2024年のTHE MANZAIです。
<過去回>
→2023.12.10THE MANZAI 2023
→2022.12.4THE MANZAI2022
→2021.12.5THE MANZAI2021
→2020.12.6THE MANZAI2020
→2019.12.8THE MANZAI2019
→2018.12.9THE MANZAI2018
→2017.12.17THE MANZAI 2017
→2016.12.18THE MANZAI 2016
1.サンドウィッチマン
ケーキ屋という設定の漫才でした。
ずっと変わらんからもう書くことがないのですよ。2人の演技は一級品なので、もっと大喜利力を磨いて欲しいのです。全部は書きませんが、「こんなケーキ屋は嫌だ」という大喜利に「パティシエを『バカ死ね』と聞き間違える」とか「ドライアイスを『トライアスロン』と聞き間違える」とかいう回答を出されても1点もあげたくないでしょう。そんなのは全て捨て去って、大喜利としてもクオリティの高いボケだけを並べて欲しいのです。特に今回のネタは前後のつながりも希薄でボケとツッコミの1ユニットをひたすら積み重ねていくだけの足し算のネタだったので、せめて大喜利だけでもちゃんとやって欲しいのです。1回そういうものがちゃんと考えられる人にネタを作ってみて欲しいです。これだけクオリティの低い大喜利でも2人の演技力で笑いそうになってしまうので、大喜利さえできるようになればもう無敵のはずなのです。
2.ナイツ
このコンビもずっと変わらないですねえ。
土屋のツッコミの演技は一級品です(他種の演技ができるかどうかは分かりません)。塙を真面目に正そうとする人をちゃんと演じられています。
他方で塙の演技力は、落第点です。土屋がちゃんとしているから見ていられるだけで、土屋もちゃんとしていなかったら、M-1で準々決勝に行けるかどうかも怪しいと思います。特に今回は自分のボケにちょっと笑ってしまっていましたし、フワちゃんのボケのクダリで土屋のツッコミに驚く芝居とかは大根過ぎて目も当てられない状態でした。
時事ネタから毒を生み出す大喜利力には爆笑問題よりも確かなものがあるので、塙の演技力さえ何とかなればもっと上のステージに行けるはずなのです。サンドウィッチマンもそうですが、人間売れて金が入ると研鑽を怠るようになるということなんでしょうね。
3.錦鯉
ちょっとまさのりさんの間が延びている(渡辺の台詞の後、自分の台詞を言い出すのが若干遅い)のが気になりました。意図したものかは分かりませんが、少しだけ間延びしているのがまさのりさんのポンコツジジイキャラには合っていたので、そこまで気にならなかったのが幸いでした。
大喜利はそこまでできてはいなかったですねえ。ただレベルが低くてもやっぱりまさのりさんのポンコツジジイキャラに合ってしまうのがこのコンビのずるいことです。最後の方にオウムとゴリラが再登場するのですが、オチの直前の渡辺の台詞は明らかに不利としてはクドすぎです。
4.博多華丸・大吉
2人の演技力はいずれも一級品です。
今回のネタは華丸の顔芸や動きで笑わせる部分が多かったです。それも芸でしょう。華丸が「大変だす」と言ったクダリとか、目測を誤るクダリとか、アドリブっぽい箇所があるのが魅力的でした。全て台本通りの可能性も当然ありますが、2人の演技力のおかげでちゃんとアドリブっぽく見えていました。
5.チュートリアル
徳井の演技力が高いことは分かっていましたが、福田の演技力もなかなかのもんでした。ちゃんと怒る人を演じられていましたよ。
ネタは、「徳井が福田を養子にしたら」という設定から派生して巻き起こるであろう事象を考えつつ大喜利をしながら膨らませていった感じでした。ただ、大喜利としてそこまでぶっ飛んだ発想は見られませんでした。私も学生時代に「子ども欲しくないですか?」と聞かれたら「子どもは要らんけど孫は欲しいんだよなあ」とか言ってましたよ。「あなたの親御さんも孫が見たいだろうに」とか言われたら、「私のムスコは親から見たら息子のムスコなので、孫です」とか言っていましたよ。「私は長男なので、初孫です」と言っていましたよ。
とはいえ、徳井がきちんと狂人を演じられていたので、見ていることはできました。
6.ガクテンソク
今年のTHE SECONDの優勝コンビです。そちらの原稿を読み返したら大喜利はそんなにできていない、演技力も褒められたわけじゃない、ネタも足し算とボロクソに書いてました。
