当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

 この回の後半の企画「専業モノマネ芸人に抜き打ちタイムショック」を見た父から「あれはどこがおもしろいのか」としつこく聞かれたので、私なりの考えを改めて記しておきます。過去に書いたことの焼き直しになりますが、ご了承ください。

・藤井健太郎氏が第一に念頭に置いているのは、「おもしろさ」ではなく「人間の弱さ・醜さ」である。「人間の弱さ・醜さ」を出す企画を考えて、実際に出た弱さ・醜さを残して強調する編集を行っている。
・今回の企画も、「本来専業モノマネ芸人であれば本人のことを努力して知り、覚えておくべきなのに、それができていない(できない)」という意味での弱さ・醜さを出すことを狙った企画であると思われる。
・ただ「人間の弱さ・醜さ」は、おもしろくて笑える場合もあるが、全てが無条件でおもしろいわけではなく、笑えない場合もある。今回の企画も、「弱さ・醜さ」は存分に出ていたが、おもしろくはなかった。松本のクイズに1問も正解できなかった松本等しいなどはみじめで哀れであり、笑えるレベルを優に飛び越していた。
・体感的には、「水曜日」の企画が笑えるものに仕上がっている割合は50%ぐらいである。
・なぜ笑えないものでも今回のようにOAするのか。藤井氏が「『人間の弱さ・醜さ』は押しなべて無条件におもしろい。両者はイコールである」と考えている可能性もあるが、私は笑いよりも弱さ・醜さを出すことを主題としているからだと思っている。でなければ、50%という低い割合にはなるまい(ただ、「おもしろくないから」という理由でOAではバッサリとカットされた企画(DESIRE合いの手選手権等)もあることはあり、藤井氏の真意についてはまだ量りかねる部分がある)。
・今回の企画はプレゼンターの原口が最後に「オモんなかった」とツッコむことでギリギリ笑いとしては成立していたが、対照的に松本は態度が曖昧であった。彼はおそらく、笑えるものも笑えないものもごちゃ混ぜに見せてくる藤井氏の姿勢を「実験的」と捉えて歓迎している。自分も実験的な企画をこれまでの番組で数々やっているからであろう。だから、「おもしろくない」とバッサリ切ることには慎重な態度を見せる場合がある。
・浜田も松本のその姿勢を汲み取ってか、「おもしろくない」というツッコミを入れることに慎重になる場合がある。
・ただ2人とも、きちんと言うこともある。
・先週のクロちゃんのドミノ企画と今週の前半の企画は久しぶりにとても笑えた。

・考えてみれば、この番組には人間の弱さや醜さを出すことを主眼に置いているわけではない企画もある(DESIRE合いの手選手権や今回の前半の企画なんかはそうであろう)。そういう場合はおもしろさのみが大事になるので、おもしろくなければバッサリとカットする方向に頭が働くと考えれば、矛盾はしない。
・単純にコロナの影響で新作の映像が少なく、使わなければ尺を埋められなかったからカットしなかっただけ、ということも考えられる。
・父はこの番組に出る芸人は可哀想であると思っているようであるが、芸人たちもこの番組に出ると弱さ・醜さを徹底的に強調する演出や編集をされるということはもう分かっているだろうから、それが分かっていても露出やギャラのために「出る」という選択肢をせざるを得ないのも人間の弱さ・醜さのひとつであると思われる(もしかしたら、それが未だに「分かっていない」芸人もいるかもしれないが、その蒙昧さも「弱さ・醜さ」のひとつであろう)。そういう形で人間の「弱さ・醜さ」を出すのもこの番組の狙いであるというのは深読みをしすぎであろうか。
※ただこの番組にはドッキリも多く、ドッキリの場合は演者本人が自分で「出る」という選択をしたわけではないだろうから、上記の議論は当てはまらない。

管理人/副管理人のみ編集できます