2024年のTHE Wです。
ゆりやんがナレーションをしていましたが、下手でしたねえ。ゆりやんなのでわざと下手にやっている可能性もありますが、どっちにしろノイズにしかなっていませんでした。全体的にはローテンションで、各出場者の煽りVTRの時だけはハイテンションでしたが、両方下手でした。
<過去回>
→2023.12.9THE W 2023
→2022.12.10THE W 2022
→2021.12.13THE W 2021
→2020.12.14THE W 2020
1.やました
前半は、日常に生じる感情や出来事をとても長いフレーズで喩えていました(ただ、一番最初のコースターのクダリは何を言っているのか聞き取れませんでした)。ここは大喜利力の見せ所ですが、大したことはなかったです。他方で中盤から後半にかけてはダジャレ的に韻を踏んでいくことで笑いを生み出そうとしており、オジンオズボーンの漫才が思い出されました。ただ全体的に早口で手数で勝負するタイプのネタであり、その割りには個々のボケのクオリティが大したことがなかったので、どこにも強みがなかったです。
最後の泣きの芝居も、もう少しクオリティを上げられると思います。ちゃんと涙を流して泣いた方が、狂気は増すと思います(それが笑いにつながるわけではないとは思いますが)。
本人はピン芸人であり、目の前にいるという設定の彼氏と会話する体のネタだったのですが、彼氏役を用意して漫才形式にした方が分かりやすくなるとは思いました。ピンだとツッコミの台詞も全部自分で言う必要があるので、どうしても「自分のボケに自分でツッコんでいる」という構造が生まれてしまいます。ツッコミの台詞も彼氏に言わせた方が絶対にいいはずです。彼女がピンネタという手法を選んだことに積極的な意義はあるのでしょうか。相方探しやネタ合わせをサボりたいだけではないでしょうか。その問いは、芸人である以上は常に自問自答する必要があると思います(本稿にいちいち書いてはいませんが、これは本大会の出場者や落語家も含めた全てのピン芸人に言いたいことです)。
まあ今回のネタは、ボケのクオリティを考えると、彼氏役がマンキンでツッコんだところで寒さの方が増す可能性もあったとは思います。
2.ぼる塾
去年披露した漫才に対して私は、「あんりと田辺さんの2人で漫才をさせた方がおもしろい気がします」と書きました。それくらい、きりやと酒寄はネタに馴染めていませんでした。
今回のネタはその反省を踏まえたのか、コントになっていました。その甲斐あって、去年の漫才で見られた間延び(4人がネタ中に立ち位置を入れ替えたりしていたせいで生じていたもの)は、なくなっていました。あと、去年のネタでは間が遅れ気味だった田辺さんは、改善されていました。
でもやっぱり、田辺さんとあんりが上手かったせいで、きりやと酒寄のヘタさの方が際立っていました。やっぱりコントでも田辺さんとあんりの2人でいいんじゃないかなと思ってしまいました。ボケのクオリティは全体的にベッタベタでしたが、田辺さんの風貌とあんりの鋭いツッコミでカバーはできます。まあ、大喜利力も磨いて欲しいところではありますが。
3.にぼしいわし
一昨年のネタに対しては「ツッコミが棒読み」と書きました。この点は、だいぶ改善されていたと思います(とはいえまだM-1で言ったら、組み合わせに恵まれたら準々決勝まで行けるかなぐらいのレベルだと思います)。
他方でボケのにぼしは、演技に改善が見られません。雰囲気で言うと田辺さんやイワクラみたいな感じのヘタさなのですが、田辺さんほどの説得力のある風貌もないので、「無理してウケ狙いでしゃべっている感」が滲み出てしまっています。いわしの方も、にぼしから滲み出てきた臭みを覆い隠すほどの鋭いツッコミはできていません。
ネタの方の大喜利も、大したことはないでしょう。