ツッコミの奥田の演技は、かなり良くなっていると思います。ただボケのよじょうの演技力は変わっていません。そういう意味ではナイツと似たようなパワーバランスのコンビです。そして大喜利力とネタの構成も別に良くなってはいませんでした。
7.おぎやはぎ
このコンビももう書くことがないですね。
小木は、笑わずに真顔を保つ能力は高いです。ただ別にとぼけている人を演じられているわけではないと思います。もっと磨けます。
矢作のツッコミの演技は、申し分ありません。
大喜利の方は……別に特筆すべきものはなかったです。そもそも十二支という題材はこれまでさんざんこすられてきたものだと思います。
8.かまいたち
濱家の「ちょっとすいません」と山内の「分かりにくく言ってる」はおもしろかったです。前半のお化けという存在に対する山内のツッコミは、お化けのおかしさというボケを的確に捉えていました。しかも、私も初めて気付かされた視点でした。「お化けのおかしなところにツッコミを入れてください」という大喜利への回答として98点をあげていいと思います。
後半は2人のしゃべくりになっていましたが、山内が若干アドリブで言葉遊びを始めたようにも見え、それにフルテンションで真っ向勝負を仕掛けた濱家とのバウトは非常に見応えがありました。台本通りだったとしても、アドリブっぽく見せられていたのがすごいところです。
9.タカアンドトシ
このコンビも毎年書くことがないですねえ。
タカの演技力は時折怪しいですが、トシのツッコミが上々なので誤魔化せています。
大喜利は今回のネタでは大してできていなかったですね。調子の悪いNON STYLEぐらいのレベルだったと思います。
10.フットボールアワー
後藤ばかり着目されがちですが、のんちゃんの演技力も一級品です。
ただ別にネタ内の大喜利は大したことなかったですね。スマホの話かと思ったらボケの主役になっていたのはウォシュレットで、ウォシュレットを車の運転に喩えてボケたりしていました。醤油をタバコに見立ててボケを派生させていく2人の漫才を思い出しました。ただまあ、あんなもんでしょう。
11.NON STYLE
調子の良いNON STYLEでした。これまでよく披露していたスタイルの漫才と異なり、井上がエアーマジックをやるというネタでした。エアーだけに観客の想像力で補ってもらえばどんなマジックもできるのですが、それなのに自信満々な井上とノリノリでマジックを楽しむ石田の態度がズレになって、笑いが生まれるのでしょう。観客の想像力に頼っているという意味では落語的なネタでもありました。
石田のひょうきんキャラが嘘くさかったのはいつも通りでした。ここだけは、ずっと直りません。もっと演技力を磨いて欲しいです。
12.ナイチンゲールダンス(プレマスターズ2位)
矢部の言う通り、声は出てましたね。
ただ、なんと言うか、どうにもボケの1つ1つが休み時間の小学生が思い付いたような薄っぺら感で満ち溢れていました。そういう意味では、非常に霜降り明星的な漫才でした。その薄っぺら感をボケの中野のテンションで誤魔化していた感じでしたね。
ボケがハイテンションなので、ツッコミがローテンションだったのはうるさくなり過ぎない塩梅で良かったと思います。
13.ヤーレンズ(プレマスターズ1位)
去年のM-1で披露していたものそのまんまの感じの漫才でした。楢原のキャラクターは無茶苦茶仕上がっています。演技力が高いというのは、ああいうのを言うのです。石田に見習ってほしいくらいです。
そして、手数が多いので、見る人によって気に入るボケが異なってくるのが特徴のビュッフェみたいな漫才です。この手数とキャラの仕上がりで平均的な大喜利力が大したことがないのをかなり誤魔化せています。私は去年のM-1で見たものよりは全体的な大喜利のクオリティが下がっていたと思いました。
他方でツッコミの出井の演技力は、もっと磨けます。
14.テンダラー
浜本の演技力とそれをもって仕上げたキャラクターで、大喜利がそんなにできていないのを誤魔化しているネタだと思います。特に今回は題材が戦隊ヒーローというこすられまくっているものでした。浜本が口で奏でる音楽に2人が動きを合わせていくことでリズミカルなコミカルさを生み出すことができるのもこのコンビの強みなのでしょう。
