2022年1月23日放映の焦点を見ました。
林家三平が降板し、新メンバーとして加入した桂宮治の初登場回でした。
私は、落語には詳しくないので、正直なところ宮治のことは存じ上げませんでした。でもだからこそ、（三平とは違って）実力で選んだんだろうなと勝手に期待していました。
だから、今回の笑点も久しぶりに見ることにしました。
私は一時期笑点を毎週見ていました。毎週見ていたのは、歌丸司会時代のことです。昇太が司会になってから、なんとなく見なくなっていました。
私は1987年生まれなので、リアルタイムで見た笑点は5代目圓楽が司会だった頃からのものです。現在に至るまで、司会はその後歌丸・昇太と受け継がれてきたわけですが、歌丸司会時代の笑点が明らかに一番おもしろかったです。
それはなぜかといえば、歌丸のツッコミ能力が高かったからです。実力の高いツッコミが1人いるだけで、ボケはのびのびとできます。スベったらスベったで、きちんとそのことにツッコミが入るので、どう転んでもウケがとれるからです。ボケ（＝回答者）が悪い意味での緊張をせずにのびのびとやることで色々な種類の笑いが表に出てきます。他のボケも相乗効果でどんどん自由に暴れていきます。そこにまた鋭くツッコミが入ることで、好循環が生まれるわけです。
他方歌丸と比較すると、まず5代目圓楽は、回答者の答えを聞いても笑っている（＝誘い笑い役としての仕事をしている）だけのことが多く、あまりツッコミを入れません。たまに入れても、歌丸ほどのキレはありませんでした。これは私の推測ですが、5代目圓楽は、「噺家なんだから自分一人でオトせてこそ一人前」という価値観で番組を回していた節があるように思えます。木久ちゃん（やたい平）のスベリ芸（しょうもないダジャレや長い歌ネタ）のような「ツッコミに助けてもらって初めて笑えるもの」は邪道だと考えている節があります。だから、あんまりツッコミを入れなかったのではないかと私は勝手に考えています。
そして昇太は、ツッコミを入れようと努力しているのは伺えるのですが、やっぱり歌丸ほどのキレはありません。後輩が（三平を除けば）たい平以外におらず、小遊三・好楽・木久扇・（6代目）圓楽が（そして山田くんさえも）全員自分より先輩であるということもあるのかもしれませんが、どうにもツッコミが遠慮がちに見えてしまうのです。歌丸のように堂々と憤慨や呆れの感情を出す演技ができていないので、ツッコミの台詞がフワッと浮かんで虚空に消えていってしまうのです。
そのせいで、歌丸が司会を引いてからの笑点はどんどん勢いを失っていた印象があります。そこに折悪しくコロナ禍も襲い掛かり、客席も拍手もまばらになりました。パラパラとしか聞こえてこない拍手は、歌丸司会時代の全盛期と比べれば番組の衰運を象徴しているようで、私としては非常な寂寥感を覚えていました。その寂寥もあってか前述の70歳越えの4人の回答者（小遊三・好楽・木久扇・6代目圓楽）も、ひどく歳をとっているように見えてしまいました。どうにもこの4人のしゃべりや動きがどんくさく見えて、のびのびできていた歌丸司会時代のキレが失われているように映るのです（実際に遅くなっているのかもしれません）。また時代の潮流的に歌丸司会時代に行われていたメンバー間の罵り合いもどんどんやりづらくなっているのでしょう。新メンバーの三平にはこのあたりのフォローも期待されていたのでしょうが、力不足は否めませんでした。三平は、最後まで答えを言う時のオドオド感が抜けず、視聴者を心配させてしまうのです。単なる演出装置に過ぎない座布団をもらえるたびに小さくガッツポーズをするセンスの悪さも私はずっと気になっていました。番組全体がこんな感じだったから、私もなんとなく番組から離れていったのかもしれません。
さてここまでをいったんまとめます。「笑点が勢いを失っていた理由」は以下の四つです。
�‐座世離張奪灰澆鵬隆櫃曚匹離�レがなく、回答者ものびのびできない。
�⊂�遊三・好楽・木久扇・6代目圓楽の高齢化による翳り
��コロナ禍で客席も拍手もまばら
�せ�代の潮流として罵り合い的なネタはもうやりづらい
宮治に期待されるのはこれらの解消なわけですが、実際今回のOAがどうだったかと言いますと、三平のようなおっかなびっくり感は全くなかったので、そこは非常に良かったです。できて当たり前のことを褒めるのもどうかとは思いますが、実に堂々たるものでした。
とはいえ、上記の解消すべき事項のうち、���い狼楴８朕佑任呂匹Δ靴茲Δ發覆ぬ簑蠅任后�そして�△癲�宮治になんとかしてもらうことではなく、この4人のとっかえという形で解消すべきことです。実際私も久しぶりにテレビの画面で4人を見たのですが、「歳をとったなあ」という感想しか出てきませんでした。4人全員を一気に替える必要はありません。というか、一気に替えるのは危険です。その手の大胆リニューアルはどうにもコケるような気がしてしまいます。一人ずつ、交代で入る新メンバーを定着させながら、徐々に替えていくべきです。そうやって回答者に昇太の後輩を増していけせば昇太もツッコミが遠慮なくできるようになって�，皺鮠辰気譴泙后�
4人の交替には、もう1つのメリットがあります。この4人にはそれぞれに根付いているキャラクターがあるのですが、小遊三のエロキャラと犯罪者キャラ・木久ちゃんのバカキャラ・6代目圓楽の悪口キャラと嫌われ者キャラはもうテレビではやりづらくなっています。キャラがあるのにそれをあんまり出してこないので、勢いが失われたように見えてしまうわけです。この4人を、きちんとあの時間帯の地上波でできるキャラに替えれば、�い皺�善できるわけです。一石三鳥なんです。
そういえば、今回のOAでは席替えも行われていました。小遊三の席次は変わっていませんでしたが、以下左から6代目圓楽→たい平→木久扇→好楽→宮治という席順でした。宮治に好楽と山田くんをいじらせようという意図をひしひしと感じました。好楽よりも、小遊三・木久ちゃん・6代目圓楽の方がいじりやすいキャラなので（現に昇太やたい平は隣にいた木久ちゃんや圓楽をイジって名を挙げていったはずです）、なぜ好楽なのかとは思ったのですが、前述のようにエロキャラ・犯罪者キャラ・バカキャラ・嫌われ者キャラはイジりづらいということなのでしょう。エロキャライジりは単純に時間帯にそぐわないですし、犯罪者キャラ・バカキャラ・嫌われ者キャライジリは差別につながりかねないということだと思います。それならば好楽の怠け者キャライジリが一番穏当だという判断なのではないかと私は見ています。怠け者は、与太郎や嫌われ者と違って、一応本人に責任があるというように理解できるからです（実際そう言えるかはかなり微妙なので、今後も好楽イジリを続けられるかどうかは多分に不透明です）。
というわけで、宮治個人に背負わせるにはあまりに多くの大問題がある状態なので、私は番組の将来を不安視しています。宮治個人は、今回のOAだけではなんとも言えない部分はありますが、歌丸司会時代に加入していたのであればきちんと定着できる力を持っていると思います。でも番組が抱えている問題は回答者一人ではどうしようもないものなのです。
林家三平が降板し、新メンバーとして加入した桂宮治の初登場回でした。
私は、落語には詳しくないので、正直なところ宮治のことは存じ上げませんでした。でもだからこそ、（三平とは違って）実力で選んだんだろうなと勝手に期待していました。
だから、今回の笑点も久しぶりに見ることにしました。
私は一時期笑点を毎週見ていました。毎週見ていたのは、歌丸司会時代のことです。昇太が司会になってから、なんとなく見なくなっていました。
私は1987年生まれなので、リアルタイムで見た笑点は5代目圓楽が司会だった頃からのものです。現在に至るまで、司会はその後歌丸・昇太と受け継がれてきたわけですが、歌丸司会時代の笑点が明らかに一番おもしろかったです。
それはなぜかといえば、歌丸のツッコミ能力が高かったからです。実力の高いツッコミが1人いるだけで、ボケはのびのびとできます。スベったらスベったで、きちんとそのことにツッコミが入るので、どう転んでもウケがとれるからです。ボケ（＝回答者）が悪い意味での緊張をせずにのびのびとやることで色々な種類の笑いが表に出てきます。他のボケも相乗効果でどんどん自由に暴れていきます。そこにまた鋭くツッコミが入ることで、好循環が生まれるわけです。
他方歌丸と比較すると、まず5代目圓楽は、回答者の答えを聞いても笑っている（＝誘い笑い役としての仕事をしている）だけのことが多く、あまりツッコミを入れません。たまに入れても、歌丸ほどのキレはありませんでした。これは私の推測ですが、5代目圓楽は、「噺家なんだから自分一人でオトせてこそ一人前」という価値観で番組を回していた節があるように思えます。木久ちゃん（やたい平）のスベリ芸（しょうもないダジャレや長い歌ネタ）のような「ツッコミに助けてもらって初めて笑えるもの」は邪道だと考えている節があります。だから、あんまりツッコミを入れなかったのではないかと私は勝手に考えています。
そして昇太は、ツッコミを入れようと努力しているのは伺えるのですが、やっぱり歌丸ほどのキレはありません。後輩が（三平を除けば）たい平以外におらず、小遊三・好楽・木久扇・（6代目）圓楽が（そして山田くんさえも）全員自分より先輩であるということもあるのかもしれませんが、どうにもツッコミが遠慮がちに見えてしまうのです。歌丸のように堂々と憤慨や呆れの感情を出す演技ができていないので、ツッコミの台詞がフワッと浮かんで虚空に消えていってしまうのです。