あとは細かい話です。今回披露された漫才は、「バイト先のおばちゃんがくれたお惣菜がシャネルの袋に入っていた」という話から、ボケのにぼしが「今のシャネルはお惣菜も売っているのではないか」と想像を広げ、最後には「そのようなシャネルで買い物するとしたらどんな感じになるか」というのをにぼしが演じる構成になっていました。ただ、最後の買い物のクダリがツッコミのいわしのフリ台詞から始まっていたので分かりにくく、私も見ていて一瞬迷子になってしまいました。ボケが広げた「今のシャネルはお惣菜も売っているのではないか」という世界観にツッコミがノってしまうと見る方も視座の置き方がよく分からなくなるので、買い物のクダリはにぼしが「やりたい」とか「買い物するならこんな感じやろ」とか言い出したうえで始めた方がいいと思います。
ちなみに3日前の「細かすぎて」で2人はなかなかおもしろいネタを披露していたので、こういう細かい形態模写から広げていって中川家みたいな漫才をやった方が良いものができる気がします。
4.もじゃ
こういう個人的な世界観全開のネタは、本人がやりたいようにやったのであれば言うことはありません。ただ、廃品回収業をやってると見せておきながらペットや人間まで回収していくという展開は通常の想像の範疇であり(「そんな廃品回収屋おらんやろ」という大喜利への回答だとしたら、笑点みたいな半周目をウロウロしている大喜利でも出る答えです)、狂気を出しきれてはいませんでした。
本人が連呼していた「型が古い」はもっとしつこく押されたら笑えていたような気はするのですが、もっと押して欲しいなというところで「大切にするよ!」とパターンを変えてしまっていたので、もったいなかったです。
あと前述の「型が古い」も含め、キャラを作ろうとしすぎていて台詞が聞き取りにくかったです。
5.レモンコマドリ
キャラが強烈な方が実はツッコミという三四郎みたいな漫才でした。
ツッコミのゆきちゃんはキャラが立っていて嘘くさくもない(=そのキャラに沿った演技ができている)のですが、ボケの梶原の演技はダメダメです。そのバランスも三四郎っぽいです。
大喜利も全然できていません。「こんなペットは嫌だ」という大喜利への回答が「鉛筆だ」とか「名前が『冷蔵庫』だ」とかなんて、売れる芸人なら小学生の時に卒業しているレベルですよ。
6.おかずクラブ
叶姉妹をモデルにしたであろうキャラクターに2人で扮して取材を受けるという設定のネタでした。どちらがツッコミということもなく、2人ともボケていました。ただボケの手数は少なく、フリに該当する部分が長かったです。この手のネタでいざ満を持して披露されたボケがどっちらけだと悲惨なことになるのですが、一番力を入れていたであろうゆいPの「炭酸水」はそれなりにおもしろかったです。ボケの手数が少ないせいで「炭酸水」を待ってしまっている自分に途中で気付きましたが、それがゆえに1回外したクダリでは素直に笑えました。
7.紺野ぶるま
38歳という設定の「フルヨ」なる女性を演じる1人コントでした。フルヨは受付嬢で、24歳の「リョウくん」という男性社員にアプローチをしていくのですが、そこで飛び出る言葉が世代を感じさせるというのが主な笑いどころだったんですかね。ただ、全体的にそんなに芯は喰ってなかったですよね。これも結局「この女性絶対アラフォーだな。なぜそう感じた?」という大喜利にちゃんと答えられていないということなんですよね。
最後に韓国語をしゃべり出したクダリは若干おもしろかったですが、あとはずっと空回りしていました。スベったことを笑ったかのようなスタッフらしき男性の笑い声が聞こえてきた瞬間が一番おもしろかったです。
8.キンタロー。
キンタロー。のモノマネの詰め合わせパックでした。一応フリップを使って1つのネタっぽくしてはいましたが、1つのネタとしてのまとまりは極めて弱かったです。どうせこの手の賞レースに出るなら、あるモノマネが別のモノマネのフリになってるみたいな前後のクダリの絡みを作り出して欲しいです。
ほとんど全てのモノマネはキンタロー。の顔芸が主であり、その顔もかなり誇張されているので、フリップをめくりながらモノマネを披露している点も相まって、私はザコシが優勝したR-1で披露していたネタを思い出しました。とはいえどのモノマネを見ても顔の作り方は大体似通っているので、1回見れば飽きます。ドッスンも別の機会に初めて見たときはおもしろかったですが、今回は特に笑えませんでした。
9.忠犬立ハチ高
