当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

 2019年6月13日放映のアメトーークを見た。今回は「豆腐大好き芸人」という企画だった。

 「食シリーズ」と言われている一つの食材や料理をテーマにした企画である。テーマとなる食材を褒めてばかりだと笑えないホメ回になってしまうので、何らかの工夫が必要なのであるが、今回は無軌道にボケまくっていた華丸にだいぶ救われていた。その代わり、豆腐のすごさはあんまり伝わってこなかったのであるが、「笑い」と「豆腐の凄さを伝える知的バラエティとしての訴求力や、分かりやすさ」は不可避的にトレードオフの関係にある。両奪りはできないので、そこはもうしょうがない。「知的バラエティ」に重点を置くとすれば、木綿と絹の違いを説明したり、高野豆腐・ゴマ豆腐・卵豆腐といった変わり種を取り扱ったり、豆腐の成分や調理法を詳しく紹介したりしても良かったと思うが、今回のOAではそういうガッテン的な話題は一切なかった。笑いに加えてここまでやってたら、尺が足りないからであろう。
 むしろ、本題を邪魔してでもボケに徹した華丸に拍手を送りたい。

 あと、橋本が全然しゃべってなかった。次また呼ばれたら頑張って。

※宮迫の闇営業事件に関しては、普通のことしか言えません。
 問題は2つあります。「闇営業をした」ということと、「反社会的勢力のイベントに出た」ということです。
 前者に関してはあくまで吉本との契約の問題です。闇営業が禁じられるのは、事務所とそういうことをするなという契約をしているから、です。事務所に所属していないフリーの芸人であれば(あるいは、事務所所属の芸人でもそういった明確な契約がなければ)、自分で仕事をとってきてその報酬を全部自分の懐に入れても何も問題はありません。なので、この問題に対しては、吉本がどういう措置をとるか、ということでしかないでしょう。
 宮迫の事務所に対する貢献度は大きいでしょうから、吉本としても入江ほど簡単に切ることはできないでしょう。吉本が動くとすれば、「宮迫を残すことによるデメリット」が「切ることによるデメリット」より大きくなった場合です。紳助は、そうなったからこそ引退にまで追い込まれたのでしょう。

 後者に関しても、宮迫の行為が直ちに法に触れるということにはならないと思われます。例えば東京都の暴力団排除条例(暴排条例)は、事業者に対して、一定の場合に契約の相手方が暴力団関係者であることを確認する努力義務、また契約の相手方が暴力団関係者であることが判明した場合に契約を直ちに解除することができる旨の条項を盛り込む努力義務を課しています(18条)。ただしいずれも努力義務に過ぎず、罰則もないほか、暴力団関係者と契約すること自体が禁じられているわけではありません。そもそも、宮迫が出席したパーティーの列席者が「暴力団関係者」なのかどうか(またそうだとして、どのレベルの「関係者」なのか)は、実はあんまりはっきりしていないと思います。

 宮迫が今回の営業でギャラをもらったのかどうかもあまりはっきりしませんが、もらっているにしろもらっていないにしろ、契約書までは作っていなさそうなので、解除の条項を盛り込むなどということは当然していない可能性が高いですし、契約の相手方(=営業の依頼主)が暴力団関係者であるかどうかをきちんと確認していないのは確かだと思われます。ただそういったことを全くしていなかったとしても、元が努力義務でしかないので「しようと努力はした」と言い訳をする余地が残っています。またその言い訳が通らなかったとしても、努力義務違反にしかならないので、直ちに何か法的な効果が生じるということではありません。

(※仮にギャラをもらっていたとすれば、それをきちんと申告したかどうかという税法の問題は残ります。)

 そうすると、あとは努力義務違反の可能性がある宮迫を世論やスポンサーがどう思うか、ということになります。バッシングの声が広がれば、宮迫が出ている番組から下りるスポンサーが今後増えていくでしょう。そうなると、メディアとしても宮迫の起用を避けるようになります。すると、宮迫の吉本に対する貢献度も下がっていき、吉本としても「宮迫を残すことによるデメリット」が「切ることによるデメリット」を上回る状況ができ上がるかもしれません。他方で、吉本と直接取引関係のある大企業が吉本との取引をやめようとするかもしれません。そうなれば、吉本に直接のダメージが入ります。そこまでいけば、吉本としても宮迫に対する処分に動き出すかもしれません。

 ただまあ、現状世論がそこまでの盛り上がりを見せているようには見えない、というのが正直なところです。今回のアメトーークも、この問題に関する謝罪や言及も特になく、普通に放映されていました。今後、この問題はそのまま沈静化していくのではないでしょうか。

 私としては宮迫みたいなきちんと実力のある芸人にはちゃんと生き残っていて欲しいと思っているのが正直なところです。
 確かに宮迫は、有吉の言葉を借りれば、プライドが高すぎて芸人であるにもかかわらず自分をイジらせない「バリア」を張っています。芸人なのに、ハゲも不倫もビビリも奥さんのこともファッションセンスがダサいくせに変にカッコつけていることも満足にイジれないのです。そのくせ自分はそのバリアの中という安全な位置から他の芸人をイジりまくるので、対等なプロレスができておらず、一方的なイジメに見えてしまって笑いを阻害する(=宮迫から一方的にイジられている芸人がかわいそうに映ってしまう)というとんねるず化現象が起きています。色々なことができすぎる反面分かりやすく突出した武器があるわけでもないので器用貧乏の誹りは甘んじて受ける必要があるでしょうし、コント向けの敢えて若干クサさを醸し出す芝居がコント以外の局面では鼻につくこともあります。しかし、あれだけ芝居もできて歌も上手くて誰かがスベってもきちんとツッコんでフォローできる芸人も珍しいのです。芸人として必要な「芸」の基礎がほとんど全ての分野で備わっているんです。そんな吉本の宝を、易々と手放してほしくはありません。だから、これからはきちんと自分がイジられて笑いをとるという方向性の仕事も解禁していったらどうでしょうか。自分から敢えてヨゴれて、普段自分がバカにしているヨゴレ芸人の戦場に降りていき、一緒に泥に塗れるのです。そうやって仕事の幅を広げれば、吉本への貢献度も上がるかもしれません。そうすれば、首の皮がつながる可能性も上がります。

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