白川の滑舌が結構怪しかったのが気になりました。
15.ミルクボーイ
今回もコーンフレークフォーマットでした。
これも何度も言っていますが、コーンフレークフォーマットの最高傑作はコーンフレークなのです。今回の題材は「人間」であり、ちょっとした社会派要素も後半には入ってきていましたが、コーンフレークを超えられる出来にはなっていませんでした。
あのフォーマットでは、内海がツッコミの際にその漫才の題材に対する悪口を言うことになります。コーンフレークが最高傑作なのは、コーンフレークが悪口の対象として絶妙にしょうもないうえに、悪口も大体芯を喰っていた(=「コーンフレークに悪口を言ってください」という大喜利に高いクオリティで答えられていた)からです。今回の題材は人間であり、悪口の対象としてコーンフレークほどのしょうもなさはないですし、実際に言われていた悪口もよく聞くようなものばかりでした(だから社会派要素が生まれていたのです)。まあ、漫才を辞めるまでにコーンフレークを超えるネタが1個でも出来たらいいですね。
あっ、「人間ドック」と「人間関係」はおもしろかったと思いますよ。
16.海原やすよ ともこ
ともこの「咳のキレが悪くなる」はおもしろかったですねえ。今回のOAで一番おもしろかったところです。岡村も「ネタなのかしゃべっているのか分からなくなる」と言っていましたが、アドリブで立ち話をしている感が出せるのがこのコンビで強みです。2人とも漫才っぽく立ち話をするという演技がちゃんとできています。
17.中川家
いつもよりおもしろくなかったですね。中川家は、2人が得意な形態模写をたくさん入れ込んでくれた方がおもしろくなりますね。普通の大喜利をさせると、「島根からディズニーランドまで高速バスで行く」とか「足立ナンバーの黒のワンボックスは危険」みたいな55点くらいの回答しか出てこないんですね。
18.千鳥
タロット占いを題材にした漫才でした。
なんか出てくるタロットの名前を大悟がアドリブで決めてふざけている感も若干ありました。別にこの2人は、大喜利がちゃんとできるわけじゃないんですよね。特に大悟は、ちょっと困ると「肛門氷」みたいな安易な下ネタに頼っちゃうんです。
今回のネタでも一番おもしろかったのは、大悟がキャラを守り切れずに笑ってしまったところです。ナイツの塙が笑ってしまうのは良くないのですが、大悟の場合にはそれがおもしろくなるのです。それも理不尽な話なのでなぜなのかを考えてみましたが、普段からそういう感じでふざけるのが千鳥の良さそのものだからだと思います。あと、ノブであればそういう不意の事態にもきちんと対応できるだろうという安心感があるのも、理由の一つでしょう。
19.笑い飯
ダメダメな時の笑い飯でした。
西田のくせに全然ハイクオリティな大喜利が見られませんでした。
20.銀シャリ
鰻は若干怪しいですが、橋本の演技力は一級品です。
題材は早口言葉で大喜利も大したことなかったのですが、2人がずっと「新春シャンソンショー」を言えていないのがおもしろかったです。それも多分狙いだったのでしょう。
21.パンクブーブー
屁を題材にうまいことをたくさん言っていました。ナイツにもそういう漫才ありましたね。うまかったですが、特段笑えるものではなかったです。演技力は2人とも及第点だとは思います(絶賛するほどでもないとは思います)。
22.マヂカルラブリー
いつものマヂカルラブリーでしたね。野田が動いて1人コントを行い、横で村上がツッコんでいました。村上の演技力は、もうかなりのものになっています。ただ野田の1人芝居が若干寒いですかね。最後にクイズ精神世界の人が答えたところはおもしろかったですが、基本的に「簡単なクイズを間違える」というボケばかりで変化もありませんでした。矢部は「こっちも間違え待ちしてしまっている」と言ってはいましたが、クイズを間違えて雷に打たれた時の野田の動きはそれだけで楽しめるほどのクオリティではありませんでした。
23.とろサーモン
何とも評価は難しいです。2人とも演技力はちゃんとしていると思います。ただ、別に大喜利はそんなにできているわけではないと思います。「知らないおっさんの膝にたまった水」とかはしょうもないじゃないですか。それを不思議なテンポと久保田のミステリアスなしゃべり方で誤魔化しているネタのような気がします。
ツカミの「フワちゃんの話」はおもしろかったです。