国会答弁で野党議員と大臣がやり合うという設定のネタでした。ただ中盤で2人が中学生のように意気投合してしまうという転調がこのネタの白眉なのでしょう。それがボケとしてのズレなのですが、そうだとすれば前半が丸々フリになってしまっているので、退屈な時間が長いです。
あと個人的には細マッチョのことを聞かれてほくそ笑む大臣が一番おもしろかったです。
10.エルフ
「つけまつげ左右逆」とか「12時だ」とかボケの前提になるフリに説明台詞が多かったのが残念でした。どうせなら、画として見せてくれた方が不自然な感じが減ると思います。フリといえば、ハトの首の動きもギャルがツッコミを入れたくなるほど繰り返されていたわけではなかったので、こちらはフリとして不十分です。もっとしつこく首を動かした方がいいと思います。
はるの演技力はまだまだ磨けますね。
11.足腰げんき教室
ボケのうちだがひたすら動き回りながらボケ続ける漫才でした。ボケ続けるというより、単発ギャグを連発している感が強かったですね。ただ肝腎のボケは全体的に元気な小学生が思い付いたぐらいのクオリティであり、大喜利力の低さを感じさせましたね。
相方のくろさわもうちだにツッコんだりノったりで態度が一定せず、こちらも迷子になりました。ツッコむならツッコんで普通の漫才にする、ノるならノってヨネダ2000みたいな奇矯なネタを目指す、とどちらかに振り切った方が分かりやすくなるとは思います。
くろさわの演技力は、かなりレベルが低いです。あとくろさわに隠れてしまっていますが、うちだが連発していたギャグも島田珠代やインディアンス田渕みたいな一線級の人たちと比べるとまだまだ密度が足りなかったと思います。
12.河邑ミク
「爪痕残そうとしてません」は今年の大会で一番笑った台詞でした。
「ちょっとヘタクソな新人舞台女優」をきちんと演じきれていたと思います。ちょっとヘタクソなところまでわざと出せているのであれば、もう言うことありません。
ただ、そんな彼女が「ひとみさんが宮本亜門の舞台の主演女優になる予定だった」ということを裁判が始まるまで知らなかったのがイマイチ納得できません。
あと、笑いどころは少なかったですね。ずっと新人舞台女優が裁判で無茶しているというボケ一辺倒で変化も見られませんでした。
<最終決戦>
1.にぼしいわし
題材はいいんです。着眼点もいいんです。「アイドルはウンコしないから卒業したアイドルはウンコを我慢しきれなくなっただけだ」なんてのは私も初めて気付かされた視点です。ただやっぱりその無茶苦茶な言説に固執するキャラクターを演じるにぼしの芝居が物足りないです。ボケがそういうことを力説する漫才といえばチュートリアルやさや香の得意分野なので、こういったコンビにやらせたらもっとおもしろくなった気がします。
あと、「卒業したアイドルはウンコを我慢しきれなくなっただけだ」という大元の発想から枝葉のボケを生み出す大喜利にもっと注力して欲しかったです。「なんで和式やねん」はちょっとおもしろかったですが、個々の質も密度も圧倒的に足りません。ここを本気で練り上げれば、冗談抜きにM-1も獲れます。それぐらいポテンシャルのあるネタでした。
2.紺野ぶるま
1本目から地続きのネタでした。紺野本人が演じていたのも、1本目と同じフルヨさんでした。
ネタのテイストも同じだったので特に追加で書くことはありません。
3.忠犬立ハチ高
1本目はコントでしたが、この2本目は漫才でした。
ボケの王坂ができの悪い官能小説を読むというネタでした。王坂の滑舌が、若干悪かったですね。ノムラのツッコミも、ヘタというほどではないんですが、なんかコテコテの漫才のマンキンのツッコミがあんまり合っていない気はしました。なぜかはハッキリとは説明できませんが、風貌や声質が合っていないような感じがします。もっと冷静に弱めにツッコんでみるというのは1つの手かもしれません。
あと、官能小説の性描写以外の部分はフリになっていたのですが、ノムラがツッコミの台詞で言うほど「小説として巧い」とは思いませんでした。普通、だと思います。ネタの序盤に放たれた「小説うまっ」というツッコミに共感できないので、その後のノムラのツッコミが全て嘘くさくなってしまった感はあります。
