまいうまい」と横で言い過ぎである。山本がうるさいせいで関のパフォーマンス（＝フリ）に集中できないし、本当はうまくないからあんなに「うまいうまい」と連呼しているのではないかという余計な疑念も生じてしまう。
9.とろサーモン
筆者はスカシ漫才の方が好きだが、このネタも久保田の気持ち悪さが表れていたのでよし。なんで売れないのだろうか。若干気持ち悪すぎるからだろうか。
10.COWCOW
ネタ自体はよくできており、よくできた落語やなぞかけのような巧さ・綺麗さみたいなものがあるが、逆にそれが笑いを阻害しているような感がある。もうちょい崩した方が。
11.笑撃戦隊
おもしろかった。
まずツッコミの野村がツッコミを言って、そのツッコミが当てはまるようなボケをボケの柴田が言う、という一風変わったネタである。ボケとツッコミ一つずつの組み合わせは普通に順番通りにやっていたら大しておもしろくないので、逆だからおもしろいのである。天丼とかも入っており、意外にレベルが高い。
野村が言うツッコミは、今回のネタで出てきた例を挙げれば「発泡スチロールか！」といったようなものであり、それほどオーソドックスなツッコミではない。最終的に柴田がこのツッコミに対応するボケを発表した段階で、「そう来るか！」という意外性がズレを呼び起こすものである。だから、単純にオーソドックスなボケとツッコミをひっくり返せばおもしろいというもんでもない。きちんと一つずつの組み合わせを考え抜いてある。
12.サンドウィッチマン
いつもの、足し算のサンドウィッチマン。
13.チュートリアル
徳井演じる変なキャラクターがきちんと笑えるレベルに収まっているのがすごいところである。
14.神11
過去にブレイクした一言ネタ芸人に一言ずつネタをやってもらうコーナー。箸休めとしての役割は果たしていた。
面子は以下の通りである。
�．譽�ュラー
��永井祐一郎
��ムーディ勝山
�ぅ灰Ε畭隻�
�ヅ慶邸〔畋�
�Ε瀬鵐妊�坂野
�Г任垢茵�
��大西ライオン
��ジョイマン
��ゆってぃ
��波田陽区
別に、全員自分がブレイクした時のネタをそのまんまやっていたので、特筆すべきことはない。
ただ、レギュラーは「あるある」がおもしろいのではなくて、ネタの合間合間の動きがおもしろいのだからそこにもう少しスポットを当てるべきである。また、ジョイマンのツッコミは、ボケの高木が言ったことをオウム返しするというツッコミからそろそろ卒業した方がいい。
それから最後に波田陽区は、司会の剛力をイジるんだったらもっとウケないとダメである。
15.笑い飯
M-1でやった鳥人のネタ。M-1でやったものと寸分違わぬあたりが笑い飯のテレビ的な限界だとは思う。
16.ニューヨーク
ツッコミの屋敷は、もう少し自然な演技力を身につけましょう。
17.尼神インター
ボケの誠子がブスなのに美人のような振舞いをするというのがこのコンビの笑いの中核を為している。そして、誠子の美人の振る舞いは堂に入っている。だからこそ売れる匂いを感じるのだが、他方でツッコミの渚は徹頭徹尾芝居がヘタである。ずっとあの調子なので、もしかしたらわざとあんな感じでやっているのかもしれないが、そうだとしたらやめた方がいいと思う。
誠子をマジで変な人だと思っている感じをもっと出した方がいい。
18.アンガールズ
東野も言っていたが、ただネタをやっているだけなのに客席から悲鳴が上がるのがもう芸風の一つになっている。
このネタはこのネタでいいのだが、一番最後の田中のモノローグがちょっと陳腐なのがどうにもなあ。でもそれは個人の好みの問題なので、あまり気にしなくていいと思う。
19.松村邦洋
モノマネは、うまい。
20.POISON GIRL BAND
筆者は非常におもしろかったが、スラィリーとか原由子とかキン消しとか単語レベルのおもしろさに少し頼り過ぎている気がする。ちゃんと見ると単語レベルのおもしろさだけじゃないというのが分かるのだが、そういう印象が植わってしまうレベルの偏りがあるので、損していると思う。
21.桂三度
登場人物が三度本人以外に2人出てくるので、できればトリオでやってほしいのだが、落語っていうのはああいうもんなんだろう。