24.爆笑問題
ボケの数が少ないうえに事前に読めましたねえ。テレビでは言えないことをぶっちゃけるなら、ネットの方がおもしろいですよ。
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1.サンドウィッチマン
ケーキ屋という設定の漫才でした。
ずっと変わらんからもう書くことがないのですよ。2人の演技は一級品なので、もっと大喜利力を磨いて欲しいのです。全部は書きませんが、「こんなケーキ屋は嫌だ」という大喜利に「パティシエを『バカ死ね』と聞き間違える」とか「ドライアイスを『トライアスロン』と聞き間違える」とかいう回答を出されても1点もあげたくないでしょう。そんなのは全て捨て去って、大喜利としてもクオリティの高いボケだけを並べて欲しいのです。特に今回のネタは前後のつながりも希薄でボケとツッコミの1ユニットをひたすら積み重ねていくだけの足し算のネタだったので、せめて大喜利だけでもちゃんとやって欲しいのです。1回そういうものがちゃんと考えられる人にネタを作ってみて欲しいです。これだけクオリティの低い大喜利でも2人の演技力で笑いそうになってしまうので、大喜利さえできるようになればもう無敵のはずなのです。
2.ナイツ
このコンビもずっと変わらないですねえ。
土屋のツッコミの演技は一級品です(他種の演技ができるかどうかは分かりません)。塙を真面目に正そうとする人をちゃんと演じられています。
他方で塙の演技力は、落第点です。土屋がちゃんとしているから見ていられるだけで、土屋もちゃんとしていなかったら、M-1で準々決勝に行けるかどうかも怪しいと思います。特に今回は自分のボケにちょっと笑ってしまっていましたし、フワちゃんのボケのクダリで土屋のツッコミに驚く芝居とかは大根過ぎて目も当てられない状態でした。
時事ネタから毒を生み出す大喜利力には爆笑問題よりも確かなものがあるので、塙の演技力さえ何とかなればもっと上のステージに行けるはずなのです。サンドウィッチマンもそうですが、人間売れて金が入ると研鑽を怠るようになるということなんでしょうね。
3.錦鯉
ちょっとまさのりさんの間が延びている(渡辺の台詞の後、自分の台詞を言い出すのが若干遅い)のが気になりました。意図したものかは分かりませんが、少しだけ間延びしているのがまさのりさんのポンコツジジイキャラには合っていたので、そこまで気にならなかったのが幸いでした。
大喜利はそこまでできてはいなかったですねえ。ただレベルが低くてもやっぱりまさのりさんのポンコツジジイキャラに合ってしまうのがこのコンビのずるいことです。最後の方にオウムとゴリラが再登場するのですが、オチの直前の渡辺の台詞は明らかに不利としてはクドすぎです。
4.博多華丸・大吉
2人の演技力はいずれも一級品です。
今回のネタは華丸の顔芸や動きで笑わせる部分が多かったです。それも芸でしょう。華丸が「大変だす」と言ったクダリとか、目測を誤るクダリとか、アドリブっぽい箇所があるのが魅力的でした。全て台本通りの可能性も当然ありますが、2人の演技力のおかげでちゃんとアドリブっぽく見えていました。
5.チュートリアル
徳井の演技力が高いことは分かっていましたが、福田の演技力もなかなかのもんでした。ちゃんと怒る人を演じられていましたよ。
ネタは、「徳井が福田を養子にしたら」という設定から派生して巻き起こるであろう事象を考えつつ大喜利をしながら膨らませていった感じでした。ただ、大喜利としてそこまでぶっ飛んだ発想は見られませんでした。私も学生時代に「子ども欲しくないですか?」と聞かれたら「子どもは要らんけど孫は欲しいんだよなあ」とか言ってましたよ。「あなたの親御さんも孫が見たいだろうに」とか言われたら、「私のムスコは親から見たら息子のムスコなので、孫です」とか言っていましたよ。「私は長男なので、初孫です」と言っていましたよ。
とはいえ、徳井がきちんと狂人を演じられていたので、見ていることはできました。
6.ガクテンソク
今年のTHE SECONDの優勝コンビです。そちらの原稿を読み返したら大喜利はそんなにできていない、演技力も褒められたわけじゃない、ネタも足し算とボロクソに書いてました。
ツッコミの奥田の演技は、かなり良くなっていると思います。ただボケのよじょうの演技力は変わっていません。そういう意味ではナイツと似たようなパワーバランスのコンビです。そして大喜利力とネタの構成も別に良くなってはいませんでした。