ゆりやんがナレーションをしていましたが、下手でしたねえ。ゆりやんなのでわざと下手にやっている可能性もありますが、どっちにしろノイズにしかなっていませんでした。全体的にはローテンションで、各出場者の煽りVTRの時だけはハイテンションでしたが、両方下手でした。
<過去回>
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1.やました
前半は、日常に生じる感情や出来事をとても長いフレーズで喩えていました(ただ、一番最初のコースターのクダリは何を言っているのか聞き取れませんでした)。ここは大喜利力の見せ所ですが、大したことはなかったです。他方で中盤から後半にかけてはダジャレ的に韻を踏んでいくことで笑いを生み出そうとしており、オジンオズボーンの漫才が思い出されました。ただ全体的に早口で手数で勝負するタイプのネタであり、その割りには個々のボケのクオリティが大したことがなかったので、どこにも強みがなかったです。
最後の泣きの芝居も、もう少しクオリティを上げられると思います。ちゃんと涙を流して泣いた方が、狂気は増すと思います(それが笑いにつながるわけではないとは思いますが)。
本人はピン芸人であり、目の前にいるという設定の彼氏と会話する体のネタだったのですが、彼氏役を用意して漫才形式にした方が分かりやすくなるとは思いました。ピンだとツッコミの台詞も全部自分で言う必要があるので、どうしても「自分のボケに自分でツッコんでいる」という構造が生まれてしまいます。ツッコミの台詞も彼氏に言わせた方が絶対にいいはずです。彼女がピンネタという手法を選んだことに積極的な意義はあるのでしょうか。相方探しやネタ合わせをサボりたいだけではないでしょうか。その問いは、芸人である以上は常に自問自答する必要があると思います(本稿にいちいち書いてはいませんが、これは本大会の出場者や落語家も含めた全てのピン芸人に言いたいことです)。
まあ今回のネタは、ボケのクオリティを考えると、彼氏役がマンキンでツッコんだところで寒さの方が増す可能性もあったとは思います。
2.ぼる塾
去年披露した漫才に対して私は、「あんりと田辺さんの2人で漫才をさせた方がおもしろい気がします」と書きました。それくらい、きりやと酒寄はネタに馴染めていませんでした。
今回のネタはその反省を踏まえたのか、コントになっていました。その甲斐あって、去年の漫才で見られた間延び(4人がネタ中に立ち位置を入れ替えたりしていたせいで生じていたもの)は、なくなっていました。あと、去年のネタでは間が遅れ気味だった田辺さんは、改善されていました。
でもやっぱり、田辺さんとあんりが上手かったせいで、きりやと酒寄のヘタさの方が際立っていました。やっぱりコントでも田辺さんとあんりの2人でいいんじゃないかなと思ってしまいました。ボケのクオリティは全体的にベッタベタでしたが、田辺さんの風貌とあんりの鋭いツッコミでカバーはできます。まあ、大喜利力も磨いて欲しいところではありますが。
3.にぼしいわし
一昨年のネタに対しては「ツッコミが棒読み」と書きました。この点は、だいぶ改善されていたと思います(とはいえまだM-1で言ったら、組み合わせに恵まれたら準々決勝まで行けるかなぐらいのレベルだと思います)。
他方でボケのにぼしは、演技に改善が見られません。雰囲気で言うと田辺さんやイワクラみたいな感じのヘタさなのですが、田辺さんほどの説得力のある風貌もないので、「無理してウケ狙いでしゃべっている感」が滲み出てしまっています。いわしの方も、にぼしから滲み出てきた臭みを覆い隠すほどの鋭いツッコミはできていません。
ネタの方の大喜利も、大したことはないでしょう。
あとは細かい話です。今回披露された漫才は、「バイト先のおばちゃんがくれたお惣菜がシャネルの袋に入っていた」という話から、ボケのにぼしが「今のシャネルはお惣菜も売っているのではないか」と想像を広げ、最後には「そのようなシャネルで買い物するとしたらどんな感じになるか」というのをにぼしが演じる構成になっていました。ただ、最後の買い物のクダリがツッコミのいわしのフリ台詞から始まっていたので分かりにくく、私も見ていて一瞬迷子になってしまいました。ボケが広げた「今のシャネルはお惣菜も売っているのではないか」という世界観にツッコミがノってしまうと見る方も視座の置き方がよく分からなくなるので、買い物のクダリはにぼしが「やりたい」とか「買い物するならこんな感じやろ」とか言い出したうえで始めた方がいいと思います。