1人でやれば、ギャラは3分の1になるし、控室も最多で1つでいいし、稽古や打ち合わせの手間も減るしで、作り手にとってはメリットだらけなのである。ただ、このネタを（3人でなく）1人で演じることが何かおもしろさの向上に寄与している点が本当にあるのかは、筆者にはまだ分からない。あるのであれば、だれか筆者に説明してほしい。これは、落語を含めた一人話芸全体に投げかける疑問である。
22.オール阪神・巨人
客に何かを言わせて、その反応が薄いことにツッコミを入れて笑いをとっていくというのは、非常に楽なやり方に見えたのだが、実際のところはよく分からない。
流石、大ベテランである。
基本的には普通のネタ番組だったが、M-1の朝日放送が作っている番組なので、M-1の告知が随所に散りばめられており、過去のM-1に出た芸人、これからのM-1に出そうな芸人にも枠が与えられていた。
「普通のネタ番組」というのは、褒め言葉ではない。フジテレビでやっているENGEIグランドスラムのように、芸人たちが自分で考えたネタを垂れ流しているだけで、番組側がそれ以上のことをやっている形跡が見られない、ということである。問題点はENGEIグランドスラムに共通しているので、筆者が過去に書いた記事を参照していただきたい。
すなわち、司会の東野と剛力にも特にいる意味がない。冒頭剛力が番組の趣旨を説明した後で東野が「剛力さんの仕事はこれで終わりです」と言ってしまうあたりがこの番組の本質をよく現している。
こういう言っちゃまずそうなことをサラッと言ってしまうブラックさが東野の魅力の一つなのだが、だからこそ芸能界の世渡りがあまりうまくないんだなあと感じるところである。その結果として、今田に比べると日当たりの悪い道をこれまでずっと歩いてきたような気がするのである。
東野の話はこれぐらいにして、各ネタの寸評に移る。
1.トレンディエンジェル
ただの足し算の漫才。もっと練れる。
2.NON STYLE
ウンコが後に生きてきた。
これは、これでいいんだろう。
3.どぶろっく
いつものどぶろっく。下ネタだから、地上波のゴールデンではできないレベルで突き抜けないとおもしろくない。あらびき団で突き抜けたどぶろっくをずっと見てきた東野はどう思っただろうか。ただどぶろっくのネタの最中は司会席が一回も映らなかったので、もしかしたら別撮りだったかもしれない。
4.ロバート
「シャーク関口ギターソロ教室」という見たことがあるネタ。
やっぱり山本のツッコミがヘタクソでうるさい。マジでツッコんでいるような迫真性がないうえに、声の調子や大きさもずっと一本調子なのである。秋山のキャラクターが強烈だからそれでもなんとかなっているが、ツッコミをなんとかしたらもっと伸びる気がする。
5.ナイツ
これも見たことあるやつ。
まあこれはこれで。
6.永野
はい。
7.ハリウッドザコシショウ
優勝したR-1でやっていたメチャクチャなモノマネのネタである。それについてはR-1の記事の方を参照されたい。
あらびき団で箸にも棒にもかからないネタを何個も何個も東野に見せていた彼が、地上波のゴールデンで東野と再びあいまみえるという構図に感慨深いものを覚えたが、冷静に考えるとそんなにいいもんでもないだろう。
8.タイムマシーン3号
2015年のM-1のファイナリスト。前述のM-1枠での出演かと思われる。
ボケの関が落語家よろしくソバを食べるパントマイムをやっていくネタである。関がこのパントマイムを異様にうまくできるということがこのネタの中核になっており、これがフリの役割を果たしているが、ツッコミの山本が「うまいうまい」と横で言い過ぎである。山本がうるさいせいで関のパフォーマンス（＝フリ）に集中できないし、本当はうまくないからあんなに「うまいうまい」と連呼しているのではないかという余計な疑念も生じてしまう。
9.とろサーモン
筆者はスカシ漫才の方が好きだが、このネタも久保田の気持ち悪さが表れていたのでよし。なんで売れないのだろうか。若干気持ち悪すぎるからだろうか。
10.COWCOW
ネタ自体はよくできており、よくできた落語やなぞかけのような巧さ・綺麗さみたいなものがあるが、逆にそれが笑いを阻害しているような感がある。もうちょい崩した方が。
11.笑撃戦隊