7.おぎやはぎ
このコンビももう書くことがないですね。
小木は、笑わずに真顔を保つ能力は高いです。ただ別にとぼけている人を演じられているわけではないと思います。もっと磨けます。
矢作のツッコミの演技は、申し分ありません。
大喜利の方は……別に特筆すべきものはなかったです。そもそも十二支という題材はこれまでさんざんこすられてきたものだと思います。
8.かまいたち
濱家の「ちょっとすいません」と山内の「分かりにくく言ってる」はおもしろかったです。前半のお化けという存在に対する山内のツッコミは、お化けのおかしさというボケを的確に捉えていました。しかも、私も初めて気付かされた視点でした。「お化けのおかしなところにツッコミを入れてください」という大喜利への回答として98点をあげていいと思います。
後半は2人のしゃべくりになっていましたが、山内が若干アドリブで言葉遊びを始めたようにも見え、それにフルテンションで真っ向勝負を仕掛けた濱家とのバウトは非常に見応えがありました。台本通りだったとしても、アドリブっぽく見せられていたのがすごいところです。
9.タカアンドトシ
このコンビも毎年書くことがないですねえ。
タカの演技力は時折怪しいですが、トシのツッコミが上々なので誤魔化せています。
大喜利は今回のネタでは大してできていなかったですね。調子の悪いNON STYLEぐらいのレベルだったと思います。
10.フットボールアワー
後藤ばかり着目されがちですが、のんちゃんの演技力も一級品です。
ただ別にネタ内の大喜利は大したことなかったですね。スマホの話かと思ったらボケの主役になっていたのはウォシュレットで、ウォシュレットを車の運転に喩えてボケたりしていました。醤油をタバコに見立ててボケを派生させていく2人の漫才を思い出しました。ただまあ、あんなもんでしょう。
11.NON STYLE
調子の良いNON STYLEでした。これまでよく披露していたスタイルの漫才と異なり、井上がエアーマジックをやるというネタでした。エアーだけに観客の想像力で補ってもらえばどんなマジックもできるのですが、それなのに自信満々な井上とノリノリでマジックを楽しむ石田の態度がズレになって、笑いが生まれるのでしょう。観客の想像力に頼っているという意味では落語的なネタでもありました。
石田のひょうきんキャラが嘘くさかったのはいつも通りでした。ここだけは、ずっと直りません。もっと演技力を磨いて欲しいです。
12.ナイチンゲールダンス(プレマスターズ2位)
矢部の言う通り、声は出てましたね。
ただ、なんと言うか、どうにもボケの1つ1つが休み時間の小学生が思い付いたような薄っぺら感で満ち溢れていました。そういう意味では、非常に霜降り明星的な漫才でした。その薄っぺら感をボケの中野のテンションで誤魔化していた感じでしたね。
ボケがハイテンションなので、ツッコミがローテンションだったのはうるさくなり過ぎない塩梅で良かったと思います。
13.ヤーレンズ(プレマスターズ1位)
去年のM-1で披露していたものそのまんまの感じの漫才でした。楢原のキャラクターは無茶苦茶仕上がっています。演技力が高いというのは、ああいうのを言うのです。石田に見習ってほしいくらいです。
そして、手数が多いので、見る人によって気に入るボケが異なってくるのが特徴のビュッフェみたいな漫才です。この手数とキャラの仕上がりで平均的な大喜利力が大したことがないのをかなり誤魔化せています。私は去年のM-1で見たものよりは全体的な大喜利のクオリティが下がっていたと思いました。
他方でツッコミの出井の演技力は、もっと磨けます。
14.テンダラー
浜本の演技力とそれをもって仕上げたキャラクターで、大喜利がそんなにできていないのを誤魔化しているネタだと思います。特に今回は題材が戦隊ヒーローというこすられまくっているものでした。浜本が口で奏でる音楽に2人が動きを合わせていくことでリズミカルなコミカルさを生み出すことができるのもこのコンビの強みなのでしょう。
白川の滑舌が結構怪しかったのが気になりました。
15.ミルクボーイ
今回もコーンフレークフォーマットでした。
これも何度も言っていますが、コーンフレークフォーマットの最高傑作はコーンフレークなのです。今回の題材は「人間」であり、ちょっとした社会派要素も後半には入ってきていましたが、コーンフレークを超えられる出来にはなっていませんでした。