ちなみに3日前の「細かすぎて」で2人はなかなかおもしろいネタを披露していたので、こういう細かい形態模写から広げていって中川家みたいな漫才をやった方が良いものができる気がします。
4.もじゃ
こういう個人的な世界観全開のネタは、本人がやりたいようにやったのであれば言うことはありません。ただ、廃品回収業をやってると見せておきながらペットや人間まで回収していくという展開は通常の想像の範疇であり(「そんな廃品回収屋おらんやろ」という大喜利への回答だとしたら、笑点みたいな半周目をウロウロしている大喜利でも出る答えです)、狂気を出しきれてはいませんでした。
本人が連呼していた「型が古い」はもっとしつこく押されたら笑えていたような気はするのですが、もっと押して欲しいなというところで「大切にするよ!」とパターンを変えてしまっていたので、もったいなかったです。
あと前述の「型が古い」も含め、キャラを作ろうとしすぎていて台詞が聞き取りにくかったです。
5.レモンコマドリ
キャラが強烈な方が実はツッコミという三四郎みたいな漫才でした。
ツッコミのゆきちゃんはキャラが立っていて嘘くさくもない(=そのキャラに沿った演技ができている)のですが、ボケの梶原の演技はダメダメです。そのバランスも三四郎っぽいです。
大喜利も全然できていません。「こんなペットは嫌だ」という大喜利への回答が「鉛筆だ」とか「名前が『冷蔵庫』だ」とかなんて、売れる芸人なら小学生の時に卒業しているレベルですよ。
6.おかずクラブ
叶姉妹をモデルにしたであろうキャラクターに2人で扮して取材を受けるという設定のネタでした。どちらがツッコミということもなく、2人ともボケていました。ただボケの手数は少なく、フリに該当する部分が長かったです。この手のネタでいざ満を持して披露されたボケがどっちらけだと悲惨なことになるのですが、一番力を入れていたであろうゆいPの「炭酸水」はそれなりにおもしろかったです。ボケの手数が少ないせいで「炭酸水」を待ってしまっている自分に途中で気付きましたが、それがゆえに1回外したクダリでは素直に笑えました。
7.紺野ぶるま
38歳という設定の「フルヨ」なる女性を演じる1人コントでした。フルヨは受付嬢で、24歳の「リョウくん」という男性社員にアプローチをしていくのですが、そこで飛び出る言葉が世代を感じさせるというのが主な笑いどころだったんですかね。ただ、全体的にそんなに芯は喰ってなかったですよね。これも結局「この女性絶対アラフォーだな。なぜそう感じた?」という大喜利にちゃんと答えられていないということなんですよね。
最後に韓国語をしゃべり出したクダリは若干おもしろかったですが、あとはずっと空回りしていました。スベったことを笑ったかのようなスタッフらしき男性の笑い声が聞こえてきた瞬間が一番おもしろかったです。
8.キンタロー。
キンタロー。のモノマネの詰め合わせパックでした。一応フリップを使って1つのネタっぽくしてはいましたが、1つのネタとしてのまとまりは極めて弱かったです。どうせこの手の賞レースに出るなら、あるモノマネが別のモノマネのフリになってるみたいな前後のクダリの絡みを作り出して欲しいです。
ほとんど全てのモノマネはキンタロー。の顔芸が主であり、その顔もかなり誇張されているので、フリップをめくりながらモノマネを披露している点も相まって、私はザコシが優勝したR-1で披露していたネタを思い出しました。とはいえどのモノマネを見ても顔の作り方は大体似通っているので、1回見れば飽きます。ドッスンも別の機会に初めて見たときはおもしろかったですが、今回は特に笑えませんでした。
9.忠犬立ハチ高
国会答弁で野党議員と大臣がやり合うという設定のネタでした。ただ中盤で2人が中学生のように意気投合してしまうという転調がこのネタの白眉なのでしょう。それがボケとしてのズレなのですが、そうだとすれば前半が丸々フリになってしまっているので、退屈な時間が長いです。
