当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

 2023年のTHE MANZAIです。

<過去回>
2022.12.4THE MANZAI2022
2021.12.5THE MANZAI2021
2020.12.6THE MANZAI2020
2019.12.8THE MANZAI2019
2018.12.9THE MANZAI2018
2017.12.17THE MANZAI 2017
2016.12.18THE MANZAI 2016

1.アンタッチャブル
 「結婚相手の父親への挨拶」というアンタッチャブルの代表作と言ってもいいネタだったと思いますが、様々なアレンジが加えられて色々と楽しめる出来になっていました。ザキヤマのアドリブも、かなり入っていると思います。二人羽織のようなボケには、柴田が対応できていませんでした。ただ、「二人羽織」という言葉が出ずとも、きちんとツッコミを入れた感じにできるのが柴田のすごさです。そんな柴田を信頼しているのか困らせたいのかは分かりませんが、アドリブで徹底的にふざけるザキヤマもさすがです。

2.サンドウィッチマン
 例年通りですね。
 「こんな旅客機は嫌だ」大喜利を延々やっているネタでしたが、大喜利のクオリティが中の中の上どまりであり、それを2人の演技力でごまかしていました。

3.タカアンドトシ
 毎年このコンビの漫才は言うことに困るんです。技量(演技力)は申し分ないんです。大喜利も、サンドウィッチマンよりはできています。中の上の中くらいのレベルにはなっています。だから全体としては貶すような出来ではないのですが、M-1での優勝はできなさそうなレベルなんです。

4.NON STYLE
 毎年指摘している石田のキャラの「作り物感」ですが、今年も直っていませんでした。ウケ狙いでふざけている大学生に見えてくるので、作家気質の人間には嫌な感じに映ってしまいます。私が個人的に特に嫌だったのは、「誰を怒りますか?」と言いながら左右に揺れていたところです。とはいえNON STYLEはもう売れきっているので、無理に直すようなことでもないと思います。
 ちなみに井上のツッコミにはこのような作り物感はありません。

5.さすらいラビー(プレマスターズ枠)
 ボケの中田がやるキャラクターが全ての漫才でした。所々滑舌が悪くて聞き取りにくかったのですが、それさえもキャラの一部と納得できる仕上がり具合でした。冒頭に張った「吐いてしまう」という伏線を最後に回収する構成もお見事です。
 とはいえこのキャラ一辺倒のネタなので、ハマらないと全く笑えません。ああいう感じでひたすらしょうもないことをまくしたてる理系のインテリは私も学生時代に見てきたような気がするので、薄ら寒くなって笑えませんでした。そうです。話の内容をちゃんと聞くと言っていることのひとつひとつはしょうもないので、だんだんイライラの方が勝ってくるんです。
 キャラが強すぎて他のネタをやりにくくなるのではないかというたけしの指摘も残酷でしたが、その通りだとは思います。

6.銀シャリ
 MCも指摘していましたが、後半は橋本がボケに回っていました。橋本のゴリラ撃退話の方は荒唐無稽すぎて単純にしょうもなかったです。褒めてはいません。
 かといって前半のクマ撃退話が良かったかというと、そんなこともありません。やっぱり大喜利力が物足りません。

7.おぎやはぎ
 矢作は「サ行が言いやすいしゃべり方」という触れ込みで黒板五郎みたいなしゃべり方をずっとしていました。他方で小木の方は「カ行が言いやすいしゃべり方」ということでずっと顎をしゃくれさせながらしゃべっていました。
 なぜそのしゃべり方だとサ行やカ行が言いやすくなるのかは全くピンと来なかった(その点もツッコミは入っていませんでした)ので、別におもしろくなかったです。

8.千鳥
 どこまで台本があったのかは分かりませんが、私には大悟がずっとアドリブでふざけているように見えました。これが本来の漫才だと思います。ただ今回は基本的にずっと同じ話をしていたのでいまいちハネませんでした。ゆえに一番おもしろかったのも、大悟が「パイレーツ・オブ・カリビアン」をカんだところでした。
 このアドリブでのおふざけに大喜利力が伴ってくると、ダウンタウンになります。

9.海原やすよ ともこ
 大阪のおばはん2人の立ち話でしたねえ。それが漫才の原形のような気もしますが、最後までちゃんと聞いていられるのは素敵です。話題はコロナ禍にまつわる生活の不平不満が中心で、かなりこすられている内容であり、大喜利力の高さを感じられませんでした。笑いがなくとも最後まで聞かせられるのは、しゃべりの技術が高いからでしょう。

10.フットボールアワー
 「焼かんでええやん」というネタを見たことがありますが、その変化形の「入れんでええやん」というネタでした。「焼かんでええやん」と違って後藤が自分で「入れんでええ」ものを言い出すクダリもありましたが、「入れんでええやん」というツッコミができる表現を探してばかりでそれが本当におもしろいのかを考え抜かれてない気がしました。ナイツにもこの手ワンフレーズネタはありましたが、同じ過ちを犯しています。
 結局、正しく大喜利ができていないのです。

