当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

 2020年のR-1です。

 諸々あってお客さんと宮迫のいないR-1になりました。誰が司会をやるのかなと思っていたらまさかのホトちゃんでした。粗品もいましたが、司会としてはほとんどしゃべっていませんでした。

1.メルヘン須長
 沢口靖子のモノマネをしつつのフリップ芸でした。SNSをやっている女性への毒がキツめのネタでしたが、毒の対象が少しとっ散らかってたかしら。あと、沢口靖子に毒があんまり似合わない気がしました。科捜研の女ってそういうキャラなんでしょうか。そうだったら申し訳ありませんが、果たして科捜研の女のキャラクターまで熟知している人がこの日本に何人いるんでしょうかねえ。

2.守谷日和
 警察で取調を受ける重要参考人が、自分に起きた過去の出来事をしゃべる時に自然と落語っぽくなってしまうという設定のネタでした。落語でよく見るようなひょうきんな所作に取調という設定をひとつ引っ掛けたのがミソなんでしょうが、肝心な落語自体私はそんなにおもしろいもんではないと思います。守谷がヘタクソだということではなく(充分ウマかったと思います)、落語でやってること自体がそんなにおもしろくないのではないかということが言いたいのです。もう、見飽きられてるんじゃないですかねえ。だから、いくら設定をひねったところであんまりハネないのではないでしょうか。
 好きな人は、いるかもしれません。

3.SAKURAI
 普通のロックを気取っておいて、どうでもいい内容を歌うという構造のネタです。いかにも普通っぽいイントロや本人の出で立ちは、内容のどうでも良さというオチ(=ズレであり、ボケ)を際立たせるためのフリです。
 肝腎なのは「どうでもいい内容」の中身です。ここでおもしろいものを考える力が大喜利力です。申し訳ありませんが、私にはあんまりハマりませんでした。ただこれは、完全に好みの問題です。ハマった人も、いると思います。私が一番好きなのは、「ビーチバレーが根付いていない国」ですね。
 売れたいのであれば、耳に残るキラーフレーズとかを作って繰り返し織り込んでいくといいんじゃないですかね。これは、笑いとは関係ない話ですが。

4.マヂカルラブリー 野田クリスタル
 ツッコミどころ満載のクソゲー(野田の自作らしいです)を舞台上の画面に大写しにして、それにツッコミを入れていくというスタイルのネタでした。コンセプトは審査員席にいた陣内のネタにソックリです。野田のツッコミの演技がヘタクソなのも陣内とそっくりで、そこは腹が立ちました。
 ゲーム自体は、一昔前の超高難度のクソゲーを彷彿とさせ、純粋に笑える出来でした。欲を言えば、「全鉄」モードを導入した時の主人公のビジュアルも分かりやすく変えて欲しかったです(そのビジュアルがドンと画面に出たときに、大きな笑いが起きる気がします)。そういう部分で手を抜いたのは、昔のクソゲーの再現だったのかもしれませんが。

5.ルシファー吉岡
 若い女性と缶コーヒーで間接キスしてしまうことを異様に気にする自意識過剰なおじさんをおもしろおかしく演じるネタでした。ともすれば悲鳴が上がりかねない内容でしたが、「おもしろい」と「きもちわるい」の分水嶺はどうしても演者のビジュアルにあると思います。イケメンであれとは言ってません。イケメンだとおもしろくなくなります。「イケメンじゃないけど嫌じゃない顔」っていうのがあるんです。ルシファーは……、ギリギリじゃないかしら。お客がいなくて良かったんでしょうか。どうなんでしょうか。

6.ななまがり 森下
 やりたいことをやりきったんだろうなあというのが伝わってきました。そういう人には私は何にも言えません。最後の大きな手が片方外れちゃったのは、ハプニングだったんでしょうか。