あと個人的には細マッチョのことを聞かれてほくそ笑む大臣が一番おもしろかったです。
10.エルフ
「つけまつげ左右逆」とか「12時だ」とかボケの前提になるフリに説明台詞が多かったのが残念でした。どうせなら、画として見せてくれた方が不自然な感じが減ると思います。フリといえば、ハトの首の動きもギャルがツッコミを入れたくなるほど繰り返されていたわけではなかったので、こちらはフリとして不十分です。もっとしつこく首を動かした方がいいと思います。
はるの演技力はまだまだ磨けますね。
11.足腰げんき教室
ボケのうちだがひたすら動き回りながらボケ続ける漫才でした。ボケ続けるというより、単発ギャグを連発している感が強かったですね。ただ肝腎のボケは全体的に元気な小学生が思い付いたぐらいのクオリティであり、大喜利力の低さを感じさせましたね。
相方のくろさわもうちだにツッコんだりノったりで態度が一定せず、こちらも迷子になりました。ツッコむならツッコんで普通の漫才にする、ノるならノってヨネダ2000みたいな奇矯なネタを目指す、とどちらかに振り切った方が分かりやすくなるとは思います。
くろさわの演技力は、かなりレベルが低いです。あとくろさわに隠れてしまっていますが、うちだが連発していたギャグも島田珠代やインディアンス田渕みたいな一線級の人たちと比べるとまだまだ密度が足りなかったと思います。
12.河邑ミク
「爪痕残そうとしてません」は今年の大会で一番笑った台詞でした。
「ちょっとヘタクソな新人舞台女優」をきちんと演じきれていたと思います。ちょっとヘタクソなところまでわざと出せているのであれば、もう言うことありません。
ただ、そんな彼女が「ひとみさんが宮本亜門の舞台の主演女優になる予定だった」ということを裁判が始まるまで知らなかったのがイマイチ納得できません。
あと、笑いどころは少なかったですね。ずっと新人舞台女優が裁判で無茶しているというボケ一辺倒で変化も見られませんでした。
<最終決戦>
1.にぼしいわし
題材はいいんです。着眼点もいいんです。「アイドルはウンコしないから卒業したアイドルはウンコを我慢しきれなくなっただけだ」なんてのは私も初めて気付かされた視点です。ただやっぱりその無茶苦茶な言説に固執するキャラクターを演じるにぼしの芝居が物足りないです。ボケがそういうことを力説する漫才といえばチュートリアルやさや香の得意分野なので、こういったコンビにやらせたらもっとおもしろくなった気がします。
あと、「卒業したアイドルはウンコを我慢しきれなくなっただけだ」という大元の発想から枝葉のボケを生み出す大喜利にもっと注力して欲しかったです。「なんで和式やねん」はちょっとおもしろかったですが、個々の質も密度も圧倒的に足りません。ここを本気で練り上げれば、冗談抜きにM-1も獲れます。それぐらいポテンシャルのあるネタでした。
2.紺野ぶるま
1本目から地続きのネタでした。紺野本人が演じていたのも、1本目と同じフルヨさんでした。
ネタのテイストも同じだったので特に追加で書くことはありません。
3.忠犬立ハチ高
1本目はコントでしたが、この2本目は漫才でした。
ボケの王坂ができの悪い官能小説を読むというネタでした。王坂の滑舌が、若干悪かったですね。ノムラのツッコミも、ヘタというほどではないんですが、なんかコテコテの漫才のマンキンのツッコミがあんまり合っていない気はしました。なぜかはハッキリとは説明できませんが、風貌や声質が合っていないような感じがします。もっと冷静に弱めにツッコんでみるというのは1つの手かもしれません。
あと、官能小説の性描写以外の部分はフリになっていたのですが、ノムラがツッコミの台詞で言うほど「小説として巧い」とは思いませんでした。普通、だと思います。ネタの序盤に放たれた「小説うまっ」というツッコミに共感できないので、その後のノムラのツッコミが全て嘘くさくなってしまった感はあります。
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