おもしろかった。
まずツッコミの野村がツッコミを言って、そのツッコミが当てはまるようなボケをボケの柴田が言う、という一風変わったネタである。ボケとツッコミ一つずつの組み合わせは普通に順番通りにやっていたら大しておもしろくないので、逆だからおもしろいのである。天丼とかも入っており、意外にレベルが高い。
野村が言うツッコミは、今回のネタで出てきた例を挙げれば「発泡スチロールか！」といったようなものであり、それほどオーソドックスなツッコミではない。最終的に柴田がこのツッコミに対応するボケを発表した段階で、「そう来るか！」という意外性がズレを呼び起こすものである。だから、単純にオーソドックスなボケとツッコミをひっくり返せばおもしろいというもんでもない。きちんと一つずつの組み合わせを考え抜いてある。
12.サンドウィッチマン
いつもの、足し算のサンドウィッチマン。
13.チュートリアル
徳井演じる変なキャラクターがきちんと笑えるレベルに収まっているのがすごいところである。
14.神11
過去にブレイクした一言ネタ芸人に一言ずつネタをやってもらうコーナー。箸休めとしての役割は果たしていた。
面子は以下の通りである。
�．譽�ュラー
��永井祐一郎
��ムーディ勝山
�ぅ灰Ε畭隻�
�ヅ慶邸〔畋�
�Ε瀬鵐妊�坂野
�Г任垢茵�
��大西ライオン
��ジョイマン
��ゆってぃ
��波田陽区
別に、全員自分がブレイクした時のネタをそのまんまやっていたので、特筆すべきことはない。
ただ、レギュラーは「あるある」がおもしろいのではなくて、ネタの合間合間の動きがおもしろいのだからそこにもう少しスポットを当てるべきである。また、ジョイマンのツッコミは、ボケの高木が言ったことをオウム返しするというツッコミからそろそろ卒業した方がいい。
それから最後に波田陽区は、司会の剛力をイジるんだったらもっとウケないとダメである。
15.笑い飯
M-1でやった鳥人のネタ。M-1でやったものと寸分違わぬあたりが笑い飯のテレビ的な限界だとは思う。
16.ニューヨーク
ツッコミの屋敷は、もう少し自然な演技力を身につけましょう。
17.尼神インター
ボケの誠子がブスなのに美人のような振舞いをするというのがこのコンビの笑いの中核を為している。そして、誠子の美人の振る舞いは堂に入っている。だからこそ売れる匂いを感じるのだが、他方でツッコミの渚は徹頭徹尾芝居がヘタである。ずっとあの調子なので、もしかしたらわざとあんな感じでやっているのかもしれないが、そうだとしたらやめた方がいいと思う。
誠子をマジで変な人だと思っている感じをもっと出した方がいい。
18.アンガールズ
東野も言っていたが、ただネタをやっているだけなのに客席から悲鳴が上がるのがもう芸風の一つになっている。
このネタはこのネタでいいのだが、一番最後の田中のモノローグがちょっと陳腐なのがどうにもなあ。でもそれは個人の好みの問題なので、あまり気にしなくていいと思う。
19.松村邦洋
モノマネは、うまい。
20.POISON GIRL BAND
筆者は非常におもしろかったが、スラィリーとか原由子とかキン消しとか単語レベルのおもしろさに少し頼り過ぎている気がする。ちゃんと見ると単語レベルのおもしろさだけじゃないというのが分かるのだが、そういう印象が植わってしまうレベルの偏りがあるので、損していると思う。
21.桂三度
登場人物が三度本人以外に2人出てくるので、できればトリオでやってほしいのだが、落語っていうのはああいうもんなんだろう。
1人でやれば、ギャラは3分の1になるし、控室も最多で1つでいいし、稽古や打ち合わせの手間も減るしで、作り手にとってはメリットだらけなのである。ただ、このネタを（3人でなく）1人で演じることが何かおもしろさの向上に寄与している点が本当にあるのかは、筆者にはまだ分からない。あるのであれば、だれか筆者に説明してほしい。これは、落語を含めた一人話芸全体に投げかける疑問である。
22.オール阪神・巨人
客に何かを言わせて、その反応が薄いことにツッコミを入れて笑いをとっていくというのは、非常に楽なやり方に見えたのだが、実際のところはよく分からない。
流石、大ベテランである。
最新コメント