11.錦鯉
 最後渡辺が無言でまさのりさんを叩いていたのはおもしろかったですねえ。冒頭でネタが飛びかけていた(ように見えた)まさのりさんもおもしろかったです。いずれもまさのりさんのバカキャラの扱いとして非常に正しいです。

12.ウエストランド
 井口がずっとまくし立てているネタの構造はウーマンラッシュアワーのネタみたいでした。あれだけの台詞をカまずに言えるのはお見事です。
 全方位に怒って不満をぶちまけるネタでしたが、怒りの対象が多すぎて相反するものにも同時に怒りがぶつけられており、そんな自分自身のズレをも笑ってもらうという構造のネタでした。そのメタ構造には感心しました。
 ただ私はM-1のネタの方が好きです。

13.パンクブーブー
 今回のネタを見て思いましたが、パンクブーブーの問題点は、NON STYLEと一緒で、ボケの佐藤がウケ狙いでふざけている大学生に見えてしまうことだと思います。演じきれてはいるのですが、その演じきろうとしている正解が間違っている感じです。
 まさのりさんみたいに、突き抜けたところに正解を持って行って欲しいのです。

14.ギャロップ
 しゃべりの技量面は、関西弁の漫才師としてすでに完成されていると思います。あとは大喜利力なんですが、今回のネタは芸人のライブと歌手のライブを比較するという結構こすられている話題だったので、もっと磨いていけると思います。

15.マヂカルラブリー
 M-1で優勝した時から一緒で、動きが多い漫才なんです。特にこのコンビのネタは、野田のパントマイムでの表現が多いんです。
 そのため野田のパントマイムのクオリティがネタのおもしろさに直結するはずですが、そこがいまいちだと思います。もっと磨けると思います。
 「そんな状況だと子供が轢かれそうになっても間に合わない! どんな状況?」という大喜利に対する答えも、もっとクオリティを高められます。

16.テンダラー
 飛行機という設定がサンドウィッチマンとカブってましたね(遠回りの経由地があるというボケも1つカブっていました)。
 サンドウィッチマンのネタと比較すると、浜本の動きや表情を活かしたボケが多く、その手のボケは大喜利力が低くても強引に笑いをとっていけます。個人的には、白川の窃盗を疑う浜本の表情がおもしろかったです。逆に言うと、大喜利はあまりできていなかったとは思います。

17.かまいたち
 山内は、おもしろい屁理屈を言わせたら掛け値なしに日本一だと思っています。コントよりはこんな感じの漫才の方が、向いていると思いますね。濱家の一歩引いた感じのツッコミも素晴らしいです。

18.中川家
 テンダラーと一緒で、動きで笑いがとれるんです。そのおかげで、大喜利力の低さをカバーできるんです。私は前半の礼二の味見のしつこさがおもしろかったです。

19.ナイツ
 ナイツの問題点はずっと一緒です。塙の演技力が低いことです。ボケているときに半笑いなのがいただけません。また今回のネタは2023年の時事ネタを順々に紹介するばかりの足し算のネタであり、構成力も高さも感じられませんでした。

20.霜降り明星
 霜降り明星のネタはコント漫才のイメージが強かったのですが、2人でスキャンダルをイジり合いながら喧嘩するネタをやっていました。
 ただ、そのせいで余計浮き彫りになっていましたが、2人とも演技力が物足りません。せいやは、モノマネ等で特定のキャラに入りきっているときはまだマシなのですが、今回のようにせいや自身を演じる必要があるときは、結構な大根になります。粗品は何をやっても演技力が頭打ちです。そのくせセンスがある感じで自信満々なツッコミをするので、寒さもより一層増します。特に動きの芝居は2人とも不得手であり、ネタの終盤に披露したつかみ合いは見ていられませんでした。

21.笑い飯
 笑い飯の2人は漫才師に求められる能力の中で最も高いのが大喜利力なので、いつも大喜利力一本で勝負してくる感じのネタになるのですが、そのせいで大喜利の出来不出来にネタのクオリティが直接左右されます。その波も、かなり高低差が激しいイメージです。
 今回のネタは、かなり低めの方でした。そもそも舞台設定(=大喜利のお題)が「理科の先生が理科室でやっていたら嫌なこと」というかなり変則的なものなので、大喜利もやりにくいと思いました。

22.博多華丸・大吉
 演技は2人ともできているんです。華丸のキャラクターから来る全体的な発言のしょうもなさを好きになれるかがこのコンビを気に入るかどうかの分水嶺です。

23.爆笑問題
 ナイツとカブるところがあってよかったね、という感じです。ナイツに文句を言うクダリが一番おもしろかったです。

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