そのせいで、歌丸が司会を引いてからの笑点はどんどん勢いを失っていた印象があります。そこに折悪しくコロナ禍も襲い掛かり、客席も拍手もまばらになりました。パラパラとしか聞こえてこない拍手は、歌丸司会時代の全盛期と比べれば番組の衰運を象徴しているようで、私としては非常な寂寥感を覚えていました。その寂寥もあってか前述の70歳越えの4人の回答者（小遊三・好楽・木久扇・6代目圓楽）も、ひどく歳をとっているように見えてしまいました。どうにもこの4人のしゃべりや動きがどんくさく見えて、のびのびできていた歌丸司会時代のキレが失われているように映るのです（実際に遅くなっているのかもしれません）。また時代の潮流的に歌丸司会時代に行われていたメンバー間の罵り合いもどんどんやりづらくなっているのでしょう。新メンバーの三平にはこのあたりのフォローも期待されていたのでしょうが、力不足は否めませんでした。三平は、最後まで答えを言う時のオドオド感が抜けず、視聴者を心配させてしまうのです。単なる演出装置に過ぎない座布団をもらえるたびに小さくガッツポーズをするセンスの悪さも私はずっと気になっていました。番組全体がこんな感じだったから、私もなんとなく番組から離れていったのかもしれません。
さてここまでをいったんまとめます。「笑点が勢いを失っていた理由」は以下の四つです。
�‐座世離張奪灰澆鵬隆櫃曚匹離�レがなく、回答者ものびのびできない。
�⊂�遊三・好楽・木久扇・6代目圓楽の高齢化による翳り
��コロナ禍で客席も拍手もまばら
�せ�代の潮流として罵り合い的なネタはもうやりづらい
宮治に期待されるのはこれらの解消なわけですが、実際今回のOAがどうだったかと言いますと、三平のようなおっかなびっくり感は全くなかったので、そこは非常に良かったです。できて当たり前のことを褒めるのもどうかとは思いますが、実に堂々たるものでした。
とはいえ、上記の解消すべき事項のうち、���い狼楴８朕佑任呂匹Δ靴茲Δ發覆ぬ簑蠅任后�そして�△癲�宮治になんとかしてもらうことではなく、この4人のとっかえという形で解消すべきことです。実際私も久しぶりにテレビの画面で4人を見たのですが、「歳をとったなあ」という感想しか出てきませんでした。4人全員を一気に替える必要はありません。というか、一気に替えるのは危険です。その手の大胆リニューアルはどうにもコケるような気がしてしまいます。一人ずつ、交代で入る新メンバーを定着させながら、徐々に替えていくべきです。そうやって回答者に昇太の後輩を増していけせば昇太もツッコミが遠慮なくできるようになって�，皺鮠辰気譴泙后�
4人の交替には、もう1つのメリットがあります。この4人にはそれぞれに根付いているキャラクターがあるのですが、小遊三のエロキャラと犯罪者キャラ・木久ちゃんのバカキャラ・6代目圓楽の悪口キャラと嫌われ者キャラはもうテレビではやりづらくなっています。キャラがあるのにそれをあんまり出してこないので、勢いが失われたように見えてしまうわけです。この4人を、きちんとあの時間帯の地上波でできるキャラに替えれば、�い皺�善できるわけです。一石三鳥なんです。
そういえば、今回のOAでは席替えも行われていました。小遊三の席次は変わっていませんでしたが、以下左から6代目圓楽→たい平→木久扇→好楽→宮治という席順でした。宮治に好楽と山田くんをいじらせようという意図をひしひしと感じました。好楽よりも、小遊三・木久ちゃん・6代目圓楽の方がいじりやすいキャラなので（現に昇太やたい平は隣にいた木久ちゃんや圓楽をイジって名を挙げていったはずです）、なぜ好楽なのかとは思ったのですが、前述のようにエロキャラ・犯罪者キャラ・バカキャラ・嫌われ者キャラはイジりづらいということなのでしょう。エロキャライジりは単純に時間帯にそぐわないですし、犯罪者キャラ・バカキャラ・嫌われ者キャライジリは差別につながりかねないということだと思います。それならば好楽の怠け者キャライジリが一番穏当だという判断なのではないかと私は見ています。怠け者は、与太郎や嫌われ者と違って、一応本人に責任があるというように理解できるからです（実際そう言えるかはかなり微妙なので、今後も好楽イジリを続けられるかどうかは多分に不透明です）。
というわけで、宮治個人に背負わせるにはあまりに多くの大問題がある状態なので、私は番組の将来を不安視しています。宮治個人は、今回のOAだけではなんとも言えない部分はありますが、歌丸司会時代に加入していたのであればきちんと定着できる力を持っていると思います。でも番組が抱えている問題は回答者一人ではどうしようもないものなのです。
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