当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

 2019年9月26日放映のアメトーークを見た。今回は「このツッコミがすごい!」というテーマであった。

 まあ、ツッコミ芸人を集めて別のツッコミ芸人を褒めるという完全なるホメ回だったので、笑えるものではなかった。

 番組に登場した面々が述べていたツッコミの技術論は、全て断片的であり、時に相矛盾するようなものも含まれている。例えば礼二は、「無駄の多い自分のツッコミに比べて伊達のツッコミには無駄がない」というホメ方をしていたが、礼二の「無駄の多い」ツッコミだってしっかりウケるのである。
 断片的なものを断片のままで一つずつ集めていかなければお笑いが学べない状況のままだと、上記のように互いに矛盾する断片も存在するので、学び手が混乱してしまう。こういった混乱による無駄を避けるために、議論をもう少し体系化・統一化できないかということで書いたのが私のお笑い論である。

 ただまあ、私も大したことは分からない。
 お笑い論の方で書いているのはボケが提供したズレを的確に把握してそれを指摘せよということでしかない。細かい技術論のことは、分からないので書いていない。
 確実に言えるのは、演技力が大事だということである。ボケのことを心底おかしいと思っている人、訂正したいと思っている人を(本心からそう思っていない場合は)きちんとそういう人だと見えるように演じなければならない。OAでもノブはそれに長けていると言われていたが、OAに名前が挙がった人物は全員この「演技」ができている。特に、伊達はウマい。
 あとはまあ、ツッコミの「質」を決めるファクターとして、声の大小・語調の強弱・言葉数・声質・体格・顔の見た目・体の動き・表情・衣装・間・たとえツッコミにするかどうか・ノリツッコミにするかどうか、などといったものがあるが、この辺はまだ全然統一的な理論ができていない(私がお笑い論で書いたことは、声が小さく、語調が弱く、言葉数も少ない弱いツッコミしかない状態を「シュール」と定義する、ということぐらいのもんである)。要素一つ一つに絶対的な最適解があるものではなくて、ボケの内容も大事である。ボケの内容に合わせてこれらのファクターも変えていなかければならないし、ファクターごとの組み合わせも考えないといけない。多分そんなものを数値化して分析できる人はこの世界にまだ誰もいないので、たまたま各ファクターがうまく絡み合ったものを作れた人がウケているに過ぎない。当然ウケた人は大した理論もなく暗中模索の状態で色々と試行錯誤をした結果、ウケるものを生み出せたのであろうが、声質・体格・顔の見た目といった生まれつきの要素もおもしろさに関わってくるので、全てをうまく絡み合わせるには運も必要である。そして当然、お客さんの好みにも個人差がある。「ウケる」というのはあくまで多数派におもしろいと思われたということに過ぎない。ウケなかったものを好きな(少数派の)お客さんだっているかもしれない。多数派にウケるつもりで上記のファクターを一つ一つ考え込んでプロデュースしたのに、大して結果が出なかったということも日常茶飯事であろう。それほど、難しいもんである。

 この結論じゃ、ダメかしらねえ。私がこのへんの数値化するしかないの? 誰かにやってほしいんだけどなあ。

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