あのフォーマットでは、内海がツッコミの際にその漫才の題材に対する悪口を言うことになります。コーンフレークが最高傑作なのは、コーンフレークが悪口の対象として絶妙にしょうもないうえに、悪口も大体芯を喰っていた(=「コーンフレークに悪口を言ってください」という大喜利に高いクオリティで答えられていた)からです。今回の題材は人間であり、悪口の対象としてコーンフレークほどのしょうもなさはないですし、実際に言われていた悪口もよく聞くようなものばかりでした(だから社会派要素が生まれていたのです)。まあ、漫才を辞めるまでにコーンフレークを超えるネタが1個でも出来たらいいですね。
あっ、「人間ドック」と「人間関係」はおもしろかったと思いますよ。
16.海原やすよ ともこ
ともこの「咳のキレが悪くなる」はおもしろかったですねえ。今回のOAで一番おもしろかったところです。岡村も「ネタなのかしゃべっているのか分からなくなる」と言っていましたが、アドリブで立ち話をしている感が出せるのがこのコンビで強みです。2人とも漫才っぽく立ち話をするという演技がちゃんとできています。
17.中川家
いつもよりおもしろくなかったですね。中川家は、2人が得意な形態模写をたくさん入れ込んでくれた方がおもしろくなりますね。普通の大喜利をさせると、「島根からディズニーランドまで高速バスで行く」とか「足立ナンバーの黒のワンボックスは危険」みたいな55点くらいの回答しか出てこないんですね。
18.千鳥
タロット占いを題材にした漫才でした。
なんか出てくるタロットの名前を大悟がアドリブで決めてふざけている感も若干ありました。別にこの2人は、大喜利がちゃんとできるわけじゃないんですよね。特に大悟は、ちょっと困ると「肛門氷」みたいな安易な下ネタに頼っちゃうんです。
今回のネタでも一番おもしろかったのは、大悟がキャラを守り切れずに笑ってしまったところです。ナイツの塙が笑ってしまうのは良くないのですが、大悟の場合にはそれがおもしろくなるのです。それも理不尽な話なのでなぜなのかを考えてみましたが、普段からそういう感じでふざけるのが千鳥の良さそのものだからだと思います。あと、ノブであればそういう不意の事態にもきちんと対応できるだろうという安心感があるのも、理由の一つでしょう。
19.笑い飯
ダメダメな時の笑い飯でした。
西田のくせに全然ハイクオリティな大喜利が見られませんでした。
20.銀シャリ
鰻は若干怪しいですが、橋本の演技力は一級品です。
題材は早口言葉で大喜利も大したことなかったのですが、2人がずっと「新春シャンソンショー」を言えていないのがおもしろかったです。それも多分狙いだったのでしょう。
21.パンクブーブー
屁を題材にうまいことをたくさん言っていました。ナイツにもそういう漫才ありましたね。うまかったですが、特段笑えるものではなかったです。演技力は2人とも及第点だとは思います(絶賛するほどでもないとは思います)。
22.マヂカルラブリー
いつものマヂカルラブリーでしたね。野田が動いて1人コントを行い、横で村上がツッコんでいました。村上の演技力は、もうかなりのものになっています。ただ野田の1人芝居が若干寒いですかね。最後にクイズ精神世界の人が答えたところはおもしろかったですが、基本的に「簡単なクイズを間違える」というボケばかりで変化もありませんでした。矢部は「こっちも間違え待ちしてしまっている」と言ってはいましたが、クイズを間違えて雷に打たれた時の野田の動きはそれだけで楽しめるほどのクオリティではありませんでした。
23.とろサーモン
何とも評価は難しいです。2人とも演技力はちゃんとしていると思います。ただ、別に大喜利はそんなにできているわけではないと思います。「知らないおっさんの膝にたまった水」とかはしょうもないじゃないですか。それを不思議なテンポと久保田のミステリアスなしゃべり方で誤魔化しているネタのような気がします。
ツカミの「フワちゃんの話」はおもしろかったです。
24.爆笑問題
ボケの数が少ないうえに事前に読めましたねえ。テレビでは言えないことをぶっちゃけるなら、ネットの方がおもしろいですよ。
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