 もしかして、やりたくはないけどおもしろいと思ったからやったんでしょうか。イライラ棒のくだりとかはおもしろかったと思いますよ。

7.パーパー ほしのディスコ
 ほしのが女運のない幸の薄そうな男を演じるネタでした。パーパーのネタをピン用にアレンジした感じでしたね。
 パーパーが解散するんじゃないかと思うと若干可哀想で見るのが辛くなりました。あとほしのって、鼻の穴が左右非対称ですね。

8.すゑひろがりず 南條
 現代の色々なものを時代劇風に言い換えるというM-1のネタのピンバージョンでした。言い換えの中身でおもしろいものを考えるのは大喜利力ですが、悪くないと思います。
 最後の大オチは、言い換えが分からなくなって「現代」の言い方に逃げてしまうという流れでしたが、わざとやっているのが見え見えでした。これを天然でやっている与太郎を演じ切れる(=後ろに台本があるのは分かっていても、マジの流れに見えるようにパフォーマンスをする)のが一流の芸人です。

9.ヒューマン中村
 機械にツッコミを入れていくという陣内スタイルでした。演技は堂々とできていたと思います。伏線を張っておいて後で回収するというネタの構成も見事でした。作り込んだネタだっただけに、もうひとハネ欲しかったですね。

10.おいでやす小田
 らしくなかったですね。ら行の巻き舌のおもしろさで最後まで突っ走るネタでした。ウケれば爆発力があるんでしょうが、個人的にはこういう一本調子のネタは好きじゃありません。変化が欲しいです。
 ただ司会の反応を見る限り爆発していたような気もするので、ザコシとかを参考に優勝を狙いにいったのかしら。

11.ワタリ119
 サンシャイン池崎みたいな大声と勢いで押し切るネタでした。大声と勢いがおもしろいんです。ただ、それだけじゃなくて、時計を露わにするクダリや、フリップをめくり出す前の焦らしで笑いをとったりもしていたので、緩急もきちんとあったと思います。
 陣内も言っていましたが、向上委員会での捨て犬みたいな頼りなさはどこへやらという感じでした。ちゃんと、できていました。決勝に上がってくる人は全員ちゃんとできるので、そこを褒めちゃあいけないんですけどね。

12.大谷健太[復活ステージ枠]
 早口のフリップ芸ということで「ワタリとカブっちゃった」と心配になりましたが、見れば見るほど全然違いました。アレンジしたおもしろ早口言葉をイラストとともに披露していくネタだったのですが、アレンジの内容はきちんとした大喜利力に下支えされていました。前に出てきたキャラクターが後の方で再登場するパターンもふんだんにあり、きちんと練り込まれたネタだったと思いました。

<ファイナルステージ>
1.マヂカルラブリー 野田クリスタル
 1本目と同じ感じでした。
 題材がエロアプリみたいなものだったので、地上波のゴールデンでやっていいのかながというのはちょっと気になりましたが。

2.すゑひろがりず 南條
 この人も1本目と同じ感じでした。
 大喜利力はきちんと感じられるのも一緒です。最後の最後の大オチがあんまりウケてませんでした。

3.大谷健太
 フリップ芸でしたが、早口言葉じゃなくて大喜利を披露していく普通のフリップ芸になっていました。ちゃんと大喜利はできてたし天丼みたいなクダリもあったんですが、いかんせん普通過ぎましたね。

<総評>
 優勝は野田でした。テレビでの仕事増えるかしら。ちょっと変人っぽいところがある感じがするので、その手の仕事が増えたらいいですね。ゲームの方は、ネットの世界でいくらでも金稼ぎができると思います。
 ワタリも今回の決勝進出で「向上委員会とフジテレビのもの」というレッテルは剥がれ、他局でも他の番組でも彼を取り扱っていい免罪符がばら撒かれたので、色々なドッキリ番組への出場が待ち遠しいです。まずは、水曜日のダウンタウンが毎年やっているドッキリランキングでワタリが紹介された時の絶妙な気まずさを払拭してほしいところです。
 最後時間が余ったので出場者を1人ずつイジっていたのですが、所在なげにしている野田がおもしろかったです。あと、勝俣の嘘くさい笑い声が響いているのが気になりました。

管理人/副管理人のみ編集できます